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エッセイ&コラム(あっさり)

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その日、もしくは前日に感じたことを「あっさり」短めに、 まとめた文章です。 推敲した最終稿をここに載せます。 <これまで【note】に綴った日記をカテゴリー分けしました。 その… もっと読む
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#コラム

狸小路の映画館を探して

狸小路の映画館を探して

週末、富良野塾の後輩たちの芝居を観るため、久しぶりに札幌へ行った。
いつ以来なのか、思い出せない。卒塾した翌年と翌々年に続けて2回訪れたが、もしかするとそれ以来かもしれない。
駅に降り立った瞬間から、進化した札幌は別世界のようで、見知らぬ街に放り込まれたようだった。ほんとうにここは札幌かと、とくに地下通路の発展ぶりには目を瞠るものがあった。歩いて10分ほどかかるホテルの入り口まで続いている。滑って

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富良野みやげ

富良野みやげ

昨日の夕方、東京に帰ってきた。
荷物を解きながら、ついつい買いすぎてしまった土産物たちを並べる。

卒塾以来、何度となく富良野に戻っているけれど、こんなにお土産を買ったのは初めてだ。

今回は新しくできた店や商業施設にも足を運ぶことができたからか、富良野の街自体が昔より随分と「洗練」されたなあと感じた。

△とても素敵な『富良野マルシェ』。

オシャレな店が格段に増え、魅力的な商品がたくさん並んで

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雪に負けたわたし

雪に負けたわたし

春分の日の今日。東京に雪が降った。
3月下旬に降るのは、32年ぶりのことだという。

富良野から帰ったら、コートを脱ぐ陽気だろうと思っていたが、東京のほうが肌寒いくらいだ。
気温は向こうほど低くないのに、寒く感じる。都会の雪は冷たすぎる。じめじめと重い。

そんな雪のせいか身体まで重く、寒気がしたので、今日は予定を変更し、家で大人しく過ごすことに。
本来なら天王洲で応援するはずだったブラインドサッ

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想定外の出会い

想定外の出会い

きのう出掛けた帰り。
新宿の紀伊國屋書店に立ち寄った。

父に頼まれた数冊の歴史書(蘇我氏とか藤原氏とかの本)を買うためだったが、ここへ行くと必ず「想定外」の本を物色したくなる。

基本的に書籍はネットで購入することが多いので、ピンポイントで欲しい本をポチっとすることに慣れてしまった。それはそれでとても便利ではある。けれど本屋に立ち寄る機会がめっきり減ったので、「想定外」の本に出会えない。

ぷら

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5日間の探しもの

5日間の探しもの

2月1日から、新調した財布を使い始めている。

春(「張る」)財布という迷信を信じ、去年のうちに買い揃え、使う日を待っていた「長財布」と「小銭入れ」があった。しかしいざ使おうと思ったら、小銭入れがない。長財布と一緒に買ったので、同じ場所にしまっておいたはずなのに、忽然と消えてどこにも見つからなかった。そこで、仕方なく長財布だけ先に使い始めていた。

探しものは、無理に探さないことにしている。

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一陽来福

一陽来福

節分の今日。例年通り、豆まきをした。
夜、夫婦で玄関のドアを小さく開け、「鬼は外、福は内」と唱えつつ、一握りの豆を撒く。
消え入るような微かな声で。そーっと。

近所迷惑にならないように、と周りを気にするからだが、それ以上に気恥ずかしいせいもある。
子供のいない中年夫婦が、嬉々として豆まきに興じる姿を、誰か(とくに隣の奥さん)に見られるのは、なんだかちょっと恥ずかしい。

それでもわたしたちは、節

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恋しい葱湯

恋しい葱湯

わたしの暮らしは、葱とともにある。

台所に切らしたことはないし、一日の食事で一度は口にする。無くてはならない存在だ。

幼い頃から風邪をひくと、かならず『葱湯』を飲まされた。刻み葱をたっぷり入れた湯呑みに、熱々の白湯を注いで塩を入れる。そんな、ごくごくシンプルな『葱湯』。

湯気から漂う葱の香りを嗅ぐだけで、鼻づまりも喉の痛みも軽くなる気がした。
そういえば冬の寒い時期は、白湯が夕食の鍋の残り汁

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赤い月の焔

赤い月の焔

今夜の皆既月食。
『スーパーブルーブラッドムーン』という、青なんだか赤なんだか、とにかくすごく珍しい月らしい。日本では35年ぶりという数字がネットに出ていたが、その頃少女だったわたしは、この月を観たのだろうか?

