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『マザー』第9話「ひと夏の精液採集日記」<2>

 8月3日(水曜日) 中学3年生・湊音(みなと)くん ビーチにて
 
♪『真夏の果実』&『夏をあきらめて』(サザンオールスターズ)
 
 あいにくの曇り空の昼過ぎ、私は海に向かい、人気の少ないビーチで一人、パラソルを立て、ビキニ姿になってくつろいでいた。天候に恵まれていないせいか閑散としていて、人はまばらだった。そんな中、私と同じく一人で過ごしている様子の男の子に声をかけた。
「ねぇ…日焼け止めオイルを塗るのを手伝ってくれないかしら?背中は手が届かなくって…。私は響子よ。お名前は何ていうのかしら?」
「日焼け止めですか…。いいですよ、俺で良ければ手伝います。俺は湊音って名前の中学3年生です。」
彼は砂の上に自分の名前を書きながら、説明してくれた。
「湊音くんってお名前なのね。ありがとう。じゃあ、あのパラソルの下で塗ってくれるかしら?」
私は彼の手を引いてパラソルの下に誘った。
「今日は曇っていて、そんなに太陽は出てないですけど、日焼け止めって必要なんですか?」
日焼けなんて気にしていない様子の彼自身は、全身こんがり日焼けしていた。
「曇っていても、紫外線は降り注いでいるの。だから日焼け止めは必須なの。私、日焼けするとすぐ赤くなってかゆくなる体質だから…。湊音くんみたいに健康的に日焼けできる人が羨ましいわ。」
「俺は…この海のすぐ近くに住んでいて、子どもの頃からしょっちゅうこの砂浜で遊んでいるから、日焼けなんて気にしてはいられなくて。響子さんは…色白できれいな肌ですね。俺、ちゃんとオイル塗りますね。」
「ありがとう。じゃあ…背中からお願い…。」
私はうつ伏せになって彼に背中を向けた。
「分かりました。俺…人に何かを塗ってあげるなんてしたことないから、上手くできるか分からないんですが、がんばります。」
「大丈夫よ。湊音くんの好きなように塗って…。」
彼は私の背中に日焼け止めオイルを垂らすと、大人の男性のように大きな手で念入りに伸ばし始めた。
「こんな感じでいいんでしょうか…。」
「えぇ、ありがとう。とっても気持ちいいわ…。」
少し遠慮がちに私の背中部分だけを集中的に触っていた彼に
「ねぇ…腰とか太ももとかおしりの方もお願い…。」
と私はおねだりした。
「はっ、はい。腰ですね…それから太ももと…おしり…。」
腰までは背中同様にうまく塗ってくれたのに、太ももやおしりになると明らかに彼の手つきは変わった。
「…背中とか腰にしてくれたみたいに、太ももやおしりも力を入れて塗ってくれていいのよ。」
「すみません、力加減がよく分からなくて…。俺…女の人の太ももやおしりを触るなんて初めてで、こんなに柔らかいんですね…。」
彼の表情は見えなかったけれど、私の背後で彼の吐息がさっきより荒くなっている気がした。
「痛くないから、力入れてくれて大丈夫よ。マッサージするみたいに…。」
「はい…分かりました。やってみます…。」
さっきまでより力を入れて太ももやおしりにオイルを塗り込んでくれた。
「あ…ん…とっても気持ちいいわ…。ねぇ…前の方もしてくれないかしら?湊音くん、オイル塗るのが上手だから、前もお願いしたくなっちゃった。」
「まっ、前ですか?いいですよ。がんばります…。」
仰向けに寝返ると、顔を赤らめた彼が目に飛び込んできた。
「緊張しなくて…恥ずかしがらなくていいのよ。湊音くんは塗るのが上手だから、自信持って。湊音くんには彼女…いるのかしら?」
「彼女…なんていません。好きな子ならいるけど、全然振り向いてもらえないから、もう諦めようかと思ってたところなんです…。」
「そうなの…。湊音くんは素敵な男の子だから、諦める必要なんてないわよ。私が…女の子を振り向かせる方法を教えてあげるから…。まずは私に日焼け止めを塗ってちょうだい。」
「あっ、ありがとうございます。今は響子さんにオイル塗るのを集中します。」
彼は私のおなかの部分にオイルを垂らし、やさしく塗り込み始めた。
「とっても…気持ちいいわ…。ねぇ…胸とか太ももの付け根も全身、隈なくお願い。」
「むっ、胸ですか?」
「そう…ビキニちょっとずらすから、おっぱいにも塗って…。」
初めは躊躇していた彼は恐る恐る私の胸に手を伸ばすと、オイルを塗り始めた。
「うぁ…おっぱい…柔らかいのにすごく弾力がある…。」
「ん…あっ…湊音くん、おっぱいに塗るのも上手ね。もっとよく揉むように塗り込んでちょうだい…。」
「揉むようにですか…こんな感じでいいんでしょうか…。」
彼はオイルのついた大きな手で私の胸を揉み始めた。
「あっ…んっ…そう…そんな風にぬるぬるの手でよく揉んで…。おっぱいが終わったら、太ももの内側もお願い…。」
私は脚を開いて、太ももの内側を露わにした。
