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【書評ラジオ】竹村りゑの木曜日のブックマーカー

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北陸放送で毎週木曜日の18:30~18:45に放送している(再放送は毎週日曜日の7:15~7:30)書評ラジオ「木曜日のブックマーカー」。Podcastで全国から無料で聞いて頂け… もっと読む
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最後の挨拶

2022年9月29日(木)の放送をもって、MROラジオ書評番組「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」は最終回を迎えました。

5年間続けてきた、毎週1冊の本を読み、レビューを考え収録するという生活も一段落です。ざっと計算してみれば、紹介してきた本は250冊ほど。小説もビジネス書も、新書も絵本も漫画も、ジャンルを選ぶことなく様々な本に触れ、リスナーの皆さんに紹介させていただきました。
色とりどりの本を

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土井善晴『一汁一菜でよいという提案』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」6月30日放送分)

土井善晴『一汁一菜でよいという提案』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」6月30日放送分)

※スマホの方は、右上のSpotifyのマークをタッチすると最後まで聴くことができます。

<収録を終えて>
大好きな料理研究家、土井善晴さんの著書。
言い回しは温かく、素朴ですらあるのに、そこに品性が漂う稀有な方だなあと思います。
品の良さというのは、相手に誇示するものではなく、相手に譲るときに表れるものだということを体現しているような気がします。

そんな土井さんの一汁一菜の勧めは、単に献立のこ

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佐野洋子『おじさんのかさ』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」6月23日放送分)

佐野洋子『おじさんのかさ』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」6月23日放送分)

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<収録を終えて>
『100万回生きたねこ』など、数々のベストセラー絵本で知られる佐野洋子さん。
今回ご紹介した『おじさんのかさ』も、今から30年前の1992年5月に発刊されたにも関わらず長く愛され、既に55刷の重版がかけられています。

良い絵本は子どもが読んでも大人が読んでも面白いとは良く言うものの、先日絵

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【無料で聞けます】『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬さんインタビュー前編・後編(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」6月2日・9日放送分)

【無料で聞けます】『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬さんインタビュー前編・後編(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」6月2日・9日放送分)

スマホの方は、右上のSpotifyのマークをタッチすると最後まで聴くことができます。

【前編】

【後編】

<収録を終えて>

『同志少女よ、敵を撃て』で、2021年アガサクリスティー賞を受賞してデビューを果たし、その後、第166回直木賞ノミネート、2022年本屋大賞受賞と、快進撃を続ける逢坂冬馬さん。
今、最も注目度が高いと言っても過言ではない作家さんに、インタビューをさせていただく機会に恵

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東畑開人『居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」5月12日放送分)

東畑開人『居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」5月12日放送分)

※スマホの方は、右上のSpotifyのマークをタッチすると最後まで聴くことができます。

<収録を終えて>
ラジオでお話したように、臨床心理士の東畑開人さんが自身の経験をもとに書かれた本です。柔らかでコミカルな語り口の背景には、専門性の高い知識があり、読み手は物語を楽しみながらも臨床心理について学ぶことができる1冊です。作者の東畑さんは、この本を「学術書」よりも優しい「ガクジュツ書」として位置づけ

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こども哲学・おとな哲学 アーダコーダ インタビュー前編・後編(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」4月28日・5月5日放送分)

こども哲学・おとな哲学 アーダコーダ インタビュー前編・後編(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」4月28日・5月5日放送分)

【前編】

【後編】

※スマホの方は、右上のSpotifyのマークをタッチすると最後まで聴くことができます。

<収録を終えて>
最近、哲学に関心を持つようになったので、お話を伺うことができてとても楽しかったです。
時間内に収まらなかったので編集上の処理を何箇所かで行わせて頂いたのですが、その中で泣く泣くカットさせていただいたものの1つに「今の時代だからこそ哲学対話に意味がある」といった内容のお

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『女のいない男たち』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」4月21日放送分)

『女のいない男たち』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」4月21日放送分)

※スマホの方は、右上のSpotifyのマークをタッチすると最後まで聴くことができます。

<収録を終えて>
数々の映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』の原作を含む、6つの短編集です。

ラジオでもお話をしたように、映画では、原作のストーリーにかなりアレンジを加えています。
原作では、主人公家福とドライバーのミサキの会話を中心にストーリーが展開します。2人は互いに自らの喪失を語り合うことで、自分

