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日々の感じたこと、本や映画のレビュー、友達日記などをゆるゆると。
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13年ぶりのひめゆり平和祈念資料館で思うこと-慰霊の日に寄せて-

13年ぶりのひめゆり平和祈念資料館で思うこと-慰霊の日に寄せて-

6月23日、沖縄では役所や学校が休みになる。私の働いている学童もお休みで、今、自宅でラジオを聴きながらこれを書いている。

「慰霊の日」ー沖縄戦で旧日本軍の組織的な戦闘が終わったとされる日。

沖縄では県の記念日に制定されており、戦没者に追悼を捧げ平和を祈る特別な日である。

しかし、私の持っているスケジュール帳の「6月23日」の欄には何も書かれていない。沖縄タイムスの調査では、全国の75.5%が

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ちくちく言葉もふわふわ言葉も、増えて大きくなるんだね

ちくちく言葉もふわふわ言葉も、増えて大きくなるんだね

沖縄県の学童クラブで働いている学童保育士です。 #学童の日常 を、noteとtwitterにて気まぐれに更新中。

最近、学童の子どもたちの間でちくちく言葉が多い。

「だまれ!」「しね!」

クラブ中にこんな言葉が飛び交っていると、子どもたちの顔もだんだんチクチクした表情に。怒りっぽい気持ち、イライラした気持ちが伝染していくような様子がある。

少し前まではこんなに乱暴な言葉は聞かれなかったのに

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星が降る。生きている。

星が降る。生きている。

石垣島の白保海岸で、満天の星空を見た。

この星空が海の上に、球体の天井を覆うように360°広がっていた。ズームレンズの広角側24mmではとても収まりきらない、大パノラマ。

まるで、真っ黒な布にきらきらのラメをサラサラと振ったみたいだ。

30分も眺めていれば、流れ星がひとつふたつ、みっつと流れていく。

今にも星が、ぽとんと落っこちてきそう。
「星が降る」とはよくいったものだ。

サンゴ礁の海

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簡単に伝わらないのは、当たり前

簡単に伝わらないのは、当たり前

沖縄県の学童クラブで働いている学童保育士です。 #学童の日常 を、noteとtwitterにて気まぐれに更新中。

元気いっぱいでユニークな子どもたちと、毎日を過ごしている。一斉休校の影響で1日保育が続いた先月、子どもたちにこんな声かけをしている自分に気づいて、ハッとした。

「話しているとき、しゃべるのはやめて!」
「危ないから、走らないで!」

「〜しないで」は、伝わりにくい私が前職(発達障害

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全力で遊び、全力で怒る小さな人たち

全力で遊び、全力で怒る小さな人たち

沖縄県の学童クラブで働いている学童保育士です。 #学童の日常 を、noteとtwitterにて気まぐれに更新中。

学童ですごしていると、日々何かの事件が起きる。

なぜなら子どもたちは常に全力で、遊ぶのも喧嘩するのも、泣くのも怒るのも、命がけだからだ。

非日常が、日常。これから書くのは、そんな毎日の1コマである。

「ぜったいに、あやまらないからね!!!」隠れんぼ中のAくん、机の下に息をひそめ

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私の会社員生活を支えてくれた、商店街のお寿司やさんの話

私の会社員生活を支えてくれた、商店街のお寿司やさんの話

のれんをくぐると、「らっしゃい!」と威勢の良い声が迎えてくれる。いつも上下に弾みながら寿司を握っている大将は「あっどうも!いつもありがとうございます!」とカウンターの向こうから朗らかに声をかけてくれて、私はいつもどおり「特盛握りセット(1,030円)」を注文する。

お茶を飲みながらしばらく待っていると、つやつやしたお寿司12貫がお味噌汁や茶碗蒸しと一緒にお盆に乗って運ばれてきて、ごくんとつばを飲

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かけがえがなくて、寂しい

かけがえがなくて、寂しい

バタバタと片付けをしている間はよかった。慌ただしすぎて、感傷に浸るひまもなかったから。

家を離れる数時間前にしてようやく大方のダンボール詰めがおわり、風呂場でシャンプーを片付けているとき、急にきた。

女子3人のシェアハウスだから、風呂場には3人ぶんの別々のリンスとシャンプーがずらりと並んでいる。そのなかから自分のシャンプーとリンスをとった瞬間、「私はもうここの住人じゃなくなる」という現実が突き