「きょ、響子さん…さすがにそこは…触れません。」
「大丈夫だから…好きな子を振り向かせるためにも、女性の身体に慣れなきゃ…。」
「はい…。」
ごくりと唾を飲み込んでから彼は太ももの内側に手を伸ばした。
「太もものつけねとかビキニラインのギリギリまで念入りにお願いね…。」
「分かりました…。」
太ももの内側に塗り込んでいる間、彼の眼差しはビキニ越しの私の秘部に注がれているように見えた。彼の視線を感じた私の割れ目からは自然と愛液が溢れ、ビキニは湿り、シミがにじみ始めていた。そのシミにも気づいたのか、彼の方は股間をパンパンに膨れ上がらせていた。
「湊音くん…じっくり全身に塗ってくれてありがとう。お礼しなきゃね…。」
起き上がると、私は彼の股間を触った。
「あっ…きょ、響子さん…。そこはっ…。」
「ここ…はち切れそうだから、楽にしてあげるわね…。」
ズボンとトランクスを脱がせ、私は彼の陰茎を直に触った。
「あっ…あっ…響子さん…。」
「好きな子のことを考えながら、自分で…することはあるの…?」
「はい…時々…一人で抜いてます…。あっ…。」
私が陰茎を擦る度に、彼はかわいらしい声で喘いだ。
「もっと…気持ち良くなることをしてあげるわね…。」
私は彼の陰茎を口に含み、何度もフェラチオをした。
「あっ…あっ…響子さん、フェラとっても気持ちいいですっ。口でされるのがこんなに気持ちいいなんて知らなかった…。」
「出したくなったら、遠慮なく、私の口の中でイっていいのよ。」
「うっ…あっ…はい。響子さんの口の中に出します。俺…もう我慢できません。うっ…イクっ…。」
彼はどろどろ濃くて大量の精液を私の口の中に出した。溢れ出た精液は私のあごや首に流れ、胸まで到達していた。
「すっ、すみません。響子さんのきれいな身体を精液で汚してしまって…。」
「気にしなくていいのよ。湊音くんの精液、とっても濃厚でオイルみたいだから、身体に塗り込んでしまうわね。美容に良さそうな素敵な精液だから…。」
私は口に含んでいた精液はちゃんとトレーにしまい、残りのこぼれた精液も拭き取らずに、自分の身体に念入りに塗った。
「響子さん…俺…まだ落ち着かなくて困ってます。」
射精したばかりの彼の陰茎は早くもまた勃起していた。
「すごい…立派な陰茎ね…。もっといいこと教えてあげるから…。これができるようになればきっと好きな子を喜ばせることができるわ。」
私はあらかじめみつけていた近くの岩陰に彼を誘った。
「湊音くんさえ良ければ、ここで私の中にそのたくましい陰茎を入れてちょうだい。」
私はビキニを脱いで脚を開き、さっきから濡れている陰部をくぱぁっと開いた。
「響子さんの中に入れてもいいんですか?俺…こういうことは初めてなんですが…。」
「怖くないから、好きなように入れてみて…。」
彼はケダモノのようにいきり立った陰茎を、よだれを垂らして待っているみだらな膣にゆっくり近づけた。
「本当に…いいんですか?性交してもいいんですか?」
「いいのよ…湊音くんのを入れてちょうだい…。」
狙いを定めた彼は私の膣に思いきり、ケダモノをぶち込んだ。
「あっ…ん…すごく硬くて大きい…。」
彼とひとつになった瞬間、空からぽつぽつ雨が降ってきた。
「あっ…あっ…響子さんの中、すごく気持ちいいです。雨…降って来ましたが、響子さんは大丈夫ですか?」
「あん、あん…雨なんてシャワーだと思えば気にならないわ。続けて。湊音くんのがもっとほしいのっ。」
「俺も雨に濡れるのは慣れてるから平気です。じゃあ遠慮なく、続けますね。あっ、あっ…すごい…とろとろなのによくしまるっ…。」
彼の腰の動きが激しさを増すと同時に、雨も少しずつ強くなった。
「あん…湊音くんの陰茎、私の奥に当たってすごく気持ちいいわ。いつでもいいから中に…私の中に出してちょうだい。」
「はっ…はっ…俺…もうイキそうです。うっ…出るっ。」
彼はさっきと同じくらい濃厚で大量の精液を私の膣内に出した。
「素敵な精液…雨で流れてしまわないうちに、採取させてもらうわね…。」
彼との性交が終わると徐々に雨は止み、雲間から太陽が姿を現すと、海の向こうの空には虹がかかった。
「響子さん…虹が出ましたよ。」
「ほんと…きれいな虹ね…。」
「俺…響子さんのおかげで、女性の身体や性交を覚えたから、好きな子にもう一度、告白してみようと思います。なんか勇気が出てきました。」
「そう…良かったわ。湊音くんならきっと大丈夫よ。」
「ところで…雨でオイルとか全部、流れてしまったんじゃないですか?」
「ウォータープルーフの日焼け止めだから、大丈夫よ。でも…せっかく塗り込んだ湊音くんのオイル…精液は流れてしまったかもしれないから、また私の身体にちょうだい。」
儚い虹と砂に書いた名前は消えてしまっても、私たちはパラソルの下に戻ってしばし、オイルみたいな体液を塗り合って、はしゃいでいた。波音が響くビーチで…。

