DEATH NOTEと精神医学: 夜神月とLの精神医学的診断とIQ(前編)
皆様、こんばんは!鹿冶梟介(かやほうすけ)です!
昨年の10月、X(旧: twitter)で1月公表予定の記事についてアンケートを実施しました!
(皆様、多数の投票ありがとうございます😊)
アンケートの結果、今回のnote記事では「DEATH NOTEと精神医学」をご紹介することにします😆
漫画「DEATH NOTE(以下: デスノート)」を皆様が選んでいただき、実は
「計画通り😏」
と思っておりました!!
勢いとしては最近流行の「SPY×FAMILY」や「推しの子」の方がありますが、デスノートは精神医学と親和性が高いこと、また小生のフォロワー様の年齢層が大体デスノ世代では…、と予想していたのです😤
…と、なんだか後付けっぽいですが、実は「SPY×FAMILY」「推しの子」「DEATH NOTE」の中で完読したのはデスノートだけだったので、正直ホッとしております…😇(要するに前の二つは小生の場合”にわか"なのです...)
…ということで、早速デスノートを精神医学的に考察したいと思います!
尚、本記事はネタバレを含みますので、「DEATH NOTE」を読んでからのご高覧を推奨いたします!
【DEATH NOTE(デスノート)とは】
原作: 大馬つぐみ、作画:小畑健による日本の少年漫画作品。
週刊少年ジャンプには2003年12月から2006年5月まで掲載。
名前を書かれた人物を殺すことができる死神のノート「DEATH NOTE」をめぐるサイコサスペンス。
【DEATH NOTEのあらすじ】
平凡な日々をすごす高校生の夜神月(やがみらいと)は、ある日一冊の黒いノートを拾う。
しかし、そのノートは死神が所有するデスノートであり、そのノートに名前を書かれたものは命を落とす。
天才的頭脳をもつ夜神月はデスノートの意義をすぐに理解する。
デスノートという超常によるは殺人は誰にもバレない完全犯罪...。
犯罪のない理想世界を目指し、夜神月は自らを「キラ(KIRA)」と名乗り次々に犯罪者たちを抹殺していく。
一方、犯罪者たちの連続死事件を不審に思い立ち上がったもう一人の天才がいた。
その名を「L」。
世界中の難事件を解決してきた「世界一の探偵」であり、いち早くこの連続死事件を大量殺人であることを看破する。
Lの類まれなる分析力と大胆な罠(トラップ)により、徐々にキラは追い詰められていく…。
果たして二人の天才、どちらが勝利するのか…!?
【DEATH NOTEの登場人物】
<夜神月(やがみらいと): キラ>
本作の主人公。
高校3年生で、警察官僚の父と専業主婦の母親、3歳年下の妹の4人暮らし(連載開始時)。
容姿端麗かつ頭脳明晰、優れた身体能力をもつ。
コミュニケーション能力も抜群でモテる。「陽キャリア充」系キャラクター。
自称、「日本一といってもいいぐらい真面目な優等生」。
デスノートを手にしてから独善的かつ冷酷な考えに支配され、犯罪者等を次々と殺害していく。
自らの計画を阻止しようとする世界的探偵「L」と頭脳戦を繰り広げ、遂に彼をデスノートの力で殺害することに成功する。
東応大学卒業後、警察庁に入庁。
L亡き後、Lの後継者として「キラ対策機関」のリーダーとて捜査をつづける一方、自らが理想とする「新世界」の実現のためにデスノートで多くの人々を葬った。
宣言通り「新世界の神」になりつつあったキラであったが、その前に立ちはだかったのは「Lの真の後継者」たちであった…。
<L(エル)>
キラの宿敵である世界的探偵。
本名はエル=ローライト。
年齢は20代(24-25歳?)。イギリス出身。
幼少の頃は孤児院「ワイミーズハウス」で過ごす。
天才的頭脳にて世界中の難事件を数多く解決してきたが、正義のためには違法ともいえる大胆な手段も辞さない。
その影響力は強大で「全世界の警察を動かせる唯一の存在」。
痩せ型で猫背で、長い髪、目の下に黒いクマのある「陰キャ」非リア充系キャラ。
外見とは裏腹にイギリスでテニスのジュニアチャンピオンになるなど卓越した運動神経を持つ。
甘党で推理するときも常にお菓子やデザートを食べている。
