毎日更新している1話完結の短編小説、【日刊ボンクラ東京】のまとめマガジンです。
「都会ど真ん中より、少しズレた東京」の町を、いろんな角度でお楽しみください。1話400字程度です。
- 運営しているクリエイター
記事一覧
【400字小説】ずる休みMonday
休む理由なんて、なんでもいいよね。
洗面台で化粧をしているとき、ふと思った。
だから今日はずる休みだ。
そうと決まれば話は早い。
上司にメールをして、髪を結えたら、着替えをして、香水を肌にまとわせる。
そこまではよかった。
まあ、そこからも別に悪くはなかったけど、簡単に言えば、野球ボールがぼくの部屋のガラスを割って中に入ってきた。
「笑える。漫画みたいね」
なんて、独り
【400字小説】酒を交わすと僕らは愛を語る
ひとりでいるときの酒はジントニックと決めている。
冷蔵庫に常備しているジンを注いで、炭酸水を少しだけ入れる。そこに切っておいたライムを絞って、へたれたそいつをコップに沈ませる。
簡単で、美味しい。
でも、ぼくが大好きな酒は、みんなで飲む酒だ。
休日の夜が特にいい。
ぼくは、ぼくが大好きなみんなと、大きな声で笑いながら、喉に流し込むビールが、いちばんおいしい、と思う。
こん
鮭ハラ【日刊ボンクラ東京2号】
「では、マニュアルの30ページを開いてください」
研修担当がそう言ったので、僕らはファイルに綴じられたマニュアルをめくる。
眠い。
僕は目をこすりながら、わざとらしく首を振った。少しでも抵抗している意思を示せば、やる気は伝わるだろうか。
「お昼のあとだから眠いのわかるけど頑張りましょうねー」
頑張れるわけがないだろ、と思う。
マニュアルには「ハラスメント」の文字。
お昼を食べた