 
 8月5日(土曜日) 高校1年生・悠生(ゆうき)くん 廃墟にて
 
♪『Hello,my friend』&『ひこうき雲』松任谷(荒井)由実
 
 今夜は怪奇現象が起きると噂のスポット、とある廃墟に足を運ぶことにした。夏休みは若者で賑わっているスポットだとニュースで知った。一人で行くのは少し怖い気もするけれど、恩師・鬼頭教授のおかげで私はご遺体には慣れている。もしも本当に幽霊がいるとしてそれが亡くなった人だとすれば、元は同じ人間なのだから、怖がる必要はない。故人の霊より、むしろ恐ろしいのは生きている人たちの方。妬みや恨み、執拗な嫌がらせなど、幽霊より生霊の方がよっぽど質が悪いと思う。幸い、私は生霊を感じたことはないけれど、憑りつかれている人はきっとつらい思いをしているだろう。
 
 暗い廃墟の入り口に一歩、足を踏み入れると、人影が見えた気がした。
「こんばんは…誰かいるの?」
ライトで照らすと、そこには一人の男の子が立っていた。
「うぁっ、びっくりした…。こんばんは…。お姉さんも一人なんですか?」
「えぇ、一人で来たの。私は響子よ。君の名前は?」
「僕は高1の悠生です。友だちが先に行っててっていうから来たけど、待っててもなかなか来ないし、どうやらまた騙されたみたいで、一人なんです。」
「騙されたって?」
「こういうこと、時々あるんです。一緒に遊ぼうと誘っておきながら、すっぽかされることが…。たぶん僕、いじめられているんです…。」
「そんな子たちとは関わらない方がいいわ。悠生くんは自分を大切にしなきゃ。」
「分かってるんですが、いじられたり、いじめられても、かまってもらえるのはうれしくて…。完全に一人になるのが怖いんです。僕は臆病者だから。」
「自分のことを大事にしてくれない人たちと関わり続けるのは自分を傷つけることになるわ。自分の気持ちを騙しながら、関わらなきゃいけないんだから。」
「それも分かっているんですが、僕は一人になりたくないから…。」
「ねぇ…悠生くん、せっかく来たんだし、とりあえず二人で肝試し…しない?」
「はい…よろしくお願いします。」
私たちはさびれた廃墟の中にゆっくり潜入した。
 
