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映画・芸術・漫画評論

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答えではなく、ヒントにしかならない〜制作側の解釈と観客の解釈について〜

答えではなく、ヒントにしかならない〜制作側の解釈と観客の解釈について〜

昨日の上映は21時スタート予定の69分、想像以上の来客によって
受付がパンクして、カモメンタルのマキオさんが
受付を手伝ってくれた。感謝。

結果4分押しで始まって、自分は後ろの席で遅れて入って見てた。

静かだった。
静寂の緊張感があった。
Qは音が少ないから、観客は映像そのものを見入るように見ていた。
その真剣な背中から緊張が増幅して私に伝わっていた。

PCで編集をした色味と
スクリーンに映

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仮面が割れる瞬間。しょんべんが飛び散った。

仮面が割れる瞬間。しょんべんが飛び散った。

12月ももう後半。
この辺で一度総括をしたいと思うな。
うん。そう思う。

今年はいろんな事に挑戦できた良い年だった。
今年はいろんな事に気づけた良い年だった。

コロナが始まってから毎日作曲を銘打って機材トラブルや世界との精神的乖離を繰り返しながら169日間続けることができた。
今止まってるけど。ありゃ。

音楽はやはり偉大だ。いつもお世話になっている。映画もそう。事象の背後にある超越をほんの少

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食戟のソーマから学ぶ”Spécialité”という個性〜映画の話と絡めて〜

この記事はパンクロッカー/希哲学者/映画監督など様々な方面で活躍している人が書いてます。プロフィールはこちらhttps://www.souri.site/

さてさてだいぶ寒くなってきましたね。毎日部屋にこもり次の短編の映画と来年末に書く長編の映画の脚本と来年中に出版予定の哲学書の執筆に没入中の毎日です。
部屋にこもって0から1を生み出す作業を永遠とやっていると気が狂いそうになって(自分らしくて好

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アーティスト屋さんと希哲学者

アーティスト屋さんと希哲学者

もうかれこれ8年ほど音楽活動を続けていて最近は映画を撮り始めた。
哲学は幼い頃からのライフワークだ。

と言っても、哲学をやっていたのではない。
”私”とは何か?世界とは何か?人とは何か?
を考えていたら、それを先に考えていた人がいた。

それが哲学と呼ばれる領域で頭をフル活用する集団だった。
誰も哲学をしようと思って哲学をしてない。
自らの内なる疑問の派生として哲学と巡りあっている。

ただ個人

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Netflix映画「HANG THE DJ」哲学的評論

Netflix映画「HANG THE DJ」哲学的評論

どうもこんにちはそーりです。前回に続きNetflixのブラックミラー シリーズから『HANG THE DJ』について評論します。

・ブラックミラー シリーズとはNetflixから配信されている近未来者の作品集短いものは40分、長いと120分くらいになる。今回はシーズン4から『HANG THE DJ』を取り上げる。

まずこの短い動画を見て欲しい。

ストーリーの概略本作の時代背景は近未来の設定で

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NETFLIX ブラックミラー〜人生の奇跡の全て〜評論

NETFLIX ブラックミラー〜人生の奇跡の全て〜評論

今日のNETFLIXの「ブラックミラーシリーズ」より『人生の奇跡の全て』について
評論しようと思う。

・Netflixブラックミラーシリーズとは?

ブラックミラーシリーズは近未来の人の生活を描く作品集である。SFと言えるかというとそうではない。サイエンスではあるが、フィクションとは思えないほどリアルな未来が描かれている。作品は毎回完結型で短いと30分ほどの短編映画くらいのボリュームで、長いもの

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鬼才キム・ギドク死す〜人間の時間〜

鬼才キム・ギドク死す〜人間の時間〜

先日、とある映画評論家の方とキム・ギドクの「人間の時間」という映画を観に行った。パワハラ、モラハラ問題で映画界から追いやられそうな彼の現状を考えると、快心の反撃を観られると思い胸を高ならせていた。別にキレイな映画や一般受けする様な映画が観たい訳ではなく、ただキム・ギドクから見えるその世界に対する深い情念、哲学を感じたかった。
先に結論から言うと。もうキム・ギドクは死んでしまったのかもしれない。

