Anne@UO北斗(和楽日アン)

20年以上続く老舗オンラインゲーム・ウルティマオンライン(UO) このゲーム世界を舞台…

Anne@UO北斗(和楽日アン)

20年以上続く老舗オンラインゲーム・ウルティマオンライン(UO) このゲーム世界を舞台にした短編小説を書いています。 ブログ http://bri-anne.jugem.jp/ ツイッター @anne_hkt

記事一覧

アンブラの星 3

「魔法は便利ですね」  アーモリーオブソウル鍛冶店前にステラがゲートを出した。  おやつクエのためにマークしたその場所。  毎日ここにリコールしてきて、シェダルの…

アンブラの星 2

 その日の夜、熱が出た。  手足や背中、腰も痛くて、生きた心地がしない。  いつもはブリタニア中を飛び回っている同居人たちが代わる代わる看病してくれなかったらどう…

アンブラの星

2018年4月 出雲『第1回出雲文芸の星』出品作品 *-*-*-*-*  アンブラ。  陰気だ、暗い、怖い。  そう言ってこの街を嫌う人も多い。  しかし、ステラはこの街のしっと…

ふたり あとがき

 なんと、1年2か月ぶりの投稿です。  見出し画像を準備するのが億劫で、記事自体は出来ていたのに、そのまま放置していたようです。  情けないというか、もったいない…

ふたり 後編

 やがて、ジョンの家とアメリアの家との分かれ道に着いて、ことさらいつものようにして別れる。  家が見えてきて、おばあちゃんにクロウのことを相談したい気持ちが大き…

ふたり 前編

2018年4月 第一回 無限文学賞 応募作品 *-*-*-*-*  アメリアはブリテインの近くの森の中に住んでいる。  近く、とは言っても、森から街道に出るまでに数時間、街道を…

The First Adventure あとがき

 拙作をお読みいただきありがとうございます。  まずは蛇足。  冒険を終えたフィーアは、イレーヌ先生に事の次第を報告し、長く本を借りてしまったことを詫び、アーテ…

The First Adventure 3

 振り返る余裕もないが、後ろからは、アンの雄叫びと、魔物たちの断末魔が聞こえる。  怖かった。  だが、その一方で、フィーアもテオも、心の高鳴りを抑えられなかった…

The First Adventure 2

 そこにいたのは女性の冒険者。  若くて優しそうに見えるが、見たことのないような鎧を身につけて、無造作に持っている斧も何だか怖そうだ。 「アーティファクト……」 …

The First Adventure 1

ブリテイン文芸大会 [Second]   ~アンさまがよければすべてよし~ in Hokuto 投稿作品 ブリテイン文芸大会 [Second]   ~アンさまがよければすべてよし~ in Hok…

徳之島の秋 あとがき

 次の作品をアップするまでに、日数がかかってしまうと思われるので、忘れ去られないように、あとがきでお茶を濁すことにします!  だいぶ前に書いた作品なので、いろい…

徳之島の秋 後編

 夕餉の準備をしているのだろう。  村に入るとあちこちから良い匂いが漂ってくる。  ばあちゃんの待つ自宅からは魚を焼く匂い。  今日は何の魚かな、と思いながら扉を…

徳之島の秋 前編

2016年9月 倭国ムーングロウイベント 第4回短文館コンテスト「徳之島の秋 - Autumn in Tokuno -」出品作品 第4回・倭国短文館コンテスト「徳之島の秋 - Autumn in Tokuno…

自己紹介&索引

2020/08/02改  はじめまして。 アンと申します。  noteに作品を投稿し始めて、6作品になりました。  編集の仕方にもなれてきましたし、なんとか続きそうなので、ここ…

メリークリスマス 後編

「んっ……んぅ……」  お腹のあたりがあったかくなる感じがしたと思ったら、身体中がぽかぽかしてきて、気持ちいいなぁ~と思って目を開けた。 「あ! 起きた! 目開…

メリークリスマス 前編

2015年12月 倭国ムーングロウイベント 第3回短文館コンテスト『メリークリスマス★ブリタニア』出品作品 倭国ムーングロウイベント/第3回・短文館コンテストのお知らせ…