囚人など犯罪者が立て続けに心臓麻痺で死亡した事件を受け、いち早く「殺人事件」であること、そして「犯人は日本にいる」ということを見抜く。
そして見事にキラを罠に嵌めることで、犯人が「日本の関東地方に住んでいる」ことを明らかにした。
第一部では夜神月(キラ)を窮地に追い込むが、死神のレム(後述)によって殺された。
<リューク>
死神。
夜神月が拾ったデスノートの持ち主(正確には別の死神のものだが...)。
黒髪、猫背、長い腕、耳元まで裂けた大きな口と、異形の外見。
死神界での退屈な生活に嫌気がさし、わざとデスノートを人間界へ落とす。
デスノートを拾い使用した夜神月の取り憑き、その行動を観察することを楽しむ。
好物はリンゴ。
<弥海砂(あまねみさ)>
夜神月と同様にデスノートの所有者。
モデルタレント、女優。
過去に両親を強盗に殺されたことから、犯罪者を抹殺し続けるキラを崇拝する。
自らが所有するデスノートで殺人事件を起こし、キラに接触しようとする。
別名「第二のキラ」。
死神との取引で「死神の目」を得、相手を見ただけで本名と寿命を知ることができる。
夜神月に一目惚れし後に結婚する。
ちょっとアホな子。
<レム>
死神。
弥海砂が所有するデスノートの持ち主。
体は白く骸骨のような外見。所々包帯のようなものを巻いている。
他の死神が所有していたデスノートを弥海砂に渡す。
弥海砂には親のような慈悲深い態度で接している。
キラの策略により弥海砂が窮地に追いやられ、致し方なくLの名前をデスノートに書き、「人間に好意をもってその人間の寿命を延ばすためにデスノートを使うと死ぬ」というルールにより死亡した。
<ニア(N)>
Lの真の後継者。
本名はネイト・リバー
第二部より登場。
Lと同様に孤児院「ワイミーズハウス」出身。
小柄で子供のような外見。
頭脳明晰、冷静沈着であり、言動はLとそっくり。
L亡き後、キラ事件を解決するためのの組織「SPK: secret provision for Kira」の代表となり、キラを追い詰めていく。
<メロ(M)>
Lの後継者候補であった一人。
L、ニアと同様に孤児院「ワイミーズハウス」出身。
第二部より登場。
金髪、黒服でスタイリッシュな青年。
孤児院を出てからは米国のマフィアに加入。
優秀な頭脳を持つがニアに続く二番手に甘んじていたが、行動力はニア以上であり夜神月を出し抜きデスノートを奪う。
<魅上照(みかみてる)>
京都地検に勤める検事。
第二部から登場。
正義感が強く社会秩序への異様なこだわりを見せるが、これは中学時代の壮絶なイジメ体験による。
キラを狂信的なほど信奉しており、デスノートを与えられるとキラの代わりに悪人たちを「削除」しまくる。
最後はキラな無様な有様に失望。
投獄後に発狂したとされている。
<高田清美(たかだきよみ)>
第一部と第二部に登場。
第一部では東慶応大学に所属し、夜神月(キラ)のガールフレンド。
周囲からはミス東大と呼ばれるほどの美女。
第二部ではテレビ局NHNにつとめるアナウンサー。
キラ信奉者であり、夜神月がキラであることがわかると彼に協力するようになる。
メロ(M)に誘拐されるが、デスノートの切れ端でメロを殺害。
その後、用済みになったため夜神月(キラ)に殺される…。
以上、本記事の理解を深めるためにデスノートの概要(あらすじ、登場人物)を説明いたしました。
既読の方は当然ご存知のこととは思いますが未読の方、いかがでしょうか?
大変興味深いですよね?「もっとデスノートを知りたい…」と思いませんか?
そんな方におすすめなのは、DEATH NOTE全巻が1冊にまとまった「完全収録版」がおすすめです!
(何と合計2400ページも…)
もはやファンにとっては「聖書(バイブル)」と言って過言ではないでしょう!
未読の方も既読の方も是非、読んでみてください!
【Lの精神医学的診断】
さて、ここから「DEATH NOTE(デスノート)と精神医学」の本題です。
まずは二人の天才の精神医学的診断について解説いたしますが、手始めに診断が"簡単な方"から説明足しましょう!
実はLの診断はそれほど難しくはありません。
…というか、皆さんもある疾患を疑っているのでは...?
