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記事一覧

【詩】日だまりカレンダー

【詩】日だまりカレンダー

3月曇天去って
日当たりの良い別れの午後
抱きついてきた小さな身体と
いつもの笑顔
会えなくなる寂しさ
伝えてくれたつたない言葉

思い出すのは
アパートに送り届けた帰り道
他愛もないお喋りと
手作りカレンダー
疲れて眠る助手席の寝顔は
見過ごしていた小さな幸せ

明日も明後日もずっとずっと
日だまりの中で笑って泣いて
元気でいて
大好きなアンパンマンと一緒にね

【詩】牡丹の沁み 雪景色と年賀はがき

【詩】牡丹の沁み 雪景色と年賀はがき

タツノオトシゴとかまぼこ板が
元旦に遅刻して 旧正月に出す余寒見舞い
小さな郵便局へと歩く道は
この地で初めての雪景色

自販機ミルクティーのぬくもりに甘えて
見上げる星空
誰も待ち望まない
迷惑で常識に欠けた年賀はがきを
何度ポストに食らわせたことだろう

使い道がない花梨を拾った
温泉街の灯を眺めれば
脳裏に浮かぶは
足元にまとわりついた
幼子をなだめる女(ひと)の
着物の袖からのぞく
牡丹

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【詩】ダンクシュート

【詩】ダンクシュート

君が教えてくれる儚さ
15に満たない若木でも
もどかしさが増す枝葉

床に座ったまま狙うダンクシュート
決めポーズの写真
君の精一杯を前に悲劇のヒロインなんか
演じてたらカッコ悪いね

君が笑顔になれそうなことは何?
頭を悩ませる私の幸福を、権力に浮足立つ連中に
どう話して聞かそうかな

突風に晒されても、健気な君の利発さを
大事な人たちと、どう分かち合おうかな

【詩】ピーマン帽子

【詩】ピーマン帽子

助手席乗りたがらない君のツンデレ
ゴミ箱蹴っ飛ばして叱られても
意思の強さで譲らない負けず嫌いは
私そっくり

ミラー越し
グズって泣き出す弱虫の顔
車を降りたら「さっきは、ごめんなさい」
話してくれた本当の理由
大人になった私には難しい素直な態度

お友達とは時々ケンカ
でも帰りの車では
節分の鬼を怖がった
お姉ちゃんに譲る特等席

ピーマン帽子の君は
素直で優しくて
頑張り屋さん

【詩】下戸ガエルの聖夜

【詩】下戸ガエルの聖夜

駄々捏ねる仔猫の咳き(しわぶき) に凍える夜
親指ピアノ持ち、期待に耳をそばだてても
隧道に仲間の歌声はない

淋しさも板につき
自販機の汁粉をぐい呑みし
「なに 孤独でも弾けるさ」と
下戸下戸鳴らすよ カエルの歌

モミの木てっぺんの星
更にその上で輝く星が美しい夜は
君の詩よりも自分の言霊で
心をまともに戻したい

寒空に澄んだ空気を奏で過ぎて
風邪をひくなら
長湯しながら、呑兵衛の君を待つか

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【詩】ささやく未来

【詩】ささやく未来

他人にとやかく言いながら
居留守を使う自分の人生

私が正常か異常かを
君に決める権利はないの
私の冷静や理性を
君にジャッジする資格はないの

私に君が正常か異常かを
決める権利はないけど
君の冷静や理性を
ジャッジする資格はないけど
ないけどね‥

自分の人生の尻拭いを
私たちに押し付けた大人に
私たちがどう生きたらいいか
とやかく言う資格はないの

他人の不幸を止めて
自分の幸せを自分で築か

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【詩】坊主頭にありがとう

【詩】坊主頭にありがとう

君の良さと誠実
どう私の気持ちに応えていいか
分からない時、頭丸めちゃう不器用さ
分からないことは「分からない」と言える素直さ
それが、私が君の中に見つけた宝物

5月の誕生日44歳の別れ道
妊娠期間も計算できないのに
大人の男気取りで
主導権握りたかったの?
交際期間も誤魔化して
安倍ちゃんの良いこと探しも、比喩ばかり
背伸びしても、オナゴに待ち伏せされる
良い男にはほど遠く、見え隠れした君の稚

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【詩】スティグマの嵐

【詩】スティグマの嵐

安全基地の外に出れば
呑み込まれそうな
スティグマの嵐

女なら、仕事失っても
風俗で働けばいい?

