You Make King

【じごくトニック-妄想版-】完成したし深夜ドラマ化願う。 妄想がすごく好きな素人です。…

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【じごくトニック-妄想版-】完成したし深夜ドラマ化願う。 妄想がすごく好きな素人です。映画や音楽、服も好きです。

最近の記事

【じごくトニック】

拳銃をちゃんとしまったあと、彼とソファに並びお茶を飲んだ。 「そういや俺、youtube結構人気でさ」 「あー、見てるよ、編集で笑かしてるやつ」 「大黒おかしいよな、何回言ってもなおんなくて。下を育てるって大変でさ」 「…しんどいくらいがきっと丁度いいよ。それにあの編集だって才能だ。…俺の小説なんてまだまだだな」 「おもろいって!おれめっちゃ好き」 「…なんか、誰かの心に残るような作品書きたいわ」 「お前なら行けるって!あのお寿司みたいな!」 「お寿司好きなのは珍しいんだっ

    • 【魔物 ③続命のはなし】

      「今月も厳しいなー」 電卓を叩きながらお母さんがそう呟いた。 「まあなんとかなるか!」 隣に寝ていた猫を撫でながら、聞きなれたお母さんの口癖。なんとかなる。実際、いままでの人生生きてきてなんとかなってる。 なぜか分からないけど、私は人よりお腹が空く。それもすごいスピードで。 米は1食3合くらいは食べるし、肉も魚もキロ単位じゃないと足りない。学校での給食が少なすぎて、いつも隠れておにぎりやらパンやら食べている。 食べる事を恥だと思った事がないのは、両親のおかげだと思う。 「良

      • 【魔物 ②破壊のはなし】

        最寄りのバス停から歩いて20分。暗い道を抜けた先に私の家がある。 その日は野球部での最後のマネージャーの仕事を終え、バス停に着く頃には20時をまわっていた。 後輩たちに「このあとは任せたよ」なんて言葉を残したのは、少し情けなかったかな。 私の3年間。野球部を見続けた3年間。私の年には甲子園出場は出来なかったけど、それ以上に大切な経験を得たような気がしていた。 きっと結果じゃないよな。まだ18歳の私にはわかんないことだらけだけど、大人ってそうだと信じたい。 そして何より、今日

        • 【魔物 ①再生のはなし】

          「あ、これ分かる。感覚で折れてる」 勘の鋭さは、こういう所で発揮すべきではない。 大切な大会を明日に控えた俺は、まだ絶望感よりも紫色になり小刻みに震えている小指を見て呆然としているだけだった。 折れた指って。折れた指って自力では治らないよな。でも待ってくれ、エースの俺がこれを伝えてどうなる?試合に出られないのはもちろん、自分の指が助かったとてチームの士気が下がるだけだ。 そして自分の将来設計を考えてみた。いままで、今迄は野球をひたすらやって、その他の事はなんにも考えていな

        【じごくトニック】

          【脱がせてもらっている時間は時間に含まれていないと思っていたでござる ⑥肉うどんのはなし】

          「お!おすおす」 「もう最悪でござる!これでいいでござるか!」 顔を真っ赤に染め、甲冑を分けて持った男が息を上げながら俺に話しかけてきた。 「じゅーぶん時間稼げたで。これであの子の予約が少しずつ遅れて、事故に遭わずに生きていけて、ちゃんと後世まで命がつづくんやから。」 「周りの人にも変な目で見られて、こんなの、こんなの地獄でござる」 「これで子供助かるんやからええやろ?やすいもんやで」 「お前はやってないから言えるのでござる!」 大きい声を出しているからか、甲冑を脱いでいるか

          【脱がせてもらっている時間は時間に含まれていないと思っていたでござる ⑥肉うどんのはなし】

          【脱がせてもらっている時間は時間に含まれていないと思っていたでござる ⑤痛客のはなし】

          廊下を小走りで進み、バックヤードへ入る。 とりあえず名刺を書こう。可愛いペンが並ぶテーブルで、今日のメッセージを書き始める。 今日は来てくれてありがと。脱がしにくかったけどカッチュウかっこよかったよ。ぜひまた遊ぼうね。 とても無難なメッセージ。てか甲冑って漢字絶対かけないわ。 「ウサギさん、お疲れ様です」 「お疲れ様でーす」 従業員が話しかけてくる。 「なんか、3番のお客様どうでしょう。プレイはしてませんでしたが、」 「危なくはないんですけど変な人で。延長行けるかききました

