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「レンタルなんもしない人」さんを心理学研究目的でレンタルしました
知っている人も多いと思うが、「レンタルなんもしない人」というひと一人分の存在のみを貸す(何か行動を起こすことはなく、簡単な受け答えや飲食程度のことのみ行う)サービスがある。その話を聞いた時点ですでにもう「面白いアイデア」と思い強い関心をもっていたが、今回、心理学の研究材料として利用させていただく運びとなった。
私の利用用途は心理学実験。具体的にはパーソナルスペースと呼ばれるものの実験だ。パー
(読書)「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」山口周 著
大学の瑣事に囚われてまたもアウトプットが遅れてしまった。つらい。
前々回で「映画を早送りで見る人たち」でエンタメを急いで消化する人たちを、前回で「ファスト教養」で教養を急いで摂取する人たちを見てきた。今回はその真逆に位置する人たちに触れた『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか」を紹介したい。といっても、この本、伝えたいメッセージは徹頭徹尾シンプルである。ロジカルシンキングだけではこのV
(読書)「映画を早送りで観る人たち」稲田豊史 著
学生の卒業研究に絡めて稲田豊史さんの「映画を早送りで観る人たち」を読んだ。Youtubeの倍速視聴に代表される娯楽のファスト消費を考察するものだ。学生の卒業研究に絡めて、とはいったものの、当該の学生はむしろその逆で「最終回を見届けられない」若者であった。これは、途中で挫折するというよりも、最終回"だけ"見届けられない、ロスを恐れる心理だ。その心理を探るためにはどうしたものか、と思っていたらなんと
もっとみる締め切りは創造性の敵か味方か
もうすぐ8月が終わる。大学教員をやっている私にはまだ授業期間はやってこないし、逆に民間企業などで働いている人はとっくにお盆休みは過ぎているだろうからだからどうしたという感じかもしれない。が、誰もがかつては小学生中学生だったわけで、そこでは8月の末には休みが終わる名残惜しさと、ひさびさに学校に行く楽しみとがないまぜになった複雑な感情をもったことがあろう。が、そんな気持ちを背中からつららのように刺し
もっとみるラバーダック・デバッグの応用
前々回、生成系AIを使った発想支援の方法を書いた。自分の書いた考えを他人の言葉のようにして見直すのにAIを使おうというものである。しかし、この方法自体は実はそれほど新しいものではない。他人との協同が自分の考えの整理につながるという事自体はすでに知見としてあるのだが、そんな理屈を飛び越えてエンジニアの間で使われている方法として「ラバーダック・デバッグ」がある。エンジニアのそばに置いてある人形に話し
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