naho
日々のことを記録します。備忘録として、考えの整理として、感情を外へ出して自分を見つめるために。
公務員だからと言って公金を元手に活動していること、自分達の給与が税金から支払われていること、そのことを殊更に強調して言われることについて、彼は違和感を抱いていた…
隣の家との境目の壁に何かが突き破ってくる様子が見えた。棚のようなものがこちらの壁を押している。そして、その棚のようなものがこちらの壁を突き破り、大きな穴が空いて…
男は文章を書き続けることを自らに課しながらも、継続が途切れてしまったことをとても残念に感じていた。そして、その原因を見つけようとしていた。彼は小説家になることを…
男は黙々と掃除をしていた。掃除をしながら掃除は極めて瞑想的な行為だと感じていた。男が払う埃は男がそこに立つより前からその場所にあった。どこから来たのか、あるもの…
彼はコンビニの長い列に辟易していた。そもそもコンビニとはコンビニエンスの略である。コンビニエンスとは便利という意味である。この長い列が便利であるとはおよそ彼には…
男は問いに対する答えを考えていた。そして、その問があまりに現実の彼の業務内容とズレていることに言い知れぬ虚しさを感じていた。彼の好きな数学者の言葉に「良い答えは…
彼は自分の本との関係性について考えていた。彼は本が好きである。彼自身自分が本好きであることを自負していた。一時期彼は自身の収入のほとんどを本に費やしていた。その…
男は人間の知性が下がっていることを憂いていた。本当に人間の知性が下がっているのかどうかはわからない。しかし、最近起こっている様々な事件を見聞するとそう考えざるを…
男は本を読むことが好きだった。時間があればいつでも何時間でも本を読み続けたいと思っていた。しかし、そうすることは出来なかった。男には仕事があったのだ。ひょんなこ…
男は評価ということについて考えていた。そもそもある人の能力というものを一つの物差しで測ることは出来るのか。そう考えて次に言いたいことを考えたけれど、言葉に詰まっ…
雨が降っていた。雨は空から地面めがけて落ちてくる。それは重力に依るのだろう。垂直に落ちてくるのは風が何もない時だ。風がある時は垂直には落ちてこない。横殴りの雨と…
服の端切れを縫い合わせることで形を作る。その時は布の端を折り襞を作るという方法しか思いつかなかった。素材の違う2種類の生地を重ねることによってもまた違った雰囲気…
深呼吸をして。呼吸を止めないで。身体の力を抜いて。ゆっくりと海に潜っていくイメージで。男は澄んだ低声でみなに優しく声をかけていく。その場には約15人ぐらいの人が仰…
男は銭湯の腰掛に置かれた雑誌を見た。表紙は男が以前気にかけていた美術展の作品だった。それは赤い糸が無数に張り巡らされた作品で、男はそれを初めて見た時、人間の血管…
その時男はくたくたに疲れていた。立ち上がる力がなくなるほどだった。腰に弱い痛みを感じていた。それは緊張した状態で立ちっぱなしだったことが原因かもしれない。椅子に…
女は男に尋ねた。なぜあなたは料理をするのかと。女は彼女の友達と話していてその男は、女が料理をし、男が仕事に行く、それが当然だという考え方とは違う家庭で育ったのだ…
2019年12月28日 18:50
公務員だからと言って公金を元手に活動していること、自分達の給与が税金から支払われていること、そのことを殊更に強調して言われることについて、彼は違和感を抱いていた。私企業だって顧客からお金をもらっている。税金が使われていることを意識すべきは、運営においてであり、経営権は、運営幹部たちにあるのだから、そういうことを言うならば運営幹部たちの運営能力こそが問われるべきだ。そして、そのことは殆ど不問に付され
2019年12月27日 21:18
隣の家との境目の壁に何かが突き破ってくる様子が見えた。棚のようなものがこちらの壁を押している。そして、その棚のようなものがこちらの壁を突き破り、大きな穴が空いて、隣の家の様子が見えた。私は開いた襖の外にいてそれを見ていた。壁の向こう側の世界は明るかった。こちらも同じように明るかった。それは昼間だったのだろうか。いずれにせよどちらも明るく、であるからこそ、その向こうの部屋の様子が穴から見えるその一部
2019年12月27日 19:57
男は文章を書き続けることを自らに課しながらも、継続が途切れてしまったことをとても残念に感じていた。そして、その原因を見つけようとしていた。彼は小説家になることを志し、毎日、少しずつでも何がしかのものを書こうと決めていた。しかし、男は根からの三日坊主である。三日坊主というのも、彼はものぐさなのではない。彼は様々なことに関心を抱いており、手を広げすぎなのだ。そのことは彼自身自覚している。そして、そのこ
2019年12月25日 18:11
男は黙々と掃除をしていた。掃除をしながら掃除は極めて瞑想的な行為だと感じていた。男が払う埃は男がそこに立つより前からその場所にあった。どこから来たのか、あるものは壁の一部が剥落したものかもしれない。長い年月をかけて石で形成されたその壁は少しずつ剥がれ落ちていく。その細かな破片が少しずつその床に積もっていく。あるものはその通路を使った人間の靴についていた石片かもしれない。その石片はある人間が別の場所
2019年12月25日 18:10
彼はコンビニの長い列に辟易していた。そもそもコンビニとはコンビニエンスの略である。コンビニエンスとは便利という意味である。この長い列が便利であるとはおよそ彼には思えなかった。長い列が出来ている理由は顧客に対して会計するスタッフが不足しているためだった。そしてそれは会計をするレジスターというシステムに問題があるように感じられた。会計を行うのはスタッフに限られていた。そしてそのスタッフが3名に限られて
