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誰も知らない「フランシーヌの場合」
新谷のり子さんへのインタヴュー
SNSを読んでいて、あるシャンソン歌手の方が「フランシーヌの場合」を歌ってみたが未だマスターできていない、というような趣旨の投稿をしていた。そして、新谷のり子さんと知り合いであることを示唆する一節を見つけた。「うん?これは、もしかしたらチャンスが訪れたかもしれない。」と私は思わずほくそ笑んだ。ずっと前から新谷さんにインタヴューする機会を窺っていたからだ。
この歌が
漣健児のカバーポップス革命
漣(さざなみ)健児こと草野晶一は、父・草野貞二が経営する新興音楽出版社(現:シンコーミュージック・エンタテイメント)から雑誌『ミュージック・ライフ』を復刊し初代編集長を務めていた。
洋楽ポップスの英語歌詞を雑誌で紹介する時に、その翻訳を書いていたら、「この曲、あの歌手に似合うんじゃないかな?」とか思うようになり、日本語詞を書くようになったと言う。最初は、訳詞家や作詞家などになる気はまったくなかった
西條八十の美空ひばりへの想い
西條八十は50代後半に美空ひばりと出逢い、亡くなるまで彼女を見守り続けた。その類まれなる才能を少女の頃から見抜いていたし、大歌手になることを予感していた。
撮影所での出逢い
1950年、西條八十は「やまのかなたに」という映画の主題歌を依頼され、新東宝の撮影スタジオへ打ち合わせに出掛けた。帰る途中に友人の柳谷金語楼が主演の「向こう三軒両隣り」の撮影現場を通りかかった。ちょうど休憩時間で、セットの
名前から読み解くシェルブールの雨傘
嘗てフランスでは子供が生まれると、聖人の名から選んで名前(prénom)を付けることが多かった。マリー(Marie)と言えば聖母マリアだし、ポールと言えば聖パウロという風に。
日本人にはピンと来ないかもしれないが、それぞれの聖人には守るべき場所や事柄がある。例えば、日本の守護聖人は聖フランシスコ・ザビエルで、医者・薬剤師の守護聖人は聖コスマスと聖ダミアンの兄弟という風に。
今回は、名前(préno
シャンソンとフランス語と 3月30日
毎週土曜日の午前中にシャンソンの歌詞でフランス語を学ぶオンライン講座を開催しております。
今回は、 の Ton héritage(君への遺産) を解説します。
この歌は、Serge Gainsbourg の継承者と言われる Benjamin Biolay の2009年の作品です。自分の子供に語り掛ける歌詞になっていて、1970年代のシャンソンを思わせるメロディにのせて歌っています。
では、先ず
ピアフとして生まれたのではなく...
エディット・ピアフは生まれながらの天才歌手だ、歌姫(ディーバ)だと言う人がいる。
もちろん、あの独特の声を含め歌手になる素質は充分あったのだと思う。でも、シモーヌ・ボーヴォワールが「人は女に生まれるのではない。女になるのだ。」と言ったように、彼女はピアフとして生まれたわけではない。
恵まれた家庭環境ではなかった
エディットは、父親が大道芸人、母親がカフェの歌手の家に育った。アーティストの一家だ
シャンソンとフランス語と 3月23日
毎週土曜日の午前中にシャンソンの歌詞でフランス語を学ぶオンライン講座を開催しております。
今回は、George Moustaki の Le temps de vivre を解説します。
この歌は、ベルナール・ポール(Bernard Paul)の1969年の監督作品「生きる時代」のエンディング・テーマでした。映画は売れなかったのですが、ムスタキのシャンソンの方は大ヒットしました。
では、先ず歌を
ビートルズ来日は「黒船」だった
東京オリンピックの翌年(1965年)、日本でエレキブームが巻き起こった。ベンチャーズやアストロノウツのサウンドはインストゥルメンタル、つまり歌がなく演奏だけだった。
いろんなところで、テケテケテケというエレキギターの音が聞こえていた。
小学生だった私も映画館で「エレキの若大将」を観て、カッコいいと思っていた。寺内タケシが登場するシーンが印象的だった。
当時放送作家だった阿久悠は、日本テレビの笈川光