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家族

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家族関係についての心理学的な話を書いています。
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偽解決―対処行動が問題を維持させる―

偽解決―対処行動が問題を維持させる―

対処行動が問題を維持させることがありますよ、という話です。


前回の記事では、家族療法におけるシステムの考え方について書きました。
引き続き今回もシステムについてです。

簡単に前回のおさらいです。

家族療法では、家族全体を一つのシステムとして考えます。
家族を単にそれぞれの家族成員の集まりとは捉えません。
相互に作用し合って、数の総和以上の機能を持つと考えるのです。

家族内で問題

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問題をシステムで捉える家族療法の考え方

問題をシステムで捉える家族療法の考え方

今回は家族療法のシステムの考え方について。


私たちは何かの組織などに属していますと、そのシステムの一部になっています。
何か問題が発生している時に個人に矛先を向けるのではなく、システムに問題があるという考え方があります。

家族を対象とした心理療法、家族療法でもそのようにシステムの問題として捉えます。

その家族療法におけるシステムの考え方を紹介します。
所属している組織やチームなどに

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仲良さそうな人を見るだけで自分も優しい気持ちになる

仲良さそうな人を見るだけで自分も優しい気持ちになる

今回は、人に対して優しい気持ちになれる簡単な方法について。


自分の心を優しい状態にして、人に対しても優しくありたいと思います。

でもいつも自分の心に余裕があるわけではないし。
周りの人すべてに対して優しい気持ちを向けられるわけでもないし。

それでもできることなら、優しい気持ちでいたいと思います。

私と同じようにそう思う方へ。
ちょっとした工夫でやさしい気持ちになれる、そんな方法

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依存関係と感情的関与について思ったこと

依存関係と感情的関与について思ったこと

今回は、依存関係について少し思ったことを書きます。


依存関係については、難しいテーマなので、こうだって言いきれないところがあります。
一つヒントになりそうなことが思い浮かんだので、文章を書きながら言語化できるか試してみます。
ですので、ちょっと参考程度にしていただけたらと思います。

前回の記事『自分の感情が動かなければ相手に物を言わない』を読み直していてふと思ったのです。
これ依存につ

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「安心して悩める」ことで自立心は育まれる

「安心して悩める」ことで自立心は育まれる

今回は、「自立」がテーマになります。


私は、本業でひきこもりの相談をしています。
そうしますと、親からの巣立ち、自分の力で生きる、などの「自立」の課題が見えてきます。

私たちは、自分で意思決定をして生きていく力をつけていかなければいけません。

そのような自立する力を育むために「安心して悩める」という経験が必要だと思うのです。
悩みがない状態ではなく、悩みに圧倒される状態でもなく、「

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気持ちを察しすぎると相手は子どもでいようとする

気持ちを察しすぎると相手は子どもでいようとする

今回は、気持ちを察しすぎると気持ちを察してもらう相手は子どもでいようとする、ので注意が必要という話です。


相手の気持ちを察する能力というのは、私たちが社会的に生きていく上でとても優れた力です。
ただし、身近な人の気持ちをいつも察しすぎると、その相手はそれに甘えて子どもの状態でいようとします。

「こんな事まで言わなくてもわかってくれるはずだ」
「自分の気持ちをわかって、やってくれるはずだ」

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完璧じゃなく「ほどよい」存在でいてあげるということ

誰かをサポートする側に立つことはありますよね。
子どもにとっての親、職場の上司など。

完璧でいなければいけない、完璧にいろいろやってあげなければいけない、と思うとうまくいかないものです。

「ほどよい」存在でいてあげるということが、実はサポート相手にとって必要なのです。
多少は出来が良くなくて、多少は失敗をするくらいの存在であるほうが、相手の成長にとっては良いのです。

今回は、「ほどよい

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「専門」で家族の会話量を増やすアイデア

「専門」で家族の会話量を増やすアイデア

今回は、家族のコミュニケーションを増やすアイデアを1つ考えたので紹介します。


家族内が平穏であれば良いのですが、平穏すぎるためか、会話量が少なくなることもあります。
言葉でのコミュニケーションにより、お互いの考えや思いを知り、良好な関係を築くことができます。

家族内の会話量を増やすための秘訣は、それぞれが個として存在する家族成員の一人だと意識することにあると思います。

ちょっと変わっ

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対人関係の傾向は知らず知らずに親をまねている

対人関係の傾向は知らず知らずに親をまねている

今回は『対人関係の傾向は知らず知らずに親をまねている』という話をさせていただきます。

私たちは誰でも自分の対人関係の傾向があります。
生きていくうえで良い方向に作用している傾向もあればそうでないものもあります。

自分では気がついていなくても、自分の親と似たような傾向を持っていることがあります。
無意識や潜在意識というレベルでそれをしているという話です。

自分の傾向は親からきているのかと気がつ

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健康な親子関係は「信用」よりも「信頼」

健康な親子関係は「信用」よりも「信頼」

今回は「健康な親子関係は信用よりも信頼」というテーマでお話しします。

良い親子関係でありたいと誰でも願うのもだと思います。
その場合注意しなければいけないことがあります。

相手に自分の希望を求めすぎるあまりにおちいりやすい親子関係があります。

そのおちいってはいけない親子関係のパターンをお話します。

まず、なぜ親子関係が重要なのかというと、
特に子どもの頃の親子関係というのは、その後の親以

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親子関係のこじれを起こす感じ方の違いに注意

親子関係のこじれを起こす感じ方の違いに注意

前回の記事で記憶というのは不確かで過去の出来事の中で自分にとって意味のある部分が記憶に残りやすいという話をしました。

これをセレクティブメモリ(選択的記憶)と言います。
お互いの記憶にずれがあると、親子関係などの人間関係でこじれが生じやすいという話でした。

セレクティブメモリの他にも人間関係でずれを生じさせる要因があるのでその話をします。

人それぞれ生まれ持った感性があり、同じものを見たり、

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親子関係のこじれを起こす記憶のくいちがいに注意

親子関係のこじれを起こす記憶のくいちがいに注意

人間関係において、お互いの記憶がくいちがっていて、意見が合わないことがありますよね。
それはいったい何なのかという話をします。

記憶というのは、実は不確かなもので、自分にとって意味のあるものが残りやすいのです。

セレクティブメモリと言いますが、選択的記憶と訳されます。

私たちは出来事に対する記憶を取捨選択しています。
すべての記憶を覚えていようとすれば、頭がパンクしますからね。
見たり聞いた

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