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裏千家茶道を志して10年以上。 「茶のあるくらし」をテーマにいろいろ書いています。

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記事一覧

固定された記事

【メディア掲載】茶の湯は世界を救う

こんばんは。 日中は暖かい日が続きますね。 さて、私は「天狼院書店」というちょっと変わった本屋さんが主宰しているライティングのゼミを受講しています。 こちらのウェ…

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志野のお茶碗との再会

先日、三井記念美術館にて開催中の茶の湯の美学ー利休・織部・遠州の茶道具ーを訪問しました。 「茶の湯の美学」といえば「わび・さび」という、頭の中では、秋、さびれた…

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これをミドルエイジ・クライシスというのか

こんばんは。 今日はお稽古場に新しい生徒さんが2人も来るとのことで、私はアシスタントとして参加しました。 おまけに新米のこどもたち2人に加え、自治体の広報担当の方…

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利休百首

この春、少しずつ「利休百首」を読み進めている。 利休百首は、扇子の扇面にびっしり綴られている、あれ。 裏千家十三代家元圓能斎の三男の茶人、井口海仙の解説と英語の…

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2週間前
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テニス競技と茶の湯

こんばんは。 3連休初日は、80年代前半に活躍した伝説のプロテニスプレーヤーという名の悪童(今はおやじ?)、ジョン・マッケンローの記録をたどる映画『完璧さの帝国』を…

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3週間前
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お月謝の値上げ問題

「〇〇さん、ちょっと来て」 先生が少し不在にしている間、社中さんが小声で私を呼ぶ。 「先生からは何も言われてないのだけれど、そろそろお月謝代をあげようって、社中…

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2か月前
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茶の湯と禅

「〇〇先生は名誉師範になるんだって」 まだ全然身についていない四家伝の稽古中、先生は口をへの字にしてつぶやく。 「そんなに名誉が欲しいのかしら」 あぁ、始まった…

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2か月前

そこまでやる必要はないけれど

お茶の先生は、地域のお茶ネットワークでも一目置かれる、強く、気高く、それでいて情け深い昭和の女。 そんな先生も齢80歳に近づいているけれど、相変わらず、強い。 先…

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2か月前
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大炉の季節

早いもので2月も半ばに入ろうとしています。 お稽古場には昨年(だったかな)切られた大炉が姿を表していました。 とてもこの寒い時期に、すぐに暖を取れるよう大きく切…

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3か月前
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五島美術館・茶道具取合せ展

某日、東京・世田谷にある五島美術館の企画展に行ってきました。 取合せ展は過去にも足を運び、同じものを見ているはずですが、今回も素晴らしく勉強になりました。 織田…

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4か月前
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門標

約2ヶ月ぶりの更新。 最近は中学生、そして小学生の社中さんが仲間入りしました。 ちょうどお茶名をいただく話がでたところでやってきた子どもたち。最初の頃は、先生の…

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5か月前
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お茶の道は一生

最近、どういうわけか立て続けに新人が仲間入りしています。 しかも中学生、そして小学生も。 みんな、自分の意志でお茶を習いたいと門を叩いてやってきました。 社中が一…

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7か月前
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サードプレイスで、イライラが止まらない

最後に投稿してからあっという間に3カ月も経ってしまった。 あと2月もしないうちに、炉の季節になる。 何かをしていてもあっという間だし、何もしなくてもあっという間…

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8か月前
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モヤモヤするときは、正座して茶を飲もう

こんばんは。 最近不安なことや懸念事項が多く、自分の体調はそっちのけで過ごしていたところ、風邪をひいてしまったようです。こういうときはネガティブな発想になりやす…

トークイベント「古都鎌倉と茶の湯のこころ」

先週、鎌倉日仏協会主催のトークイベントに参加しに、鶴岡八幡宮に行ってきました。 ゲストは翻訳家でパリ在住歴の長い村上香住子さんと、茶人の木村宗慎先生です。 (鎌…

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菜種梅雨の誓い

ブルッ、ブルッ、ブルッ・・・・・・ 土曜日の午前中、ベッドにもぐりこんでうとうとしていた時に着信が入った。 お稽古の社中さんからだった。 「おはようございます。…

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【メディア掲載】茶の湯は世界を救う

【メディア掲載】茶の湯は世界を救う

こんばんは。
日中は暖かい日が続きますね。

さて、私は「天狼院書店」というちょっと変わった本屋さんが主宰しているライティングのゼミを受講しています。
こちらのウェブマガジン「READING LIFE」に寄稿した茶の湯にまつわる記事が公開されましたので、シェアします。

