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理系におすすめ『すべてがFになる』森博嗣(読書感想文)ネタバレ注意

以前から読みたかったミステリ小説『すべてがFになる』を読了したので感想を書く。できるだけネタバレはせずに書くが、もしかしたら入ってしまうかも。


あらすじ

孤島の研究所で少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士。彼女の部屋からウエディングドレスをまとい、四肢を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていた大学助教授の犀川創平と学生の西之園萌絵が密室殺人に挑む。

感想

前から読もうかと悩んでいたが、読んでよかった。買ってからわずか2日で読み終えるほど面白かった。

本作の舞台となる研究所は、窓がひとつもなく、会議室のような大きな部屋もない。すべて個室で、研究者たちはほとんど人に会うこともなく仕事をしている。話すことがあれば、PCのチャットではなし、無駄な会議などは一切ない。おそらく、作者である森博嗣先生の理想的な職場がこんな感じなのだろう。

この作品が他のミステリ小説と違うのは、犯人の被害者に対する憎悪がないことである。コナンや金田一少年の事件簿では犯人の被害者に対する憎しみ、殺人に至るまでの心情など細かく描写されるが、この作品では動機も、犯人の捕まり方も実にあっさりだった。殺人の動機が凡人には理解できなかった。読了後にモヤモヤした感情は残らなかったので、安心して読んで欲しい。

読んでいて、この作品は理系、とくにプログラミングが好きな人におすすめだと思った。トリックもタイトルの意味もコンピューターに関することだったので、PCに詳しい人は読んでいる途中で、密室殺人のトリックを解けるかもしれない。もちろん文系の僕でも楽しめた。


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