世界の終りと平成ノート・ワンダーランド|平成最後の五月雨が降る日、僕らは遺書みたいに濡れて空を見る。これは、僕らが書く交換日記だ。|ツイッターの文章書き達がnoteで描く珠玉のエッセイ集|#交換エッセイ集
野良猫が走っていく足音は 宇宙のメロディとおんなじなんだ 月の匂いに誘われて走ってゆく とぐろをまいた雲がぐるぐる流れて 野良猫は澄んだ目でそれを見上げた 野良猫に…
真夜中、家族が寝静まり返った頃。君と私は、遠くの月を違う場所から眺めていた。私はキッチンの窓から。君は忍び込んだ学校のジャングルジムのてっぺんから、同じ月を見上…
野生のスミレが居眠りしている ハ長調の陽気な曲に包まれて 学校はゴールデンウィークで休みだから 木洩れ日もうんと伸びやかにしている 無数のひかりの泡 キーンと透き通…
駅のホームでぽつん、と花が咲いている 母の姿は、青いアネモネ 澄みきったかなしみが身体中に染み込んでいる 帰郷した日にはいつもあたたかな炊き込みご飯 ずっと変わらな…
水平線をやさしく結って 国境を飛ぶ空色の手紙 みんな水飛沫みたいに 空中で遊んでいる 夕刻の浅い波間で 海を渡ろうやさしい歌で 海底の魚も踊るくらいにさ まあるいびー…
薄べったい風が吹いている汗っかきの五月 ジグザグ運転で転げ落ちた夢見がちな魔法使い アイボリーの雲も色褪せず祈っていた あの木陰のシロツメクサが待ちぼうけしている …
見ず知らずの人に怒り散らすくらいの 傷口が痛みさらす人間のはけ口を 嘲笑する人間の目は虚空で空虚に飛ぶ鳥を 見逃して 鳥の羽ばたきに夢見がちな 少年の硝子玉みたいな…
時も忘れてしまいそうなくらい 長い長い雨が降り注いでいます 一匹のちいさなカエルは 睡蓮の葉っぱを雨傘にして お留守番をしていました 辺りは一面睡蓮の花々が しとや…
静かな糸雨 雨音がとおく優しい真夜中へ ようこそいらっしゃい 頭のなかを冷静にさせてくれる ちいさくてやわな魔力に 思わず目をとじる 洗いざらしの夜の町が鈍く光ってい…
白い墓の傍らでひっそり クオンの実を食べた 互いの心臓を明け渡すように ふたりきり分け合って食べた ヒカリの鳩たちが そぞろに誘われて飛んでやって来たので 星の破片ほ…
過去に書いた自作の詩を朗読しています。 よかったら聞いてください。
自作の詩を朗読しました。 よかったら聞いてください。
孤島に忘れ去られたピアノがある 音色はバラ色で些かやわな棘があった 黒鍵に乗った鴎が一羽 羽のないおはなしをする やっと見つけてくれたから ピアノは嬉しがって鳴いた…
夕暮れ近く 誰もいない遊園地 観覧車とメリーゴーランドだけ 廻っている ここに住もうよって 君は笑っている よろこんでと 手を握る アンティークローズの花束かざして 真…
あの花が燃える頃 賛美歌は森へ帰ったよ あるのはセピア色の乾涸びた木洩れ日だけ 時間も溶けて消えていくのは何故かな ここは湿気った六月も終わりの長閑な町 プールみた…
夜の庭には 青い花が咲いている 凍える声が聞こえたら きっと雨のブルーガーデン 血脈の音が踊る 星屑が降れば青い花達は クジラになる夢を夢見たりするんだ 街灯紳士が紅…
夜明ユリ
2024年5月2日 14:21
野良猫が走っていく足音は宇宙のメロディとおんなじなんだ月の匂いに誘われて走ってゆくとぐろをまいた雲がぐるぐる流れて野良猫は澄んだ目でそれを見上げた野良猫には終わらない野心があって白い牙と果てしない嗅覚で辿り着いた銀色の森深くにある湖で水を飲むんだその先にある向日葵畑で眠る為に虹色の光を帯びたコガネムシを食べて毛並みに夜明けの風を染み込ませる耳をよおく欹てて朝焼けの中鳥の囀り
2024年5月1日 05:21
真夜中、家族が寝静まり返った頃。君と私は、遠くの月を違う場所から眺めていた。私はキッチンの窓から。君は忍び込んだ学校のジャングルジムのてっぺんから、同じ月を見上げていた。無言のままなのは、月を見あげている証だった。すると君はぽつり、と小さな声でこう言った。「ムーンリバーって曲、好きなんだ。」私は聞き返した。「オードリーヘップバーンが歌っていた曲?」「そうさ。」とまた小さな声で君は言った。
2024年3月25日 07:36
野生のスミレが居眠りしているハ長調の陽気な曲に包まれて学校はゴールデンウィークで休みだから木洩れ日もうんと伸びやかにしている無数のひかりの泡キーンと透き通るひかりの音が鳴り響くぴかぴかの新緑一年生勉強も宿題も初めてなんだ苦手な科目は嵐の日の過ごし方強風から身を守る勉強かなぁ4つ葉のクローバーになれなかったって3つ葉のクローバーは悲しげにしているモンシロチョウはそっと励ます
2024年3月23日 17:16
駅のホームでぽつん、と花が咲いている母の姿は、青いアネモネ澄みきったかなしみが身体中に染み込んでいる帰郷した日にはいつもあたたかな炊き込みご飯ずっと変わらない味を噛みしめるこころのぶらんこをやさしく揺すってくれるお見送りをしてくれる青いアネモネのちいさな肩に風が吹いていたわたしの目は視界が震えていてまたいつでも来なねと微笑む目尻の皺は桜色をしていてまた春になったらねと精一杯微
