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メインブログ『あふりかくじらの自由時間』の一部記事を転載しています。
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【雨雲出版】5/19(日)「文学フリマ東京38」こちらの本をお届けいたします

【雨雲出版】5/19(日)「文学フリマ東京38」こちらの本をお届けいたします

雨雲出版として二回目の文学フリマ東京に出店します。
アイテムは以下の4種類と無料配布の1種類の計5種類。
文学フリマに行ったのも出店したのも去年(手術直前)が初めてでした。

今は1800以上ものブースが出る巨大なイベントのようです。出店者様も個人やサークルの方はもちろん出版社やプロの書き手の方から大学のサークルまで実に幅広く、扱っているものもとても面白くて熱量が半端ないイベントですね。きっと掘り

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開発コンサル+出版レーベル+手術経験当事者だからできたこと

開発コンサル+出版レーベル+手術経験当事者だからできたこと

昨年11月に手術を受けた。
病院のベッドで思いついたのがこの本を書くことだった。

婦人科(現在では、女性科・女性診療科のような呼称に変えている病院も)の治療で悩み、手術を提案され悩み、薬の副作用で翻弄され、辛い思いをしてきた経験を、分かち合うことができたら。

似た経験をしているひとたちの体験談で、せめて少しでも孤独や辛さが癒され、気持ちが楽になるのなら。

もともと自分自身の体験談はエッセイ化

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いつも心の中で生きていた音色~親愛なるフジコ・ヘミング様

いつも心の中で生きていた音色~親愛なるフジコ・ヘミング様

文章にしてしまうと、そこで事実を認めて何かが定まってしまう気がする。何か書くと、別のものに置き換わってしまいそうだ。

二日前に、とてもショッキングな知らせが目に入ってしまい、そこから心にぽっかり大きな穴があいたように放心状態だ。

敬愛するピアニスト、ゲオルギー・ヘミング・イングリッド・フジコ様が天国に行ってしまった。

いまもうまく言葉にならないのだけれど、こうしてキーボードを叩いている。

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祖母のジャーナリング

祖母のジャーナリング

珍しく、今期は朝ドラを観て楽しんでいる。

「虎に翼」は、日本史上初めて法曹界に飛び込んだ実在の女性のストーリーに基づくオリジナルの物語だそうで、連日話題になっているほど人気が高いようだ。

このドラマの素晴らしいところは多くあるのだが、手帳好きのわたしとしてはぜひ話題にしてほしいのが、寅子の母はるの手帳習慣のことだ。

はるはいつも、日常的な記録から思いまで手帳に綴っている。
記録を取り、文字に

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ジャーナリングの効果とは?解き放つことと積み上げること

ジャーナリングの効果とは?解き放つことと積み上げること

このところずっと集中してエッセイ本を執筆していた。
ボツワナで敬愛するベッシー・ヘッドのお墓参りをしてから一年になるが、ボツワナのセロウェでのアーカイブ調査と、出会った人々の話など、ボツワナとジンバブエ旅全般についてのエッセイ本だ。

既刊の『雨風の村で手紙を読む ベッシー・ヘッドと出会って開発コンサルになったわたしのアフリカ旅』(雨雲出版)は、大学時代にアフリカに行った話から国際協力業界での仕事

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38年が経ちました

38年が経ちました

今年もこの日がきました。

敬愛する南アフリカ/ボツワナの作家ベッシー・ヘッドの命日です。
1986年4月17日ボツワナのセロウェにて48歳で亡くなりました。

南アフリカで白人の母親と黒人の父親のあいだに生まれ、孤児のように育ち、アパルトヘイト時代に出国許可証を持ってボツワナに亡命した彼女。

アパルトヘイトの終焉を見ることも、南アフリカに戻ることもなく、自伝を書き始めた矢先にこの世をさりました

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好きなだけ書いて作りたいと夢に見ていた時間~雨雲出版と今の仕事

好きなだけ書いて作りたいと夢に見ていた時間~雨雲出版と今の仕事

ずいぶんリアルな夢を見た。
昨年まで7年ほど勤めていた開発コンサル会社の同僚に単発の仕事を頼まれる。

ブラジルで2週間ばかり研修アテンドの仕事を手伝ってくれないか。スケジュールとカリキュラムはこれこれこうだ、云々。
その仕事は実際に過去の様々な案件でやってきたものと似ていたし、わたしも5月の文学フリマには間に合うスケジュールだし、収入は昨年会社を去って以来マイナスだからとても助かる、と実にリアル

