桃柄桃太

負け組サラリマン@茨城県。かつて港区スゴイタカイビルの低層階に自席があった。ネット上の…

桃柄桃太

負け組サラリマン@茨城県。かつて港区スゴイタカイビルの低層階に自席があった。ネット上の活動を再起動中

最近の記事

『ゆるキャン△』のキャラたちは何と戦っているのか?

『ゆるキャン△』は大きく2筋のプロットから構成されている。意外に思うだろうが、メインプロットで描かれるテーマは「戦い」だ。女子高生がゆる~くアウトドア活動を楽しむこの作品で、彼女たちはいったい何と戦っているのだろうか? 『ゆるキャン△』をより楽しむために人気アニメ『ゆるキャン△』(私は原作マンガは読んでいない)についてはみなさんよくご存じで説明不要と思う。2024年4月現在、シーズン3のアニメシリーズを放映中だ。 例によって、『SAVE THE CATの法則』(フィルムアー

    • 『葬送のフリーレン』のバトル展開がイマイチなのはどうしてか?

      最初に言っておく。異論は認める。が、私は『葬送のフリーレン』のバトル展開はイマイチだと思う。 つまり一級魔法使い選抜試験のことだが、初見のアニメシリーズではここで何ヵ月か見るのを中断したし、3周目に入った今もここで止まっている。以下、「どうしてこうなった?!」のか、いくつかの切り口からの私論。 魔法の描き方は難しい身も蓋もない言い方になるが、結局はこれに尽きると思う。魔法の描き方は難しいのだ。「葬送のフリーレン」でも作者の苦心はうかがえて、 複雑な術式だから、とか 民間

      • 『葬送のフリーレン』のキャラクター構成を読み解く

        物語を楽しむときに分析の切り口を持っていると新しい発見がある。今回は『葬送のフリーレン』に登場するキャラクターたちの構成について考えてみたい。 作品に共通する典型的なキャラクターこれまでに何度も引用している『SAVE THE CATの法則』によると多くの人から高評価される作品には様々な共通点があり、キャラクター構成もその1つで、作品中に登場する最も典型的なキャラクターは次の5種類だとされる。 《若くて明るいナイスガイ》タイプ 《かわいい隣の女の子》タイプ 《わんぱく小

        • 『葬送のフリーレン』フリーレンは「ぼっちちゃん」

          ハリウッドでプロの脚本家として実績のあるブレイク・スナイダーに『SAVE THE CATの法則』という著書がある。 「ヒットする映画には構成に多くの共通点がある」 と映画の構成作りや脚本検討に役立つ様々なノウハウを伝授してくれる内容だ。 この本では、数多くの映画はどれもが10種類のジャンルのどこかに当てはまると主張している。 以前紹介したが、人気アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』のジャンルはその10種類のうちの「金の羊毛」である。(もちろん、映画とシリーズ物のアニメの違いは承知

        『ゆるキャン△』のキャラたちは何と戦っているのか?

          『葬送のフリーレン』魔族はなぜ敗れ去るのか

          勇者ヒンメル一行に討伐された魔王。『葬送のフリーレン』の世界観の中では、魔族は敗れるべくして人間たちに敗れ去った。それについての一考察。 ファンタジーの世界観剣と魔法の世界を舞台とする数多いファンタジー作品には共通する世界観がある。異説はありそうだが、日本で後世の作品に大きな影響を与えたのは『ロードス島戦記』であり、これはトールキンの『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』のよく言えばオマージュ、悪く言えば丸コピだ。 『指輪物語』には人間の他にエルフ、ドワーフ、ホビットとい

          『葬送のフリーレン』魔族はなぜ敗れ去るのか

          後藤ひとりは「金の羊毛」を得たか?

          君は『ぼっち・ざ・ろっく!』を見たか『ぼっち・ざ・ろっく!』がマイブームだ。TVアニメのシーズン1の3周目を見ながら、結束バンドのアルバムを買ってしまう(タイトル画像)ほどだ。 初めて見たときは、ありふれた低予算の手抜き作品かと勝手な思い込みがあったが、見直してみると当初から気合を入れて作りこんだ作品に思えてきた。視聴者の主観は気まぐれなものである。 『ぼっち・ざ・ろっく!』は放映されたシーズンのNo.1作品だったとする評価もあるほどの人気作品だが、今となってはそれだけの

          後藤ひとりは「金の羊毛」を得たか?

          ジョブ型雇用が広まった先に待つもの

          帝国の経営者たち項羽と劉邦の争覇の末に建国された漢の初期に次の興味深い逸話が伝わっている。 秦の行き過ぎた功利主義や法治主義の反動で、漢初期には老荘思想(この当時は「黄老思想」といった)が流行した。 『老子』に有名な 「大国を治むるは小鮮を煮るがごとし」 の文がある。小魚(小鮮)を煮るときにつつき回しては身が崩れてダメになってしまう。「あまり手を付けずじっくりと待つのがよい」の意味だが、大国の経営もそうだという。劉邦の「法三章」と合わせて、恵帝と曹参の逸話も寓話的側面が強

          ジョブ型雇用が広まった先に待つもの

          社畜化への道は「エンゲージメント」で舗装されている

          初代「信長の野望」の思い出中学生の頃に初めてパソコン(三洋製のMSX)に触れ、BASIC言語を学んだのだが、それ以上にゲームもやった。ボコスカウォーズ、ハイドライド、ドラゴンスレイヤーなどと共に最も熱心にやったのが「信長の野望」(初代)である。 今となっては説明書をちゃんと読んでなかっだけだと思うが、この「信長の野望」は途中経過をセーブすることができなかった。クリアまで長時間を要するため、遊ぶのはいつも日曜日。早朝からゲーム開始して、夕方までやり続けた。 それでも普通にプ

