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バッハ:羊は安らかに草を食み BWV208
最近、いい言葉をみつけた。「〜と信じよう」だ。どうしたの、急に。今更、ポリアンナ症候群でもあるまいにと、鼻白んでしまわれるかもしれないが、やってみたら意外にも、おや、これはなんだかいい感じと思った。
試しに、なんでもいいので、最後に「と信じよう」をつけてみてほしい。例えば、毎日やると決めた英語の音読をする。朝15分、電車で10分、歩きながらNHKラジオ「ビジネス英会話」、夕食を作りながらシャドー
モーツァルト/リスト編:アヴェ・ベルム・コルプス(一隅を照らす)
台風が近い。大型で交通機関にも支障がでるという。こうなると会社のメールには、落ち着かないやりとりが、休日深夜関係なく入ってくる。各地で演奏会をしている複数のアーティストたちの動きに注意が必要になるからだ。早めに移動させる、万一の場合に備えて代役を立てる、早め早めの対応が重要になる。
そして多くの場合、さらに「気づいていない何かがあるかもしれない」と気になってくる。マネージャーは心配性の人が多い。
ショパン:ピアノ・ソナタ3番(ヴァルナビリティ 傷つく力)
演奏会は夜が多いので、女性が出産後も働き続けられる音楽事務所はめずらしかったのかもしれない。出産後の女性の復職率は今でこそ6割ときくが、20年前、第一子の出産から職場に復帰するのは3割程度。平日の演奏会は開演19時、終演21時。春や秋のコンサートシーズンは、週に数回演奏会があるので、確かにマネージャー業と母親業とは両立しにくい。
そうはいっても、社内には何人もの先輩ママがいて、育休復帰後も普通に
R. シュトラウス:明日(終わらせる)
晩夏、素敵な響き。夕方の風が夏の終わりの気配を含んでいることに気がついたときはとても嬉しい。それはたいがい部屋の中が薄暗くなって、そろそろ水撒きをしなくてはと外にでた時で、ヒグラシがカナカナカナカナと鳴き、赤く染まった雲が紫とピンクの空に浮かんでいる。
今年もずいぶん暑かった。灼熱の日々は永遠に続くかと思われたけれども、夏はちゃんと終わりに向かっているのね。
どんな「終わり」にも「慰め」が含ま
クープラン:神秘的なバリケート(愉しむ)
ブルーノート東京に行った。ブルーノート史上初、チェンバロの公演があったのだ。緊急事態宣言下で終演時間の制限があり、開演は17時。まだ昼間のように明るい平日の夕方、同僚たちと会社から、てくてく歩いて行った。
なんて言ったって、ブルーノートだ。みんなそれぞれに、この公演を楽しみにしていたようで、微妙に服装がいつもと違っていた。年下の同僚の髪型はムーミンのミミみたいな玉ねぎ頭になっていて(彼女はここぞ
グリーグ:ホルベルク組曲(ホルベアの時代より)「前奏曲」 (感謝)
クラシックの音楽事務所の新人が海外のアーティストを担当するとき、移動宿泊の手配が比較的シンプルなソリストからスタートする。私は指揮者を多く担当した。日本のオーケストラと共演する海外の指揮者は、一人もしくは奥様と来日して都内に宿泊、複雑な移動がない。
その国を代表するようなマエストロ(先生)とよばれる指揮者との仕事に、毎回最大限に緊張し、高い音楽性、知性、理性、品格、人格に圧倒された。滞在中、私の
シューマン:ノヴェレッテン Op.21-1 (励ます)
シューマンのノヴェレッテンは、大林宣彦監督の映画「ふたり」(原作:赤川次郎)で知った。事故で姉を亡くした実加が、姉の幽霊に励まされながらピアノの発表会で弾く。
この曲は冒頭から力強く弾み、前へ、前へ、突き進む。胸を張って、明るい陽射しの中を勇ましく、薫る風を胸いっぱいに吸い込んで、前へ、前へ。クララの父に長いこと結婚を反対されていたシューマン、それでも愛するクララと共にあれば、何も恐れるものはな
振り返り note1-7
noteを2ヶ月ほどやってみた振り返りです。
ある時思い立ってnoteを作ってみました。それはほんの思いつきですが、振り返ってみると、やはり、いくつかの伏せんがありました。直接の理由は、英語の勉強のために読んでいたAnthony Robbins の Awaken the Giant withinの中にあったprocrastination(ぐずぐず先送りすること)のくだりです。
人の行動を脳との
ラヴェル:ピアノ協奏曲 第2楽章
いい曲だなと思ったものが、いったい何だったのか、わからなくなることがよくある。交響曲は、うとうとしていると、あら?今何楽章?となり、リサイタルは、ソリストが曲と曲の間におじぎをしたり舞台袖に戻ったりせず小品を弾き続ければ、今、どれ?となる。薄暗い客席でプログラムはいつもよく見えない。しみじみ美しいと感じ入ったあの旋律は、どの曲の何楽章で、どのあたりのメロディーだったのか、手元のパンフレットに丸印を
もっとみるバッハ:マタイ受難曲
マタイ受難曲とは、いかにも重いタイトルだ。絶対に私には書けないテーマだが、しかたがない。タイトルにはクラッシックの曲名を使うと決めてしまったし、自分とのお約束の締切を何日も過ぎて、こんな日になってしまった。あまりにも荷が重いので、今回はお休みにしてしまおうかとも思ったが、逃げるといいことはない。向き合うまで追いかけられる。
十字架にかけられるキリストの受難をテーマにした受難曲は「聖金曜日」前後