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【Photo gallery】甲府盆地の春

【Photo gallery】甲府盆地の春

*フォトグラファー・ライターの八ツ本真衣です。不定期で、今まで撮影した写真を組んでアップしています。季節の移ろいを感じる自然の写真や、その人自身の飾らない瞬間が見える写真が好きです。

旅に出ると、日本の国土の6割が山地だということを体感する。

「盆地」はその名のとおり、お盆のようにぐるりと山に囲まれた土地だ。夏は暑くて冬は寒いけれど、どちらを向いても目に入ってくる山々が、季節の移ろいを教えてく

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「学び手は常に正しい」と、常に言っていたい

「学び手は常に正しい」と、常に言っていたい

療育指導員(発達障害のある子を教える先生)の新人時代、先輩の先生からもらった私の授業のフィードバック。捨てられず取ってたのが出てきた。いやー、愛がある。

八ツ本先生の課題は口頭で長々と説明しがちなところで、図や絵を使って視覚的に、口頭ではなるべく端的に伝えるよう、何度もフィードバックをもらったのだった。懐かしい。

人の情報処理の仕方はさまざまで、目で見て理解するのが得意な人、耳で聴いて理解する

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都心の桜が、目にしみる

都心の桜が、目にしみる

取材で渋谷に行ったら、桜が満開だった。カンヒザクラだろうか。

冬のモノクロな街並みに慣れてしまったころ、久しぶりに見る満開の花はあまりにも美しくて、鮮やかな色が目にしみる。自分のなかに彩りをとりいれるかのように、何度もまばたきをした。

桜を見ながら、最近みたこのツイートを思い出していた。

街ゆく人のほとんどはマスクをしてうつむきがちに歩いているけれど、桜は堂々と朗らかに咲いている。そのこ

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沖縄に移住する。流れに身をまかせてみる。

沖縄に移住する。流れに身をまかせてみる。

2020年が明けたときには、その1ヶ月後に自分がこんな選択をしているとは思わなかった。人生何があるかわからない。

5月から沖縄に移住して、学童の先生になります。

なぜ、沖縄なのか新天地は、那覇のお隣の街・浦添。
新規立ち上げの学童保育で、スタッフとして働くことになった。

今年は、子どもと関わる現場に戻ろう

と決めていて、それも、子どもたちと過ごす場で自然発生的に起きることを受け入れる余白の

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自分の人生を、自分の足で歩む勇気をくれる場所 #soar応援

自分の人生を、自分の足で歩む勇気をくれる場所 #soar応援

この記事は、ウェブメディアsoar4周年に寄せたコラムです

「大抵のひとは、一生懸命生きています」

尊敬しているある人が、ぽろっと口にしたことばが心に残っている。

そう、私たちは大抵、一生懸命生きている。

どれだけポジティブで悩みなどなさそうに見えても、たくさんのものを持っているように見えても、何を感じながら生きているのかはその人にしかわからない。

その人が感じていることは、その人だけの

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自分と相手の内側を感じながら「きく」こと。西村佳哲さんのインタビューのワークショップを終えて

自分と相手の内側を感じながら「きく」こと。西村佳哲さんのインタビューのワークショップを終えて

西村佳哲さんの「インタビューのワークショップ」に、5泊6日で参加してきました。

山梨県・清里の山奥で、たっぷりの時間と静けさのなか、「きく」ことを通して相手と自分の内側に潜っていく。あまりにもかけがえのない時間で、思い出すと胸の奥がきゅっとなります。

「きく」ことの根底にあるのは、その人と「かかわる」こと。

相手のことが大切なのに、大切だからこそ、かかわり方を誤って傷つけてしまうことが、たく

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うつ病になった親友と話した、「私とあなたを大切にすること」

うつ病になった親友と話した、「私とあなたを大切にすること」

自分で思っていた以上に、悪い状態だったみたい。

目の前の親友は、ビールをひとくち飲んでからそう話しはじめた。

うつ病で2ヶ月間休職したのち復職、少しずつ勤務時間をのばして今は以前と同じようにフルタイムで働いているという。

私が彼女の異変を初めに感じたのは、今年の6月にもらったLINEから。

なんだかずっと身体がだるくて集中できなくて、夜は眠れない。急に涙が出てくるときもあるんだよね

この

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