          社畜化への道は「エンゲージメント」で舗装されている

          昭和31年、「ある種の恐ろしかった時代」

          遅ればせながら「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」をみてきた。なかなか評判が良いらしいとの事前情報はあったが、この時期になってもネタバレに全く触れずに視聴できたのは幸運だったと思う。 作品内容は他所の記事に譲るとして、ここでは作品舞台の「昭和31年」について感じたところを述べたい。 Wikipediaの記載によると、作品の舞台を昭和31年としたのは監督の古賀氏だそうで、 とある。しかし、現在のわれわれが過ぎ去った時代の雰囲気や空気をリアルに感じとるのは難しく、監督の古賀氏も昭和31

          昭和31年、「ある種の恐ろしかった時代」

          なぜ「恐怖」による組織マネジメントは継承され続けるのか

          トヨタグループでの相次いだ不正に関して、豊田会長が謝罪会見で語った「上司にものを言えない雰囲気」が興味深い。それは、フォルクスワーゲンが起こした大規模不正(通称:ディーゼルゲート)の原因として語られた内容そっくりそのままだと感じたからである。 恐怖で組織をマネジメントするフォルクスワーゲンが起こした排ガス不正の概要と原因の考察は『恐れのない組織』(エイミー・エドモンドソン、英治出版)の内容が参考になる。同書には心理的安全性の必要性を語る視点から、心理的安全性に欠ける組織で何

          なぜ「恐怖」による組織マネジメントは継承され続けるのか

          アニメ作品にみるイノベーション事例

          経済学者ジョセフ・シュンペーターは「イノベーションの父」として知られている。イノベーションの源泉は新しい知・アイディアにあるが、シュンペーターは「新しい知は常に既存の知と別の既存の知の新しい組み合わせで生まれる」としてこれを「新結合」と呼んだ。 この考え方に基づくと、これまで出あっていなかった要素同士を新結合させてイノベーションを起こすことで、人気を博したアニメ作品がいくつか思い当たる。 新結合の作品例例えば、 「アイドル」×「ゾンビ」=ゾンビランドサガ 「南極観測隊」

          アニメ作品にみるイノベーション事例

          リーダーに必要な唯一無二の資質

          「イノベーションのジレンマ」で有名なクレイトン・クリステンセンが人生経験をもとに記した『イノベーション・オブ・ライフ』を読み直した。子育てをほぼ終えた親としての私自身の経験を踏まえて味わいなおすと「本当によい作品だなぁ」とあらためて感じたので、ここで紹介したい。 家庭内に文化を築く重要性この本は経営学に登場するフレームワークや理論を参照しながら、「より良い人生を歩むにはどのように考えて、どのように行動すればよいか」を様々な視点から論じている。特に著者のクリステンセン自身の経

          リーダーに必要な唯一無二の資質

          陰謀論ではない本物の陰謀

          以前、『ストーリーが世界を滅ぼす』に登場する代表的な陰謀論「地球平面説」を紹介したが、同書には本物の陰謀として、ロシアによるアメリカ世論の分断工作が登場する。 その陰謀はロシアのサンクトペテルブルクに拠点を持つIRA(インターネット・リサーチ・エージェンシー)によるもので、同社が作成したフェイスブックグループが世論工作の手段として利用され、下記の事件が引き起こされたとしている。 同書では、こうしたデモがアメリカでは日常風景だとしながらも、それを操っていたのがIRAという海

          陰謀論ではない本物の陰謀

          まやかしの「データドリブン経営」

          「データドリブン経営」という言葉を初めて聞いたのはいつだったか?思い出せないが、Google Trendsで調べてみると下記のような結果で、少し見づらいが2017年頃から検索回数が上昇しているのがわかる。 データドリブン経営とは何か?については、この言葉に注目を集めたい大勢の人たちがウェブにいろいろな記事を書いているのでそれらを参照してほしいが、このデータドリブンと対になる概念として「データインフォームド」という言葉があることを最近知った。 意思決定におけるデータドリブンと

          まやかしの「データドリブン経営」

          売上を増やしたければ、価格を上げればいいじゃない!

          『エンジニアリング組織論への招待』の中に次の例え話が出てくる。 この例え話は要素還元論的な思考方法の限界を示し、「システム思考」的な発想を促すために用いられている。 これに類する事例は現実の社会でも起きていて、例えば労働契約法の「無期転換ルール」の機能不全が挙げられると思う。 これは、非正規雇用者(≒有限の期間で労働契約を結んでいる労働者)の労働条件を向上させるために、企業との契約が一定期間継続した場合、労働者は無期契約への転換を企業に申し入れることができるという制度だ。

          売上を増やしたければ、価格を上げればいいじゃない!

          続々「グロースマインドセット」に気をつけろ:山中鹿之助編

          一部界隈でもてはやされている「グロースマインドセット」、提唱者キャロル・ドゥエックの原著タイトルは"MINDSET The New Psychology of Success"だが、この方法論で人生での成功(Success)は本当に達成できるのだろうか? 今回も「グロースマインドセット」の持ち主を歴史上の人物から探す「グロースマインドセット」とは何か?は様々な説明ができるが 「失敗を恐れずに挑戦し、仮に失敗してもそれを糧として次にいかし、あきらめずに成功を目指し続ける姿勢」

          続々「グロースマインドセット」に気をつけろ:山中鹿之助編