男は問いに対する答えを考えていた。そして、その問があまりに現実の彼の業務内容とズレていることに言い知れぬ虚しさを感じていた。彼の好きな数学者の言葉に「良い答えは良い問いが無ければ生まれない。良い問いを発見することこそが数学にとっては重要なのだ」というものがあり、彼はそのことを思い出していた。どう考えても問が悪い。そして、その発問の動機もはっきりとしなかった。彼の上司がその問を考えたのだが、その上司
2019年12月25日 00:18
彼は自分の本との関係性について考えていた。彼は本が好きである。彼自身自分が本好きであることを自負していた。一時期彼は自身の収入のほとんどを本に費やしていた。そのせいで食べるものに事欠くようなことさえあった。そして家には本がどんどんと溜まっていき、彼の部屋の床が抜けるほどだと彼がその時に共同生活をしていた彼の祖母に嫌味を言われたことも一度や二度のことではない。本は溜まる一方だが一向にその本に手をつけ
2019年12月24日 00:29
男は人間の知性が下がっていることを憂いていた。本当に人間の知性が下がっているのかどうかはわからない。しかし、最近起こっている様々な事件を見聞するとそう考えざるを得ないのではないかと感じていた。そして、そのことに暗い気持ちになっていた。そういう事態はきっと今に始まったことではないのだ。しかし、最近は特に酷い。そこには対話がなかった。徹底的に自我というもののぶつかり合いしかなく、どこまで行ってもそこが
2019年12月22日 22:48
男は本を読むことが好きだった。時間があればいつでも何時間でも本を読み続けたいと思っていた。しかし、そうすることは出来なかった。男には仕事があったのだ。ひょんなことから始めた仕事でそんなに長く続けることになるとは思ってもいなかったが、約10年続けていた。その仕事は嫌いではなかった。しかし、自分がその仕事をしている意味があるのか疑問に感じることは数多くあった。そして、その仕事は自分の時間を切り売りする
男は評価ということについて考えていた。そもそもある人の能力というものを一つの物差しで測ることは出来るのか。そう考えて次に言いたいことを考えたけれど、言葉に詰まってしまった。それは言いたいことが何もなかったからではない。問題が多岐にわたっていて、そのそれぞれの問題について十分に説明するにはどれも数多くの言葉を用いて丁寧に説明しなければならないと感じたからである。何かを評価するためには、ある目標を設定
2019年12月22日 22:47
雨が降っていた。雨は空から地面めがけて落ちてくる。それは重力に依るのだろう。垂直に落ちてくるのは風が何もない時だ。風がある時は垂直には落ちてこない。横殴りの雨という表現があるようにあたかも横方向から雨が襲ってくるような時がある。しかし、この時も正確には雨が横から降ってくるのではなく風に運ばれた雨が横からやってくるわけだから横殴りなのは風なのである。横殴りの雨という表現には風の存在を表現する言葉が省
服の端切れを縫い合わせることで形を作る。その時は布の端を折り襞を作るという方法しか思いつかなかった。素材の違う2種類の生地を重ねることによってもまた違った雰囲気を作ることが出来た。メインに使おうと思った生地は濃い茶色のもので、生地自体が縦横に編み込まれていて濃い茶色と黒の格子模様になっていた。素材は毛糸のように少し糸が太めのものでモコモコと温かみを感じさせた。布を切ることは禁じられていた。唯一のル
2019年12月21日 21:51
深呼吸をして。呼吸を止めないで。身体の力を抜いて。ゆっくりと海に潜っていくイメージで。男は澄んだ低声でみなに優しく声をかけていく。その場には約15人ぐらいの人が仰向けで横たわっていた。男は人の筋の間をそおっと通り過ぎながら一人ひとりの身体をすばやくかつ的確に確認していく。まだここに力が入っていますね。と言いながら、手首を持ち上げ、ブラブラと何度も揺さぶる。まだ、まだ、もっと抜ける。もっと、もっと、
男は銭湯の腰掛に置かれた雑誌を見た。表紙は男が以前気にかけていた美術展の作品だった。それは赤い糸が無数に張り巡らされた作品で、男はそれを初めて見た時、人間の血管を思い描いた。その時に印象的だった画面いっぱいの赤が思い出されたのだ。そしてその雑誌を一目見て同じものだと感じるぐらいにその作品の記憶は男の記憶の浅い場所に格納されていたことが確認された。その雑誌を手に取ると銭湯の女主人が声を掛けてきた。「
2019年12月19日 18:15
その時男はくたくたに疲れていた。立ち上がる力がなくなるほどだった。腰に弱い痛みを感じていた。それは緊張した状態で立ちっぱなしだったことが原因かもしれない。椅子に腰を掛けるとそのままもう立ち上がれないんじゃないかと思うほどの徒労を感じた。瞼の辺りも少し重たさを感じる。瞼を閉じるともう一度開けるために、瞼を開けようと意図的に決心しなければ開けられないんじゃないかという錯覚するほどだった。時計の秒針がカ
2019年12月18日 18:44
女は男に尋ねた。なぜあなたは料理をするのかと。女は彼女の友達と話していてその男は、女が料理をし、男が仕事に行く、それが当然だという考え方とは違う家庭で育ったのだろう、だからその男は、男が料理をするということに抵抗がないのだろう。そう話されたと話していた。しかし、女は少し考えて、それは違うだろうと思った。なぜならその男の母は料理をし、その男の父は仕事に行っていたからである。そして、それが当然だとは思