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昨年80歳の峠に辿りつき、今年からは麓までゆっくりと降ってゆくつもりです。今という時を…

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昨年80歳の峠に辿りつき、今年からは麓までゆっくりと降ってゆくつもりです。今という時を感じ、楽しみながら。

記事一覧

      麓がちかくなって

  峠の上からゆっくりと、あたりの風景を観ながら麓まで降りてきて、四年が過ぎ、麓が、見えてきました。上りと違って、喘ぐことなく、あたりをながめられました。それだ…

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1年前
11

    十一月の空

早朝の空は白い雲を漂わせた青磁色のそらで、やがて浅葱色の空へと変わってゆく、 この一月晴天が続き、毎日の空の変化に心躍らされている。   やがて、冷たい風が吹き、…

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1年前
9

84歳になって

大雨続きの後、いきなり猛暑が続き、コロナは爆発的に増え、そのうえ社会において、大事件もあり、全て今までに経験のないことでした。 こんな中で、84歳の誕生日を迎え、…

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1年前
13

      春を待って

 何ヶ月振りかでデパートへ足を運びました。 売り場は春一色でした。 入学式に着る服を選ぶ親娘の姿を見かけ、心が和みます。 書籍売り場をひと回りして、隣のメガネ売り…

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2年前
9

      麓までまで

 麓まで坂を降りるにつれ、ちょっと違った景色がみえました。 この二年大きな岩に道を阻まれ、日本中、世界中が困惑しました。 戸惑いながらもどうにか回り道をして進むこ…

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2年前
18

         抗う

電車のシルバーシートのとなり、年恰好は同年輩かと思われる人は、膝の上のバックに手を置いていた、その手がとても美しく、私の色黒く、しみだらけで、血管の浮き出た手を…

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2年前
16

   二度目のオリンピック

       57年前、下町のアパートの窓から、ブルーインパルスが青い空に描いた五輪マークをはっきり見ることが出来ました。 今回は駅前広場では高いビルの隙間にスモ…

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2年前
9

    転ばぬ先の杖

                                 夫が退職後初めて買ったものは杖であった。二十年も前である。 買って何年も使う事がなかった。と言う…

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3年前
11

       今年のさくら

          おちつかないコロナ禍の三月、さくらが例年より早く咲き出しました。 開花宣言があってから、今年はどこのさくらを見ようか、いつ頃満開かしら あっち…

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3年前
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青天の霹靂

 買い物をしていて、お米を買わなければと売り場へまわると、棚にはいくつもの米袋が並んでいた。ここ何回かは復興の助けになればと福島のお米「月あかり」名前も気に入っ…

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3年前
8

   八十年前の自分に会う  

 古びた茶封筒の中から何枚かの古い写真がこぼれ落ちてきました。 生後4−5ヶ月から3、4歳までの私の写真でした 写真館で撮った何枚かと父が撮った大きさ3×4㎝ほどの写真…

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3年前
12

      歳の瀬

 2020年が思いもかけないコロナ禍の中終わろうとしてます。 年末の掃除に手をつけ始めると、電子レンジが壊れました。 その後10日ほどして洗濯機が動かなくなり、いつも…

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3年前
8

   自粛の Grandma

  自粛(自分から進んで言動を慎むこと)の生活もここ何ヶ月にもなると、精神的に落ち込みます。毎日罹患者が増え、医療機関の逼迫も我が身に降りかかりますからしかたのな…

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3年前
9

    街が変わる

ここ一年ほど坂道での踏ん張りが効かなくなつたり、片方の手に荷物を持つとバランスがとれず歩くことが難しくなった。 整形外科で種々の検査の結果、それほどの病変はなく…

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3年前
13

     人と会う

 家族との食事会の後、雨上がりの行幸通りを東京駅へ向かって歩き出した。まだまだ両側の銀杏は緑が濃く、夏の風情である。 歩きながら夫も私も孫達にすっかり労われるよ…

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3年前
13

    黄昏

 峠のてっぺんから麓までゆっくりと降りてゆく年齢になり、 辺りの景色を眺めながら降り始めて二年、 家族のこと、 自然災害、 思いもかけない世界中の新型コロナウイ…

y.grandma
3年前
9

      麓がちかくなって

  峠の上からゆっくりと、あたりの風景を観ながら麓まで降りてきて、四年が過ぎ、麓が、見えてきました。上りと違って、喘ぐことなく、あたりをながめられました。それだけ年齢がいったのかもしれません。

