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てんとせん

18
1日ずつその日におもいつく文章を書き足していって、一つの話になったら面白いのではないかとおもって試しています。
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記事一覧

てんとせん−18

同じ時刻に見上げる空でようやく呼吸ができる。 毎日の平穏は情動を封じ込めてようやく成立す…

chirico kaworu
8か月前
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てんとせん-17

だいぶんと時間が経ってしまった。 ここに戻ってきたわたしは、わたしであることを忘れてしま…

chirico kaworu
9か月前
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てんとせん-16

眠気と肩こりが痛みになって頭が朦朧としてきた。眠くてしかたがない。血の巡りがどんどん悪く…

てんとせん-15

音韻を無意識に踏んでしまったリスがくるみを転がして逃げていってしまった。わたしはどちらを…

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てんとせん-14

まだ息はできる。 そのまま寝転がって目を閉じた。床がわずかに揺れて振動が伝わってきた。胸…

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てんとせん-13

かちゃりと音がした。細い光線が隙間からゆっくりと顔をだして左足の小指をなぞって照らしだし…

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てんとせん-12

鏡の前にたって自分の顔をみつめてみた。自分を自分の目でみることはどれだけがんばってもかなわないゆめのひとつだ。そうおもうとせめてできる範囲で手のとどくことに向き合ってみようと思えるのがいい。できないことや心の向かないことに目をむけて自分を失ってしまう人とはかかわらなくてもかまわない。かかわらなきゃいけないときには振り回されないように自分をまもらなくてはいけないのだ。その力さえ失われてしまうときもある。 行動してしまうこと、体が動くことが全ての基本だ。 言葉から先に疑問が溢れ

てんとせん-9

とたんに視界が歪んで鏡の中の背景が変わった。いつもの私の部屋だった。きっと夢だったんだろ…

てんとせん-11

ここから先に進むためにはどう軌道を描けばよいのだろう。いくつも線を描こうと手を動かすこと…

てんとせん-10

香りに包まれて1日は始まる。あくびをして飛び出てきた目玉焼きをうけとって、コーヒーと、お…

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てんとせん-8

(とりあえず、近いでしょう。) わたしは彼をこんなに近くでみたことがない。脳内真っ白にな…

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てんとせん-7

目が覚めるとみたことがない天井だった。真っ青なシーツの向こう側にきれいに陳列されたCDラッ…

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てんとせん-6

理由も記憶もないけど、金の鍵が手の中にあるという事実は変わらないのだから目の前にある鍵穴…

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てんとせん-5

目の前にある扉は古びた鈍色をしている。木なのか、鉄なのか、柔らかいのか硬いのかは触ってみないとわからない。鍵穴は目線より少し上にある。背伸びをして穴を覗き込んでみても、霧がかかっているようにモヤモヤとしていて見通しが悪い。いずれにせよこの鍵で開くのだから別に今知る必要はないと思って、金色の鍵を鍵穴に差し込んだ。まわすと引っかかりがなくてグルグル回るので、一度抜いて鍵をまじまじと見つめた。なにかひっかいたような、傷のようなものが断続的に続いている。表面をゴシゴシと擦ってみると、