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写真というメディアを考える

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イメージ・コンテンツを制作する事は、視覚を通過して、人の心に問いかけることが一番のポイントだ。 人の心に問いかける事は、感性の同一性を得るということで、国境、時間という領域を超え… もっと読む
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2019年12月の記事一覧

写真家LORETTA LUX- 失われた楽園のメタファー

写真家LORETTA LUX- 失われた楽園のメタファー

ロレッタ・ラックス(LORETTA LUX 1969- 現アイルランド在住)
現代写真を代表するドイツの女性写真家の1人。
幼い子供達(主には少女)の時間が静止したような超現実的な肖像写真で著名だ。
そのコンテンツから、スーパーリアリズムの絵画の形態を思い起こすが、CGで作成されたような奇妙に人工的な静止した空間にあるポートレートだ。それは、メイクから衣装、小道具等々、計算され尽くされ、作り込まれ

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イヴ・クライン - IKBと本質を追うパフォーマンス

イヴ・クライン - IKBと本質を追うパフォーマンス

イヴ・クライン(Yves Klein, 1928- 1962 仏)
芸術家・抽象画家・パフォーマー。
その作品はモノクローム(モノトーン)の絵画の世界を展開した。それは、マチエール(質感)、筆致の有無での表現だ。
単色での作品は、展覧会を拒否されたことも当初はあった、それは、先駆者と言うもの誰でもそうだろう。
現在では、ネオダダの代表的な作品の1つとして、ポンピドゥに収蔵・展示されている。

特質

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フルクサス-日常とアートの閾を除く

フルクサス-日常とアートの閾を除く

フルクサス(Fluxus)
1960年代を代表するイベント(1度限りのアート)をメインに展開された芸術運動。
1950年代後半以降の*ネオダダ的な芸術運動の中心核的な運動となるだろう。
ジョージ・マチューナス(George Maciunas,1931-1978/建築家・デザイナー,リトアニア出身)が、宣言(1961年)した前衛芸術運動であり、 多国籍のグループで構成された。そして、ニューヨークや欧

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Nam June Paik-ビデオ・アートの創始者

Nam June Paik-ビデオ・アートの創始者

パク・ナム・ジュン・パイク(Nam June Paik、1932- 2006)韓国(京城-ソウル)生まれ、アメリカ合衆国(NY)で活躍した現代美術家。ビデオ・アートの創始者であると共に、その第一人者だ。そして、テレビジョン(放送)とビデオ(VCR)とその周辺の理論展開、、その時代を生きたアーティストだ。

略歴(その業績と主な流れの理解のために)
朝鮮戦争で香港に移住した後、
1956年、東京大学

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オルセー美術館-それはパリ万博時の駅舎

オルセー美術館-それはパリ万博時の駅舎

1986年、オルセー美術館(Musée d'Orsay)は1900年のパリ万国博覧会時のオルセー駅を改装された。駅の設計者はヴィクトール・ラルー(1850年 - 1937年)、また、ガエ・アウレンティ(女性建築家-伊)によって、美術館として改装された。
オルセー美術館は、1848年から1914年のフランスおよびヨーロッパ、アメリカの美術作品を展示している。コレクションには、印象派の殿堂と言われるが

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Tate Modern(後編)-収蔵コンテンツと文化継承

Tate Modern(後編)-収蔵コンテンツと文化継承

テート・モダン(London)に展示されている作品の紹介は、テートグループのテート・オンライン(1998-)という名称で、Webでもされているのであまり、意味のないことかも知れない。
ただ、この機会に、その展示物を観に来たギャラリーを含めて、作品の公開のあり方とか、後世に、どう伝えるか?(表象教育のあり方)
多様に、文化の継承を考えてみるのもよいのかも知れない。

前述したが、その内部の構成は、そ

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Tate Modern(前編)-発電所跡の現代美術ミュージアム

Tate Modern(前編)-発電所跡の現代美術ミュージアム

テート・モダン-Tate Modern
2000年、ロンドンのテムズ川畔にある、バンクサイド発電所(1947年)をミレニアムプロジェクトとして、改装した国立国際現代美術館。
テイト・モダンは、テート・ブリテン、テート・リバプール、テート・セント・アイヴス等との国立美術館ネットワーク(Tate)を成している。