2024年3月11日 21:25
水平線をやさしく結って国境を飛ぶ空色の手紙みんな水飛沫みたいに空中で遊んでいる夕刻の浅い波間で海を渡ろうやさしい歌で海底の魚も踊るくらいにさまあるいびーどろそんな星に生まれたよよおく見てごらん海の色は何色お絵描きした指は何色争いのなか手を洗う水は何色握手した手は何色今日の空は何色道端の花は何色食べた料理は何色涙は何色眠りにつく時の部屋は何色夜明けの空は何色
2024年3月4日 11:57
薄べったい風が吹いている汗っかきの五月ジグザグ運転で転げ落ちた夢見がちな魔法使いアイボリーの雲も色褪せず祈っていたあの木陰のシロツメクサが待ちぼうけしているはるか彼方の夢を編んだよ固結びの悲しみも一緒にね疲れ顔の君の泪のエンドロールを探していた同じ名前が流れてきたらきっと叶うはず届きそうで届かない引っかかった風船よじ登って取ろうとしたら飛んでいってしまうみたいに何処までも
2024年3月2日 03:24
見ず知らずの人に怒り散らすくらいの傷口が痛みさらす人間のはけ口を嘲笑する人間の目は虚空で空虚に飛ぶ鳥を見逃して鳥の羽ばたきに夢見がちな少年の硝子玉みたいな眼差しは割れかかって今にも羽根が生えそうでちいさな風でも吹っ飛ぶ種子のような春の息には泪さえも零れないが爆発ばかりが起こる世界の映像には泪と赤い血液が流れている人間が心を攫う春の夜風に追い越されて桜吹雪の中を歩いて遠くに行
2024年2月28日 16:54
時も忘れてしまいそうなくらい長い長い雨が降り注いでいます一匹のちいさなカエルは睡蓮の葉っぱを雨傘にしてお留守番をしていました辺りは一面睡蓮の花々がしとやかに咲いていて仄甘い香りがカエルの鼻先にほんわり漂いましたおなかのすいたちいさなカエルはぐうぐう鳴るおなかの音が恥ずかしくてケロケロと鳴いておなかの音をごまかしたりしましたとおくへご飯を探しに行った父さんカエルと母
2024年2月25日 13:58
静かな糸雨雨音がとおく優しい真夜中へようこそいらっしゃい頭のなかを冷静にさせてくれるちいさくてやわな魔力に思わず目をとじる洗いざらしの夜の町が鈍く光っている息を潜めて雨音を鼓膜に焼きつける者の冷めやらぬ深く青い熱情が降っている首すじから垂れ流れるちいさな海かなしくってくるしくってチェリー色の目でとおくとおくを見ていたあたしの夢路の果て静かな糸雨ささやかな約束は待ちぼ
2024年2月23日 19:45
白い墓の傍らでひっそりクオンの実を食べた互いの心臓を明け渡すようにふたりきり分け合って食べたヒカリの鳩たちがそぞろに誘われて飛んでやって来たので星の破片ほどのクオンの実をあげたヒカリの鳩たちは羽根を脱ぎ捨てて人の形になったり鱗が生えて魚になったりしたふたりは長い長い間冷えきった唇を重ね合ったずっとずっとはなればなれだったからしだいにふたりのからだはひとつの木となり
2024年2月21日 10:59
草原
夜明けごとに透明になる
過去に書いた自作の詩を朗読しています。よかったら聞いてください。
2024年2月21日 10:43
WEEK END
自作の詩を朗読しました。よかったら聞いてください。
2024年2月17日 20:32
孤島に忘れ去られたピアノがある音色はバラ色で些かやわな棘があった黒鍵に乗った鴎が一羽羽のないおはなしをするやっと見つけてくれたからピアノは嬉しがって鳴いた悲しいことにわたしはピアノがうまく弾けないただ指を静かに置いてひとつひとつの鍵盤を順番に奏でたピアノはずっとわたしの指を見ていたピアノはからだで感じていたのだわたしの指の感触を息をしているピアノもわたしもそれ
2024年2月17日 20:29
夕暮れ近く誰もいない遊園地観覧車とメリーゴーランドだけ廻っているここに住もうよって君は笑っているよろこんでと手を握るアンティークローズの花束かざして真夜中の彗星の尾っぽ追いかけたラム酒のチョコレート食べたあとキスをした夜明けの雷音アロワナ雲泳いでいた渇いた喉で何処まで走ろうからっ風に吹かれながら絡まない赤い毛糸転がしながらクモの巣が踊っている嵐の日にブレーカ
2024年1月21日 21:05
あの花が燃える頃賛美歌は森へ帰ったよあるのはセピア色の乾涸びた木洩れ日だけ時間も溶けて消えていくのは何故かなここは湿気った六月も終わりの長閑な町プールみたいなアスファルトを泳ぐ錆びたローカル線が雨を食べてのらりくらり余所見している夜のシャボン玉が賑やかなのは知っているちいさな町にもお祭り騒ぎはある金魚になった夜もあったっけあの花が燃える頃わたしの言葉はどんどん衰えて必ずち
2024年1月4日 23:36
夜の庭には青い花が咲いている凍える声が聞こえたらきっと雨のブルーガーデン血脈の音が踊る星屑が降れば青い花達はクジラになる夢を夢見たりするんだ街灯紳士が紅いバラを差し出したくてうずうずしているしびれを切らした三日月が灯りにキスをしたかなしみは賛美歌へ海が夕陽に照らされて泣きたくなったもう居なくなってしまった君の歌は水底のオルゴールになってるだから魚達は毎日大暴れ