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至らなさに涙する人は愛おしい。【魔法使いの哲学#6】【最高の自分であれ】

昔出会ったある人が、人間関係の失敗談を話してくれた。ちょっとした気の緩みが引き金となった、ボタンの掛け違いのような話だった。どうして私はあの時そんなことをしてしまったんだろう、どうして当たり前のことに気付くことができなかったんだろう、自分の至らなさが本当に悔しい、私はどうしたらいいんだろうと、その人は目に涙を浮かべながら一生懸命話してくれた。「ああ、愛おしいな」と僕は思った。愚痴ったり相手の誤解を責めたりするのではなく、自分自身の至らなさにちゃんと目を向けていらっしゃるひたむきさが美しい。自分の至らなさに涙する人は愛おしい。涙の裏に「私はもっと良くなりたい」という願いを光の温度のように感じる。

ある時、noteを読んでくださった別の方から「北沢さんの言うように、そのままで、ありのままでいいんだと思います」という言葉を頂いたことがある。ご感想を頂けたのは嬉しいが、正直それを聞いて「ん?」となった。「ありのままでいい」なんて、僕はどこかで言ったり書いたりしたことがあるだろうか。たぶんない。僕が言ったのは「バラバラのまま調和せよ!」だ。「そのままでいい」「ありのままでいい」なんて、僕は一言も言ったことがないと思う。

「ありのままでいい」どころか、「自分が思う最高の自分であれ」と僕は常々思っている。他人から示された「あなたはこうあるべき」の型にはまる必要はまったくないが、「今の私は最高です!」と自分に胸を張って生きる必要はあるのではないだろうか。自分が思う最高の自分であれ。もしもあなたの尊厳を勝手に軽んじてくる輩がいたら、「はぁ~、見る目がないね。私は最高なんだが?」と思っていればよろしい。ありのままでいると脱力していて自然体ではあるが、どことなくくたびれたような気配が漂う。最高の自分であろうとする人は、気高くて美しくて良い匂いがする。世間ではスッピンこそが本当の顔という風潮があるが、逆だ。スッピンではなく、お洒落をした姿こそがその人の本当の姿だ。その人が自分の中でいちばん最高だと思う状態が、その人の本来の姿だと思う。

先日堤防で釣りをしていたら、一人の男性と出会った。釣りをしているとよく様々な人に話しかけられる。大抵は今日は魚が釣れる釣れない程度の会話で終わるのだが、中には顔を見た瞬間に「おっ?」となる人もいて、結構会話が弾んだりもする。僕が家を探して住所不定で旅をした話や見つけた空き家でゲストハウスを作った話などをすると、その男性は「面白い!」と目を輝かせて聞いてくれた。そして「羨ましい」と彼は言った。この歳になるともう変なことはできない、変なことをすると妻や娘たちに怒られると彼は言った。僕は「怒られながらやればいいんですよ」と返した。怒られるからできないのではなく、怒られながらやればいい。むしろ怒られるくらいで済むなら全然良い。怒られようが否定されようが理解を得られなかろうが、あなたがそれを本当に最高だと思うならば、やって間違いということはない。

数年前、鹿児島県のとある知人女性の家に10日間ほど滞在させて頂いたことがある。最初の4日くらいまでは良かったのだが、それ以降はだんだん慣れてきて、他人の家に泊まらせてもらっているという緊張感が消えた。女性の方もそれを感じていたのだろう。礼を言って家を出たあとに、LINEでお叱りの文面を頂いた。あなたはだんだんとその場所にいることへの敬意が欠けて、借りた服を畳んで返したり、借りた布団を畳んだりしなかった。私はそのことが残念でしたと書かれていた。やってしまったという落ち込みやら、言い訳やら相手を責めたくなる気持ちやら、文面を読んだ直後はいろいろな感情が沸き起こった。が、最終的に出した結論は「改めよう」だった。以後、他人の家にお世話になったときには言葉ではなく態度で伝えることを心掛けた。そもそも緊張感がなくなるほど同じところに長く滞在するのは避けるようにした。借りたものはそのままにせず、洗って畳んで綺麗な状態で返すようにした。

失敗経験は、自分がそれをどう受け止めどう行動するかでゴミにもなれば宝物にもなるのだと思う。過去が未来を決めるのではなく、過去の価値を未来が決める。もしもあの時叱られていなかったら。叱られた原因を自分の至らなさに置いていなかったら。僕は絶対に他の場所でやらかしていたはずだ。無意識な不足の積み重ねが、あるはずのご縁をなきものにしてしまっていたかもしれない。そうならなくて本当に良かった。至らなさに涙する人は愛おしい。そういう人には自分の未来を、過去の価値を、変えてしまう力がある。

近日開催予定イベント
10/29㈯ 13:00~15:00
粋に生きてく人のための交流会『粋テク!』
第一回トークテーマ
「人に雇われずに生きる」
場所・日向神話ゲストハウスVIVID
(宮崎県日向市細島200-1)
参加費1000円 定員10名程度

詳しくはこちら

参加希望は ukitazawa@gmail.com か、
LINEもしくはインスタメッセージ

次回、10/22㈯更新。
「あなたは一人だ。誰よりも気高い」。

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内なる声に聴いた「家」を、本当に見つけてしまうまでのお話
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