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随筆(2021/12/16):「反抗期の子供を社会に送り出せるような養育者と同等の立ち振る舞い」という、色恋沙汰における呪われた賢者の石の話(1_13-14)(略奪防止、慰め)

1_13.略奪防止

1_13_1.こうしてみると、公正って、だいぶハードル高いんですねえ

前回の記事はメチャクチャ長くて申し訳ありません。

しかし、
「書くことが…書くことが多い…!」
という顔で書いていましたが、つくづく思うのが、
「こうしてみると、公正って、だいぶハードル高いんですねえ」
ということです。

公正のハードルが高いのは、そういうもんなのかもしれんが、これが可能な(特に情報面での)リソースを持ってるやつが、そうそういる訳がないんだよな。

ハードルの高さは、しばしば個々人のおこだわりのルールブックの開示を嫌う風土に由来することがある。
ルールブックの開示がなされてないと、リソースがどんだけあっても、総当たりと失敗と破滅は避けられなくなる。
公正取引において、ルールブックの開示は、それほどまでに、決定的に重要な事柄なのだ。しないでは済まされない。

これをするとしないとでは、空振りの度合いがまるで違う。
もちろん主観的には
「要求は満たされない」。
より悪いことに、相手にとっては
「要求を無限に釣り上げられている」
か、
「何やっても反古にされるのだが、ひょっとしてこいつは最初から反古にするつもりで、意地悪で自分を振り回しているのではないか?」
という猜疑心が当然芽生えてくる。
こうして事実上「要求水準を釣り上げすぎる」と、その公正は、リソースを費やすに見合わなくなる。誰もそれをやらなくなる。

こんなの、トラブルの元にしかならないのに、それでもやりたがらない人、だいぶ多い。理解に苦しむ。
それは現に、意地悪としてしか機能していない。やめましょう。

ルール誠実でなければならないし、こんな風に曖昧、不誠実であれば取引が公正であるのはとても難しくなる。
そういうことをやればやるほど、その「公正」は、実は「公」でも「正」でもなくなる。
ちゃんと、広く他人一般、「公」に対して、「正」しさを示せるようにしましょう。
それはふつう、相手のしてくれたことに対する公正だから、「相手のしてくれたことに見合う」という形を、ふつうとる。
つまりは、質や量の話になるし、具体案も問われる。
そういうやり取りをして、初めて「公正取引」なのだ。

***

とはいえ、ここは色恋沙汰の、それもたかだか中間地点で要請されることに過ぎない。
まだまだやることは多い。

んで、今からする話は、なんと「公正取引の綻びと、その対策」だ。
しかも、「略奪」の話だ。
当然これは身の危険の話にもなる。色恋沙汰の中にしばしばある、極めて強く望ましくない、血生臭さの話だ。
マジでこの話はしたくないんです。どうしたって何もかもえげつない話になるし、こんなことを書く私は嫌われるのだから。

「だからこそ」。
ここもキッチリ書きます。

(前回みたいに無限に書くことが膨れ上がらないようにはしますが、うまく行ってるかは、「仕上げを御覧じろ」としか言えないですね…)

1_13_2.なぜ略奪が行われるか

1_13_2_1.不明瞭な理由で無駄に高い公正は、「公」でも「正」でもなくなるため、利害関係者は付き合ってられなくなる

さて、「なぜ略奪が行われるか」という話をします。したくねえなあ。

***

先程触れましたが、ルールブックのない公正取引は、理由が不明瞭になるし、やるとなると、当てずっぽうの目押しでやることは避けられなくなる。
これは確率が低ぎるため、バカみたいな無駄が生じ、べらぼうに高くつく。
こんな公正は、「公」でも「正」でもなくなるため、利害関係者は付き合ってられなくなる。

するとどうなるか?
王道や、その一環としての公正取引は、キツすぎてやってられない。
だから、王道と関係ない安い公正取引に頼る人もいるし、痛み止めに頼る人もいるし(この辺は前回くどくどと書いた)、さらにはなんと略奪に頼るやつも出てくる。

