安久都智史/とろ火

その人を“その人”たらしめるドロッとしたものを探る「とろ火」という活動をしています。こ…

安久都智史/とろ火

その人を“その人”たらしめるドロッとしたものを探る「とろ火」という活動をしています。こちらでは断片的なものを。妻とお子がだいすきです

マガジン

記事一覧

小ささの大きさ日誌〜生後5ヶ月目〜

キリの良さというものは、人間が勝手に世界に定規をあてているだけで。なんの意味もない…とは知ってるのだけれど、やっぱりどこかで節目として感じてしまう。 こんなこと…

迷いと熱

いろいろと「やってみる」を重ねている今日このごろ。それ自体は自分でも褒めてあげたいくらいだけれど、中途半端さに嫌気が差すことも多い。足取り軽くやってみることは良…

小ささの大きさ日誌〜生後4ヶ月目〜

お子が生後5ヶ月目に入った。数字が持つイメージだと思うが、4と5のあいだには大きな壁がある気がする。お子を抱っこしていると、「かわいいねぇ、いまどれくらい?」と聞…

小ささの大きさ日誌〜生後3ヶ月目〜

お子が生後4ヶ月を迎えました。ひと月過ぎるたびに、「もう一ヶ月経つんやねぇ」と妻と振り返るのが、恒例の楽しみになっています。あっというまの4ヶ月。忙しない日々な…

小ささの大きさ日誌〜生後2ヶ月目〜

お子が生後3ヶ月を迎えた。先月書いた記録を読み直したり、1ヶ月間に撮りためた写真や動画を見返したりすると、「こんなに変わったのか…」と驚く。それは毎月のことだけれ…

当たり前にケアしたいし、当たり前にケアされたい

子育てを、夫婦ふたりでしている。お子はかわいい。笑顔を見せてくれるたび、妻と黄色い声をあげる。天使だと思う。本当に、生まれてきてくれてありがとう。 そんな感謝が…

連絡の見ない振りをやめてみる(おためし その2)

Slackのメンションが苦手です。あの“スコココンッ”て音が聞こえると、身体がかすかに固まってしまう。 その他のメッセージもそう。通知とにらめっこしながら、「なにか怒…

“試しに”書いてみるエッセイ(おためし その1)

毎日noteをしている友人J…の話を一緒に聞いていた友人Sが「エッセイ書いてみる!」と言っていたのもあり、触発されて筆をとってみます。 というのも、なにかの本でエッセ…

小ささの大きさ日誌〜生後1ヶ月目〜

少し過ぎてしまったけれど、先日お子が生後2ヶ月目に突入した。生まれてから60日。まだ60日しか共に過ごしていないなんて。なんだかずっと前から一緒にいる気がする。 0ヶ…

小ささの大きさ日誌〜生後0ヶ月目〜

小さく大きな存在が、この世界に来てくれてから、はや1ヶ月が経った。いつの間にか、新生児と呼ばれる期間は終了。いまは乳児と呼ばれるらしい。 時間の流れがおかしい。…

あなたの存在は、それだけで愛されるに値するんだよ

この文章を、いつかのあなたは読んでくれるのだろうか。葛藤もすべて書いてあって、複雑な気持ちになるかもしれない。でも、あなたを愛してきたこと、愛していることもたく…

ほとばしらせる

いまだから浮かぶ言葉があるはず、とエディタを開いたものの、言葉はいつだって、逃したら二度と会えないものであって。だったら、僕はいままでどれだけの言葉を蔑ろにして…

宙に浮く言葉

たしか小学六年生のときだったと思う。昼休みと地続きになった総合の時間かなにかで、フルーツバスケットをするため、僕たちは椅子を丸く並べていた。先に並べ終わった僕と…

つらつらと③ 誕生日やら冷静と情熱のあいだやら

早起きして、お気に入りのパン屋へ。前に食べて美味しかったものと、初めてのもの。合わせて5つ。店先のベンチで青空と浅間山を見ながら。優しく心と胃袋をつかんでくるパ…

「とろ火」と名付けた、悩み・考え・本を読み・語り合う、ちょっとした企みについて

突然ですが、企みの名前は「とろ火」です。一緒に悩み、考え、本を読み、語り合いたいと思い、はじめた企み。本を借りられる図書棚を展開したり、つらつら語り合う場所を開…

つらつらと② 農家さんの作業やら、夏の景色やら、五感やら

農家さんの朝は早い。ということは、農家さんのお手伝いをしている僕の朝も早い。最高気温35℃を記録するいま、9時には強い日差しがジリジリと肌を焼く。12時には肌が焦げ…

