左藤

ショートショートに挑戦中!

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流星の真実【ショートショート】

「今夜はジャコビニ流星群が夜空を彩るでしょう」  テレビでキャスターが言った。かなこは母親に向かって言った。 「ねえ、今日キャンプしようよ」 「キャンプ? どうして?」 「ジャコビニ流星群が見えるからだよ」 「そっか。近くのキャンプ場を探してみましょうか」  こうして、この親子は夜にキャンプに行くことになった。調べると、家から徒歩一時間のところにキャンプ場があることがわかった。そのため、二人は上着を羽織り、山へと歩いて向かった。山へと向かう道中も、夜空を見上げると星々が輝いて

    • ショッピングパニック【ショートショート】

       今日私は、ショッピングモールへ六歳の息子と一緒に買い物に来ていた。息子の為に子供服の店へ行く。 「何か欲しいのある?」 「これが欲しい」  そう言って指差したのは、白いポロシャツだった。 「これ? 今着てるのと同じじゃない」 「じゃあこれ」  それは、緑の帽子だった。 「これも、今被ってるでしょ」 「じゃあ、何もいらないよ」 「そう。じゃあ、次はお母さんの買い物に付き合って」  そう言って、婦人服の店へやって来た。私は、綺麗なワンピースを手に取り息子へ言った。 「けんた。今

      • 美女水【ショートショート】

         私は、自分で言うのもなんだがブサイクだ。周りの美人の友人が羨ましい。今日もオフィスでは、美人の同僚がチヤホヤされている。 「今度一緒に食事しませんか?」 「映画一緒にどうですか?」  そんな言葉は言われたことがない。そんな私は、今日も仕事を終え帰路に着く。すると、見慣れないコンビニがあった。なんとなく惹かれ入ってみると、おすすめ商品というものがレジ前に置かれていた。 「美女水?」  私は思わず手に取った。 「はい。その水を飲むと、すぐに美女になれるんです」  そう言う店員さ

        • 憑かれる【ショートショート】

          「ただいまー」  旦那の声が聞こえる。旦那はたった今仕事から帰ってきた所だ。 「ごめんね。遅くなって。今からご飯作るよ」  私の旦那は、仕事をしている上に、家事までやってくれるのだ。おかげで私は、大助かりだ。 「何が食べたい?」 「うーん。麻婆豆腐とか」  旦那は冷蔵庫を覗いた。 「豆腐がないや。青椒肉絲でいい?」 「うん。いいよ」  そして、旦那は手際良く料理を始める。  シャーシャー  野菜を炒める音が聞こえる。しばらくすると、美味しそうな匂いが漂ってきた。 「出来たよ」

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        流星の真実【ショートショート】

          バニーボーイズ【ショートショート】

           本日、とある喫茶店でバニーボーイの会というものが行われた。その喫茶店には、八人のバニーボーイが集まった。この会の目的は、それぞれがバニーボーイとしての悩みを語り合い、お互いに慰め合おうというものだった。集まった六人は、見た目で特徴が分かったが、あとの二人はこれといって特徴はなかった。  そして、最初のバニーボーイが話し始めた。 「皆さんこんにちは。僕は、生まれつきバニーボーイとして育ちました。僕のどこがウサギかというと、お分かりの通り耳がウサギなのです」  その男の耳は、頭

          バニーボーイズ【ショートショート】

          月の幻【ショートショート】

           いつものように朝目覚め、いつものように会社へ行く。今日もいつもと変わらない日になる、、はずだった。  会社へ向かうため、通勤ラッシュの混み合った時間に、駅で電車を待った。ベルと共に電車がやってきて乗客は電車へ乗っていった。しかし、一番前に並んでいた人が、何故か微動だにせず立ち尽くしていたのだ。僕は、おかしいと思いその客に声をかけた。だがその客は、無反応だった。  電車が出発するので僕は電車に乗った。そして、目的の駅で降りた。その駅で、普段通り改札を出ようとすると、僕の前の女

          月の幻【ショートショート】

          コトバク【ショートショート】

           私は最近、うまく言葉が話せない。 「今日のお米なに?」  私は、お母さんに聞いた。 「ご飯のこと?」 「そうそう!」  こんな感じで、言いたい言葉が出てこないのだ。まだ私は若い。頭がボケ始めたわけではなさそうだ。 「まだ考えてないわ。それより早くしないと、遅刻するわよ」  お母さんに急かされ、私は学校へ向かった。 「およよ〜」  私は友達を見つけて、挨拶をした。 「なにその挨拶!」 「なんかうまく話せなくって」 「そうなんだ。それより、今日テストでしょ? 勉強してきた?」

          コトバク【ショートショート】

          最近面白かった漫才

          システムとしても面白いし、そこに怖さも加わって凄いです。あっぱれ!#推しの芸人

          最近面白かった漫才

          バーチャルハピネス【ショートストーリー】

           何も良いことがない。私はつい最近、会社をクビになった。そして、そのせいで妻に別れを告げられた。まあ、理由はそれだけではないかもしれないが、主な原因はそれだろう。娘は、妻の方について行ったので、私は四十歳にして独り身になった。思えば人生、何も良いことがなかった。よくここまで生きてこれた。それだけで、自分を褒めてやりたい。  そんな私は誰もいない寂しい家で、スマートフォンで、ネットサーフィンをする。リーディングリストなどから、気になるサイトを色々見ていると、怪しい広告を見つけた