***

王道と関係ない公正取引痛み止めの横行は、
「それだけやってても決して王道には行けないし、楽土にもたどり着かない」
というメチャクチャデカいデメリットはあるが、王道のキツさや非即応性を考えた時の応急手当としては猛烈に役に立つ。
逆に、痛み止め無しで王道を行けないし楽土へもたどり着けないが、あったら行ける人たちの方が、痛み止め無しで行ける人たちより、はるかに多いだろう。だから、これをもはや否定はしたくないんですよ。
(もちろん王道が示されていることが根幹の大前提であり、そしてそれは少なくともルールブックを隠していたら永遠に出来ない相談だ)

だが、略奪は、王道全て焼き尽くす、焼畑農業だ。
「王道をやっても、どうせ焼畑農業めいて略奪されるのだ。
じゃあ、こんなものは王道として顧みる価値すらない。
信頼に値しない。ごみ」

こういうとてつもないデメリットがあり、これは今までの話を全部焼き尽くすので、何としてでも避けねばならない。

1_13_2_2.略奪は公正より通常「はるかに安くつく」。何せ、払わないで済ませるのだから

略奪そういう危害であり、おぞましいレベルで迷惑だが、略奪する側の動機はだいぶ明瞭だ。
即ち、略奪公正より通常「はるかに安くつく」からだ。

献身依頼約束互恵関係公正取引は、かなり多くの場合、相手を喜ばせるために有形の財無形のサービス払う。というプロセスだ。
そこには、「報われる」という話は、とりあえず入っていない。それは互恵関係以降の話だ。

だが、このままではサービス持ち出しになり、いつかは枯渇する。
持ち出しにならないためには、当然働いて稼がなければならない。
通常、働けば働くほど、時間も体力も気力も減っていく。そして疲労は増えていく。
それが一線を超えると、遂には相手に財やサービスを払いたくなくなる。
こうなるとその関係は崩壊秒読み段階だと言えるだろう。

なぜ払いたくないのか?
「報われない」献身等に、そのうち意味を感じられなくなるからだ。
これも当たり前で、外形的には失敗し続けている振る舞いだからだ。
失敗し続けているのに、やり続けられる人は、そうはいない。
ふつうはうんざりしてやめてしまうだろう。

え? 「受けているこちらの目からすれば、ちゃんと成功しているよ。失敗なんかしてないよ」?
それ、ちゃんと言うべきですよね。
外形的にそういうシグナルが出ていないんだから、失敗と区別出来る訳ないじゃん。

え? 「シグナルも出してる。感じ取れないのは相手が鈍いからだ」?
相手に届いてないかもしれないのに、
「そんなシグナルの出し方で十分だ」
という話が出て来るの、相手への伝達ということをあまりにもいい加減に考えてない?
ぶっちゃけ、「自己満足でコミュニケーションできるのが一番大事」で、「相手にどう聞こえているかは、突き詰めれば二の次」と思ってない?
コミュニケーション不得手も、それどころかコミュニケーション達者気取りも、よく平然とこれをやるけど、相手は
「何だコイツ。
コイツのこと、何も分からん。
関係が上手く行ってるかも分からん。
というかダメそう。
このまま関係を続けるの、ヤだなあ」

くらいのことは思うようになるよ。

***

本当は、途中で「献身したり、お願いを聞いたり、約束を守る度に、小さな報酬がその都度ある」なら、これが最大のシグナルになります。

というか、これがないなら、そりゃあそんな関係は単なる「全損のリスクのある博打」だ。
現に何の報酬もないんだから。
だったら、もし、このままいつか失敗するとしたら、端的にこの関係は、無報酬全損でしかない訳だ。
そういう疑いのある中では、およそ信じがたいが、ひょっとしたら将来的に大きな成就があるかもしれない。
だが、その経過における成否「明瞭な」シグナルが出ていないのだ。到底信じがたい。という話になっても、何の文句も言えた義理じゃないだろう。
こんなもん、早期に損切りする動機としては十分過ぎる。
博打でなく構築をやりたいのなら、全部無駄になる疑いの濃厚なものを構築するの、ふつうの神経ではおよそやってられないだろう。