アンブラの星 3

アンブラの星 3

「魔法は便利ですね」

 アーモリーオブソウル鍛冶店前にステラがゲートを出した。
 おやつクエのためにマークしたその場所。
 毎日ここにリコールしてきて、シェダルのことを思いながらおやつクエをこなし、深夜食堂でシェダルを垣間見ようとしながら時間をつぶした。
 たった3週間ぶりなのに、すごくなつかしく感じた。

「ステラさんに、子供の頃の話をしましたね」
「はい。 冒険者になるのを夢見て、やんちゃば

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アンブラの星 2

アンブラの星 2

 その日の夜、熱が出た。
 手足や背中、腰も痛くて、生きた心地がしない。
 いつもはブリタニア中を飛び回っている同居人たちが代わる代わる看病してくれなかったらどうなっていただろう。
 同居人の存在のありがたさを感じたが、身体が良くなるとすぐに、そんな気持ちは吹き飛ばされた。
 元気になったステラに同居人たちが詰め寄ったのだ。
 シェダルが心配して、毎日様子を見に来ていたらしい。
 あれは誰なのだと

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アンブラの星

アンブラの星

2018年4月 出雲『第1回出雲文芸の星』出品作品

*-*-*-*-*

 アンブラ。
 陰気だ、暗い、怖い。
 そう言ってこの街を嫌う人も多い。
 しかし、ステラはこの街のしっとりと湿気を含んだような静けさが好きだった。
 何よりこの街には星が輝いている。
 どういう仕組みなのかはわからないけれど。
 自分の名前に通じるその輝きがいつも自分を励ましてくれているような気がしていた。

「ふー。 

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ふたり あとがき

ふたり あとがき

 なんと、1年2か月ぶりの投稿です。
 見出し画像を準備するのが億劫で、記事自体は出来ていたのに、そのまま放置していたようです。
 情けないというか、もったいないというか、愚かというか、ものぐさにもほどがあると、自分でも思います…。

 深く深く反省して、せめて月に1作品くらいは公開していきたいところ。
 でもUOのお話はもうあとひとつしかないので、新作を書かねばならないのがちょっと心配。
 現代

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ふたり 後編

ふたり 後編

 やがて、ジョンの家とアメリアの家との分かれ道に着いて、ことさらいつものようにして別れる。
 家が見えてきて、おばあちゃんにクロウのことを相談したい気持ちが大きくなる。
 だけど、ジョンの小さな後ろ姿を思い出して、何も言えなくなる。

「おばあちゃん、ただいまー!」

 ドアを開ける前、心のスイッチを入れ替えて、元気良く声を出す。
 おばあちゃんはするどいから、ちょっとでも違う風になるときっと心配

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ふたり 前編

ふたり 前編

2018年4月 第一回 無限文学賞 応募作品

*-*-*-*-*

 アメリアはブリテインの近くの森の中に住んでいる。
 近く、とは言っても、森から街道に出るまでに数時間、街道を通ってブリテインまでさらに数時間。
 だいたい半日がかりの道程を近くと言っていいのなら、だけど。
 ご近所さんは十数件。
 森の樹木に隠れるように、守られるように小さなおうちが建っている。
 アメリアと同じ年代の子は2年

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The First Adventure あとがき

The First Adventure あとがき

 拙作をお読みいただきありがとうございます。

 まずは蛇足。
 冒険を終えたフィーアは、イレーヌ先生に事の次第を報告し、長く本を借りてしまったことを詫び、アーティファクトの処遇について尋ねました。
 本来これはグリゼルダが隠した物で、彼女の持ち物。
 グリゼルダに返せないか、そして出来たら、姉に貸し出してはもらえないだろうか、と。
 表情を変えぬまま、フィーアの話を聞いていたイレーヌ先生は、自分

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The First Adventure 3

The First Adventure 3

 振り返る余裕もないが、後ろからは、アンの雄叫びと、魔物たちの断末魔が聞こえる。
 怖かった。
 だが、その一方で、フィーアもテオも、心の高鳴りを抑えられなかった。