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『批評の教室 ――チョウのように読み、ハチのように書く』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」4月14日放送分)

『批評の教室 ――チョウのように読み、ハチのように書く』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」4月14日放送分)

※スマホの方は、右上のSpotifyのマークをタッチすると最後まで聴くことができます。

<収録を終えて>
最近、自分のレビューがマンネリ化しているような気がして、どうしたものか……と悩んでいる時に出会った本です。とても良かったです。数えてみると貼った付箋がきっかり50枚でした。学ぶところが多かったです。

「木曜日のブックマーカー」では、SNSの時代の情報発信のあり方について何度か私の考えをお話

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書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」2022年4月のラインナップ

書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」2022年4月のラインナップ

春ですね。
4月も初旬を過ぎ、金沢の桜は満開を迎えています。

お花見など美しさを楽しむイメージが強い桜ですが、実は農業と深い結び付きがあったそうです。
というのも、かつて農村の人々は田の傍らに桜を植えて、種まきの頃に満開となればその年は豊作になるとしていたそうなのですね。

また、桜の語源には諸説あるのですが、その中の1つに、「サ」は稲の神を指し、「クラ」は神の座を表すというものがあります。

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いとうせいこう『小説禁止令に賛同する』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」4月7日放送分)

いとうせいこう『小説禁止令に賛同する』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」4月7日放送分)

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<収録を終えて>
言論統制されている近未来を舞台に、収容され矯正を受ける作家を主人公にした小説というと、桐野夏生さんの『日没』(岩波書店)に近いものを感じます。(ちなみに、『小説禁止令に賛同する』は2018年2月刊行、『日没』は2020年9月刊行、という時系列があります)

どちらの小説も非常に独特かつ大変面

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書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」2022年3月のラインナップ

書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」2022年3月のラインナップ

冬から春になるときが一番、人間も動物なのだなと感じます。

日に日に太陽の光がくっきりとして、地面が温まっていく様子。
草花が芽吹いて緑も増えると外を歩くのが楽しくて、すると鳥の鳴き声や風の香りを感じたりして、五感から自分の身体が目覚めていくような気がします。

世界では夏や秋から新学期が始まる国も多いそうですが、日本の四季を考えると、うきうきと何かを始めたくなるような、バネがぴょんと飛び出るよう

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 ペーター・ヴォールレーベン『樹木たちの知られざる生活』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」3月24日放送分)

ペーター・ヴォールレーベン『樹木たちの知られざる生活』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」3月24日放送分)

※スマホの方は、右上のSpotifyのマークをタッチすると最後まで聴くことができます。

<収録を終えて>
あなたは心配性、あなたはおおらかタイプ。

人によって性格は違うものですが、実は木の一本一本にも、それぞれの個性があるのです!

さらに、性格の違いがあれば、他の人(他の木)との関係の築き方も違ってくるのも人間と同じ。
木の世界にもコミュニケーションのための言葉(香り)があったり、枝の伸ばし

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2021年度の総まとめ!金沢ビーンズ書店員さんと振り返る、今年度のブックマーカー!(『竹村りゑの木曜日のブックマーカー」3月31日放送分)

2021年度の総まとめ!金沢ビーンズ書店員さんと振り返る、今年度のブックマーカー!(『竹村りゑの木曜日のブックマーカー」3月31日放送分)

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<収録を終えて>
『竹村りゑの木曜日のブックマーカー』のスポンサーである明文堂書店で、プランナーを務めてらっしゃる表さん。
番組がまだ『火曜図書館』(放送曜日が火曜日だった時代があるのです)だった頃から、ブレーンとして紹介本のラインナップを一緒に考えてくださっています。
今回は、番組や2021年の出版業界の振

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宇野常寛『遅いインターネット』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」3月17日放送分)

宇野常寛『遅いインターネット』(書評ラジオ「竹村りゑの木曜日のブックマーカー」3月17日放送分)

※スマホの方は、右上のSpotifyのマークをタッチすると最後まで聴くことができます。

<収録を終えて>
 作者である宇野さんの目から見たメディアリテラシーについて語られた本です。インターネットのような「情報技術」が発達したことによって、資本主義はどう変容しどんな断絶を生んだのか? 政治に求められるものはどう変わったのか? 私達の快楽の形も変わったのではないか? など、経済・政治・風俗の3方向か

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