 「お姉さんは…幽霊とか怖くないんですか?」
「全然怖くないと言ったら嘘になるけど幽霊は、元は生きてた人間かもしれないと思えば怖くなくなるわ。」
「たしかに…そう考えれば少しは怖さも和らぎますね。」
「私ね…母を幼い頃に亡くしているの。真夏の…済んだ青空にひこうき雲が長く伸びていた日のことだったわ。病院の窓から母と一緒に見ていたひこうき雲が消えてしまう前に、母の方が息を引き取ってしまったの…。だからね、もしも幽霊がいるなら、母の幽霊なら会いたいくらいよ。幽霊でもいいから会いたい…。一度も見たことはないんだけどね。」
「そうだったんですか…お姉さんのお母さんはもう亡くなっているんですね。僕も…亡くなったおばあちゃんなら幽霊でもいいから会いたいな…。お姉さんはお父さんに育てられたんですか?」
「私が生まれた時、父はすでにいなかったの。だから私は、母が亡くなってから、児童養護施設に預けられたのよ。仲間はいたけど、友だちらしい友だちはいなかったし、ひとりぼっちみたいなものね。ずっと孤独だったわ…。」
「お姉さんは一人で生きていたんですね…僕と違って強いな…。一人でも生きていられるなんて。」
「勉強が好きだったから…。一人で勉強ができればそれで楽しかったの。悠生くんも何か一人で楽しめることがあれば、孤独に勝てるんじゃないかしら?」
「一人で楽しめることか…。僕はお姉さんと違って、勉強なんてできないし、何の取り柄も趣味もないし…。」
二人で話しながら歩いていると、突然近くの壊れかけのドアがバタンと閉まった。
「うあっ。」
その音に怯えた彼は私の腕にくっついた。
「すっ、すみません…。」
慌てて私から離れようとする彼を引き止めた。
「いいのよ…怖かったら、腕を組みながら歩きましょう。」
私は彼と腕を組みながら、少しずつ自分の胸の方へ彼の腕を引き寄せた。
「お姉さん…腕が…お姉さんの胸に…。」
「ねぇ…さっきの話だけど、一人で楽しめる趣味を教えてあげましょうか?もしかしたら…悠生くんも知ってることかもしれないけど…。」
私は自分の胸に彼の腕をくっつけたまま、廃墟の中でみつけた寝室だったらしい場所に向かった。
「私ね…勉強の合間にこんなことをして、集中力を高めていたのよ。」
古びたイスに座り、脚を開いて、自分の手で陰核を触り始めた。
「ん…っ。」
「おっ、お姉さん、何してるんですか?」
シャイな彼は私から視線を逸らそうとした。
「何って…自慰よ…。これなら一人でもできるじゃない?」
私は陰核だけでなく、乳首もいじり始めた。
「あっ…ん…。気持ちいい…。悠生くんは…自慰…したことないの?」
そのうち我慢できなくなった私は膣に指を入れると、暗がりの中でぐちゃぐちゃぴちゃぴちゃという静かな音が響いていた。
「…あるけど…なかなか上手くいかなくて…。イケなくて…。」
彼はその音を頼りに、暗くてよく見えない私のみだらな姿を想像している様子だった。
「そうなの…。じゃあ、お姉さんが教えてあげる…。」
私は彼をイスに座らせると、ズボンとパンツを下ろして、すでに大きく勃起していた彼の陰茎を手で擦り始めた。
「こうやって…強弱をつけながら、何度も擦るのよ…。」
「あっ、あっ…お姉さん、そんなの、耐えられません。僕、すぐイっちゃうそう。」
「我慢しないで、イっていいのよ…。」
早漏らしい彼は瞬く間に私の手の内で射精してしまった。
「なんだ…ちゃんとイケるじゃない。自信を持って大丈夫よ。」
私は彼の精液をトレーに採取すると、今度はフェラチオを始めた。
「お姉さんの手コキが上手だから…ってフェラまで。あっ…手でされるよりもっと気持ちいいっ。」
「フェラは一人ではできないけれど、彼女ができたら、こんな風にたくさんしてもらうといいわ。」
「僕は…こんなだし、彼女なんてできません。やさしいお姉さんが僕の彼女だったらいいのに…。僕…お姉さんみたいな人が好きです。お姉さんに恋しちゃったかもしれません。あっ、あっ…。」
私にフェラされながら彼はそんなことを呟いた。
「お姉さんを好きになってくれてうれしいわ。じゃあもっと、気持ち良くしてあげるわね…。」
私は彼の陰茎を根元までずっぽり口で咥えると、深くじっくり舐め回した。
「あっ、あっ、お姉さんのお口、気持ちいいっ。僕また出ちゃうそうですっ。」
「いいのよ、いつでもお姉さんのお口の中に出して。」
彼は悶えながら、私の口内に思いきり射精した。
「はぁ…はぁ…お姉さん…僕…エッチなことが好きになってしまいそうです。」
「好きになっていいのよ。一人エッチをマスターすれば、寂しくなんてないでしょ?フェラされるのが好きになったのなら、彼女を作ればいいわ。いじめっこたちと関わるより、女の子を好きになって恋した方が楽しいわよ。」
「そうかもしれないですね…僕、お姉さんみたいに自慰をマスターして、いつか女の子とお付き合いできたらいいな…。」
その後、彼は私に教えられた手コキを自分で練習しては、何度も射精を繰り返していた。彼のそんな健気な姿をおかずにしながら、私も自慰を楽しんだ。
 