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SAVE the CINEMAの「SAVE」の欺瞞〜日本のアートの終焉

SAVE the CINEMAの「SAVE」の欺瞞〜日本のアートの終焉

この記事は#SAVEtheCINEMA 「ミニシアターを救え!」
についての記事です。まず初めに前提として以下のことを確認しておきたい。

A 本文中の「〜の人たち」「彼らは」など三人称複数形を使う時には常に例外者の存在を認めている。
B 筆者は7年前からバンド「響心SoundsorChestrA」のギターボーカルで作詞作曲を行い、計500本以上のライブをライブハウスで行っている。
C 筆者は同意

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『煙を抱く』

『煙を抱く』



山西竜矢とは面白い男だ。
半分漫画のキャラのようで、実利に親和的であり、合理的であり、利己的であり、利他的でもあり、尖っているでも決して、野蛮な尖方はしない。いいやつなのだ。創作になると、奥にある奇妙なエゴイズムをいとも簡単に作品に変えてしまう。

僕はこんな人です!
こう思っています!
と、心の底を決して明かさない。
すなわち、黒バックなのだ。背景は分からない。今の存在からスタートする。

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ガザの美容師

ガザの美容師

今回紹介するのはガザの美容師

あらすじ

場所はパレスチナ自治区、ガザ。クリスティンが経営する美容院は、女性客でにぎわっている。離婚調停中の主婦、ヒジャブを被った信心深い女性、結婚を控えた若い娘、出産間近の妊婦。皆それぞれ四方山話に興じ、午後の時間を過ごしていた。外では男たちが紛争を始め、ミサイルや機関銃の音で美容室の中の女性たちは震えている。

まず、この映画の中では分かりやすく
男性と女

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中村屋酒店の兄弟

中村屋酒店の兄弟

本日紹介したい映画は白磯大知監督の映画である『中村屋酒店の兄弟』です。

主演はダブル主演で、藤原季節と長尾卓磨の二人です。

簡単にストーリーを説明すると

とあるところに男の兄弟がいます。兄(ヒロフミ)は実家の酒屋を継ぎ、認知症の母の介護をしながら店を守っています。弟(カズマ)は東京に上京しています。ある日弟のカズマが帰ってきます。その後、カズマは母が認知症ゆえに兄のヒロフミを自分の息

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おおかみ子供の雨と雪

おおかみ子供の雨と雪

今回の紹介するのは細田守監督の「おおかみこどもの雨と雪」を紹介しようと思います。

そっ直な観測から言うと「素晴らしい」の一言。

細田監督の他作でありながら、近いモチーフを描くバケモノの子よりもはるかに純度が高く美しい作品でだった。

簡単にストーリーを説明すると

主人公である女性、花は大学時代に狼と人間のハーフの狼男に恋をし、その二人の子供を授かる、姉は雪といい、弟は雨と言う。子供は

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クリーピー 偽りの隣人

クリーピー 偽りの隣人

今日紹介する映画は「クリーピー 偽りの隣人」

今回の映画の内容を簡単に説明すると、主人公夫妻が引っ越してきた先の隣の家が実は連続殺人犯の“サイコパス”の家族の家であった。
主人公(西島秀俊)は元警官で今は大学で犯罪心理学を教えている。嫁は竹内結子で専業主婦。隣の“サイコパス”一家は偽りの家族で、家族のお父さん役が香川照之で、昔から隣人を洗脳しては自分の手は汚さず殺す、一家殺人事件が得意な“サ

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主戦場

主戦場

今回取り上げようと思うのは、主戦場という映画。アップリンクで観てきた。

内容を簡単にいうと、“リベラル”と“保守”が従軍慰安婦があったかなかったかを色んな“知識人”に聞くドキュメンタリー。作っている側は“リベラル”サイドなので、保守が論理的に欠落しているように描かれる。

始めは慰安婦問題で、韓国に対する従軍慰安婦はあった、保守側は無かったというし、慰安婦もそれなりに楽しくやっていた、という

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