 言われた通り、家の影に入ると、黒いポーションを飲み干す。
 ほどなく二人の姿が消え、気配すら感じられなくなる。

 どれくらいの時間が経っただろう。
 長いようにも、あっという間にも感じられた。
 魔物たちの断末魔が間遠になり、フ

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The First Adventure 2

The First Adventure 2

 そこにいたのは女性の冒険者。
 若くて優しそうに見えるが、見たことのないような鎧を身につけて、無造作に持っている斧も何だか怖そうだ。

「アーティファクト……」

 フィーアの答えを聞いて、女冒険者はクスッと笑う。

「こりゃ、思いもかけない答えだな。 びっくりした」
「笑うなんて……ひどいです……」

 フィーアが思わず、ムッとすると、女冒険者はゴツイグローブをはめたままの手をフィーアに伸ばし

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The First Adventure 1

The First Adventure 1

ブリテイン文芸大会 [Second]
  ~アンさまがよければすべてよし~ in Hokuto 投稿作品
ブリテイン文芸大会 [Second]
  ~アンさまがよければすべてよし~ in Hokuto 告知
ブリテイン文芸大会 [Second] 展示会のお知らせ

 わたしが主催した文芸大会に寄稿した作品です。
 初めてまともに書いたUO小説。
 何か、とっても初々しい……。
 自分の主催イベン

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徳之島の秋 あとがき

徳之島の秋 あとがき

 次の作品をアップするまでに、日数がかかってしまうと思われるので、忘れ去られないように、あとがきでお茶を濁すことにします!
 だいぶ前に書いた作品なので、いろいろ忘れてしまっていますが、それでも読み返すと、連想ゲームのように思い出してくるものですね。
 ネタバレもあると思うので、↓のリンクから作品を読んで、あとがきに戻ってきていただけるとうれしいです。

 まずは、拙いわたしの作品を読んでくださり

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徳之島の秋 後編

徳之島の秋 後編

 夕餉の準備をしているのだろう。
 村に入るとあちこちから良い匂いが漂ってくる。
 ばあちゃんの待つ自宅からは魚を焼く匂い。
 今日は何の魚かな、と思いながら扉を開く。

「ばあちゃんただいまー」
「おかえり。 そろそろ夕飯だよ。 支度を手伝っておくれ」

 魚は我が家では贅沢品だ。
 ばあちゃんは言葉にはしないけれど、お社参りにわたしが行くことを喜んでくれていて、魚を準備することで労わってくれて

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徳之島の秋 前編

徳之島の秋 前編

2016年9月 倭国ムーングロウイベント
第4回短文館コンテスト「徳之島の秋 - Autumn in Tokuno -」出品作品
第4回・倭国短文館コンテスト「徳之島の秋 - Autumn in Tokuno -」のお知らせ
第4回・倭国短文館コンテスト結果発表&表彰式参加レポート
第4回・倭国短文館コンテスト/Web閲覧版&感想文公開

 ウルティマオンライン世界にある和風な地域『徳之島(とくの

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自己紹介&索引

自己紹介&索引

2020/08/02改

 はじめまして。 アンと申します。
 noteに作品を投稿し始めて、6作品になりました。
 編集の仕方にもなれてきましたし、なんとか続きそうなので、ここらで自己紹介と作品の索引を作っておきたい、と思います。
 まずは自己紹介から。
 長くなりそうな予感がするので、興味ない方は、ぐぐぐっと下まで飛ばしちゃってください。
 あ、でも、ウルティマ・オンラインを知らない人は、真ん

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メリークリスマス 後編

メリークリスマス 後編

「んっ……んぅ……」

 お腹のあたりがあったかくなる感じがしたと思ったら、身体中がぽかぽかしてきて、気持ちいいなぁ~と思って目を開けた。

「あ! 起きた! 目開けた!」

 そう言ったのはママ?
 うれしそうに笑って、お姉ちゃんと手を握って飛び跳ねてる。

「まだ起きちゃダメだよ、じっとしていて」

 そう言って、アタチのお腹の辺りに手をかざしてるのはパパ?

「ママ? お姉ちゃん? パパ?」

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メリークリスマス 前編

メリークリスマス 前編

2015年12月 倭国ムーングロウイベント
第3回短文館コンテスト『メリークリスマス★ブリタニア』出品作品
倭国ムーングロウイベント/第3回・短文館コンテストのお知らせ
第3回短文館表彰式&慰労会レポート
第3回短文館「メリークリスマス★ブリタニア」/Web閲覧版公開

Web閲覧版はゲーム内の本をめくるように読むことができます。 すごい!

 この作品は、『ちっちゃな魔法使い』の続編ですが、前

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