マガジンのカバー画像

ゆっくり読みたい自分用マガジン

90
時間があるときにじっくり読みたい記事を保存しておくための自分用マガジンです。
運営しているクリエイター

記事一覧

【落選供養】1月から高橋源一郎さんの小説指南「小説でもどうぞ」に挑戦し始めました🙌とちょこっとオフ会報告!

【落選供養】1月から高橋源一郎さんの小説指南「小説でもどうぞ」に挑戦し始めました🙌とちょこっとオフ会報告!

落選供養の前にジャジャーン!

うふふ。今notePLACEで落選供養を打っています😊

noeplace前で花丸恵さん・福島太郎さん・豆島 圭さんと待ち合わせをしたのですが。早めに行ったので誰もいないと思い、ダフやんを撮影していたら花さんに声をかけられて💦恥ずかしさのあまり爆笑してしまいました。

それをね、福島さんはずっと遠くで見ていたんです。恥ずかしさ倍増じゃないですか💦

とまあ、今

もっとみる
【連作短編小説】「ジャパニーズ・フィフティ・ピープル」(佐伯 龍太郎)

【連作短編小説】「ジャパニーズ・フィフティ・ピープル」(佐伯 龍太郎)

 まるでブルーハワイのようだ。佐伯龍太郎は自分の人生のことをそのように感じることがあった。
 味や見てくれは悪くないのだが、それが果たして何でどのような味なのか誰も説明できない。実態を伴わない虚構だけの存在。
 ブルーハワイ(昔はハワイアンブルーと呼んでいた気がする)は龍太郎が幼いころに通っていた水泳教室の帰りに、いつも母が買い与えてくれたアイスクリームの味でもあった。
 思えばあの頃が、自分の人

もっとみる
「特許翻訳」について語らせて。

「特許翻訳」について語らせて。

自分の仕事が好きです。

そう思える仕事に出会えたのは、人生の中でラッキーなことの1つ。

「特許翻訳」の仕事に就き、20年になりました。特許事務所で翻訳者の経験を積み、フリーランスになったのが3年前。ありがたいことに仕事の依頼は途切れず、納期に追われる日が続いています。

「特許翻訳」と聞いて「あぁ、あの仕事ね」と、ピンとくる人は少ないと思います。

これまで、なんの仕事をしているの?と聞かれて

もっとみる
【創作】兄妹~前編~

【創作】兄妹~前編~

花吹雪が目の前を覆って僕は思わず歩みを止めて桜を見つめた。

駅から会社までの道のりには桜並木があって、4月も中頃を過ぎると咲いている桜よりも散った花びらの方が目についた。
特に今日はいつにも増してたくさんの花びらが舞っているように思えた。立ち止まって花吹雪を眺めているとふいに過去の記憶が脳裏に浮かんだ。

それは幼い頃、妹と一緒に桜を見ていた記憶だった。
今日と同じようにたくさんの花びらが僕らの

もっとみる
【連作短編小説】「ジャパニーズ・フィフティ・ピープル」(金子 悟)

【連作短編小説】「ジャパニーズ・フィフティ・ピープル」(金子 悟)

 二人の女性から翻弄されることなど、自分の人生には起こりえないと思っていた。
 地元の大学を卒業し、そのまま地元の加賀谷町役場に入庁するまで、女性には無縁の生活を送ってきた。
 それが入庁してようやく一年が経ったには二人の女性が自分の仕事や人生の大部分を占めてしまっている。つくづく不思議なものだと悟は思う。
 ただ問題は、それが決していい意味での翻弄ではないことだった。

「金子さん、三角さんから

もっとみる
買いたい本、本屋さんになかったんだけど、を自宅にいながら解消する方法

買いたい本、本屋さんになかったんだけど、を自宅にいながら解消する方法

Twitter(X)などで時々見かける買いたい本が見つからない。どこにもない。という読者さまの声。あるいは著者本人にその声が届き戸惑う著者の声。

見かけてはやきもきします。

買いたい本がお近くの書店になかったら、そのお近くの書店の書店員さんに在庫を確認して、それでもないようなら注文しましょう。おそらく、もっともスマートな方法がこれです。お客様からの注文は最強のカードなので取次店か出版社に在庫が

もっとみる
鏡職人

鏡職人

 光なく、ただ赤くばかりに見える黄昏になり、黒い影になって北村裕太は、静かな工房の中で小さな鏡を丁寧に取り扱っていた。その鏡は、彼が街の至る所に取り付ける作品の一部であり、彼の生きる喜びと情熱である。彼の手は確かで、鏡の表面を優しく拭き上げる。その際、微かに笑みが彼の唇を掠めた。彼は自分の作品が街の人々に喜びと自己愛をもたらすことを想像しているのかもしれない。点き始めた街灯が窓から差し込み、ようや

