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打海文三の「我が青春のウルトラマンタロウ」

打海文三の「我が青春のウルトラマンタロウ」

 わたしの敬愛するミステリー作家の打海文三は、1992年に「灰姫 鏡の国のスパイ」で第13回横溝正史ミステリ賞優秀作を受賞して作家デビューした。

 2002年に「ハルビン・カフェ」で第5回大藪春彦賞を受賞。  

 その後、「時には懺悔を」や「裸者と裸者 孤児部隊の永久戦争」(応化クロニクル)「愚者と愚者」「覇者と覇者」などの数々の名作を発表し、2007年に心筋梗塞で亡くなった。

 そんな打海

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花冷えの権現堂桜堤のお花見

花冷えの権現堂桜堤のお花見

花冷えで権現堂桜堤についたころにはお腹がすいていた。
桜堤をあがっていくと人だかりがしている。峠の茶屋があり、醤油のかぐわしい匂いも漂ってくる。
早速、花より団子をきめこんで列にならぶ。三福だんごというらしいが、どれにしようかと散々悩み、くるみ入り味噌だんごにする。
炭火のまわりに串をさして焼いていくのを見ながら、しばらく待ってようやくだんごにありつけた。
食べてみるとうまい!
大振りのだんごのモ

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川上未映子の「黄色い家」、少女たちの黒歴史

川上未映子の「黄色い家」、少女たちの黒歴史

 川上未映子の「黄色い家」を読んでみた。

 ネタバレにならないように感想を述べてみたい。

 主人公のわたしは、15歳のときに知り合った黄美子さんがネット記事で女性を不法に監禁し裁判にかけられていることを知る。
 そしてわたしは黄美子さんが自分たちと過ごした過去のことを話していないか不安になる。そう、彼女はひとに知られたくない過去を持っていたのだ。それは少女たちの黒歴史。

 その黒歴史はわたし

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日台をむすぶ歴史秘話、張良澤先生の証言

日台をむすぶ歴史秘話、張良澤先生の証言

 私の早稲田大学時代の恩師・西川潤先生は、「飢えの構造」などベストセラーの本を出し、近年でも「共生主義宣言」「グローバル化を超えて―脱成長期日本の選択」「新・世界経済入門」など名著を出され、南北問題や格差問題などを手がけ、現代の諸問題に多くの提言をなされた新進気鋭の国際経済学者でした。

 その西川潤先生のお父様の西川満先生は、戦前台湾で文芸誌「文芸台湾」を創刊し、台湾の川端康成といわれる作家・葉

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村上隆の世界:世界は奇怪な「もののけ」に満ちているのか⁉

村上隆の世界:世界は奇怪な「もののけ」に満ちているのか⁉

 京都の京セラ美術館で開催されている「村上隆もののけ京都」展を見てきました。
会場にはいる前に邪鬼を踏みつける巨大な「阿像」と「吽(うん)像」が迎えてくれます。

 最初に展示されているのは岩佐又兵衛の「洛中洛外図屛風」をもとにした「洛中洛外図」でした。この「洛中洛外図」は、右端の大仏殿から左端の二条城にかけて、たなびく金雲のもと貴族や武士、市井の人々までが生き生きと細密に描かれています。

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メッセンジャーアプリ、フォートトーク最高に面白い!

メッセンジャーアプリ、フォートトーク最高に面白い!

天才的科学者・苫米地英人博士が開発した
無料で使えて
無料でダウンロードできる
メッセンジャーアプリ
「フォートトーク」

個人情報漏洩のリスクのない
優れもので、最高😍

新機能のAIを使って
画像を自分のなりたいイメージでアニメ化できる
「アニメイズフュージョン」

めちゃくちゃ、遊び心があって
超面白い🤣

誰でもなりたい自分に変身できるので
人気沸騰中❕

上にあるように
自分の写真

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哀れなるものたち

哀れなるものたち

この映画は冒頭で、ブルーの衣装を着た女性が19世紀末のロンドンのビクトリア・ブリッジから身投げするシーンからはじまる。
そして、その身投げした女性のお腹には胎児がいた。

フランケンシュタインのような顔をした天才的外科医のバクスターは身投げした若い女性の肉体とお腹にいた胎児の脳を用いて、新たな女性ベラを作り出す。
天才的外科医バクスターは、そのベラを手元におき、その成長を観察しようとするが、ベラは