          バーチャルハピネス【ショートストーリー】

          健康生活【ショートショート】

           ユキコは、毎日栄養バランスの取れた食事を心がけている。サラダに味噌汁、十六穀米。どれも健康のために行なっている。しかし、旦那のサブローはそんな飯は食えるかと言って、宅配ピザや牛丼など毎日食べたいものを食べている。そんな旦那は、運動もしない。食っちゃね食っちゃね不健康まっしぐらだ。  ユキコは最近、ヨガに通い始めた。ヨガに通うと、体中の血流が良くなるのだ。 「はい。次は大蛇の構えー」  インストラクターの動きに合わせて、ユキコもポーズを取る。そして、1時間ほど汗を流したら、次

          健康生活【ショートショート】

          福息子【ショートショート】

          「今日のご飯は、もやしとお米。あんたの病気が治れば、もっと美味いものが食べられるんだけどねえ」  ある夫婦の晩ごはんは、質素倹約だ。旦那が病気で満足に働くことができず、貧乏暮らしをしているのだ。 「すまんなあ。頑張って治して一生懸命働くよ」  旦那はそう言うが、病気が治る兆候はなかった。そんな中、妻はパートで家計を支えるのであった。  そんなある日、大変なことが起きた。妻に生理が来ないのだ。 「あんた、最近生理が来ないんだよ」  妻は、旦那に相談した。しかし、旦那は意外にもあ

          福息子【ショートショート】

          左目の一族【掌編小説】

           私の一族は、代々右目が見えない。なので私もお母さんもおばあちゃんも、右目が見えない。だから、私も子供を産めば当然その子は、右目が見えないのだ。だけど、私には今彼氏がいる。そして、後に結婚も考えている。私は彼氏に一族のことを伝えていない。なので、彼氏は私が右目が見えないことも知らない。そんな状況の中、私のお腹に子供ができた。その事を彼氏に伝えた。 「ほんとに?」 「うん」 「やったじゃん!」 「そうなんだけど、、」  不安そうな私を見て彼氏が言う。 「どうしたの?」 「いや、

          左目の一族【掌編小説】

          ベビーQR【ショートショート】

           立花産婦人科。その産婦人科では、今までに死亡事故は起きたことがない。そのほかの医療事故も一切起きたことがない。とても優れた産婦人科だ。その産婦人科で、たった今一人の女性が出産を控えていた。陣痛が激しく、分娩室へと運ばれていく。  分娩室へ入ると、夫がいた。 「みさこ! 頑張れよ!」  みさこは、必死に気張った。 「落ち着いて呼吸してください!」  助産師が言う。激しい痛みの中、徐々に顔が出てきた。 「もう少しです! 頑張ってください!」  そして、無事赤ちゃんは産まれた。

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          夢人生プログラム【ショートストーリー】

           25歳。俳優志望。それが俺のプロフィールだ。明日のスターを夢見て、今日も俺は演技のレッスンに通う。 「だめだめ! もっと感情を込めて!」  先生の厳しい指導が始まる。 「込めてるつもりなんですけど、、」 「つもりじゃだめだろ!」 「すいません、、」  この日も、厳しく怒られてレッスンは終わった。レッスンを終えると、スマホでオーディション情報をチェックする。 「このオーディション行ってみるか」  それは、有名監督の新作映画の主役のオーディションだった。 「佐伯鉄平です。よろし

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          消えゆく町【ショートストーリー】

          「遊ぼー!」  コウタの家へアユミがやってきた。 「いいぜ!」  コウタの家は、コウタの一人暮らし。でもそれは、アユミも同じ。ひとりぼっちの者どうし仲良くやっている。すると、コウタが言った。 「コウスケとケントも誘おうよ!」  これはいつもの流れで、毎日のようにこの四人は遊んでいる。四人ともまだ子供なのに、家では一人暮らしだ。それでも立派に暮らしている。 「コウスケ! 遊ぼう!」  コウタは、コウスケの家に向かって叫んだ。すると、家の中からコウスケが出てきた。 「ケントも誘お

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          桜と呼んで【ショートストーリー】

           とある大学の書道サークル。そのサークルは、近々学園祭を控えていた。そして、部屋で学園祭に出す出し物を決めていた。 「木下、司会やって」  健治が言った。 「分かったわよ。なんか案ある?」  木下桜が言った。 「そうだなあ。たこ焼き屋やりたい」  真美は言った。 「賛成! 健治はそれでいい?」 「いや、俺は言葉売りをやるよ」 「なにそれ」 「自分の中から湧き出た言葉を、書にして売るんだよ」 「いいね。でも、私達はまだ見習いだから、たこ焼き屋でいいわよね?」 「好きにしろ」  

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