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また読みたい素敵な記事

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皆さまが大事に書かれた記事、また読みたいです。
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自分が童話になった男 -太宰治の不思議さ【エッセイ#53】

自分が童話になった男 -太宰治の不思議さ【エッセイ#53】

太宰治は、現在、日本の文学史上最も人気のある作家の一人ですが、改めて読むと、意外と複雑というか、捉えどころのない作家だと思っています。

太宰の作品の特徴は、一言で言うと、「どんな題材でも童話になってしまう」ことです。

ここで言う童話とは、子供向けの教訓話という意味ではありません(流石に子供に読ませるのを躊躇う内容でしょう)。リアルからほんのちょっと浮いた、自分を投影できる世界のフォーマット

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「積ん読」を晒そうと数えたら89冊あったので、いったん全て紹介します。

「積ん読」を晒そうと数えたら89冊あったので、いったん全て紹介します。

本を年間130冊ほど読むこと早数年。読むペースよりも面白そうな本が出るペースが早くて、どんどん積ん読が増えている。特に単行本の増え方が異常。

よく読むのは、歴史、社会学、哲学、社会思想あたりの本と、海外文学、ミステリ。あと心理学や認知科学、進化論の話とかもすき。

わたしにとって本とは、小説や文学は非日常を味わせてくれる人生のスパイスだし、学術書や実用書はわたしのちっぽけな脳にはとても詰め込めき

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【企画】芥川龍之介『妙な話』全文にツッコミを入れてみた 一周目【ネタバレあり】

【企画】芥川龍之介『妙な話』全文にツッコミを入れてみた 一周目【ネタバレあり】

この企画および本稿タイトルは、noruniru様のフォーマットを拝借し作文したものです。

※本文は『芥川龍之介著作集 第四巻』(岩波書店)を適宜参照しつつ、一部読みやすいよう手をいれながら、原則青空文庫より引用しています。

※※以下、本作品の重要なネタバレを含みます。その旨ご了解の上、続きをお読ください。



主人公は「私」ということね、しかし旧友なのに「村上」て名字で呼ぶのか、よそよそし

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太宰治『駈込み訴え』全文にツッコミをいれてみた

太宰治『駈込み訴え』全文にツッコミをいれてみた

以下、本文は青空文庫によるものである。

冒頭から恨み強すぎてこわい。何があったの。

「落ちついて申し上げます」なのに、全然落ち着いてる感のない発言。ズタズタに切れはやばい。

師なのに殺してもらおうとするなよ。

これが本当だとしたら相手もなかなかやばかった。ていうかそんなに嫌ならまず距離置こう!

誰かにペコペコ頭を下げないと生きられない社会っていやですよねえ。だる。

「痴」を「こけ」と読

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私にとって読書とは

私にとって読書とは

まずは上の写真を見ていただきたい。
これは本日私が食したパンケーキだ。
私は時間休を取って少し早く退勤し、上野で美術館とカフェを巡るという非常に文化的な華金を送った。

そんなお洒落女子である私は、移動中も本の1冊くらい読んで当然のはずである。
だがしかし、私は昔の言葉で言うと「ツイ廃」だった。
本が鞄にスタンバイしているにもかかわらず、つい開いてしまうSNS……
そこで私は、旧Twitterで巻

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古のオタクが12年ぶりにAKB48のコンサートに行った話 -諸行無常へのアンチテーゼ-

古のオタクが12年ぶりにAKB48のコンサートに行った話 -諸行無常へのアンチテーゼ-

 自分がAKB48にどハマりしていたのは、高校1年生の頃だった。アルバイト禁止の進学校に隠れてこっそりバイトをし、稼いだささやかなお金はほぼ全額握手券と公演に費やした。「神7」と呼ばれた主要メンバーの卒業とともにオタクからフェードアウトしたものの、当時のことは今でも「良い思い出だった」と思っているし、大金(と言っても高校生にとってはというレベルだが)を落としたことも全く後悔していない。ただ、自分の