 孫たちもそれぞれの社会人としての生活も始まり、その一人が昨年結婚しました。夫婦揃っての結婚式への参加は夢のひとつでした。娘は孫のため心を込めて
ブーケをつくり、会場の花に心を配り、幸せの華に纏われました

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    十一月の空

    十一月の空

早朝の空は白い雲を漂わせた青磁色のそらで、やがて浅葱色の空へと変わってゆく、
この一月晴天が続き、毎日の空の変化に心躍らされている。 
 やがて、冷たい風が吹き、色づいた樹々の葉がおち、地面は朽葉色にかわり、秋が
深まっていく。この頃になると何となく人こいしくなる。
特に、この2年ほど友人、知人の訃報を人づ手に聞いたりして、都会って寂しいなと感じることがある。
 明け方の空、真昼の青い空、夕方まだ

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84歳になって

84歳になって

大雨続きの後、いきなり猛暑が続き、コロナは爆発的に増え、そのうえ社会において、大事件もあり、全て今までに経験のないことでした。
こんな中で、84歳の誕生日を迎え、いいんだか、悪いんだか、わからず、孫の用意してくれたケーキのろうそくをけしました。

現在引き算の人生で、過ぎた日のこと、日常のことなど、消えてしまうことがおおいのです。
 筋力もなくなり、歩幅もせまくなり、身体も心もへっていくようです。

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      春を待って

      春を待って

 何ヶ月振りかでデパートへ足を運びました。
売り場は春一色でした。
入学式に着る服を選ぶ親娘の姿を見かけ、心が和みます。
書籍売り場をひと回りして、隣のメガネ売り場によってながめ、いろんな色と形のフレームを手にとり、その中の赤いフレームを合わせてみました。派手かしら? 80すぎたのに…………

 ふと、逝って10年近くなる叔母からの手紙のなかの短歌を思い出しました。
   八十路なれば せめてはな

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      麓までまで

      麓までまで

 麓まで坂を降りるにつれ、ちょっと違った景色がみえました。
この二年大きな岩に道を阻まれ、日本中、世界中が困惑しました。
戸惑いながらもどうにか回り道をして進むことができました。

 孫娘が年あけて、結婚すると満面に笑みを讃え報告にきました。
嬉しい話しが聞かれ、素晴らしい景色に心がなごみました。
薬指のダイヤの指輪が辺りを輝かせているようでした。

 この時期に毎年孫達にアドベントのカレンダーを

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         抗う

         抗う

電車のシルバーシートのとなり、年恰好は同年輩かと思われる人は、膝の上のバックに手を置いていた、その手がとても美しく、私の色黒く、しみだらけで、血管の浮き出た手を思わず引っ込めてしまった。

 私八十になった時この先は歳をとらないと年齢に抗ってきたが、一年、一年音もなくやってくる老化を自然に受け止めなければいけないらしい。

 膝の違和感、脚腰の関節の衰えを自分で感じ、やっぱり年齢には勝てない事を感

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   二度目のオリンピック

   二度目のオリンピック

     

 57年前、下町のアパートの窓から、ブルーインパルスが青い空に描いた五輪マークをはっきり見ることが出来ました。
今回は駅前広場では高いビルの隙間にスモークをたなびかせたジェット機は、あっという間に消えました。

人生で二回の自国でのオリンピックを観る光栄にあずかり、83年
生きていることに感謝です。
 今回は人類史上初めての世界中が新型コロナウイルスの感染の中の開催で、無観客という異

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    転ばぬ先の杖

    転ばぬ先の杖

               
               

 夫が退職後初めて買ったものは杖であった。二十年も前である。
買って何年も使う事がなかった。と言うよりしつようでなかったのである。
やっとこの五、六年前から使うようになり、外出には使っているが、時には寄った店に忘れてくることもある。

