三宅香帆
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『虎に翼』が面白い人に見てほしい! 独断で選ぶ歴代傑作朝ドラ4選
今期の朝ドラ、『虎に翼』が傑作ですね……!! https://x.com/m3_myk/status/1776646203209617585?s=46&t=zAM7ACZHsH_qNfTzlQXfUQ しかし、長年朝ドラのファンである私…
三宅香帆(Kaho Miyake)プロフィール/お仕事依頼お待ちしてます
こんにちは、三宅香帆(みやけかほ)です。文芸やエンタメの分野で、評論家をしています。
ProfileTwitter / Instagram で主に日々の発信・仕事の告知をしています。
読んだもの見たものの感想やエッセイを、週2で更新するnoteマガジンを運営。
読んだ本の感想をすべてthreadsで記録したり、
「本がある生活」を発信するyoutubeチャンネルで発信したり、
Podca
自分の理想の批評家像
怒涛の新刊ラッシュが始まってしまった。
4月に『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』、5月に『娘が母を殺すには?』、そしてその後源氏物語に関する本が刊行される予定である(こっちはまだ告知前)。
母と娘の物語に関する批評の本、予約受付中です! ぶっちゃけ『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』ほど初版部数は多くなくて、あなたの最寄りの町の書店さんに並ばない可能性もあるため(重要)、ぜひ気になる
『虎に翼』が面白い人に見てほしい! 独断で選ぶ歴代傑作朝ドラ4選
今期の朝ドラ、『虎に翼』が傑作ですね……!!
https://x.com/m3_myk/status/1776646203209617585?s=46&t=zAM7ACZHsH_qNfTzlQXfUQ
しかし、長年朝ドラのファンである私は思うのです。『虎に翼』ではじめて朝ドラを観た方に観てほしい朝ドラが、たくさん、ある……!!!!
というわけで今回は「トラつばではじめて朝ドラ入門したけど、N
新書の棚に来てほしいー『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』刊行によせて
「新書大賞を獲りたい」と私が言っていると、昔からの知人友人から「かほちゃんの発言で、初めて新書大賞ってものがあることを知ったよ!」とか「新書って、ジャンルなの? 文庫は新書?」とか、しばしば言われるようになった。もしかしたら『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』ではじめて書店の新書の棚に行く人もいるのかもしれない、と最近ちょっと思うようになった。
たしかに私も新書を初めて手に取ったのは、大学に
『成瀬は天下を取りにいく』『成瀬は信じた道をいく』と地元の肯定
本屋大賞!!!!!! おめでとうございます!!!!!!
さて、本屋大賞を受賞した「成瀬」シリーズこと『成瀬は天下をとりにいく』『成瀬は信じた道をいく』の二冊。このシリーズが私は大好きなのだが、祝、本屋大賞! ということで今回は「成瀬」シリーズの魅力を解説したい。
このシリーズの面白さ。それは従来の「青春」物語を解体したところにある、と私は思っている。
『成瀬』シリーズの主人公・成瀬あかりは、
「推し活」と人間関係
とあるお笑い芸人の方のファンのnoteを読んで、一日中なんだかその方のことについてぼんやり考え込んでしまった。今日はその話を書こうと思う。いちおうnoteの概要を書くと、「あるお笑い芸人を好きになった男性が、本人に批判的なDMを送ったり批判的なツイートをしたことを契機に、SNSをブロックされ会場出入りを禁じられそうになるところにまで至った」というエピソードが語られていた。
もっとみる『不適切にもほどがある!』と『東京都同情塔』から見える、現代の「寛容」のむずかしさ
TBSドラマ『不適切にもほどがある!』が完結した。
宮藤官九郎さん脚本が元々好きだったり、世代の感覚の差を描くというテーマに興味があったりして見始めたドラマだった。
が、私がこのドラマについて最終的にもっとも気になった点は、ある種の、歯切れの悪さ、だった。
1.『不適切にもほどがある!』の結論
平成の『海がきこえる』、令和の『スキップとローファー』―倫理と恋愛の狭間で
高校生の時ぶりに『海がきこえる』を観た。いまBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下でスクリーン上映中なのだ。東京に行った時に観て、なんともいえない感動を得てしまった。
4/18(木)までの限定上映とのことなので、東京行けるお暇な方はぜひ……!!!!
で、私が『海がきこえる』を観てしみじみ思ったことは、「とにかく里伽子のようなヒロインは今生まれ得ないのではないだろうか……」ということだった。なん
『東京都同情塔』感想と、読書会を開催してみてよかったこと
先日、はじめて読書会を主催した。
私としても読書会という場はけっこうチャレンジング……というか「どんな感じになるんだろう」とどきどきしていたのだが、結果としてとても楽しかったし主催者としても勉強になることがたくさんあったので、今日はその話を書きたい。
内容は、課題図書を読んでもらってきて、グループ(8人くらい)ごとにその感想を語り合う、というもの。今回の課題図書は、九段理江さんの 『東京都同情
『ダイヤモンドの功罪』と「ギフテッド」の子どもたち
平井大橋 『ダイヤモンドの功罪』が面白い。現在5巻まで出ている野球漫画である。
主人公は、小学生の、綾瀬川次郎(通称ジロー)。彼は小学五年生にして既に166cmという高身長、抜群の運動神経をもって生まれてきた、スポーツの天才だった。
彼の不幸は、「どのスポーツをしても、抜群にできてしまうがために、友達ができない」こと。
そう、どこに行ってもスポーツができすぎて友達ができないのだ。なぜなら友達
「批判」という言葉をめぐる誤解 ―映画『怪物』鼎談記事を読んで思ったこと
映画『怪物』をめぐって、監督である是枝裕和さんと、『怪物』批評を書いた映画文筆家の児玉美月さんとライターの坪井里緒さんによる、三人の鼎談が朝日新聞デジタルで公表されていた。分野は違えど評論業を生業としている身からすると、いろいろと考えることの多い記事で、今日はこの記事について思ったことを書いてみたい。
まずは内容もさることながら、私はまずこのような場が成立したこと自体「すごいな、信じられないな」
すべての肩こりの民に、割れたキーボードをおすすめしたい〈私の執筆環境論〉
割れた、キーボードを、使おう……!!!!
ただそれだけが言いたい記事です。本を読み続けてはや30年目、三宅香帆です。こんにちは。この記事を読んでくれているあなたは、人間が本を読み続けるとどうなるか知っていますか? そう、肩がこるのです。大切なことなのでもう一度言いましょう。肩がこるのです。
小学生の時にはすでに「肩こり」というものを知っていた生涯……恥の多い生涯を送ってきました(小学校高学年の
現代SNSで最も重要なのは、「拡散しない」倫理ではないか? ー『〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす 正義の反対は別の正義か』から考える
最近SNSについて取材を受けていた。『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しか出てこない』(以下『推しやば』)の流れで最近のSNS空間についてどう思うのか、という話だった。たまに、取材を受けているなかで思いもよらない質問をされ「あ、自分はそんなことを考えていたのか」と自分で自分の回答に驚くようなことがあるのだが、今回はまさにそれで、その質問とは「三宅さんが今SNSで発信する上でもっとも気を付
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