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[ベッシー・ヘッド] 出版するための翻訳作業は孤独だがようやく次の段階へ

[ベッシー・ヘッド] 出版するための翻訳作業は孤独だがようやく次の段階へ

南アフリカ生まれでボツワナに亡命した作家ベッシー・ヘッドというひとを知ってから四半世紀以上。

彼女の長編小説の一冊を日本語に翻訳して出版したいと具体的に考え始めたのは、それから少し後だったかもしれない。2004年には、ある翻訳スクールで文芸翻訳基礎コースを受けているのだから、少なくとも足掛け20年は経っている。

何度も数えきれないくらい翻訳をやり直し、自分でも信じられないほど人生の時間と労力を

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何度引っ越しても、いま暮らす場所が帰る場所だから

何度引っ越しても、いま暮らす場所が帰る場所だから

現代人は一生のうちでどれくらい引っ越しをするのだろう。

少ないひとはゼロかもしれない。
多いひとは、数か月に一度、なんていうひともいる。

もっとも多い「引っ越し」をする部類の人々は、伝統的には季節移動生活をしている遊牧民だろう。
昨今では、そのような遊牧民の伝統を受け継いでいるのか、ノマドワーカーと呼ばれるひとたちの中には、家までなくてホテルなどを転々と暮らしているひとまでいる。そういうひとた

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心に寄り添う静かな病院図書室

心に寄り添う静かな病院図書室

病院に図書館があるのをご存知だろうか。

その多くは図書館とは呼べない小学校の図書室のような小さなものと思われるが、案外少なくない数の病院に入院患者や通院患者向けに本を集めた部屋があるのを、昨年初めて知った。

昨年11月中旬に、手術のため一週間ほど入院した。

都心の大きな病院で、どのような施設があるのか興味があったので院内案内図を細かく見ていたところ、とても小さな文字で図書室と思われる部屋の名

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毎日椅子に座り続ける~ライティンググループのすすめ

毎日椅子に座り続ける~ライティンググループのすすめ

大きな仕事を成し遂げるひとは偉大だ。
例えば、800ページにもなるような大作を書き上げること。

ボリューミーでかつ内容の素晴らしい本を書ける作家は、類い稀な才能に恵まれている。
多くのひとはそう思うだろう。わたしもそう思っていた。

きっと、とびぬけた才能を持ち合わせてこの世に降りてきた人々もいるだろう。
でも、そう思って小さな自分を振り返りテンションが下がるとき、必ず思い出すことばがある。

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今の生活を楽しむために揃えるもの

今の生活を楽しむために揃えるもの

昔からインテリアは好きで、いつも洗練された雑誌やインスタ、ブログなどを眺めてはワクワクしている。

ひとり暮らしをはじめたのは大学のころ。
小さなアパートだったし経済的な余裕もないので、憧れるような家具を買うことはできなかったが、小物だけは好きなものを集めていたように思う。

でも、どうせ引っ越すのだからと家具の類をきちんとそろえることはなかった。
最低限のベッドや実家から持ってきたデスク、小さな

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辞書を引く楽しみ

辞書を引く楽しみ

子どものころ、父は使い込んだ自分の辞書をよく自慢げに見せてくれた。
小さな英和辞書だったが、ページは開いてすっかり分厚く柔らかくなり、小口部分には手垢がくっきりと黒い帯のようになっている。
父は仕事で英語を使っていたので、日ごろからよく勉強をしていた。

小学校六年生でアメリカに渡り現地の学校に通うようになって、わたしも辞書を買ってもらった。
何せ学校でコミュニケーションを取るのに英語がわからなく

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辰年が来たということは

辰年が来たということは

昨年末から、いつもの喫茶店や雑貨店などでちらほら見かけるようになった。
2024年の干支、辰のモチーフを。
そして、はっと気づいた。そうわたしは辰年生まれなのだ。
つまり、年末にはいよいよ作家ベッシー・ヘッドが亡くなった年齢に追いつくということだ。
(作家ベッシー・ヘッドについてはこちらを参照してほしい)

G.S.アイラーセンが執筆したベッシー・ヘッドの伝記によると、彼女が小説を最初に書いたのは

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