 二人で自慰を堪能した後、廃墟から出ると、また人影が見えた気がした。
「ねぇ…今、影が横切らなかった?」
「はい…僕も見えました…。しかも二人だった気がします。」
「私たち以外にも誰かいるのかしら?」
ライトを照らして辺りを探してみても、誰もいなかった。
「もしかして…本物の幽霊…?」
彼は怯えていたけれど、さっきみたいに私にすがりついてくることはなかった。自慰を覚えた彼は少しは勇気もついたのかもしれない。
「本物の幽霊だったのかもしれないわね…。この辺は戦争で亡くなった人が多くて、さらにこのお屋敷で不審な死を遂げた人がいるらしいから、幽霊がいても不思議ではないわ。」
「そうですよね…平和な今じゃあ信じられないけど、昔は日本もあちこち空襲でやられて亡くなった人たちがたくさんいるから、本当は肝試しより、ちゃんと供養しなきゃいけないんだろうなって思います…。」
「そうよね。私も興味本位でこの場所に来てしまったけれど、悠生くんの言う通り、きちんと供養しなきゃね。」
私たちは廃墟に向かって、手を合わせ、頭を下げた。するとまた影が横切って、今度は蔦が茂る外壁に明らかに私たちとは違う複数の人影が映り、その影たちはまるで性交しているような動きを繰り返していた。
「お姉さんがエッチだから、幽霊を呼び寄せちゃったんじゃないかな…。幽霊もきっとエッチなことがしたいんだと思います。」
その動く影を見ながら彼は言った。
「たしかに…幽霊だってしたいかもしれないわね。でも…魂や骨だけになったら、エッチなことはできないのよ。血液や神経が通っている肉体がないと性交はできないし、血が流れていないと陰茎は勃起もできないもの…。だから生きている間しか、エッチは楽しめないの。血液と神経が通い合う肉体と、快楽を感じられる心を大事に生きなきゃね。エッチなことができるから、生きるって素晴らしいことなのよ。悠生くんも自分の命を大切にしてね。」
「そっか…そうですよね。骨だけになったら、勃起もできないし、性交なんてできないから、僕は自分の身体と心と命を大事にします。命がある限り、エッチを楽しみたいです。だからお姉さん…自慰だけじゃなくて、僕に性交も教えてもらえませんか?」
人が変わったように急に積極的になった彼は、もしかしたら性交したくてもできない幽霊に憑りつかれてしまったのかもしれない。性交も知らないうちに亡くなってしまった少年の霊に肉体を乗っ取られたのかもしれない。何度も自慰をしてくたびれたはずの彼の陰茎は今までにないほどガチガチに勃起していた。
「会えなくて、寂しくて、悲しかった…。ずっと会いたかったよ…。君は僕のことをただの友だちって思っていたかもしれないけど、僕は君のことを友だち以上の感情で思い続けていたよ…。もっと早く、愛してるって言えたら良かった。君を愛してる…。」
そんなうわ言を呟く彼は、見せたことのない安らかな表情を浮かべていた。彼なのか幽霊なのか何者か分からない、得体の知れない誰かと私は廃墟の外の茂みで性交をした。蔦が茂る壁には彼と私の重なり合う影が揺らめいていた。この時、私も彼の大切な想い人に憑依されていたのかもしれない。彼との性交の間、なんとも言えない幸せな気持ちに包まれ、涙が溢れて止まらなかったから…。