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暇つぶしで生む恋

暇つぶしで生む恋

彼に、
「何人と付き合ったことがある?」
と聞かれてしまった。

とうとう来たな、この時が。
逆に何人だと思う?と聞き返すと、

「えー、3人?」
無垢な目をして答えられた。

可愛い。
それの○倍だよ、なんて口が裂けても言えない。
そんぐらいだよと濁して話を終えた。



私が付き合った人数は、愛を育んだ数では無い。
実際に、長く続いて且つ好きだった人は2人しかいない。
酷いことを言うようだが

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心が痛くなったなら 手当てをしてあげる

心が痛くなったなら 手当てをしてあげる

クラスの子どもがキレて暴れた。
物を投げ、友だちに掴みかかった。
必死に制止する中で見えた彼は、涙をポロポロと流していて、私まで悲しくなった。
彼のとめどない苦しみが伝わるようで。

彼は、お家の人から暴力を受けて保護されたことがある。
キレ方を見るとその影響を感じた。
本人にはどうしようもない家庭環境という負のスパイラル。
断ち切ってあげたい。
でも、それはできない。
私にできることって何だろう

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私すごい

某月某日

息子と子供番組を見ていて、「ほら、バナナだよ~」と言ったら、「お月様だよ」と訂正される。しっかり見ると、夜空に星と共に浮かび上がるそれは、どう見てもお月様だった。私は息子に言われるまでバナナとヒトデだと思っていた。私は間違える、ということを今日も胸に刻む。

某月某日

猫のエッセイ漫画を読む。癒される。最後のページでその猫がもうこの世にいないことを知る。もう一度最初から読む。同じ内容

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育休中に相方がめちゃくちゃ売れた

みなさんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。

34歳になった記念に撮った写真がよく撮れていたので使っただけで、このポーズに意味はありません。突然ですが、みなさんはぼる塾という女芸人トリオを知っていますか?

「まぁね~」

この言葉をよく使う人がいるグループといえば「あの人たちか!」と頭に浮かぶでしょうか。私はそのぼる塾の四人目のメンバーです。

「トリオなのに四人?」

そう思った方もいると思います

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渋谷で若者500人に声をかけて分かったこと

渋谷で若者500人に声をかけて分かったこと

タイトルを見て僕をナンパ師かなんかだと勘違いしないでほしい。

僕が渋谷で声をかけているのは「ナンパ」のためではなく
「研究」のためである。

僕は社会学部に所属していて、
「都市と若者の社会学」について研究しているのだ。

この研究では、「人が他者に対して〈寛容〉になるときの条件」を解明する。

そしてこの研究の成果は、下記に役立つだろう。

「結局ナンパかい!」と思って記事を閉じないでほしい。

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4.読書垢作って良かった〜!!

4.読書垢作って良かった〜!!

わたくし、かをるは元々の生息地はnoteではなくTwitterです。
どのようなアカウントかというと、【読書垢】です。
現在は【シフォンケーキ】かつ【筋トレ】かつ【高級食パン】垢でもあるのですが、私が読書垢を作ったきっかけから今までの軌跡をお伝えしようと思います。

読書、好きでした

私は子供の頃から読書が大好きで、図書委員をしたりもちろん日々小説を読んでおりました。小学生の頃になると青い鳥文庫

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目がマジな大人と会おう

目がマジな大人と会おう

弟が春から大学生になり、学生時代にやっといた方がいいことは何かと聞かれた。いつもブログでは「好きなことを好きなだけやればいい」と答えている。今も本心はそうだけど、弟の質問なのでもうちょっと具体的に考えてみた。

そして「目がマジな大人に早めに会おう」と伝えた。これは真理だと思う。

私は20歳まで楽しそうな大人に出会ったことがなかった。父親は会社の仕事が心底嫌いで嫌々会社に行ってたし、バイト先の学

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これから大学生になる弟に俺は伝えたいことがある

これから大学生になる弟に俺は伝えたいことがある

おめでとう!!!!!君は4月から大学生だ。苦しい受験勉強に打ち勝った君には、全く新しい刺激に満ち溢れた大学生活が待っている。君が努力して合格した大学は、誰が何と言おうが素晴らしい大学だ。君は机と、そして自分自身と真剣に向き合い、合格を勝ち取った。その結果を誇りに思って欲しい。

でも、そのまま歩いてどこかへ行ってしまう前に、兄として俺から一言言わせて欲しい。説教臭いのは俺だって嫌いだ。でも兄として

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