だから、ちゃんと、謝辞返礼は、少しずつでも、やっておいた方がいいですよ。関係を続ける気なら。
続ける気がないならやめた方が良いでしょうね。そんな詰んでる関係なら、さっさと絶った方が、お互い貴重な時間を無駄にせずに済む。

***

さて。
互恵関係公正取引成り立っていない、失敗しているように思うと、思った側には三つの選択肢がある。
ズルズル続ける
(当然続けることにした側幸福じゃないし、いつかは破綻する可能性が高い)、
別れを切り出すか、
払うターンを打ち切ってノシつけて返させようとするかだ。

最後が一番怖い。略奪の動機になるからだ。
しかもやる側は
「借金の取り立てである。断固正当である。
これが正当でないと思っているやつ、やはり不公正でありながら愧じない邪悪生物であり、ますます厳し目に扱っても構わん」

くらいに思っている。
これは怖い。こんなテンションの人、生半可な説得じゃ、まず止められないじゃん。

***

これに抗するには、いくつかある。
ダメな例から挙げます。

「ウルセーテメーは黙って財・サービスを差し出せばいいんだよ」とやる

結婚後はこれがよくある。
もちろんこれは「相手に余儀なくする」支配である。

支配されている側にとっては、これは黙らされて意に反して財・サービスを吐き出させられているので、これはふつう猛烈に不幸である。
当然、相手には、支配から脱出するために、関係をぶち壊しにする、かなり強い動機がある。

ここで相手の心を折れば、逃げる気持ちは削れていくだろうが、愛情も同時にゴリッゴリに削れていく。
そんなんで、
「愛しているから、嫌と言わず、逃げないのだ」
じゃあないんだよな。

アキレス腱を切った相手しか愛せない人と同じ。それは「愛したい」のではなく、本質的には「支配したい」んでしょう。
そこまでやらないと安心して愛せないでしょ。
で、要は自分の安心のために、相手のアキレス腱を切ったり心を折ったりするのを、「愛」と言い張るでしょ。
そんな話、何で世間に通ると信じた?

え?
「これが広く世の中の現実だ」?
自分の不安と、それをだまくらかすための妄想実現して、「現実でござい」と言われても、ふつうそんな現実は一般的ではないので、広くも何ともないですね。

それに、相手はそのうちあなたに深い怨恨と殺意を抱くようになるだろう。
それはマジのやつなので、殺されるリスクなしで呼吸のように楽に生きていたいのなら、そういう支配、やめときなさい。
だから、このやり方、ダメです。

「全然足りんくせに返礼とか何言ってやがるボケ」とやる

これも結婚後によくある。

財・サービス総合で見た時に、文句があるんだろ?
そして稼ぎを増やしたら過労で心身はボロボロになって愛は減る。という話はもうした。
ゆっくり頑張れば堅実に総量は増えるだろうが、そんなにすぐは伸びない。

それで文句があるなら、じゃあもっと文句の出ない、もっと稼ぎのいい人と付き合いなさいよ。(それはふつう愛とはもはや関係なくなるが)
それが嫌なら、今の関係の方が
「まだしも望ましいからそうしている」
訳だ。

そこは、いったん、呑み込みましょう。

もちろん、
「まだしも望ましいが、不足はしている」
とは言いたくなるだろう。

だが、そこで今の人を責め続けて、関係がより良くなると思うか?
相手はあなたに財もサービスも捧げたくなくなるし、だから不足はどんどん増えていく。辛くなるばかりだ。
しかもこれはもちろん自分の非難によるものだ。こういう結果が嫌なら、そもそもやらなきゃいいのだ。
だから、このやり方も、ダメです。

***

まともな例も出します。

見合うだけの返礼を返す

もちろんこれが一番まともです。

で、ふつう、「返すという発想がない」か、「返したくない」から「返してない」んですよ。

前者なら、ともかく直ちに返しましょう。
「借金の取り立てである。断固正当である。
これが正当でないと思っているやつ、やはり不公正でありながら愧じない邪悪生物であり、ますます厳し目に扱っても構わん」

