きちまる

どこにでもありそうな、日常の記録 小説を時折添えて

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増えた色

仕事柄、あっちこっちを飛び回り、1ヶ月で3県またいだ。 その道中、やはり、地元とは違うお花や景色、気候を感じる。 そのたびに、ああ、君が隣にいればなぁ。なんて思う…

きちまる
3週間前

腕時計

地元へ帰ったとき、彼氏から誕生日プレゼントを貰った。 茶色に、鳥の絵が描かれた紙袋。 その袋は、私がよく知っているお店だった。 そこのお店で、腕時計を買った。 去…

きちまる
9日前
2

おんなじ足

去年の夏、2人で酔っ払って、誰もいない公園のベンチに座った。 「知ってる? 芝生って、裸足で歩くと気持ちいんだよ」 彼はそういうと、履いていたサンダルを脱いで、…

きちまる
11日前

話が下手くそ

私は相手に伝わるように話すことが苦手。 なのに、文章書くのは好きという矛盾。 今日は一か月ぶりに実家へ帰る。 彼氏に「今日はどこからなの?」 と聞かれて勤務地を…

きちまる
11日前

送信取り消し

仕事を終えて、部屋でソファにもたれていたら、突然の吐き気。 これはやばいと思いながら、走ってトイレへ向かった。 トイレと睨めっこ。便器に顔を近けたが、吐けなかっ…

きちまる
2週間前
1

生活が変わって。

新入社員と働いて、まだ一ヶ月しか経っていない。体感は二ヶ月以上だった。 人には理解されずらい、勤務体系。 各地に飛び回り、休日に公休があるなんて稀なこと。 あま…

きちまる
2週間前
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口論は続く

先日、地元へ帰ることができた際、彼と共に過ごした。 せっかくだから、散歩をしようか、イタリアンを食べに行こうか。 悩んだ末に、今話題の映画を見に行くことになった…

きちまる
4週間前
2

日記📓

私の友人は可愛らしい小ぶりの鞄から、写真やシールで彩られたスケジュール帳を出した。 「これ、私のお気に入りノート」 口を結んで笑う友人の顔がキラキラしていた。 …

きちまる
1か月前
3

別れの言葉

4月から、新社会人となって、地元を離れる。 そうなると、みんな、誰しもが「元気でね」「生きていてね」「頑張りすぎないでね」と口々に言う。 「寂しくなるなぁ」も、…

きちまる
2か月前
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リビング

 リビングで母が布団を敷いて眠る。  母の抗がん剤治療が始まってから、母はほとんど寝たきりだ。  今までは母の部屋で一人、眠っていた。私はそれが寂しく、つまらなく…

きちまる
2か月前
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モネ

今日はモネを見に行ってきた。 まるで違う国を旅行するかのように、額縁の窓を覗いてきた。 モネの見た世界をそのまま見れたように感じて、いまだに興奮がおさまらない。…

きちまる
3か月前
2

口腔がん

もう、あれから二週間経つだろうか。 母から笑顔で「口腔癌になった」と告げられた。 母が癌であることが、信じられなかった。 母のがん症状が出始めたのは、おそらく3、…

きちまる
3か月前
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石垣島ライフ

内定者として、石垣島のホテルで三週間働かせていただいてます! それも残すところ1日です。 フロント、レストラン、ハウス、すべての仕事をやせていただいて、分かった…

きちまる
4か月前
3

だらし無さから脱却の巻

大学四年生というと、就活、卒論、人によっては国家試験、公務員試験。 バイトの人や親戚の人たちから「あら大変そうね」と背中ポンポン。 その優しさ、嬉しいけれど、違…

