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冒頭3行選手権参加作品まとめ。

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#冒頭3行選手権 の参加作品をまとめます。「これは……!」と響いた3行はぜひシェアしてください🐐
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押せるうちに推せ 祝TM再始動〜冒頭3行選手権 書き上げ版

押せるうちに推せ 祝TM再始動〜冒頭3行選手権 書き上げ版

きっとご本人は、キレイさっぱり忘れているだろう。
でも、それは、私にとっては墓場まで持っていく覚悟となる出来事だっだ。約束通り、しっかりと秘密にして。

           +
推し。
かなりの確率で皆さんも誰かしら、何かしらあるだろう。

自分の大好きなもの。

私の1番の推しは、トップ画像に見える文字でわかる方いるだろう。

【 TM NETWORK 】

大体の歳がバレるだろうが、これを

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質問の答えは #冒頭3行選手権(最後まで)

質問の答えは #冒頭3行選手権(最後まで)

「抜けるって感覚、わかる?」

「なにそれ、トゲとか歯とか?あっ、わかった、自転車のタイヤだ、プシューって」

どれも期待された答えでないことを察した他の女子たちがドーナツの皿から一斉に顔を上げ、瞳を輝かせた瞬間を私は見た。

「LINEとかゲームとかじゃない?グループから抜ける?いやそれはオチるか」

「うん違う、そういうのじゃなくて、もっと…」

「もっとなあに? あっ、わかった、なんかの底が

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冷凍マネキンその後

冷凍マネキンその後

「北大阪海流と南大阪海流がぶつかる道頓堀は餌のプランクトンも豊富で、昔から豊かな漁場として知られています」

クルーズ船のアナウンスを聞きながら、僕は冷凍したマネキンの捨て場所をぼんやり考えていた。

そもそもマネキンを凍らせるといいと教えてくれたのは叔父だ。

エアコンが苦手な叔父は、夏になると部屋に何体もの凍らせたマネキンを置いていた。

「こいつらのおかげで涼しいんだ。電気代もかからない」

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私は自分の感じたことをそのまま外に出すのがこわい ~冒頭の3行~

私は自分の感じたことをそのまま外に出すのがこわい ~冒頭の3行~

私は、自分の感じたことをそのまま外に出すのがこわい。

人前でうたをうたって、舞台に立つ人が何を…と思うだろう。

これは手放したくても捨てられず、私が後生大事に抱えている一つのトゲなのだ。

*************

大盛況のうちに幕を閉じた野やぎさんの冒頭の3行選手権。
楽しかったですよね~!全部読めてはいないけど次から次へと出てくる冒頭の3行たち…。完成作品を書かれた方も多数いらっしゃる

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彼らの残した「足跡」を探す。

彼らの残した「足跡」を探す。

彼女は「ログインしているかがわかる機能が好き!」と言った。
私は「今かぶってる! やったね!」と言った。
遠く離れた土地にある端末の画面越し、久しぶりの出会いに顔が綻んだ。

突然いなくなった彼女が、戻ってきた。

−−−

ネット上で一言二言交わしただけでも、印象は強く残る。
私が前の職場に着いて少ししてから始めたSNSがあって、そこで知り合った人がいる。私はその人のことを「太陽」と称したことが

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嵐の中で乾杯を #冒頭3行選手権

嵐の中で乾杯を #冒頭3行選手権

ペットボトルのコーラと、プラカップに入ったビールがとん、とわずかな音を立てた。風はぬるく、観客にまんべんなく吹き付ける。空は淀み、もうひと押しで決壊しそうな予感をはらんでいた。

そんな状態の中、不安とわくわくをいったりしながら待機すること小一時間。

周りからの歓声があちらこちらから上がる。ステージに出てきた今日の主役は、あの有名な4人組だった。

ガラス職人の弁明(完全版)

ガラス職人の弁明(完全版)

「あの氷の女王のような図書館が、あたしにそうさせるんでさ」

王様のために数々の、美しい景色を封じ込めたガラス玉を苦もなく作り出した職人は、その技が妖の術だと疑われた時にそう弁明したのでした。

ある王様が、夢うつつに見た「懐かしくて心浮き立つ景色」を家来たちに探してくるように言いつけました。王様はその景色がどんな景色だったかをはっきり覚えていなかったので、家来たちは絵描きや彫刻家、織物師など美し

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『赤くて痛くて重い』#冒頭3行選手権

『赤くて痛くて重い』#冒頭3行選手権

「辛いものは苦手だ」って、どのタイミングだったら言えただろうと記憶を反芻する。
いま私の目の前には、満面の笑みを浮かべた相手、そして毒々しい蒸気を上げる真っ赤な物体がある。
そこには120%の善意と、おそらく私に対する好意も盛られている。

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野やぎさん主催の #冒頭3行選手権 を見て、3行から始まる物語を書いてみたくなりました。

普段なら場違いになりそうな不安が勝って企画への参加

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『新しい日々』#冒頭3行選手権

平穏な生活、ずっと続くと思っていた二人の日常。
2020年4月16日、全国での緊急事態宣言。
彼女は言う「もう元には戻れない。世界も、二人も」

素敵なハッシュタグを見つけたので便乗させてください。
〝冒頭〟というよりむしろ〝あらすじ〟なのはご愛嬌。

続きは絶賛執筆中。
おおよそまとまったら載せ始めます。
(タイトルが変わったらご愛嬌。)

もし気になったら、他のもぜひ見ていってください。
つい

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#冒頭3行選手権 をいったん終わります!

#冒頭3行選手権 をいったん終わります!

アイスランドでは、ごく普通のひとが自伝を書く文化があるらしい。なにそれ。最高じゃん。

極寒の季節、家に籠もることが多い国なので読書人口が多い。そして、読むだけじゃなく書くひと、書きたくなるひとがいるってことだろう。

やっぱり「書く」というのは、ほんの少し、こころにぬくもりが生まれる行為なのだと思う。



この夏を駆け抜けた、冒頭3行選手権!!

たくさん書いて、読んで、あそんでくれてありが

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ロシアワインの夜【#冒頭3行選手権】

ロシアワインの夜【#冒頭3行選手権】

列車は広大な大地を西に向かって、ゆっくりと進む。
西暦2000年。
長い休暇を得た黒木にとって、旅の出発地は北京だった。

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あっという間に、もう8月末。

いろんな3行、そしてその続きに出会えて楽しかった『#冒頭3行選手権』も、そろそろフィナーレといったところでしょうか。

私の選手権最後の作品は、昨年、文章のオンラインサロンの課題でコツコ

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改札口の手前で 冒頭3行のつづき

改札口の手前で 冒頭3行のつづき

初めて彼女ができて、3ヶ月がたったころ。

一緒にご飯を食べ、帰ろうって駅へ歩いていたら「話しておきたいことが」と彼女。

僕が向き直ると、彼女はちょっと困った表情を浮かべながら、こう言った。

「わたしと、結婚してくれませんか」

忘れもしない、JRのあの線のあの駅・・改札口の手前で、それは発せられた。

僕は、前日まで友人と九州の離島へ旅行に行っていた。仕事を終えて、待ち合わせをして、夕食を一

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【小説】『ルビーに萌え立つ』#冒頭3行選手権

【小説】『ルビーに萌え立つ』#冒頭3行選手権

「私、ルビーの花になりたい。刹那の内にパッと咲いて、須臾の間に萎れて沈む、綺麗でしょ?」
 死際の君の言葉は半端な宇宙語のようだった。

後、一本だけ。