          【脱がせてもらっている時間は時間に含まれていないと思っていたでござる ⑤痛客のはなし】

          【脱がせてもらっている時間は時間に含まれていないと思っていたでござる ④ピンサロのはなし】

          派手なカッコや渋い飲み屋、古着や個性ある雑貨屋。いわゆるサブカルチャーと呼ばれる文化が混在しているこの街。 信号1個で駅からすぐ3分、よくわからないカレー屋とか老舗のケーキ屋の裏っかわ、ほんと裏側も裏側。劣化した壁の色が並ぶ建物の6番目に私が働くお店がある。 裏口だから従業員以外あんまり誰も入らないし、たまにタバコとか吸っている人がいるけど。ここは喫煙所じゃないから退いてよ。ほらやっぱり、男。そして階段をあがる私をジロジロ見ていくんだ。今でこそマスクが当たり前になった時代だけ

          【脱がせてもらっている時間は時間に含まれていないと思っていたでござる ④ピンサロのはなし】

          【脱がせてもらっている時間は時間に含まれていないと思っていたでござる ③シニガミのはなし】

          「まだ居たか!」 敵だと思い剣を抜く。 「えっちょ、ちょっと危な!なになに、なんやねん、見えてる感じ?」 言葉遣いが変な男だった。しかも刀を持っていないとは。 「ちゃうねん、俺はなんかそういうんじゃないねん。てかなんで見えてんねん」 「オサジマから離れるでござる!」 「いやいや、こいつ死んでん。いま転生終わったとこやねん」 「死ん…?」 オサジマへ駆け寄る。 オサジマは既に息をしておらず、触れた時には身体に力が入っていなかった。 「…」 「大量出血やな、死因は」 「お前は誰だ

          【脱がせてもらっている時間は時間に含まれていないと思っていたでござる ③シニガミのはなし】

          【脱がせてもらっている時間は時間に含まれていないと思っていたでござる ②サムライとハナのはなし】

          慌ただしい鐘の音で目が覚めた。 外が騒がしい。剣がぶつかりあう音、うめき声が聞こえてくる。 急いで剣を持ち、障子から周囲の様子を窺った。 侍たちが敵陣に殺られている。何人も。何人も。 明らかに敵陣のほうが数が多い。狙って襲撃されたのか。 昨日風呂場にいた侍たちが戦っているが、相手の敵陣の多さに圧倒され、流血しながらバタバタと倒れている。 地獄のような光景を見渡すと、わずかにあいた襖越しの部屋に門番の姿が見えた。 必死に机周りの紙を集めているところだった。 「なぜ剣を持たない!

          【脱がせてもらっている時間は時間に含まれていないと思っていたでござる ②サムライとハナのはなし】

          【脱がせてもらっている時間は時間に含まれていないと思っていたでござる ①サムライのはなし】

          なんとなくわかる。経験というものでもなく、勘に近いような。相手の動きも良く見える。すかさず半歩踏み出し、向きを変える。ここで一振り。ほぼほぼ水平に円を描くように剣を振りきる。 空を切る音がヒュッと鳴り、相手の腹部を綺麗に裂いた。「うっ」相手が茂みに倒れる。その瞬間間合いを詰めて心臓をひと突き。「うあぁ」相手が胸をおさえながらこちらを見上げる。そんな目をしないでくれ。私だって好きでひとを刺しているわけではない。 目に生気がなくなる。もう何人見ただろう。眠る時にも思い出すその目。