もっとみる
夕木春央「有栖川有栖嫌いの謎」――有栖川有栖デビュー35周年記念トリビュート――をお届けします

夕木春央「有栖川有栖嫌いの謎」――有栖川有栖デビュー35周年記念トリビュート――をお届けします

一 東京からは一日がかりだった。朝九時に品川駅で担当編集の水戸部氏と待ち合わせて、新幹線で岡山に向かうと、そこからは在来線とバスを乗り継ぐ。バスの本数が少ないから、停留所で二時間余りの暇つぶしが必要だった。
 夕暮れ前にバスを降りると、川の向こうに宿泊予定の温泉ホテルが見えた。遠目にもコンクリートのひび割れが明らかな、いかにも古い五階建てだった。見渡す限り、他に背の高い建物はない。
「なんだ、これ

もっとみる
白井智之「ブラックミラー」――有栖川有栖デビュー35周年記念トリビュート――をお届けします!

白井智之「ブラックミラー」――有栖川有栖デビュー35周年記念トリビュート――をお届けします!

※『マジックミラー』(有栖川有栖・著)の真相に関わる記述があります。未読の方は必ず先にお読みください。

1 友人からメッセージが届くと気が重くなる。何か迷惑をかけただろうか。気を悪くするようなことを言っただろうか。僕は気を揉みながら十分くらいかけてメッセージを開く。するとたいてい、「最近どう?」とか「元気?」とかスカスカの麩菓子みたいな言葉が並んでいる。僕は胸を撫で下ろすが、返信を練るうち、今度

もっとみる
二塁を廻れ

二塁を廻れ

晩夏の夜の雨。秋雨にはまだ早い時期だが、この間まで街を包んでいた熱気が嘘のように肌寒い。足を運んだチェーン店の居酒屋。平日という事もあり、客は少ない。
席を案内しようとする店員を制して彼を探す。すぐに分かった。

「元気?」
「まあ、そう言われたら、まあな、ぐらいで返すしかないよな」
テーブルを見るとまだお通ししかない。
「何年振りだっけ」
「卒業した後に一度野球部のOB会で集まったから4年振りぐ

もっとみる
童話「砂ノ術師」

童話「砂ノ術師」

   ・゜゜・:.。..。.:・:゜・:.。. .。.:・゜゜・*

さらさら……
さらさらさら……

小さなガラスの中を砂がこぼれ落ちていきます。
さらさらの細かい砂。細かい細かい砂。粉と見まがうほどに。

さらさら……
さらさらさら……

空から降り注ぐ光がガラスと砂に触れて、きらきらとまばゆい粒を散らします。
光の粒となった砂はさらさらこぼれ落ちる間だけ、幻を映し出します。
それはたしかに幻

もっとみる
鳩の図書館(ショートストーリー)

鳩の図書館(ショートストーリー)

昨年の「文学フリマ東京37」にて頒布された『鳩のおとむらい 鳩ほがらかアンソロジー』(発行:鳥の神話) 収録の「鳩の図書館」というショートストーリーを公開いたします。
本の話ということもあり、紙書籍で読んでいる雰囲気を味わっていただきたく、文庫ページメーカーを使用しました。(末尾に通常の横書きも掲載しております)
約2000字の作品ですので、気軽にお楽しみいただければ幸いです🕊

鳩の図書館

もっとみる
【落選供養】坊ちゃん文学賞①

【落選供養】坊ちゃん文学賞①

昨年から公募に積極的にチャレンジしています。

note以前もやってはおりましたが結果につながらないため、モチベーションが続かず、どうせ読んでもらえないと公募を諦めていました。

でも公募って落選の方が多いんです。こんな簡単なことに気づかず諦めていた過去の自分に往復ビンタを送りたい💦

公募に積極的になった今、落選は増えるはずです!そこで、落選した我が作品をnoteで供養したくなりました。供養す

もっとみる
令和五年の短編あとがき・覚え書き集

令和五年の短編あとがき・覚え書き集

 こんにちは。
 初めての方、はじめまして。

 毎年、最初の投稿は、昨年noteに発表した自作短編小説のあとがき、覚え書き、をまとめたものになります。令和五年は新作と改作を併せて、計七本の短編を投稿させて頂きました。

 いわゆる自己満足の企画ですが、私の短編を読んで下さった方、これから読んでみようという粋な方、読んではいないが創作の裏側に興味のある方など、この記事に付き合って下さる親切な方に、

もっとみる