ということを、自分がその通りに振る舞って実際に証明してはいけません。
当然相手は「やっぱりそうなんじゃねーか!」となって、後は徴発を開始するだけになるからです。
最悪だ。
だからここの解消は、最重要ポイントです。


後者、「返したくない」という動機を、さらに理由別に細分化すると、それはふつう相手のサービスが足りないか、相手の寄越した財・サービスに対して、自分の中に、適合する快楽の官能的感受性がないか、適合するタイプの官能が何らかの理由で鈍っているかだ。

前者なら、
「今のこれは、もらっても困るので、これこれこのくらいの程度の水準のものか、別のものが欲しい。それをもらってからまた考える」
ちゃんと伝えましょう。
何度も書いてる、明瞭なルールブックやシグナルの話です。

後者二つの場合、それは「看護や介護に近い水準の世話を、相手に余儀なくしている」ということに、結果的にはなっている訳だ。
もちろん相手そんな話はされてないし(してないでしょう)、そこまでの覚悟なんか持つ謂れもないので、そのうちやってられなくなる。
なおもリハビリへの協力をお願いするなら、それは要求の上乗せであり、ちゃんと頭下げて重ねてお願いしなきゃならん。しばしば追加報酬も要る話になるだろう。頑張って下さい。

要求水準を下げたくないのも、断られそうな話をしたくないが、だまくらかしてこっそりやらせたいのも、気持ちとして「だけなら」分からなくはない。
だが、自分のニーズは言語化して伝達した方がいいですよ
つまり、ルールブックやシグナルの明示は、やはりなされなければならない。

1_13_3.それはそれとして、「略奪が正当である」という話には、およそなり得ない

1_13_3_1.略奪は豊饒な大地を荒れ地にする領(シマ)荒らしなので、シマの人はこれを許しておけない

さて、もっと酷いパターンの話をすると、
「そもそも払うつもりがなく、初手で搾取のために略奪する」
という戦術を採用している人たちがいる。

彼らは、この戦術によるコストより、「払わないで済ませて」「略奪する」ゲインの方が大きい(と思っている)から、これを採用している。
むしろ
「お互いがお互いのためにするの、コストがべらぼうにかかるし、そんなことでなにがしかを得ようとするやつ、あほではなかろうか」
くらいに思っている。

もちろんそれは、互恵関係や公正取引を育んできた豊かな田園を、勝手に狩場にしているから言えることだ。
偉いのは互恵関係や公正取引を育んできた人たちであって、ここで狩人をやる人たちは、あほではないかも知れないが、端的に領(シマ)荒らしだろう。
皆の集めた基金を、誰か少数の、しかも外野の誰かが、勝手に引き出すのと同じ。

そりゃあ、シマの人たちからすれば、排除の対象にもなるよね。
ほっとくとシマは豊饒な大地から荒れ地に変わるんだから。
皆大迷惑するんだから。

ということで、彼らがそういう安易な発想に至るのは分からなくはないが、
「分かる。構築できない盗人はそういう発想になるよね。
何処かへ行けるかも知れないが、何にも創れない」
くらいの冷たい感情しかないし、人や場への実害も大きいので、これはテキパキ排除していくしかない。

***

なお、しばしば、相手の私的領域やその付近の情報を聞き出そうとする働きかけを行い、聞き出すと
「相手の私的領域やその付近の情報をゲットできた」
とほくそ笑む
向きがある。
これは、「略奪」という文脈から鑑みると、「準備段階のハッキング」として非常に効果がある。
当然、相手が「略奪」を警戒している場合、
「こいつのこれは略奪の準備段階としてやっている疑いが出て来たし、後日こいつは自分から略奪を行う可能性が出て来た」
と判断されるだろう。
そうなったら、これは猛烈に嫌われる原因だ。マジでやめた方がいい。

とにかく、「相手が」「表に出している情報」を、まず見ましょう。
そして当面は「自分と他人の」「表に出せる情報」「だけ」で会話を完結させましょう。
「隠されている」情報へのアクセスを試みたら、そりゃあ相手はビビりますし、ふつう印象はとても悪い。

