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薄明(連載小説)

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自作の小説を連載しています。
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記事一覧

薄明 14

マリオ達は、近くの民家から戸板を借りて、怪我人を乗せて運んでいた。 遠くでは、波間に浮か…

chatnoir
1年前
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薄明 13

マリオ達は、朝日を浴びながら北進を続けていた。ハーナムキヤの町は海沿いにあり、浜辺のずっ…

chatnoir
1年前
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薄明 12

クロード隊がジョシウ国のルフィノの小隊からの追跡を逃れながら山を下ると、広がる草原と関門…

chatnoir
1年前
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薄明 11

「イェットの敗残兵で、囚われの身となっているアランを、町医者に預ける。」そう言い出したの…

chatnoir
1年前
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薄明 10

クロード隊とルフィノ隊の戦いは熾烈を極めていた。タン、タンと、銃声があちこちで聞こえ、人…

chatnoir
1年前
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薄明 9

ルフィノとクロードの軍勢が戦っている頃、マリオたちは続々と山を登り、峠を越えて寺院へ集結…

chatnoir
1年前
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薄明 8

フィリップがイェットの使者としてやってきた時、特別に捌いて出してやった鶏肉を箸でつつきながら、話をしていた。 マリオは上機嫌だった。 「クロードさんは私の恩人で、父のような母のような方なのです。」 そう話すフィリップは、まるで幼い子どものようだった。 「恩人ねぇ。クロードは狼みたいにおっかねえと聞いているがな。」 「そんな事はありません!」 ムキになるフィリップと、笑うマリオ。 「ところで…サドゥーモの兵隊は敵の人肉を食べると聞いたのですが、本当ですか?」 おもむろに尋ねる様

薄明 7

真夜中、漁師の案内で小舟に分乗したサドゥーモの兵隊12人は、小雨の降る中、岬の崖下にわずか…

chatnoir
1年前
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薄明 6

ルフィノは内心イライラしていた。 ハーナムキヤ島が目前に差し掛かったオーダディの町で、長…

chatnoir
1年前
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薄明 5

あれはカクヌダディで地元の男と話していた時のこと。 マリオはヨネザーウ国への攻略を迫られ…

chatnoir
1年前
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薄明 4

「ギョーム様、ご報告がございます。」 執務室の外から威勢の良い声がした。クロードだ。 「ど…

chatnoir
1年前
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薄明 3

「小僧、気をつけて帰れよ」 マリオはご機嫌で、フィリップの頭を撫で回した。酔っぱらいに絡…

chatnoir
1年前
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薄明 2

「マリオ様、イェット政府の残党が使者をよこしました。お会いになられますか?」 マリオは酒…

chatnoir
1年前
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薄明

雪の降る夜は、遠くの山際が薄ら赤く見える。 「フィリップ殿、ご苦労であった。もう下がってよいぞ。」 私はまだ十五歳そこそこの青年に声をかけた。彼は若者らしい溌剌とした顔を少し緩めて、部屋を後にした。 残ったのは、私一人。 「さて、どうするか。」と、私はデスクに目を落としながら、無精髭をざらりと撫でた。 私が仕える政府は、我々をオランダに派遣し、最新の技術を学ばせた。 そして…我々が帰国した時には国がなくなっていた。戦争で政府は散り散りになり、私は残された兵隊をできる限り軍