タイトルがちょっと大袈裟な感じですが、最近はお茶の可能性についていろいろ考えています。

それは変だよ、とか、こう思う、とか、ご

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志野のお茶碗との再会

志野のお茶碗との再会

先日、三井記念美術館にて開催中の茶の湯の美学ー利休・織部・遠州の茶道具ーを訪問しました。

「茶の湯の美学」といえば「わび・さび」という、頭の中では、秋、さびれた家屋に冷たい木枯しが吹くイメージが浮かんでくるのですが、言葉で説明しようとするとなかなか難しいです。

この「わび・さび」というのは、千利休が完成させたものであるのは有名な話かもしれません。しかし今回は独特で、利休七哲のひとりである古田織

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これをミドルエイジ・クライシスというのか

これをミドルエイジ・クライシスというのか

こんばんは。

今日はお稽古場に新しい生徒さんが2人も来るとのことで、私はアシスタントとして参加しました。

おまけに新米のこどもたち2人に加え、自治体の広報担当の方が取材にいらっしゃり、お稽古場はとても賑やかでした。

中学生の女の子は、風炉の季節になったばかりにも関わらず、風炉の点前をしっかり覚えていて、アドバイスいらず。少女がお茶を点てる姿は、カメラの的。チヤホヤされているなぁと思いきや、彼

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利休百首

利休百首

この春、少しずつ「利休百首」を読み進めている。

利休百首は、扇子の扇面にびっしり綴られている、あれ。

裏千家十三代家元圓能斎の三男の茶人、井口海仙の解説と英語の翻訳がまとめられた本が淡交社から発行されていて、1日に1、2歌のペースで少しずつ読んでいる。

茶の湯の作法や心得が575のリズムでまとめられていて、改めてしっかり読み直してみると、なるほどと思える教えが集約されている。

恥ずかしなが

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テニス競技と茶の湯

テニス競技と茶の湯

こんばんは。
3連休初日は、80年代前半に活躍した伝説のプロテニスプレーヤーという名の悪童(今はおやじ?)、ジョン・マッケンローの記録をたどる映画『完璧さの帝国』をみてきました。

映画の後半では、1984年の全仏オープンの映像が繰り広げられます。予想外の長期戦でマッケンローは「完璧」に近づいていくのですが、ここでは単なるマッケンローの好プレー&奇行観戦だけでなく、高い能力をもつ人間の思考と感情の

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お月謝の値上げ問題

お月謝の値上げ問題

「〇〇さん、ちょっと来て」

先生が少し不在にしている間、社中さんが小声で私を呼ぶ。

「先生からは何も言われてないのだけれど、そろそろお月謝代をあげようって、社中のみんなで話しているの。これからは、その料金で統一しよう」

「ええっ、いつからですか」と私。

「えっとね、実はみんなとは今年に入ってからこの話をしていて、みんな一月から自主的に上げているんだ。でも〇〇さんは、今月からでも大丈夫だと思

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茶の湯と禅

茶の湯と禅

「〇〇先生は名誉師範になるんだって」

まだ全然身についていない四家伝の稽古中、先生は口をへの字にしてつぶやく。

「そんなに名誉が欲しいのかしら」

あぁ、始まった。

その場にいる面子のせいなのか、それとも平日の夜という1日の疲れやモヤモヤが溜まる時間帯のせいなのか分からないけれど、平日夜のお稽古はとにかく、世間話が盛り上がる。

お稽古を有意義なものにするために、自分が学ぶことばかりしか考え

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そこまでやる必要はないけれど

そこまでやる必要はないけれど

お茶の先生は、地域のお茶ネットワークでも一目置かれる、強く、気高く、それでいて情け深い昭和の女。

そんな先生も齢80歳に近づいているけれど、相変わらず、強い。
先生のお母様は日本トップクラスの御長寿で、茶の湯の底力を垣間見れる。

さて、そんな先生のお宅で夜咄の儀。
半ば強制的に参加させられた、なんて意識の低い姿勢の私。

社会生活ではもはや使うことのないようなくどい挨拶表現に、自分をころして「

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大炉の季節

大炉の季節

早いもので2月も半ばに入ろうとしています。
お稽古場には昨年(だったかな)切られた大炉が姿を表していました。

とてもこの寒い時期に、すぐに暖を取れるよう大きく切られた炉に、持ち運ぶのも大変な釜をかけて稽古の準備。湯気がわく様子としゅーしゅーという音で、寒い稽古場が暖かくなっていきます。

