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【掌編小説】手首の傷に花丸を
朝、3回目のアラームで目を覚まし、ベッドから身を起こし、思い至った。
今日は特別な日。
私は、起床後にやるべき様々なことをやろうとする。一日の始まり。その中で、ボンヤリと思考する。ああ、私は今日まで生き延びたのか、と。
洗面所で歯を磨きながら、鏡の中の女を眺める。短い黒髪。少年のような顔。
口の中のものを吐き出す。口の中を洗って、呟く。
「頑張って生きてきたな、私」
長袖を
ブルーライト・ゲームキッズ
暗いベッドルームに一人の少年がいた。ゲーミングチェアに座る彼は白いパーカーを着ていて、茶色の髪は中性的な長さにカットされている。目の前にはPCモニターがあり、唯一の明かりとなるブルーライトを放っていた。少年の頭部にはヘッドセットが装着されている。手元にはレバーレスコントローラ―。これは細長い箱の表面に12個のボタンがついた奇妙な代物だ。
モニターの中では対戦が行われている。二人のキャラクター
恋と煙草とアーケード
午後七時。バイトを終え、私はゲームセンターへと入っていく。騒がしい電子音が私を迎える。それと、煙草の匂いも。一か月前は抵抗感のあったそれらも、今では慣れたものだ。私の世界は変わろうとしている。
私は目的地へと足早に歩く。――視線を感じる。それはそうだ。私は目立つ外見をしている。顔が良い十代の女で、セーラー服を着ているから。正直に言うと、気分のいい境遇ではある。あの、彼のことが無かったらの話だ