小ささの大きさ日誌〜生後5ヶ月目〜

小ささの大きさ日誌〜生後5ヶ月目〜

キリの良さというものは、人間が勝手に世界に定規をあてているだけで。なんの意味もない…とは知ってるのだけれど、やっぱりどこかで節目として感じてしまう。

こんなことを書いているのは、先日お子が生後半年を迎えたから。6ヶ月。毎月こうした振り返りを残しているけれど、<6ヶ月=半年>という変換が可能な数字というだけで、急に特別になってくる。でもそれだけじゃなく。宇多田ヒカルさまが「ただの数字が特別になるよ

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迷いと熱

迷いと熱

いろいろと「やってみる」を重ねている今日このごろ。それ自体は自分でも褒めてあげたいくらいだけれど、中途半端さに嫌気が差すことも多い。足取り軽くやってみることは良い。でも、「やってみる」は手段でしかないはずで。じゃあ、その先にある目的を見据えられているのか、というと全くそんなことはなく。

このあいだ、友人に「やってみるって怖い」という話を聞いてもらった。うまく言葉にできなかったのだけれど、もし言い

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小ささの大きさ日誌〜生後4ヶ月目〜

小ささの大きさ日誌〜生後4ヶ月目〜

お子が生後5ヶ月目に入った。数字が持つイメージだと思うが、4と5のあいだには大きな壁がある気がする。お子を抱っこしていると、「かわいいねぇ、いまどれくらい?」と聞かれることが多いけれど、「4ヶ月目です」と「5ヶ月目です」という返答では感覚がだいぶ違う。遠くまできたな…と感じるくらいの月日が流れたのか。既に振り返らないと見えなくなった思い出たちを眺めつつ、これからもお子の“いま”の横に居続けよう。

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小ささの大きさ日誌〜生後3ヶ月目〜

小ささの大きさ日誌〜生後3ヶ月目〜

お子が生後4ヶ月を迎えました。ひと月過ぎるたびに、「もう一ヶ月経つんやねぇ」と妻と振り返るのが、恒例の楽しみになっています。あっというまの4ヶ月。忙しない日々なので、手がかりなしに思い出そうとしても掴みきれないのですが、写真や記録を見返すと、お子のたくさんの成長に気付きます。

けれど、なにかができるようになったという感動は一瞬で、いつのまにか当たり前の日常になってしまう。慣れは怖いものです。抱っ

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小ささの大きさ日誌〜生後2ヶ月目〜

小ささの大きさ日誌〜生後2ヶ月目〜

お子が生後3ヶ月を迎えた。先月書いた記録を読み直したり、1ヶ月間に撮りためた写真や動画を見返したりすると、「こんなに変わったのか…」と驚く。それは毎月のことだけれど。

この子にとっての世界は、とんでもない速度で変化しているんだろう。赤ちゃんには、メンタルリープという、脳が急速に発達する時期が何回もあるらしい。五感の発達や、意識の誕生などなど。僕はもう、「世界に反応しているけど、意識はない状態」な

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当たり前にケアしたいし、当たり前にケアされたい

子育てを、夫婦ふたりでしている。お子はかわいい。笑顔を見せてくれるたび、妻と黄色い声をあげる。天使だと思う。本当に、生まれてきてくれてありがとう。

そんな感謝が真ん中にどっしり構えている前提で、子育ては大変だ。なにが大変なのか、一つひとつを書き連ねると大したことない気がしてしまうけれど、なんだかもう大変だ。

このケアをめぐる疲労。一筋縄ではいかない。

最近強く思うのは、お子をケアしている親は

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連絡の見ない振りをやめてみる(おためし その2)

Slackのメンションが苦手です。あの“スコココンッ”て音が聞こえると、身体がかすかに固まってしまう。

その他のメッセージもそう。通知とにらめっこしながら、「なにか怒らせることしたかな…」とか「傷つけちゃったかな…」とか、妄想が羽ばたいていく。

そして、伝家の宝刀「見ない振り」。通知はそのままに、メッセージアプリをそっと閉じる日々。たいていは、数時間後に「んーー、えいや!」と開いては、どうでも

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“試しに”書いてみるエッセイ(おためし その1)

毎日noteをしている友人J…の話を一緒に聞いていた友人Sが「エッセイ書いてみる!」と言っていたのもあり、触発されて筆をとってみます。

というのも、なにかの本でエッセイの語源についてを読んで、それいいなぁ…と思っていたから。(なんの本か忘れてしまい、その文には出会い直せない…)

どうやら、エッセイとはフランス語で「試す、試みる」を意味する“essayer”から来ているらしいです。「おためし」が

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小ささの大きさ日誌〜生後1ヶ月目〜

小ささの大きさ日誌〜生後1ヶ月目〜

少し過ぎてしまったけれど、先日お子が生後2ヶ月目に突入した。生まれてから60日。まだ60日しか共に過ごしていないなんて。なんだかずっと前から一緒にいる気がする。

0ヶ月目を終えて、1ヶ月目も終えてしまった。前回の日誌にも書いたけれど、生後1ヶ月のお子にはもう会えない。その事実が寂しいし、その事実が楽しみをもたらしてくれる。