そうです、皆さんのお察しの通りLの言動は自閉スペクトラム症の特性といって問題ないでしょう。
自閉スペクトラム症は発達障害の一種であり、正常な社会的関係を構築することが困難で限定的な行動または反復行動が見られる疾患です。
まずは米国の精神疾患診断基準DSM-5に基づきLの症状が自閉スペクトラム症に該当するかチェックしていきます!
まとめると診断基準としては、A項目3つ、B項目2-3つ、C項目該当、D項目該当(?)となります。
従ってLは自閉スペクトラム症と言えます…が、小生はここで異議を唱えたい!
確かにA-C項目は十分に満たしているのですが、発達障害の大前提であるD項目「社会機能に障害がある」という点をLが満たしているか微妙です。
Lは探偵としての能力を十分発揮し、世界を救うような活躍をいくつもしてきました。
すなわち「社会・職業的には障害はない」と言えます。
小生の私見になりますが、「Lは自閉スペクトラムの特性はあるが障害ではない」というのが的確ではないでしょうか。
発達特性や精神的な問題があっても、その人の能力がちゃんと社会に還元され、本人が生きづらさを感じなければそれは障害ではありません(Lの場合、神の如き頭脳が自閉スペクトラム症の特性をカバーした...とも言えるかも知れませんね)。
むしろLから見たら、我々の方こそ「不憫な人々」として映っているかも知れませんよ。
しかし、もしLがワイミーズハウスではなく一般家庭で育てられ、その能力を開花させることができていなかったら…、ひょっとすると社会機能障害を起こし自閉スペクトラム症と診断され、探偵以外の別の仕事についていたのかも知れません…(それはそれで想像を掻き立てますが)。
【夜神月(キラ)の精神医学的診断】
次に、本作の主人公夜神月(キラ)の 精神医学的診断を致します。
前述の通り、彼の精神医学的診断はLよりも難しいです。
実は夜神月の診断については精神科界隈では諸説あり、とある海外の文献によると”悪性の"自己愛性パーソナリティ障害の可能性が指摘されております。
自己愛性パーソナリティ障害とは優越感、賞賛への欲求、共感の乏しさなどを特徴とするパーソナリティ障害です。
…というか、真面目な学術論文に日本の漫画のキャラクターを研究する論文が掲載されること自体がデスノートという漫画の影響力を物語っていますね…😅(もはや世界的な社会現象...)
詳細につきましてはリンク先の研究論文をご参照いただきたいのですが、 この論文は「夜神月は自己愛性パーソナリティ障害の9つの診断特性すべてを満たす」としております。
そこで小生もDSM-5に従い、”キラ"が自己愛性パーソナリティ障害であるか否かを検討してみました。
このように夜神月の特性を DSM-5の 診断項目の一つ一つに照らし合わせると、確かに7つ該当するため症状のみに注目すれば、夜神月(キラ)が自己愛性パーソナリティ障害である可能性は高いでしょう…。
しかし、小生はこの「夜神月(キラ)自己愛性パーソナリティ障害説」に異論を唱えたい!
健全な好青年であった夜神月(キラ)が短期間で(第1話から考察するにDEATH NOTEを拾ってからたった5日、すなわちリュークに初めて会うまでで)、自己中心的で傲慢で邪悪な人間に変わっています。
確かにパーソナリティ障害は「青年期後期または成人期早期」に現れますが、多くの場合この人格変化は自己の成長や環境変化に応じて緩徐に生じるため、夜神月(キラ)に起こった豹変ぶりが”パーソナリティ障害”らしくないように感じます。
それに デスノートを読んだ方ならお分かりのように、作中夜神月(キラ)がデスノートの所有を放棄した際、彼の性格は心優しく正義感に溢れ純真な若者にもどりましたよね(綺麗な夜神月)!
おそらくこの”素に戻った時"のパーソナリティーこそが、夜神月の本質ではないでしょうか。
すなわち夜神月(キラ)はデスノートによって人格が変わってしまった…、と小生は考えます。
それにしても、元来善良な人間がある時を境に急激に傲慢で反社会的な性質を帯びることがあるのでしょうか…?
「マンガなので…」と言ってしまえばそれだけなのですが、実はありまぁす!!
来週ご紹介する、「デスノートと精神医学: 夜神月(キラ)とLの精神医学的診断とIQ(知能指数)について(後編)」では、小生が考える夜神月(キラ)の”もう一つの診断”と、夜神月(キラ)とLのIQについて考察したいと思います!
後編も是非ご高覧くださいな!
<後編へ続く>
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