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小説まとめ

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記事一覧

【脚本】天国のおぼん①【舞台脚本】

【脚本】天国のおぼん①【舞台脚本】

まだシナリオのいろはがわからなかった時に書いたものです。ご理解お願いします。

〇フジランド墓園、受付前(朝)

舞台中央に受付として椅子と長机。舞台左側に出入り口としてドア。 舞台右側には客応対セットのミニソファとテーブルがある。 受付の裏には小さな冷蔵庫がある。

現在、受付椅子には藤原克雪(50)がけだるそうに頬杖をついて座っている。 藤原の服装は職種には似合わないラフな服装。 藤原の近

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【小説】きっと。【短編百合】

 ぼろぼろになったドレスはわたしには似合わない。

体育の時間の間にはさみを入れられたセーラー服をゴミ箱から拾い上げながらわたしはそう思った。

 お姫様から「かわいい」を奪い去ったら何が残るのだろう。フリルをふんだんに取り入れたドレスも不細工が着ればただのボロ布だ。

だからわたしはリップを塗り、顔を作る。本来のわたしが見つからないくらいの「わたし」を作る。

「わ、ぶっさ」

 美織姫香に素顔

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【怖い話】ダウンジャケット

私、小説家目指してて、貧乏なんですよ。まぁ、夢追い人なんてみんなそんなもんだと思うんですけど、本当にお金がないんです。
幸い、周りには理解がある友人が多くて、お下がりの服とかデパコスとか貰ったりすることもあって、ありがたいな〜って思うんですけど、今回のプレゼントはいつもとは違いました。

1週間のバイトが入ったんです。
まああんまり言えないタイプのバイトなんですけど、1日目に意気投合した人がいて。

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【怖い話】デジャヴ

夢で見たことがよく現実におこんのよ。
なんかやってる時「あ、ちょっと待ってこれ夢で見たわ」ってなるやつ。アレ。
あるよな?少なくとも俺は一年に数回はあるんだけど。
今回はそれについての話。

その日は特にやる事もなくてさ、普通にバイトしにカフェに行って、終わった後もドリンク一杯で閉店まで居座って(迷惑)買い物して、そんでアパートに帰宅。適当に飯作って風呂入って漫画読んでた。そしたらさ、ピンポーンっ

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【怖い話】ビル清掃のバイト

これは求人情報を漁ってたときの話なんだけど。
変な求人を見たんだよね。でも、これは何年もひきこもりニートで、社会を知らないから変に思ったのかもしれない。とりあえず、正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトの区別しかわからない人間が、ネットで見つけたんだよ。その求人を。

『月2回でOK!高単価ビル清掃!』

業務内容は、毎月1日と15日に1時間だけあるフロアの掃除をするだけ。資格も必要なし、学歴不問

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【再録】2月14日の靴箱【短編】

二月十四日。バレンタインデイ。
それは乙女にとっての一年に一回の戦いの日とも言える。なんてったって世間の同調圧力と周りの雰囲気により好意が滅多に突っぱねられない日なのだ。
内気で引っ込み思案のA子にとっては今日を逃せば一生内に秘めて終わるだけの恋心を発散させる日なんて存在しないようなものだった。
それに今相手は高校三年生。大学生を目指すA子と就職してしまうS郎。進路が離れ離れになってしまうS郎とは

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【再録】空が溶ける【SS】

そらが、とけている。
段々とずり落ちていく水色を見ながら、僕は首を傾げた。

いつから「そう」なっていたのかはわからない。
ふと、上を向いたら。まるでとろみがある液体の乗った板を立てかけた時のように青が下がっていたのだ。それは未だに何時間も何日もの時間をかけてゆっくりとずれ続けている。本来鮮やかに着色されるべきはずの場所は今は真っ黒に染まっていて、きっと下に隠れていたはずの宇宙が見えてしまっている

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【小説】六月の精霊【再録】

針谷恵、三十歳。無職。
死因、バイク走行中に水たまりで滑った事による頭部への打撃。
六月二十日、死去。
「ーーって死ねるかこんな事で!!!!!」
あまりの情けなさに飛び起きると、周りには医者や看護師が自分を囲っていた。曖昧な頭では理解が出来ないが、どうやら自分が目を覚ましたのは奇跡らしい。喜びながらもバタバタする医者達、泣き出す親兄弟、そしてよくわからん少年。
落ち着いて一人になった時には、日が暮

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【再録】私のアイ【SS】

最初は、遊び半分だった。
死んだ動物の『ガワ』を特殊加工して造ったロボットAI-1122、通称『アイ』。
人間と同等程度の知能を持つ『それ』は、小学校から今までずっと私の傍にいてくれた。ある時は天才ロボット工学者の代表作品として、またある時は主人を守る警護型ロボットとして、そして『唯一の親友』として。
アイは私の傍に居続けた。
それも今日までの話だ。
「……アイを博物館に?」
「はい。柏木様が造ら

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【短編小説】二十三歳からの幕開け、それからの第二幕について

【短編小説】二十三歳からの幕開け、それからの第二幕について

 三年間側に置いていたキーボードを捨てることにした。
 経年劣化したから買い替え、ではない。単純に才能が無いのを自覚してしまったからだった。

 ピアノに魅入られたのは、大学を中退して特に目標も無くぶらぶらとフリーターとして燻っていた頃。その日は都内に単発バイトに行く予定があって、その帰り道の駅での事だった。
 クリスマスも近い日。駅にデカデカと置かれたグランドピアノに一人の男性が座っていた。よく

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なんか短文(短歌)が出てきた

なんか短文(短歌)が出てきた

お焚き上げします。多分本にしようと思ったんでしょうね。力尽きたのかお前。タイトルには「ヒーロー讃歌」って書いてありました。そもそもこれ短歌なん? じゃあお焚き上げいきます↓

特別な赤、引き立て役な多色、私を救ってくれた黄色

悪口が言えなくなったのはそれだけ大人になったから どの目で見てもみんな違ってみんなダメ

ヒーローだってビニ弁買うよ 人間だもの

頑張れで立ち上がれるの

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【短編小説】内側から【SS】

たっだいま〜〜! あー疲れた。え、うん。そう、京都行ってきたの、二週間くらい。神社仏閣寺巡りってやつ?もう足パンパン!でも御朱印結構集まって満足!みたいな?こんな日はやっぱビールだよね!クリアアサヒが家で冷えてる心ウキウキワクワク〜〜なんてね!え?旅行行く前に冷蔵庫の電源落としてた?まっさか〜〜!だって冷えてるよ?クリアアサヒ。……ちょっとそんな怖いこと言わないでよ。そりゃ旅行行く前通話しながら

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