 
 8月11日(金曜日) 高校2年生・奏多(かなた)くん フェス会場からカラオケ店にて
 
♪『HANABI』(Mr.Children)
 
 灼熱の日差しが降り注ぐ中、私はフェス会場へ行き、次から次へと絶え間なく演奏される様々な音楽を味わっていた。カップルや友人同士など、複数人で参加している観客たちが多い中、私と同じく一人で参加していた彼に声をかけた。
「一人で来たの?私は響子。良ければ一緒に観ない?」
「はい、一人でした。俺の大好きなロックバンドが出てるので、高2だけど一人でも来ちゃいました。奏多って言います。」
「奏多くん、私もロックバンドが好きなのよ。」
「気が合いそうですね、響子さん。あっ、始まった!」
彼が好きだというバンドの演奏が始まると、彼は前方へ駆け出した。
「このバンドが好きなの?私も一番好きなバンドよ。」
「そうなんですか?同じバンドが好きなんてうれしいです。」
私たちはそのバンドが演奏する曲に合わせて、ノリノリで一緒に歌を口ずさみ始めた。
「響子さん、歌上手いですね。」
「奏多くんこそ、上手よ。」
「ねぇ…フェスが終わったら、一緒にカラオケに行かない?」
「いいですね。打ち上げってやつですね。」
一日中、二人でフェスを楽しみ、フィナーレの花火を見届けると、私たちはフェス会場から最寄りのカラオケ店に向かった。
「フェスの後だから、さすがに混んでますね…。」
「みんな考えることは同じね。」
運良く部屋が空き、さほど待つことなく入室できた。
「まずは一番盛り上がったこの曲から。」
彼は『HANABI』という曲を選曲した。
「すごい、改めて聴くと奏多くんはやっぱり歌が上手ね。」
「ありがとうございます。俺…できればミュージシャンになりたいんですよね。なれっこないけど、憧れます。だからちょっとだけギターとか練習してて…。」
「奏多くんならミュージシャンになれるわよ。ギターで弾き語りの歌も聴いてみたいわ。」
「いやーギターはなかなか上達しなくて、困ってます。」
「諦めずに練習し続ければきっと報われる日が来るわ。何事も鍛錬が大事よね。」
私たちは『君がいた夏』、『イノセントワールド』など推しバンドの曲を次々歌った。続いて彼は『しるし』という曲を入れた。
「私…この曲が一番好きなの。」
「奇遇ですね。俺も一番好きな曲です。最初からこうなることが決まってたなんて運命を物語るような歌詞が好きで…。」
「私もよ…。恋愛を歌っているようで、命の絆を歌っているようにも聴こえるし、大好き。ねぇ…私たちが今日出会えたのも偶然じゃなくて、生まれた時から決まっていた定めなのかもしれないわね…。」
長い間奏の間に私は彼にキスをした。
「きょ…響子さん…。すみません、俺…彼女いるんです…。」
「そうなの…。ごめんなさいね。」
「でも…俺…彼女と上手くいってなくて、だから今日も一人でフェスに来て…。彼女のことは好きだけどキスも何もまだできなくて…。彼女に嫌われたくないから、手をつなぐのがやっとで…。」
涙目になりながら彼はそんな風に呟いた。
「そうだったの…。彼女のことが大切だから、まだ触れることができないのね。でも、もしかしたら、彼女の方は、奏多くんが触れてくれるのを待っているのかもしれないわよ。」
「そうなんでしょうか…。女の子ってそういうものなんですか?俺、女の子の気持ちが全然理解できなくて。機嫌いいと思ったら、次の日には何か怒ってたりするんです…。」
「そうね…女心は難しいから…。彼女に触れる練習を私の身体でしてみない?彼女を喜ばせることができたら、きっと今より仲良くなれるわよ。」
「えっ、響子さんの身体で練習していいんですか?俺…ほんとは女の人の身体に興味あって…。でも彼女とはまだできないから、ずっとムラムラしてたんです。」