相手があなたに心を許したら、あなたに対してはそれだけ情報を「隠さなくなる」。
「表に出している情報」と、「隠していたが今となっては見せてくれた情報」「だけ」を、押さえていきましょう。
それ以外はふつう「不正アクセス」として受け止められます。気を付けましょう。

もちろん自分もそういう感じでやっていきましょう。
逆に、いきなり何でも自分の深い所の情報を投げつけない。
そこでなおも
「あなたには隠さないようにする」
とお出しされた情報は、大事に扱いましょう。
ここを粗略にしたら、
「チッ。二度とこいつにいかなる『深い』情報も見せるもんか。心? 開く訳がないやろ」
くらいには思うようになります。
気を付けたいところですよね。

1_13_3_2.!!!警告!!!略奪を肯定したい人たちへ。俺は断じて「略奪を正当化するから、略奪しろ」とは言ってない。徹頭徹尾逆の話をしている。その上で俺の文章を「逆の意味に使うな」

間違えてはいけません。
「略奪を正当化するから、略奪しろ」と言っている訳ではありません。
結果的には、色恋沙汰を「ちゃんとやる」なら、「略奪防止に備える」絶大な保険になる。ぜひ備えましょう。という話をしているのです。

もう一度書きます。
「略奪を正当化するから、略奪しろ」と言っている訳ではありません。
「こいつがそう書いた」と言われるの、猛烈に困ります。
意図的に逆の意味を伝播した。という、かなり強い侮辱と受け止めます。
これを抜け抜けと主張する、つまりは私の記事を私の意図と逆の形で利用する人たちに、「そういうことをするな」とあらかじめ警告します。

いいですか。
警告しましたよ。
読みましたね。


最後にもう一度書きます。
「略奪を正当化するから、略奪しろ」と言っている訳ではありません。
俺はくどくどと明記したぞ。
これを無視して、逆の意味で援用するな。
こうしてくどくどと警告もした。

これが分からん面をしながら、理解能力も責任もないながら、ヘラヘラと文章をどうこう扱うな。
悪用にかかる不利益? 喰らえばいいんじゃないんですか?

で、当然俺はこれをやる動機がありますよ? あるに決まってるだろうが。何意外そうな面してやがんだ。
他人の褌を悪用してその結果を直撃するか、悪用しないで何も喰らわないか、どちらかしかないのだ。
ここまで読んだ人は、これを読んだ。
とみなします。「そのように認識していなかった」は通らない。よろしいか。

1_13_3_3.略奪を正当化するやつは、公正がどんだけ安く済んでも、結局は略奪をするだろう。だって「払わなくて済む分さらに安い」し、そいつらの中ではそれは「正当化されてる」んだから

さっきちょろっと書いたが、「借金の取り立て人」タイプの略奪者の中には
「借金の取り立てである。断固正当である。
これが正当でないと思っているやつ、やはり不公正でありながら愧じない邪悪生物であり、ますます厳し目に扱っても構わん」
という、なんと公正性に基づく動機(!)がある。

で?
借金の取り立て云々以前に、「初手で略奪という戦術を採る」タイプの略奪者も、この理屈を振るうと、相手の道徳的優位性の判断がバグって、目に見えてひるむので、これをバンバン使う。
最悪だ。
こいつらが言うの、もはや完全に筋違いだろ。盗人猛々しい。

本人たちはマジで「自分たちは借金を踏み倒されている側だ」という妄信めいた確信があるのかも知れない。
実益が得られるなら、動機はデタラメな虚偽でも何ら構わない。
そういう人は、かなりいる。
何か事業をやるために、デカイ夢をぶち上げる人たちはいて、それは上手く行けば価値あることだが、少なくともこのこれは、価値を破壊する略奪に至る道だ。困る)

んで、糊塗された本音の動機はもちろん
「払わなくて済む分さらに安い」
だ。
彼らの口から吐き出される道徳的優位性の話は、みっともない本音の動機糊塗して、漆喰のように建前を上っ面だけ白く染めて、自分にも他人にも見えないようにするための、小賢しい自己正当化だ。
騙されてはいけない。