夜のニュース(NHKの『ニュース9』)でも、番組開始からお祭り騒ぎ。9時51分に月が太陽の影に隠れると、北海道や六本木ヒルズから中継していた。

「スーパームーン」+「ブルームーン」+「

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♪すきすき!ナットウスキー

♪すきすき!ナットウスキー

夫が今朝、インフルエンザA型と診断された。
日曜日の昨日から絶不調で、我が家で開くはずの『カニ鍋パーティ』を急きょ中止にし、寝込んでいたのだが、やはり発症していたとのこと。

家族は厳重に要注意!とのことで、仕事帰りにお気に入りのスパゲッティの店へ。迷わず「あさり納豆スパ」を注文した。
納豆などの発酵食品がインフル予防には良いと、ネットに載っていたからである(真偽のほどは定かではないです)。

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ハワイ土産といえば

ハワイ土産といえば

コレ!このチョコレート。
ロケ帰りのディレクターから頂き、久しぶりに出会った。

親戚からハワイ土産に頂いて、初めて食べたのは小学生の頃だったと思う。大きな箱にぎっしり入っていて、子供心にわくわくしながら、なんて美味しいんだと感激した。中に入っているマカデミアナッツも当時はまだ日本で珍しく、南の島のアーモンドは白いんだと勘違いしていたほど。

グリコの「セシル」(とくにアーモンドチョコ)が大好きで

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雪あられ

雪あられ

東京で、朝から雪が降り続く今日。
幸いにも外での打ち合わせもなく、急を要する仕事もない。
こんな日は、「ちょっと特別な」家事をしようと思い立つ。洗濯や料理でなく、ふだんは手の届かない家のこと。
初めは食器棚の皿の整理をしようと試みたが、キッチンに立つと底冷えの寒さで、すぐに断念した。しかし何か、ふだんとは違うことをしたい。

そうだ、「あられ」を揚げようと決めた。
10日ほど前に鏡開きをしてカビを

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Hvad koster det ?(いくらですか?)

Hvad koster det ?(いくらですか?)

2018年センター試験の地理Bで、物議を醸している「ムーミン問題」。

そもそもなぜ「東京在住の高校生ヨシエさん」は、「北欧三カ国」にしか行かなかったのか?
デンマークをこよなく愛するわたしは、何よりそこがとても気になった。
北欧は基本的に「四カ国」(フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク)を指す。デンマークだけ外すのは納得がいかない。

設問の冒頭には「コペンハーゲンを経由」して、三

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こだわりと日常と人生と

こだわりと日常と人生と

本屋でじっくり本の中身を比べたいとき(たとえば参考書とか歴史書とか)、わたしは新宿の紀伊國屋書店へ行く。

スパゲッティは、90%の確率で「ボンゴレ」を選ぶ。

食後に頼むのは、ホットコーヒー(たまに紅茶)。

今日はそれらを一通り済ませて、ああどれもわたしの「こだわり」だなと思う。

こうした些細な「こだわり」が日常を形成していくのかもしれない。

「いつもの」日常。
それはとても壊れやすくて、

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くまモンの「いいね!」は最強だ。

くまモンの「いいね!」は最強だ。

いつになく落ち込んだ仕事帰り。
俯き加減に歩いていたら、人にぶつかりそうになった。
「すいません」とよけると、くまモンがいた。
正確にはスーパーの軒下に、セール品として置かれていたトイレットペーパーである。そのお茶目な笑顔がなんとも愛らしく、次の瞬間には手に取り、レジに並んでいた。

そこから始まった、わたしとくまモンの旅。
仕事先近くのスーパーだったから、一緒に電車に乗ることになった。夜8時近く

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