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横山美術館・講演会の超レアDVDプレゼント

横山美術館・講演会の超レアDVDプレゼント

開拓社の新春プレゼント 企画としまして、
横山美術館「錦光山と帯山」展の
関連講演会 『京薩摩と錦光山の魅力をさぐる』(講師錦光山和雄)の
超レアDVD が
・開拓社広報の新春プレゼントの投稿をRT&開拓者広報をフォロー
・抽選で4名様
・2月末まで抽選
でプレゼントされます。

講演内容は、約10分のダイジェスト版と約1時間半のフルバージョン版になっておりまして、京焼の歴史と魅力が存分にお楽

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PERFECT  DAYS

PERFECT DAYS

役所広司の演じるこの映画の主人公は初老の男だ。
彼はスカイツリーの見えるエリアの古びた家に住んでいる。場所は押上らしい。

彼は独身らしく早朝に起きて、フトンを畳み、植物に水をやり、歯を磨き、飯も食わずに、自動販売機で缶コーヒーを買い、それを飲んで掃除道具を満載したバンで時代遅れのカセットで音楽を聴きながら仕事場に向かう。

仕事は先鋭的なデザインのトイレ掃除だ。彼の住む古びた家との対比が鮮烈だ。

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牧野富太郎記念庭園

牧野富太郎記念庭園

 練馬区大泉学園にある「牧野記念庭園」に行ってきました。
 

 まず最初にNHKの朝のテレビ小説「ランマン」で有名になったスエコササ
を見ました。
 

 隣の石碑には
  家守りし妻の恵みや我が学び
  世の中のあらむかぎりやすゑ子笹
 と、
 借金ばかりの生活苦に耐えた壽衛さんにたいする牧野富太郎博士の
感謝の句が刻まれていました。
 さすがに牧野富太郎博士の庭です。いろいろな植物が植えられ

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三代東山展ー宮永家の人々

三代東山展ー宮永家の人々

 もう終わってしまいましたが、「三代東山展ー宮永家の人々ー」展が京都の思文閣で開催されました。

 宮永東山家と錦光山家は深い縁があります。

 三代宮永東山(理吉)さんの長女の宮永愛子さんが、同展のチラシに
「宮永東山窯 輸出陶器で隆盛を極めた錦光山窯から独立し、明治42年(1909)に開窯。 初代(1868ー1941)は、語学が堪能で海外美術の見識が広かったため、東京美術学校で岡倉天心の助手

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新宿ゴールデン街三番街

新宿ゴールデン街三番街

 むかし、新宿ゴールデン街三番街の奥に
わたしの好きなミステリー作家の打海文三の文壇バー
「文文(ぶんぶん)」があったという。
 それで訪れてみた。

だが、もちろん「文文」はもうない。

 そこで、三番街の路地にある狭い急な階段を上って、一軒のバーに入ってみた。

 入口の壁には色とりどりのチラシ広告がところせましと貼られていて、
どこか異世界にまぎれこんだような感じがする。
 ビールをたのんだ

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大洪水よ、我が亡きあとに来たれ!

大洪水よ、我が亡きあとに来たれ!

 あまり聞きなれない言葉「人新世(ひとしんせい)」とは何なのだろうかという好奇心と今頃なぜ「資本論」なのかという興味から、「人新世の『資本論』」を読んでみました。

 読んでみて、こういう考え方もあったのかと驚きました。

 本書によれば、産業革命以降、人間は石炭や石油などの化石燃料を大量に使用し、膨大な二酸化炭素を排出するようになったといいます。
 この結果、大気中の二酸化濃度が上昇、気候変動が

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中国大陸を旅した旅人のすがすがしさ

中国大陸を旅した旅人のすがすがしさ

 第二次世界大戦末期、
内蒙古からチベット、インドと1800キロに及ぶ行程を
ラマ教の巡礼僧に扮して潜入し、
8年にわたって黙々と歩いた「密偵」の苦難に満ちた旅の話で、
今となっては
どうでもいいと言えばどうでもいいような話なのだが、
その旅人の孤高の姿が
すがすがしくて
一陣の風が吹き去ったような
読後感がのこる。

○©錦光山和雄 All Rights Reserved
#沢木耕太郎 #天路

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