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素敵な詩

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もし 地球に人間がいなかったら 山はない

もし 地球に人間がいなかったら 山はない

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もし地球に人間がいなかったら
山はない
山と名づける人間がいないのだから
ただ 地球の一部が高く盛りあがった部分

川もない
川と名づける人間がいないのだから
ただ 地球の長い溝に水がながれているだけ

山も川もそれを決めて名づけなければ
ないのとおなじ 地球と分けられない

地球上のあらゆるものは
名前をつけなければ 分けられない

すべてはそのまま まるごと地球
地球そのまま ただひとつ

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【詩】人差

【詩】人差

同じ人間という

生き物なのに

ある人は飛び

ある人は泳ぐ

〔詩〕朧月夜に見る夢は

〔詩〕朧月夜に見る夢は

朧月夜に見る夢は
色も形も曖昧で
道の向こう側に立つ人は
あなたのような
誰かのような

手繰られるように近付けば
更に朧になる姿
その肩先に伸ばした手は
虚しく空を切るばかり

夢か現か
過去か未来か
その境界線すら
滲んで薄れて

失われて

朧月夜に見る夢は
逢魔が時を進む舟
櫂を手放し
目を閉じて
古い歌を口遊む

大丈夫
ここには誰もいない

ゆらりゆうらり
小舟は揺れて
水音もない朧の

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【詩】葉路

【詩】葉路

葉の海に沈んだ線路は時間を忘れる

空に響く鼓動

空に響く鼓動

何故書くのか。
表現したいから。

何故表現したいのか。
生きているから。

何故生きているから表現したいのか。
残したい、いや。
知られたい、いや。
それが自然だからか。

空に氷の結晶が浮かび、水がどんなに大量でもバラバラの粒となり落ちてくるのと一緒だ。
それは一瞬の奇跡。
存在している。

だから流れる。巡りゆく。
湧き上がり溢れる。
言葉が音が色が形作られ軌跡になる。

そして無くなってい

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【詩】全ての詩人に送るウタ

【詩】全ての詩人に送るウタ

自己治癒や
多くの誰か
もしくは たったひとりのために

秘めた想いの吐露
内なる衝動の抑止
あるいは 生涯ただひとつのテーマを

その人なりの表現方法と
言葉選びを駆使し
文字を綴る 詩人

私も同じ    ちっぽけな詩人
微々たる者の  大きな願い

どうか 書き続けてほしい
ペンを置かずに 記してほしい

生み出した言葉の一片は
全ての詩人に刻まれてゆく

一度も
交わっていないと思っても

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〔詩〕フィナーレ

〔詩〕フィナーレ

街クジラを僕が見たのは
寂れた商店街のアーケードの下
半透明の巨大な体で
店も人々も通り抜けると
夕空に薄れて消えていった

閉園前の遊園地
廃校前の小学校
かつては賑やかだった場所に
街クジラは現れる
プランクトンのように過去を飲み込み
綺麗な想い出だけを残していく

細々と商いを続けていた
商店街の店主たちは
クジラが消えた空を見つめて
ホッとしたように微笑んだ
淋しいけれどこれでいい、と

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そらのかなた

そらのかなた

伝えたきこと
ももよろず
想いは遥か
空彼方

願い
祈りは
夜に消え
目覚め
新たに
探しだす

向日葵 《詩》

向日葵 《詩》

「向日葵」

太陽を追う様に手を伸ばした

木漏れ日の隙間 
眩しい光 風の音

ワンピースが揺れた

気のない素振り 見透かされてる

夏の始まりの匂い  

給水塔の影 向日葵の花

並んで歩いた川沿いの道

手を繋ごう離れない様に

伝えきれない想い胸にしまった 

確かに僕は君に恋してる

Photo : Seiji Arita

【詩】波

【詩】波

岩肌に
波は砕ける
何度も
何度でも
いまも
これまでも
これからも

【詩】泣くこと

【詩】泣くこと

雨粒がぽつりと葉に落ち
緑を映して流れゆく

涙がぽつりと心に落ちて
私を映して流れゆく

沁み込んだ雨が
また緑を萌やすなら

沁み込んだ涙が
きっと私を強くする

#491『きれい』

#491『きれい』

空が溶け出した蒼い花畑を前に
きれいという言葉が咲く

誰が種をまいてくれたから
僕はきれいと思えるんだろう

 
(英)

The word beautiful blooms, in front of the blue flower garden where the sky melts.

Who sowed the seeds that makes me think I'm beautiful

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【詩】運命

【詩】運命

風に吹かれるまま
枝の花は散って
空を楽しみ
舞い落ちて
柔らかいつちと
はじめてふれる
まるで
引き合うように
求め合うように
吸い寄せられるように
運命であるように
ぼくらのように

空に 《詩》

空に 《詩》

「空に」

貴方を想う空に 
木漏れ日が射す

貴方を想う空に 
風が揺れた

貴方を想う空に 
花が咲き

貴方を想う空に 
星が流れ

貴方を想う空に 
黄昏の光が包み込む

狭い街角で出逢った 迷子のふたり

独り手を伸ばす明け方

そして

貴方を想う空に 止まない雨が降る

Photo : Seiji Arita