あのときブカブカだった服も、いまやつんつるてん。先月にはできなかった動

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小ささの大きさ日誌〜生後0ヶ月目〜

小ささの大きさ日誌〜生後0ヶ月目〜

小さく大きな存在が、この世界に来てくれてから、はや1ヶ月が経った。いつの間にか、新生児と呼ばれる期間は終了。いまは乳児と呼ばれるらしい。

時間の流れがおかしい。あれ、先週生まれたんじゃなかったっけ?と錯覚するくらい。もう1ヶ月か。子育てを経験した人が、「生まれて数ヶ月は記憶ないかも」と言っているのをよく聞くけれど、こういうことかと思う。ふと気付くと1日が終わっていて、ふむ…と首を傾げていると1週

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あなたの存在は、それだけで愛されるに値するんだよ

あなたの存在は、それだけで愛されるに値するんだよ

この文章を、いつかのあなたは読んでくれるのだろうか。葛藤もすべて書いてあって、複雑な気持ちになるかもしれない。でも、あなたを愛してきたこと、愛していることもたくさん記しているから。生まれる前のあなたを祈る気持ちは、いまのあなたへの想いと同じ。

あなたに宛てた手紙なのか、記録のためなのか、書き連ねるほどにわからなくなってくる。でも、ここにある全ての言葉は、あなたが紡がせてくれたもの。いつかのあなた

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ほとばしらせる

ほとばしらせる

いまだから浮かぶ言葉があるはず、とエディタを開いたものの、言葉はいつだって、逃したら二度と会えないものであって。だったら、僕はいままでどれだけの言葉を蔑ろにしてきたのだろう。

ここでいう言葉とは異なるけれど、5年ほど前から、「思考とことばが生きる意味」を掲げ続けている。スローガンではなく、僕の信念に近い。ことばは、その人が現れる媒介。それは、言葉・絵・作品・料理・写真などなど、さまざまな形で現れ

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宙に浮く言葉

宙に浮く言葉

たしか小学六年生のときだったと思う。昼休みと地続きになった総合の時間かなにかで、フルーツバスケットをするため、僕たちは椅子を丸く並べていた。先に並べ終わった僕と友人は、いつも通り窓際でふざけあっていた。「なんでやねん!うっさいわ、死んどけ!」と強めのツッコミを入れる。友人がウッヒッヒと笑う。何十回も繰り返したやり取り。

ふと「どうしたの?」という声が、僕の横を通り過ぎる。顔を動かすと、同級生の女

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つらつらと③ 誕生日やら冷静と情熱のあいだやら

つらつらと③ 誕生日やら冷静と情熱のあいだやら

早起きして、お気に入りのパン屋へ。前に食べて美味しかったものと、初めてのもの。合わせて5つ。店先のベンチで青空と浅間山を見ながら。優しく心と胃袋をつかんでくるパンたち。思えば、移住前に訪れたこのエリアではじめて食べたのは、ここの豆乳パンだった。

その後、午後の過ごし方を決めるためスタバに行き、チャイティーラテを飲む。エスプレッソショットを追加すると美味しい…と聞いたから試したものの、チャイ感が消

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「とろ火」と名付けた、悩み・考え・本を読み・語り合う、ちょっとした企みについて

「とろ火」と名付けた、悩み・考え・本を読み・語り合う、ちょっとした企みについて

突然ですが、企みの名前は「とろ火」です。一緒に悩み、考え、本を読み、語り合いたいと思い、はじめた企み。本を借りられる図書棚を展開したり、つらつら語り合う場所を開いたりしていきます。

名前については下記の投稿で書いたので、ここでは少し違うことを…

今日読んでいた本に「思考の共犯関係」という言葉がありました。さまざまな抑圧のなかで、“人間”ではなく“人形”になってしまう危険性。そこに対抗するために

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つらつらと② 農家さんの作業やら、夏の景色やら、五感やら

つらつらと② 農家さんの作業やら、夏の景色やら、五感やら

農家さんの朝は早い。ということは、農家さんのお手伝いをしている僕の朝も早い。最高気温35℃を記録するいま、9時には強い日差しがジリジリと肌を焼く。12時には肌が焦げる。本当に。となると、諸々の作業をやるには9時集合では遅すぎる。そんなこんなで、夏の作業は5時半に始まる。僕は週2日ほどの作業でしかないけれど、これを毎日やっている農家さんには尊敬の念しかない。野菜、もっと高値で出回って欲しい。

こな

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