研修ついでの
好きな人のライブ
勉強メインでも
「男に会う口実?」

会ったことのない男でも
酔ったあなたに言われる
「ありえる ありえる」

恋愛相談した人の前で
仕事のLINEをチェック
「彼氏からの連絡ですか?」

月経の悩み
したくもない嫉妬
友人に投げつけちゃった私
自由に好きな髪型に

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【詩】月から太陽への手紙

【詩】月から太陽への手紙

大事な言の葉は
メールや手紙や動画配信じゃなくて
会えた時に届けたらよかったな

寂しくて不安でも
連絡の頻度は決めておけば
よかったな

君の仕事に 私の学びに
支障きたさないようにできたら
よかったな

君だけに固執しないで
友達と過ごしたり趣味を楽しめば
よかったな

適度な距離が取れたらよかったな
素直で平坦な心で関われたら
よかったな

君が誰といても
根底では揺るぎなく
「大丈夫」と思

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【詩】昼下がりに米を研ぐ

【詩】昼下がりに米を研ぐ

離れていても心配ない

記憶の中には君がいるから
どうしても会いたくなったら
思い出せばいいだけだ

君の怒った顔を思い出したら
コップの水をかけそうだけど
その前に、深呼吸して
茶柱が立ったお茶とおにぎりと
ぬか漬けを差し出すよ

君に大事に思われている自信がなくて
こんな身体じゃ好かれないと思って
自暴自棄になった自分が恥ずかしいんだ
依存してた自分が恥ずかしいんだ

距離を取れなかった自分が

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【詩】横綱は恋をしない

【詩】横綱は恋をしない

君のバンドメンバーを見ててもね
「服が素敵」と思っただけ

お年寄りは優しいけど、生理的に受け付けない
彼の理想の女性になるのは息苦しいよ

ナンパしない人は誠実だけど、
君に捨てられる不安から逃げた
私の不誠実だった

別に恋がしたかったわけじゃない
恋愛なら誰でもいいんじゃない

お姫様になって
白馬の王子様に出会いたかったんじゃない
王子様に幸せにして欲しかったんじゃない
君に王子様になって

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【詩】いつもの公園 いつもの夜に あなたを想う

【詩】いつもの公園 いつもの夜に あなたを想う

日曜の夜 いつもの公園
普段より多いギター侍
ラブソングを聴きながら
ロマンスに浸る恋人達
仲間と騒ぐ若者たち

一緒に歌うラブソング
沢山の新しい出会いの中で
あなたの影は記憶の彼方へ
遠くなっていくのかな

これからは新しい誰かと
ありきたりな恋愛をするのかな
「それもいいじゃん」て
あなたなら言うのかな

誰かといても頭の片隅に残る
言葉と音楽のキャッチボール
コンディション最低なまま

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【詩】朝焼けの快速

【詩】朝焼けの快速

深夜 誰もいない無人駅のホーム
過去の恐怖と君への依存心
嫉妬 束縛心 心配 執着
それから、見捨てられ不安を
貨物列車に積み込む

「今まで、守ってくれてありがとう」
ゆっくりと走り出す列車を
別れの讃美歌で送り出す

ホームにひとり残された私は
今になって、やっと
君からの思いやりを感じている

君の声を聴きながら
野次馬たちに
背を向けた私は
心の中の親友と手をつないで
次の貨物列車に紛れ

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【詩】私の祈り

【詩】私の祈り

疫病の最中 男社会
世界に愚弄にされながら
蹴散らし蹴散らされ
見失った座標

混乱に振り回されても
振り回しても
エゴや期待を押し付けても
押し付けられても

自然の中で息をして、自由な自分を取り戻したら
失敗だらけで、頑張っても頑張っても
他人と比べて、
自信が持てない自分と仲直りしたら

誰に心配されなくても
君に心配されなくても
君を不安にさせなくても
自分を不安にさせなくても
少しずつ調

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