          【脱がせてもらっている時間は時間に含まれていないと思っていたでござる ①サムライのはなし】

          【ランプの精 ②ランプの精】

          ペンダントを万引きしてから4年、それからというものの一ヶ月に一回はその雑貨屋に入り、何度も万引きを謝ろうとしていた。 でももし警察を呼ばれたら、逮捕されたら、責任は自分で取る年齢になっていて怖かった。 せめてもの罪滅ぼしの思いで、その雑貨屋に通っては特に必要のない雑貨を購入していた。 店に着くと、脇目もふらずに外に置いてあるものを手に取りレジへと持っていく。 「はい、いらっしゃい、2900円ね」 「…」 「まいどどうも」 「…」 何度も声に出そうとするが、言葉が出なかった。

          【ランプの精 ②ランプの精】

          【ランプの精 ①ランプのせい】

          地球が丸い事がわかるような、きれいな砂漠。太陽が沈むという表現そのままで、綺麗だなと感じる。一面オレンジ色に染まるその景色は、感動を超えため息が出るものだった。 「こんな景色が見られるなんて」 「隣にこんないい男もいて」 「…そうね」 「いつもみたいに嫌がらないの?」 「まぁ、だって事実だし?」 柄にもなく口づけを交わした。 高円寺で雑貨屋を経営している男と恋に落ち、仕入れと言って彼と趣味の海外旅行を楽しむ。もちろん毎日が刺激的で楽しくて、1人では経験できなかったことをいま

          【ランプの精 ①ランプのせい】

          【カットステーキランチ ③終わりのはなし】

          彼女が就職して、二ヶ月が経った頃だった。彼女は仕事に一生懸命で、同期も先輩もいない小さな会社に就職したことから、毎日仕事のやり方を自分なりに探して頑張っている様子だったのだろう。 その頃の僕はというと、まだまだフリーターで来る日も来る日も彼女の家で遊んでいた。 彼女は毎日0時前くらいに帰ってくるとすぐにお風呂に入りベットへ横たわった。ぼくはすかさず彼女が寝ないように、映画をつけたりして話しかけていた。 「今日はこれ見よ、社会に切り込むような描写がたくさんあって…」 「ごめん、

          【カットステーキランチ ③終わりのはなし】

          【カットステーキランチ ②ある街のはなし】

          ある日、彼女と高円寺を歩いている時だった。 安くて可愛い古着を探すいつものコース。この街は安さだけでなく、個性も売っているからすごく好みの洋服や小物に溢れているのだった。 「ねえねえ、ヤス、もうすぐ私の誕生日!」 店先のワンピースを体に当てながら、彼女が僕へ言ってきた。 「えっこれで14800円、ダメだよ高すぎ」 「ぶー!ぶー!」 彼女はブーイングしながらも、楽しげな様子だった。 「可愛いものがいいな、でね、身につけられるやつ、そして実用的な」 「そんなのあるかな、この街に」

          【カットステーキランチ ②ある街のはなし】

          【カットステーキランチ ①君とのはなし】

          「そのまま、して…」 どうにか彼の機嫌を損ねないようにと、でも親友だからちゃんと正直に伝えないと、と。 話せば話すほどどんどん彼が遠くなっていくような気がしていた。 「でも言えてよかったじゃん」 「言えてよかったけど、なんか罪悪感すごいよ…俺モテるわけでもないし…」 「いいのいいの!今を生きないとさ!」 キャッキャしている彼女と深夜の公園でシャボン玉をしていた。 「ねえこの夜がずっと続いて、明日なんて来なくていいって思う気持ちと、明日になったらまたヤスとどっか出掛けられる

          【カットステーキランチ ①君とのはなし】

          【時をかける兵藤 ②自己のはなし】

          着いたのはなんてことのない一軒家で、テツさんの家だった。 無言で2人で車を降り、テツさんが家の鍵を開けた。 「ワンッ!!」 犬が誰だという声を出すが、同時に尻尾も降っている。そして廊下の遠くには小さな白猫が見えた。 「あ、おかえりなさい、あらあなたがヒョウドウさん?いつもお世話になってます、どうぞ上がって」 「え、あ、お邪魔します」 テツさんの奥さんだろうか、年齢の割にはあどけない少女のような笑い方が目についた。 テツさんは特に言葉を発することもなく、自然と家に入っていった。

          【時をかける兵藤 ②自己のはなし】