大炉といえば、逆勝手。
平点前とは多くが左右逆のお点前をします。

「はい、あなた今日はこれをやってみて」

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五島美術館・茶道具取合せ展

五島美術館・茶道具取合せ展

某日、東京・世田谷にある五島美術館の企画展に行ってきました。

取合せ展は過去にも足を運び、同じものを見ているはずですが、今回も素晴らしく勉強になりました。
織田信長や豊臣秀吉、千利休などの直筆を拝見しましたが、このようなものを見ると、誤字が多く日々フリクションが欠かせない私には、1文字たりとも書き間違えることなく長い手紙を書ける彼らはきっと、生き方やその姿勢も私のそれとは全く異なるものなのだろう

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門標

門標

約2ヶ月ぶりの更新。

最近は中学生、そして小学生の社中さんが仲間入りしました。

ちょうどお茶名をいただく話がでたところでやってきた子どもたち。最初の頃は、先生の代わりに彼らに帛紗の捌き方や茶道具の扱い方を教えたりしていましたが、この数ヶ月で2人とも新しいことをどんどん吸収していき、中学生のほうは炉の薄茶点前はもう完璧に習得してしまいました。

そんな子どもたちがいるだけで、教室はぱっと明るくな

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お茶の道は一生

お茶の道は一生

最近、どういうわけか立て続けに新人が仲間入りしています。
しかも中学生、そして小学生も。
みんな、自分の意志でお茶を習いたいと門を叩いてやってきました。
社中が一気に若返りました。

彼らは好奇心が旺盛なうえに学びの吸収がとても早いです。
ひとりは宇宙に行くこと、ひとりは落語家になることが夢だそうで、
将来が楽しみです。

私自身もつい最近、茶名をいただきました。
今度は准教授、教授という肩書があ

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サードプレイスで、イライラが止まらない

サードプレイスで、イライラが止まらない

最後に投稿してからあっという間に3カ月も経ってしまった。
あと2月もしないうちに、炉の季節になる。

何かをしていてもあっという間だし、何もしなくてもあっという間だ。
それなら何かを目いっぱい頑張りたいと強く思うのだけど、私は要領が悪いのでそれは叶わない。ああ。

今日は終業時間直後、仕事を大量に残しつつ即座に退勤し、お茶の稽古場へ。
田舎の夜は本当に真っ暗だった。
雨上がりの空にはうっすらと月が

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モヤモヤするときは、正座して茶を飲もう

モヤモヤするときは、正座して茶を飲もう

こんばんは。

最近不安なことや懸念事項が多く、自分の体調はそっちのけで過ごしていたところ、風邪をひいてしまったようです。こういうときはネガティブな発想になりやすいためか睡眠も浅いようで、この前は金縛りに遭いました。

不調というものは恐ろしいもので、些細な心配事、あらぬ不安もどんどん大きくなっていきます。

そんな状態なのでお稽古はお休みしようと思ったのですが、先生はいつも通り「来なさい」のひと

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トークイベント「古都鎌倉と茶の湯のこころ」

トークイベント「古都鎌倉と茶の湯のこころ」

先週、鎌倉日仏協会主催のトークイベントに参加しに、鶴岡八幡宮に行ってきました。

ゲストは翻訳家でパリ在住歴の長い村上香住子さんと、茶人の木村宗慎先生です。

(鎌倉市民ではありませんが快く参加させてくださり、ありがとうございました)

ジェーン・バーキン親子をはじめ多くの外国人を迎える村上さんの国際色豊かな視点と、
茶道をはじめ、日本の歴史や文化に精通した木村先生のお話はとても面白く、新たな気付

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菜種梅雨の誓い

菜種梅雨の誓い

ブルッ、ブルッ、ブルッ・・・・・・

土曜日の午前中、ベッドにもぐりこんでうとうとしていた時に着信が入った。

お稽古の社中さんからだった。

「おはようございます。もうお稽古が始まっていますよ」

なんだって?!
お稽古は夜からだとすっかり勘違いしていた。
血の気がスーッと引いていったのが、自分でも分かった。

「あぁっ、ええと……今から向かいます!」

「今日はお寝坊ですか~」
電話口の背後か

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