1_13_4.公正であることに「まだ」幻滅し切っていないのなら、当事者が略奪に晒されないようにはしなければならない。そこは、全力を尽くすべきところだ

公正取引にはちゃんと価値がある。
なかなか公正取引と言うのも難しいし、そこまでたどり着くのにとんでもないコストをかけていて、それに見合うような報酬は、まるでもらっていないかもしれない。
幻滅が、少なからず、あるかも知れない。

だが、そこに「まだ」幻滅し切っていないのなら。
公正取引のテーブルの上にはまだまだ「良さ」が残っており、それは守るべき豊饒の大地だ。
そこにいる当事者が、全部ぶち壊しにするような、クソみたいな略奪に、晒されないようにしなければならない。

これをして、実際に有事を防ぎ切った人や、有事を未然に防ぎ切ったと認められた人には、絶大な信頼があるだろう。
出来なかったら? まず当事者はとてつもなく可哀想な目に遭うし、
「当事者がそうなったのは、防ぎ切れなかった防衛失敗者のせいだ」
としか思い難くなるし、防衛失敗者はどうしたって強い自責の念からは逃れられないだろう。
信頼? 失墜するでしょうね。
当たり前ですね。自分は当事者を助けてやれなかったし、当事者は自分からは最終的には助けてもらえなかったのだから。

***

効果のありそうな備えは、やっておくに越したことはない。

今はスマホがあるから、ここから当事者に連絡してもらって、出来れば場所も訊き出して、直ちに警察に通報。
当事者が直接警察に通報できればいいのだが、こういう時に警察よりもまず家族や大事な人に助けを求めることは、大いにありうる
とにかく、何らかの「揉め事があった場合の緊急連絡手段」を設けておき、「いざという時に直ちにシグナルを送る」取り決めをしておくとよいだろう。
(いざという時に、シグナルの件をうまく思い出せるならば、これは猛烈に安全性が違ってくるだろう)

具体的な取り決めについては、「防犯のため」と言って、あらかじめ警察にいろいろ教えてもらうのがよいだろう。
警察は犯罪対策のプロだ。餅は餅屋だ。

もちろんこれが天寿を全うするまでずーっと役に立たないことを祈りたいところです。
が、ぶっちゃけ、大学入学シーズンの新人歓迎コンパの後とか、無視できないリスクがある。
なので、あらかじめちゃんと準備しておいた方が安全だと思います。

***

禁欲の仕方だけ叩き込まれて、いざそれが状況的に解禁された時に、作法も遵法精神もとにかく一切教えられなかったがために(これらの99%は後天的な教育によるものだ。最初からある良心の99倍もの作法を教えねばならないのだが、道徳教育も、性教育も、決してそんなことには成功してないんだからな)、とにかく今すぐ欲望を満たすことしかなくなった、何らかのゴブリンの如き元高校生たち、いる。

百歩譲るならば、誰も作法や遵法精神を教えなかった、そういう意味では可哀想なネグレクト被虐児ではあろう。
実践的な作法や遵法精神を決して教えない、教育とも呼べない貧弱で無惨な道徳教育や性教育の「成果」だ。
今更「無軌道大学生、困る」じゃあないんだよな。何を他人事のように言ってるのか、訳が分からん。

「これをしてはならないが、しなかったら何か得られるわけではないし、構築の方法の実演は、方針を教えることも含め、基本一切行わない」
というの、作法や遵法精神の教育として考えたら
「オッ! 教師の願望の垂れ流し! 無駄な無の教育! かったりーな。およそまともに聞いとんぞいや」
となるの、当たり前なんだよな。
(これを書いているのも、要はそれだ。真面目に書いてはいるし、読んでも欲しいが、突き詰めれば同じ穴のムジナだ。そう考えると、だいぶ気が滅入る)