娘から「お母さんもそろそろつかたほうがいいよ」私はまだ歩行は普通で、自分としてはまだ、いらないとお

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       今年のさくら

       今年のさくら

        
 おちつかないコロナ禍の三月、さくらが例年より早く咲き出しました。
開花宣言があってから、今年はどこのさくらを見ようか、いつ頃満開かしら
あっち、こっちを下見をしました。なにしろ庭園が閉鎖されて、枝垂れさくらは
見ることができません。業平の「………春のこころはのどけからまし」の心境でした。

上野のさくらは樹下のブルーシートは無く、食べ物のにおいもなく、タンポポが咲き乱れていまし

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                         青天の霹靂

青天の霹靂

 買い物をしていて、お米を買わなければと売り場へまわると、棚にはいくつもの米袋が並んでいた。ここ何回かは復興の助けになればと福島のお米「月あかり」名前も気に入って買っていた。
今回は何にしようかと考えるくらい、棚にはいろんな名前のお米が並んでいる。
コシヒカリ、ひとめぼれ、あきたこまち、ささにしき、どまんなか、ゆめぴりか
きぬひかり………スパーにはこなものかな。
それぞれ生産者が思考をこらし、心を

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   八十年前の自分に会う  

   八十年前の自分に会う  

 古びた茶封筒の中から何枚かの古い写真がこぼれ落ちてきました。
生後4−5ヶ月から3、4歳までの私の写真でした
写真館で撮った何枚かと父が撮った大きさ3×4㎝ほどの写真が20枚ほどでした。
前はアルバムに貼られたものだろうか、剥がした黒い紙が残っていた私一人の写真である。
思いがけなく八十年以上前の自分に出会った。

 おすまし顔の私、踊ってる私、仔犬と私、ブランコの私、あまりにも昔で、あの頃はと

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      歳の瀬

      歳の瀬

 2020年が思いもかけないコロナ禍の中終わろうとしてます。 年末の掃除に手をつけ始めると、電子レンジが壊れました。
その後10日ほどして洗濯機が動かなくなり、いつもの近くの電気屋さんにお願いしました。
気心の知れた店主で、場所の寸法を測りピッタリと、高齢者に使い易い機種が難なくはいりました。電気製品も寿命があり、壊れるらしい。
次は人間が壊れるかも、私も寿命かもね。

 コロナ禍の中で外出もひか

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   自粛の Grandma

   自粛の Grandma

  自粛(自分から進んで言動を慎むこと)の生活もここ何ヶ月にもなると、精神的に落ち込みます。毎日罹患者が増え、医療機関の逼迫も我が身に降りかかりますからしかたのないことです。65歳をとうの昔にすぎた超高齢者となった今考えることも多くなりました

 ある程度身の回りを整理し、会えない人には
手紙を書き、それが一日4通にもなります。
ホームの友人からは返事はありませんが多分元気でいることと思ってます

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    街が変わる

    街が変わる

ここ一年ほど坂道での踏ん張りが効かなくなつたり、片方の手に荷物を持つとバランスがとれず歩くことが難しくなった。 整形外科で種々の検査の結果、それほどの病変はなく年齢的に筋肉が減っているとのこと、とにかく痛くとも毎日歩くこと体操をすること、筋肉は年齢にかかわらず、付いてくるとのこと。

長雨、猛暑が続き、歩くこともままならず、 老人にとって過ごし難い季節であった。
筋肉のつくサプリメントを飲み始め二

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     人と会う

     人と会う

 家族との食事会の後、雨上がりの行幸通りを東京駅へ向かって歩き出した。まだまだ両側の銀杏は緑が濃く、夏の風情である。
歩きながら夫も私も孫達にすっかり労われるようになり、 まだまだと思っていたが自分達の歳を感じさせられた。

 社会人となっている二人と来年仲間入りするもう一人で「今度は温泉ね計画するからね」と
「それまで頑張るね私たち」

 今年はコロナ禍のなかでやっとこの日に集まることが出来た。

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    黄昏

    黄昏

 峠のてっぺんから麓までゆっくりと降りてゆく年齢になり、 辺りの景色を眺めながら降り始めて二年、 家族のこと、 自然災害、 思いもかけない世界中の新型コロナウイルスとの出会い等、 楽な降り坂ではありまでん。

自分自身に目を向けると,体力的に出来ないことが多く、料理中に物を落したり、 ジップロックしてある食品の口が開かず、 プラスチックでパックしてある食品の口が開かず、指先が自由に動かない、 物が

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