2012年、拡張工事の後に0Fー6Fという構成になる。ウエスタン・ブロックの0F部分の展

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ポンピドゥー・センター/パリの近現代芸術拠点

ポンピドゥー・センター/パリの近現代芸術拠点

ジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センター (Centre national d’art et de culture Georges Pompidou (CNAC-GP)-いわゆる「ポンピドゥー・センター (Centre Pompidou)」
パリ4区のサン=メリ地区にある総合文化施設である。

1969年、ジョルジュ・ポンピドゥー大統領 (1969-1974) が、近現代総合芸術施設としての目

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グッゲンハイム美術館-多様なアートを分かりやすく展示

グッゲンハイム美術館-多様なアートを分かりやすく展示

グッゲンハイム美術館-多様なアートを分かりやすく展示

ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(Solomon R. Guggenheim Museum) NYは、ソロモン・R・グッゲンハイム財団が運営する美術館。1937年 ニューヨーク市に*ソロモン・R・グッゲンハイム美術館設置、以降*世界各地に展開。
資金源は、ソロモン・R・グッゲンハイムの鉱山会社からものであった。そして、前衛的な建築は、フラン

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V&A-イギリスの国立博物館-それは学際的な視点だ。

V&A-イギリスの国立博物館-それは学際的な視点だ。

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(Victoria & Albert Museum)は、イギリスの国立博物館(本館-London)である。ヴィクトリア女王(1819 - 1901)と夫のアルバート公(1819 - 1861)が、その理念のもとに構築された。V&Aの姉妹館 Museum of Childhood(子供博物館)はべスナル・グリーンに、2018年、スコットランドのダンディー・シティ

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なぜ、MoMAなのか(ニューヨーク近代美術館)

なぜ、MoMAなのか(ニューヨーク近代美術館)

ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art - New York)
アメリカ合衆国ニューヨークの近現代美術館。
1920年代からのモダンアートが収蔵されている。
1929年、開館された前衛美術の専門の美術館である。
その構想は、当時著名な文化人である女性達だ、そして、資金面でもサポートされ設立された。
L.P.ブリス、C.J.サリヴァン夫人、J.D.ロックフェラー2世

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ヨハネス・イッテン-異端の色彩論は今や世界のスタンダード

ヨハネス・イッテン-異端の色彩論は今や世界のスタンダード

ヨハネス・イッテン(Johannes Itten; 1888-1967 スイス)
芸術家、色彩論・造形論の理論家、バウハウス他の教育者。

教職についていたが、その後、美術に傾倒する。
アドルフ・ヘルツェル(画家-Adolf Hölzel; 1853-1934)に師事する。
1917年にはウィーンで絵画学校をはじめる。
1919年には、ヴァルター・グロピウスの招聘を受ける、*バウハウスの予備課程を

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写真家モホリ=ナジ - バウハウスの学際(複合)視点

写真家モホリ=ナジ - バウハウスの学際(複合)視点

モホリ=ナジ・ラースロー(Moholy-Nagy,1895 - 1946)
ハンガリー出身の写真家、画家、タイポグラファー、学際的(複合視点)美術教育家。

ブダベスト大学で法律を学び、第一次世界大戦に従軍した。
その後は、ハンガリー・アバンギャルドとして、芸術の表象を行った。
そして、政局-ハンガリー革命から、ドイツに亡命する。
1919年、ヴァルター・グロピウスの招聘もあり、バウハウスに参加す

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Herbert Bayer - そのデザインのどこに目がひっかかるか?

Herbert Bayer - そのデザインのどこに目がひっかかるか?

ヘルベルト・バイヤー(Herbert Bayer, 1900 -1985)
バウハウス出身のグラフィックデザイナー、写真家、タイポグラフィ、画家、建築家とそのジャンルは広い。
特質すべきことは、グラフィックデザインの構成についての*論理性をまとめ、分かりやすく説いたということだろう。
グラフィックデザイナー”ヘルベルト・バイヤー”の構成は前述したので、今回は、フォトグラファー、画家としてのヘルベル

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