だが、だからといって、彼らが略奪を正当だとふつうに信じて疑わず立ち止まらない、遵法精神もへったくれもない、シマを荒らす存在なら。
悪意の有無とか、作法の知識の多寡とか、基本別の話として、シマのモンとしては、やはりこれはその場からテキパキ排除して矯正するしかないんだよな。
こうならないために学校での集団教育や道徳教育や性教育をしているはずなのだが、(繰り返しますが)出来てないようにしか見えないのですよね。

だから、無軌道大学生新人歓迎コンパ性犯罪事件は、これを抑止する手段が有効に講じられていないので、依然として備えるに値する、今そこにある危機だ。
備えよう。

***

人々が丁寧に培った豊饒な大地には、常に略奪のリスクがある。
だから、それに備えることには、猛烈な意味がある。
関係者各位(連絡先が多ければ多い程リスクは減る)、皆で頑張ってください。

1_14.慰め

それはそれとして、略奪防止のために戦うと、成否を問わず、当事者全員、大小の恐怖や敵意や傷はふつう生じるものだ。
そういう時は、恐怖や敵意や傷のまだ小さい方の当事者が、恐怖や敵意や傷の大きい方の当事者を、慰めなければならない。

***

もちろんこれは、他の誰にも出来ない。

赤の他人にさせる訳にはいかない。
「外野が、知らんことについて、べらべらと見て来たようなことを言うな。
相手の慰めになっていないことを、さも慰めでござい、という口調で言うやつ、一体全体何様だ」

という話は避けられないからだ。

また、恐怖や敵意や傷の大きい当事者にさせるの、やめましょう。
せめて彼らが回復してからにしようよ。
確かに同じ傷を持つ者同士でなければ分からないこともあるが、ふつう、彼らは傷が深すぎて、自分が動けないのだ。
彼ら自体が慰めて欲しいし、安全なところで一息ついて思う存分感情のまま振る舞いたいのだ。
他人を慰める?
そんな状態ではないし、そんな余力、残っとる訳ないやろ。

だからこそ、
「当事者でなければ出来ないことを、ギリギリ動ける人がやる」
という観点からは、比較的恐怖や敵意や傷のまだ小さい方に動いてもらうしかない。

***

とはいえ、もちろん、比較的恐怖や敵意や傷のまだ小さい方も、恐怖や敵意や傷が無い訳ではない。
彼らだって慰められねばならない。

ここは本当にそうで、ここをすっ飛ばす、いかなる救済論も話にならない。
「傷の小さいやつには馬車馬の義務があるんだよ。
傷の大きい人が優先的に救われるべきである以上、傷の小さい人たちにリソースを割り振るなど、以ての外」

と、しかも傷の大きい人たちに対する共感に基づく善意で言い出す人たち、かなりいるが、それは八つ当たりです。やめましょう。
「当事者でなければ出来ないことを、ギリギリ動ける人がやる」
というのは、本来とてもおぞましいことだ。望ましいことだとはよもや思っちゃいけない。
まして、
「傷の小さいやつには馬車馬の義務があるんだよ。
傷の大きい人が優先的に救われるべきである以上、傷の小さい人たちにリソースを割り振るなど、以ての外」

と抜け抜けと言う人たちの話、かなり邪悪極まれりと言える。

「傷の小さい人を、傷の大きい人が無理をして、あるいは外野が何も分かってないことを言って、慰める」
ことは、容認しがたい。
それはもちろんそうです。
じゃあ、
「外野が何も分からなくても一般的に言えることを、いい加減でない真心をもって言う、という慰め方」
か、
「傷の小さな人同士で慰め合う」
か、そのくらいしかないんですよね。
(だから、関係者各位の連絡先が多ければ多い程、負荷も分散できるんです

***

とにかく、最終的には、こうした略奪防止慰めは、
「安心して人間関係をやっていけるだけの信頼を、創り、守り、回復する」
というところに帰着していくでしょう。

それを目指して、動ける外野頑張っていきましょう。
動ける傷の小さい人たちが、傷の中、必要最小限の動きで済むように。
動けない傷の大きい人たちが、動かないで深呼吸と回復に専念できるように。

最終的に、信頼が消し飛ばず、残るようにする。
それが一番大事。

(続く)

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