「いいわよ。女性の身体はギターと同じで、押さえるポイントがあるから。私が教えてあげる…。まずは乳首から…。」
私は胸を露わにして、彼に見せた。
「うぁ…生で見たのは初めてです…。すごいぷっくりしてて、おいしそう…。」
「触ったり、しゃぶったりしていいのよ…。」
彼は私の乳首に思いきり吸いつきながら、乳房を揉んだ。
「すごい…おっぱいだ…おっぱい…おいしい…。」
「あ…ん…。上手よ…。そうな風にやさしく吸ったり、強く吸ったりして…。何度も…。」
彼に乳首を責められた後、今度は脚を開いてショーツを脱いだ。
「奏多くん…あのね…乳首以外にもう一ヶ所、すごく敏感な部分が女の子にはあるのよ。ここ…陰核っていうなんだけど、くりくりやさしく触ってみて…。」
「はっ、はっ…これが本物の陰核…。すごい…小さいけど勃起してる…。」
彼は興味深げに私の陰核をくりくり触った。
「ん…あっ…とっても敏感に部分だから、やさしく触ってね…。」
「響子さんのここ…どんどん大きくなってこりこりしてる…。舐めてみてもいいですか?」
彼は舌でべろべろ私の陰核を責め始めた。
「あっ、あっ…ん…すごく、すごく気持ちいいのっ。奏多くん、上手ね…。んっ…。もっといっぱいぺろぺろしたり、ちゅーちゅー吸って…。」
巧みな舌遣いで私の陰核を責めていた彼は、気づけば股間をもっこりさせていた。
「奏多くんのここ…すごいことになってる…。」
私はやさしく彼の股間を触った。
「あっ…響子さん…。触られると気持ちいいです。実は俺…フェラされてみたくて…。すごく気持ちいいって聞くから…。」
「いいわよ…フェラチオしてあげる…。ねぇ、せっかくだから、二人で舐め合いましょうよ。」
ソファーに寝かせた彼の上にまたがると彼の口元に自分の性器を近づけ、私は彼の陰茎を口に咥えた。
「うぁ…響子さんのここ、すごくはっきり見える…。とろとろしてて、ひくひくしてて、すごくいやらしい…。それにエッチな匂いがするね…。」
鼻をくんくんせさながら彼は、私の陰核や膣に舌を這わせた。
「あっ、あっ…奏多くん、すごく上手よ、いいっ。」
私は腰を動かしながら、彼の陰茎をしゃぶり始めた。
「あっ…響子さんの口の中、あったかくて気持ちいい…。これがフェラチオなんだ…。すごい…手でするより断然気持ちいい…。」
彼も私の口の動きに合わせるように腰を振り出した。
「ん…んっ…。はち切れそうなくらい、さらにおっきくなってきたわ…。」
「響子さん、響子さん…気持ち良すぎて、俺、射精してしまいそうです。」
「いつでも私の口の中で射精してちょうだい。私も…奏多くんのお口でイっちゃいそう。あっ…あっ…。」
「響子さんっ、二人で一緒にイキましょう。あっ、出るっ…。」
彼は私の口の中にねっとりした精液を出した。
「すごい…こんなに濃くて、素敵な精液…。」
私は口から彼の精液をトレーにだらっと垂らして、大切にしまった。
「響子さん…すごく気持ち良かったです。俺、もう一回響子さんとしたいです。今度は下の口を使わせてください…。」
「彼女がいるのに、私と初体験しちゃっていいの?」
「はい…響子さんに俺の童貞を奪ってほしいです…。」
「それなら、下のお口の使い方も教えてあげるわね…。」
私は彼女がいるという彼と、性交をした。童貞を卒業した彼は「もう一回、もう一回」と何度も性交をせがんだ。カラオケしていたことも忘れ、獣のような私たちはお互いの身体を貪り合い、夢中で何度も性交し続けていた。すぐそこまでさよならが迎えに来ていることも知らないフリをしながら…。

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