きちまる
10か月前
3
増えた色

増えた色

仕事柄、あっちこっちを飛び回り、1ヶ月で3県またいだ。

その道中、やはり、地元とは違うお花や景色、気候を感じる。

そのたびに、ああ、君が隣にいればなぁ。なんて思う。

何もないところにポツンとバッティングセンター。
君ならなんていうかな。

湖に反射するホテルの光。
君ならなんていうかな。

おしゃべりが大好き店主。
君ならなんて返すかな。

一人じゃ、どんなにわくわくする場所でも物足りなくて

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腕時計

腕時計

地元へ帰ったとき、彼氏から誕生日プレゼントを貰った。

茶色に、鳥の絵が描かれた紙袋。
その袋は、私がよく知っているお店だった。

そこのお店で、腕時計を買った。
去年の、彼へのクリスマスプレゼントだ。

よく覚えている。
彼の誕生日をどうしようかなぁと悩みながら、服にしようかなぁ、いつも同じで、それじゃ味気ないか。
なら、なにがいいかなぁ。

その年の8月ごろ、そこの雑貨屋へ彼と2人で買い物をし

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おんなじ足

おんなじ足

去年の夏、2人で酔っ払って、誰もいない公園のベンチに座った。

「知ってる? 芝生って、裸足で歩くと気持ちいんだよ」

彼はそういうと、履いていたサンダルを脱いで、芝生を歩き出した。

夏の、暑い日だった。
虫が草の中にいるかもしれない。
小さい頃、裸足で虫を踏んでから裸足で地面をあることに少し抵抗があった。

不安がる私の手をとって、
「大丈夫。楽しいよ」と、2人でぽてぽて芝生を歩きだした。

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話が下手くそ

話が下手くそ

私は相手に伝わるように話すことが苦手。

なのに、文章書くのは好きという矛盾。

今日は一か月ぶりに実家へ帰る。

彼氏に「今日はどこからなの?」

と聞かれて勤務地を答えた。

「え、そうなの? 言われてたかもしれないけど、ほとんど話聞いてなかった。何言ってるかわからないし、知らなかった」

彼の言葉は何かに苛立っていた。
私が、バスが遅れて、空港へ向かう電車を間違え、焦って電話にも出られなくて

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送信取り消し

送信取り消し

仕事を終えて、部屋でソファにもたれていたら、突然の吐き気。

これはやばいと思いながら、走ってトイレへ向かった。

トイレと睨めっこ。便器に顔を近けたが、吐けなかった。
朝から6時間、飲み物を飲んでいない。ご飯も食べていない。
間違いなく、脱水症状だろう。

飲み物が部屋になく、同期に部屋の前に飲みものを置いてと頼んだ。

水道水を何杯も飲んでいくうちに、ようやく吐けた。

2度吐いてから、同期か

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生活が変わって。

生活が変わって。

新入社員と働いて、まだ一ヶ月しか経っていない。体感は二ヶ月以上だった。

人には理解されずらい、勤務体系。

各地に飛び回り、休日に公休があるなんて稀なこと。

あまり話すと色々とまずいので話せないけれど、各地を飛び回る部署に配属してもらった。

一ヶ月で気がつけば6か所ほど全国飛び回って、その中で、わかったこと。

私はあまりにも体が弱い😭

研修二週間で自律神経を乱し、
研修三週間目に風邪を

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口論は続く

口論は続く

先日、地元へ帰ることができた際、彼と共に過ごした。

せっかくだから、散歩をしようか、イタリアンを食べに行こうか。
悩んだ末に、今話題の映画を見に行くことになった。

そのついでに、私の買い物をつき合わせた。

私は、必要なものは何かたくさん考えながら買い物する横で、
「それなら、百均のほうがいいんじゃない?」
「スーパーのケーキ買うなら、一日我慢して高くて美味しいケーキ買ったほうがいいよ」
と、

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日記📓

日記📓

私の友人は可愛らしい小ぶりの鞄から、写真やシールで彩られたスケジュール帳を出した。

「これ、私のお気に入りノート」

口を結んで笑う友人の顔がキラキラしていた。

そのノートには日記を書いているという。
旅行へ行くと、その土地で買ったシールを貼り、写真を貼る。

表紙には推しのチェキ、可愛らしいステッカー、かわいいものが大好きな彼女がそのまま表現されたノート。

「どこに行くでもこのノート持って

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別れの言葉

別れの言葉

4月から、新社会人となって、地元を離れる。

そうなると、みんな、誰しもが「元気でね」「生きていてね」「頑張りすぎないでね」と口々に言う。

「寂しくなるなぁ」も、聞こえてくる。泣く人もいる。

いやいや、やめてくれよ。
私はまだ会うつもりでいるのに、まるで今生の別のような、そんな言葉の数々。

しまいには、私の彼氏まで寂しいと泣いている。

やめてくれよ、ちゃんと生きてる。死ぬわけではないんだか

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リビング

リビング

 リビングで母が布団を敷いて眠る。
 母の抗がん剤治療が始まってから、母はほとんど寝たきりだ。
 今までは母の部屋で一人、眠っていた。私はそれが寂しく、つまらなくもあった。まるで家にいるのに、一人みたいで。
 こないだ、家へ帰ると、リビングで布団を敷いて母が寝ていた。それに心が躍って、わくわくと跳ね出しそうだった。
 小学生の頃、家族四人全員、インフルエンザになったとき、リビングに布団を敷き、みん

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モネ

モネ

今日はモネを見に行ってきた。

まるで違う国を旅行するかのように、額縁の窓を覗いてきた。

モネの見た世界をそのまま見れたように感じて、いまだに興奮がおさまらない。

金色の額縁を覗くたびに、息が浅くなった。

淡い色で描かれる世界に、一筋の太陽光があまりにも美しい。

川に船が浮かぶ、水面に揺れる影。

霧の中で霞む橋を、日の出が照らし出した。

モネに酔った、こゆーい1時間。

そのまま、原田

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口腔がん

口腔がん

もう、あれから二週間経つだろうか。
母から笑顔で「口腔癌になった」と告げられた。

母が癌であることが、信じられなかった。

母のがん症状が出始めたのは、おそらく3、4ヶ月前からだった。

謎の食欲不振、けれど何か食べなければ具合悪くなる。お米や麦を食べるとさらに具合悪さが加速する。
母の顔はこけ、体重は一気に5キロ減った。

最初、母は糖尿病を疑っていた。

実際病院へ行ってみると、糖尿病ではな

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石垣島ライフ

石垣島ライフ

内定者として、石垣島のホテルで三週間働かせていただいてます! それも残すところ1日です。

フロント、レストラン、ハウス、すべての仕事をやせていただいて、分かったこと。
それは、ホテルに休みはないこと。

年末年始は休み! 
なんてことはない。年末年始のホテルは、もはや戦場。
31日から始まった、4連勤。
年末泊まったお客様が帰ったら、次はお正月に泊まりに来るお客様。次から次へと宿泊される。
お客

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だらし無さから脱却の巻

大学四年生というと、就活、卒論、人によっては国家試験、公務員試験。

バイトの人や親戚の人たちから「あら大変そうね」と背中ポンポン。

その優しさ、嬉しいけれど、違うんですっ

私の場合、週一の授業、バイト、バイト、遊び、そして遊び、旅行、またバイト。

世の大学四年生がどのような暮らしを送っているか私は詳しく知りません。

ただ、私の大学四年生の生活は堕落。

就活を去年の夏から始め、バイトを掛

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