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死にぞこないの趣味の世界

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電子媒体は紙媒体を凌駕するか

電子媒体は紙媒体を凌駕するか

ときどき本が見あたらなくなります。
アレ、どこ、いっちゃったんだろう。
書架を探すときの決め手は、本の形態です。
とりわけ色と大きさ。
タブレットでは不可能なワザですよね。

タブレットで不可能なことは、あんがい多いのです。
例えば押し花を作ることはできません。

でも時流はタブレットなのでしょう。
新聞も漫画も、紙媒体ではなくてタブレットで読むんだとか。
たしかにnoteを、僕は電子媒体で読んで

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みんな元気な自動車のCM

みんな元気な自動車のCM

CMのなかで、自動車はいつも元気と楽観主義の表象みたいです。
「自動車を使って遺体を山中へ」みたいなCMは、ありません。
以下、自動車CMの楽観主義の事例を三つ、ご紹介しましょう。

①例えば、次の環境保護団体の女性。元気です。

②次の方々も、元気です。

③だって自動車に乗れば、若返るんですもの。

ナレーションによれば、
「なにごとも、続くこと以上の価値はありませんから。Fiat500xは1

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次から次へと大冒険のCM

次から次へと大冒険のCM

ゴールデンウィーク、僕はテレビ漬けの毎日です。
映画か海外テレビドラマを、ケーブルテレビかアマゾンプライムで観ています。

ちなみにフランスにもケーブルテレビは在ります。
カナル・プリュスが老舗です。
今回はそんなカナル・プリュスのCMをご紹介したいと思います。

①大冒険最後のシーンのセリフ
若い男「それから配送用のトラックに積まれ、私はここにいるのです。」
スーツ姿の男「信じられない。なあおま

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スマートか、シンプルか -ノルウェーのCM

スマートか、シンプルか -ノルウェーのCM

今回、ご紹介するのはノルウェーのディスカウントショップのCMです。
従って、舞台はノルウェー。
主人公は「意識高い系」の男です。
スマートなマシーンとは英語で話しますが、隣人とはシンプルにノルウェー語で話します。

このCM、日本の中学校1年生の英語の教材として、使えないかなあ。

こどもには分からないCM

こどもには分からないCM

明日は、こどもの日。
でもこどもの日、敬老の日、体育の日、文化の日と、まるでソ連かよと思うのは、僕だけかな。聖徳太子の日とか、戊辰戦争終戦記念日とか作ったら面白いのに。

さて周知のごとく、育児はたいへんです。
楽しいことばかりではありません。
物質的苦労も精神的苦労も、なみのものではありません。
今回は子育てにちなんだCMを二本、ご紹介しましょう。

例えば次のCMでは、なによりもお父さんが頑張

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映画みたいに綺麗なCM

映画みたいに綺麗なCM

今回は「笑い」からは少し離れて、フランスの美しいCMを二本、御紹介しましょう。

結局、美しさには贅沢が不可欠なのでしょうか。
CMのような、経済的効率性が不確かなものに、惜しみなくお金と時間とアイディアを与える、だから美しいものができあがる-。
やっぱり、美と富と知は関係があるのかな。
考えてみれば、文学芸術も教育も、経済効率との因果関係は必ずしも明瞭ではありません。たくさんの労働の結果、たいし

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笑う馬のCM

笑う馬のCM

なぞなぞ。
馬がバカ笑いをしています。
な~ぜだ。

チョコレート菓子は誰のもの?

チョコレート菓子は誰のもの?

日本では、チョコレート菓子は子供の食べ物とされています。
でもヨーロッパでは、性別年齢に関係なく、ちょっとした休憩のために食べるみたいです。

そりゃあ「自分を信じて」とか、説教臭いプレッシャーと一緒にチョコレート菓子を差し出されてもさ、オコチャマはともかく、オッサンには共感できないわなあ。
少子高齢化を乗り切りたければ、子供相手だけじゃあ、まずいんじゃない?

ヨーロッパでのCMです。三編つづけ

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ドイツ的ユーモア

ドイツ的ユーモア

たとえ今日、僕が交通事故で死ぬとしても、このCMだけは誰かに紹介してから死にたい。そう思ってnoteで紹介する次第です。
「西願、好きそう」とつぶやいてもらえれば、それで幸せ。

じゅうぶんに楽しむために知っておくべきことは、次の2点。
①このCMの最後の字幕のセリフは「危険は起きる前に、探知すること」。
②このCMはベンツ社が公認したものでなく、学校(CM制作を勉強する学校)の課題で作られたもの

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コントレックスの、おもしろいCM

コントレックスの、おもしろいCM

1960年代から
フランスのミネラル・ウォーター、コントレックスのCMはすごい。
1960年代から21世紀まで、かわることなく、BGMがフランソワーズ・アルディの「さよならを教えて」なのだ。

おそらく歌詞で、繰り返される「エックス」という音。
それが「コントレックス」と合ったからだろう。

当初はアルディの次のような「語り」が入っていた。
Quand je bois Contrex je me

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セルジュ・ゲンズブールが好き!

セルジュ・ゲンズブールが好き!



セルジュ・ゲンズブール(1928-1991年)が好きなひとは、とりわけ生真面目で頭のかたい〈優等生〉が支配する21世紀の社会においては、貴重だと思う。なぜなら適宜にゆるく、適宜に軽く、清濁あわせ飲んだ、包容力ゆたかな人だろうから。

以下、彼の独白を創作してみた。

コンプレックス俺、ユダヤ系じゃん。
それに、ブサイクだ。それくらい自分でわかる。
子供の頃、絵描きの父に憧れた。
俺も絵を描いた

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映画『落下の解剖学』を観て-必然としての曖昧さと必要としての決断

映画『落下の解剖学』を観て-必然としての曖昧さと必要としての決断

トニ-と映画館でフランス映画『落下の解剖学』を観た。
トニ-はこれまでの人生の悲喜交々をすべて糧として成長した、明るく健康的で包容力のある大人の女性だ。だから僕は彼女のそばにいるとそれだけで楽しい。

ひとつの事件、ひとりの人物の曖昧さ映画『落下の解剖学』のテーマは曖昧な現実だ。

歴史学研究者として僕は、曖昧さは必然でなければならないと信じている。つまりできるかぎり緻密に徹底的に分析して、物事を

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ミシェル・ウエルベック『地図と領土』を読んで

ミシェル・ウエルベック『地図と領土』を読んで


仏文学者ではないから、優れた書評はできない。ただ気になった点をノートしておく。

現代の孤独へのスタンス
おそらくウエルベックの小説『地図と領土』のテーマは、現代人の孤独だ。
誰もが独房にうずくまる、パノプティコンと化した、現代がテーマだ。
フーコーがそれに警鐘を鳴らしてから、既に半世紀が経った。
時代はひさしく寂しい。みんなむなしく孤独だ。

そんな孤独な人々をウエルベックは膨大な情報から浮か

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アニメ『ヴィンランド・サガ』を観て

アニメ『ヴィンランド・サガ』を観て

今週末、土曜日曜で、『ヴィンランド・サガ』シーズン1と2を、アマゾンプライムでイッキ見した。
noteで相互フォローさせて頂いている方のオススメだったので、観てみた。

11世紀初頭のバイキングの話だ。とても面白かった。
テンポがややゆっくりかもしれないが、ハイボールを飲みながら観るにはちょうど良かった。
中世が舞台だが、魔法使いもドラゴンも出てこない。シリアスな大人の話だからだ。

工夫
北欧を

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