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【読書感想文】三島由紀夫「仮面の告白」

こんばんは!
男・死・美!小栗義樹です。

本日は読書感想文を書かせて頂きます!
小説、ビジネス書、教科書、ハウツー本など、ジャンルを問わず本を読み、題材にして感想文を書こうという試みです。

本日の題材はコチラです。

仮面の告白

日本を代表する文豪「三島由紀夫」が1949年7月に発表した、ある種の暴露小説と言える作品です。太宰治と並び、戦後の2大作家と言っても過言ではない三島由紀夫の代表作となります。

約2週間かけて、なんとか読み切ることができました。

実は、仮面の告白を読むのはこれが2回目です。最後に読んだのが8年ほど前なので、ざっくりと内容を把握した状態で改めて読み直す形になりました。

三島由紀夫の作品は、仮面の告白と金閣寺しか読んだことがありません。小説が好きな僕ですが、あまり通らなかったジャンルです。

通らなかった理由は、シンプルに思想が合わないからです。得意か苦手かと言われれば苦手な部類になるかなと思います。これは僕のイメージですが、太宰と三島を比較すると、退廃と葛藤という印象があります。

三島由紀夫の作品は、なんというかいつも苦しそうです。それも、抗うこと余地のない苦しさです。それに比べて、太宰治の作品は、性弱説から物語が始まることが多いので逃げ道があるように思えます。

仮面の告白は、まず最初に与えられる印象が「性欲」です。性欲なんて、抗いようがないじゃないですか?人が人として生きる以上、必ず抱える欲の1つなわけで、それがたまたまマイノリティーだっただけです。ただ時代的に、それを受け止めてくれる人も、自分自身で受け止めることもできないというのが、仮面の告白の最大の魅力であり、僕が最もやるせないと思う部分です。

必死に戦う姿を感じ取ると、少しでいいから休んでほしいと思いますし、そこに流れる哀しさが美しく見えてしまうことさえも罪なのではないかと思えてしまいます。

ここまで苦手と豪語していますが、それでも最後まで読めてしまうのが、この小説が抱える最も大きな罪だと思います。三島由紀夫の高すぎる文章能力、構成力、突き詰められた考えが、それを可能にしてしまうわけで、魅了される人もたくさんいるだろうし、それと同じだけ、悲しい気持ちになる人も生んでいるのではないかなと思うのです。

今回改めて読みながら、本当に色々なことを考えたのですが、その中でも一番強く意識を支配されたのは、昨今の暴露祭りについてでした。

仮面の告白を読むと、最近の、暴露で世間がひっくり返る現象を、実に下らないと思うようになります。下劣だし低能だなと感じざるを得ません。

この本こそ、真の高尚な暴露本だと思います。文学という芸術が持つ特性を存分に活かし、多くの人に知恵やきっかけを与えながら、その問題を提起しています。仮面の告白の暴露は、誰かを陥れるのではなく、誰かを救うことが出来る構造になっているように思います。暴露とは、本来困っている人を救うためにある手段の1つでしかなくて、本当に困っている人がいるということを、理解し、広めるために行使されなければいけないはずです。

暴露をお金に換えたり、人気を得るための材料にしている人は、本気で仮面の告白を読み、大いに反省すべきかなと思います。もっとも、これだけ高次元なことをやるためには、相当な勉強量と頭の良さがいると思うので、そもそも暴露なんて手法は、一般人が使うべきではないかなと、そんな風に思いました。

こんなにも胸が苦しくなり、こんなにも愛について体系的に考えようと思える作品はなかなかないと思います。読むのが非常に難しいですが、人生で1度は読んでほしいと思う小説です。

また、小説の書き方に一石を投じた作品であることも間違いありません。文章の書き方を勉強するという意味でもすごく為になると思います。

仮面の告白は有名なので、本屋でも古本屋でも買えると思います。どうしても時間がないという人がいれば、動画で解説している人が沢山います。

僕は、しばらく三島作品はいいかなと思っていますけど、それとはまったく別軸で、多くの人に一度は触れてみてほしいと感じます。

この作品を読むことが、暴露や性について本気で考えるきっかけになるはずですから。

というわけで、本日はこの辺で失礼いたします。
また明日の記事でお会いしましょう。
さようなら~


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