木村荘八

生誕120年 木村荘八展

洋画家・木村荘八の回顧展。明治半ばの東京に生まれ、大正元年に画壇にデビューした後、岸田劉生や河野通勢、中川一政らと交流しながら、一貫して「東京」を描いてきた画業の変遷をまとめた。

注目したのは、挿絵と本画の関係性。よく知られているように、木村荘八は永井荷風の『墨東綺譚』(1937)の挿絵を手がけたが、それ以後も東京の都市風俗を描いたスケッチを数多く描き残している。佃島、神楽坂、浅草橋など、東京の

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132「墨東綺譚」永井荷風

114グラム。永井荷風の手にかかると蚊の湧くどぶさえも何か風流なものみたいに感じられるが、実際のところ口の中まで蚊が飛び込んでくるようなところで肌を脱ぐ仕事などしていられるものだろうか。

 玉の井という私娼窟でゲリラ豪雨にあった「わたくし」がたまたま傘に飛び込んできたお雪という女と親しくなる。夢を見せられているような話であるし、何とはなしに落語みたいだ。

 お雪はテキパキと人懐っこい人でちょっ

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