Learning Organization Initiative

人と組織の学びに関わる全てに絡んでいきたいと思っています。

Learning Organization Initiative

人と組織の学びに関わる全てに絡んでいきたいと思っています。

マガジン

最近の記事

L&Dが手にしているエクスポネンシャルな経営資源

「今季は業績が苦しいから、研修予算はカットね」 「座学なんて大して役に立ってないし、今年はOJT(という名に置いて何もしないこと)中心にやっていくことにしよう」 こういう話を聞くと(よく聞く話だ)、L&D予算とは業績がいいときだけ与えられる福利厚生かなにかのような気がしてきて心配になる。というかそういう判断をしても業績は全く問題ないのであれば、おそらく本当にその組織にとってL&Dは余り意味のない投資だったのかもしれない。もちろん私はL&Dはそういうものだとは全く思わないし、

    • 安全第一(心理的にも)

      みんなで作るもの。 日雇いの建設現場にて昔々、学生の頃。日雇い派遣のアルバイトをしていた。 「予定」が嫌いだったので、思いつきで働きたかったし、体力はあったので、深夜にパチンコ店のエアコンの清掃をしてみたり、夏の工事現場で鉄パイプやユニットバスを担いで一日中階段を上り下りしたり。保険料とか装備費とか謎の天引きが色々あって結局手取りは良くなかったけれど、まあ普通に暮らしていると行かない場所で働ける体験は結構楽しかった。 特にマンションとか老人ホームとかの建設現場は思い出深

      • 心理的安全性って、誰が作るんだっけ

        待っていてもいつか現れるわけじゃないしなあ、という話。 最も生産性が高いチームは、心理的に安全なチーム、だけどGoogleが実施したプロジェクト・アリストテレスは素晴らしい成果を提示してくれた。もう、「成果が出るチームはどう有ればよいのか」に悩む必要はないのだ。ここに決着をつけたというのは本当にイノベーティブなことだと思う。そのインパクトは大きく、「心理的安全性」は瞬く間に世界津々浦々まで染み渡ったかのように思える。 ・・・が。では、現代の世の中には、生産性が高いチームが

        • 学びの価値なんて眉唾もの!?

          L&Dなんて信用していない。人のポテンシャルなんてはじめから決まっているもので、人材開発なんてまやかしだ。という著名な人事プロフェッショナルのご意見を拝読する機会があった。 真意はわからない。何かしら意図があって敢えての発言だったのかもしれないし、または何らかの文脈付きで理解すべき事案なのかもしれない。しかし、この仕事にプライドを持っている自分としては、これについてはぜひとも別の視点を提供したいのだ。 論点は2つ。 学びに価値はないのか? 学びにもし価値があるとするな

        L&Dが手にしているエクスポネンシャルな経営資源

        マガジン

        • 組織開発
          7本
        • 学習デザイン
          9本
        • 学びとキャリア
          4本
        • 天邪鬼なリーダーシップ論
          9本
        • リスキリング
          4本
        • 学び方
          4本

        記事

          ガンジーのリーダーシップブレンドを勝手に味わう

          あまりに多様で、一人ひとり異なるようにすら見えるリーダーシップだが、ゴールドマン氏の6つのリーダーシップ類型を使うことでそのメカニズムを理解することができる。今回からは何回かに分けて、実際に様々なリーダーのリーダーシップを、6つの型を使って解剖してみたい。 なおこれまでの議論は以下ご参照。 ガンジーブレンドを味わうわかりやすいところから行こう。例えばガンジー。彼が、「非暴力・不服従」というコンセプトでインドの独立を勝ち取って行ったストーリーは非常に有名だ。そして、そのリー

          ガンジーのリーダーシップブレンドを勝手に味わう

          「強いリーダー」も「弱いリーダー」も、状況適合理論においては矛盾しない

          だいぶ前置きが長くなってしまったが、ようやく状況適合理論のお話ができる。ただし状況適合理論そのものの解説には重点は置かない。あくまで主な関心は「相反する海千山千のリーダー論はどうやって理解すればいいのか?」という点にある。ここまでの経緯は以下。 What's 状況適合理論?まず、ごく簡単にゴールドマン氏の研究成果をお伝えするとこんな感じになる。 リーダーシップの発揮の仕方には様々な形がある 置かれている状況に応じて有効なリーダーシップ行動は異なる リーダーシップ行動の

          「強いリーダー」も「弱いリーダー」も、状況適合理論においては矛盾しない

          海千山千のリーダー論を気持ちよく消化する

          何度でも言ってしまうのだが、リーダー論は非常に多様だ。そしてそれら同士は相反する。どちらも正解であるにも関わらず。これが人をリーダー論から遠ざける理由の最たるものな気がしている。この問題を決着させたいというちょっと度を超えたことを試みるのが今日のお話。前回記事からの続きのつもり。 強いリーダーか、弱いリーダーかある成功者は言う。「強いリーダーが必要だ」。人を迷わせず、迅速的確に向かうべき道を示し、率先垂範し、人を鼓舞し続ける。そうでなければこのVUCAの時代を乗り切ることな

          海千山千のリーダー論を気持ちよく消化する

          リーダーシップは行動だとするならば、なんの行動がリーダーシップなのか

          先日、リーダーシップとは行動である、なんていうお話をした。なんとなくなにかわかったような気がする結論だが、実はここまでではまだ肝心なことに全然触れていない。リーダーシップ論とは「どのような行動がリーダーシップなのか」という議論なはずだ。しかしまだ「どのような行動」なのか、何も話してない。なので今日はそのお話。 フォロワーだってリーダーだ以下のTEDをご覧になられたことがあるだろうか。デレク・シヴァーズ氏の非常に有名なTEDだ。あちこちで引用されている。私もこれまでに何回引用

          リーダーシップは行動だとするならば、なんの行動がリーダーシップなのか

          「リーダー」という肩書が意味するもの

          「この組織の新しいリーダーシップアポイントメントを発表します」 「この度このチームのリーダーを拝命しました」 「私ははやくリーダーになりたいです!」 このような話は巷でよく見かける。よく、どころか日常的に見かける。別に日本独自ではなく世界的にそうだ。しかし天邪鬼的に言わせてもらうとこれらは全て違和感を感じる言葉だ。なぜならばここではリーダーが「肩書」として語られているから。 肩書としてのリーダー「え?リーダーは肩書でしょ」 「当たり前のことじゃない、どこが変なの?」 こ

          「リーダー」という肩書が意味するもの

          「リーダー」と「リーダーシップ」の関係を改めて考える

          リーダーシップはフィクションだけどリーダーシップという概念は、フィクションだ。というか、概念はフィクションであり、リーダーシップも概念なので、フィクションだ。 ただし、それは「リーダーシップ」を少しも貶めるものではない。というか、フィクションというものは「人間らしさ」の骨格にある、とてつもない力をもっているものだ。なので、より正確に言えばこうだろうか:「リーダーシップとは人類が生み出した数あるフィクションの中でも最高の部類に入る非常に有益なフィクションだ」 リーダーは実物

          「リーダー」と「リーダーシップ」の関係を改めて考える

          リーダーシップ論のジャングルをうろつくためのガイド

          リーダーシップ論ていうのは分かりにくい。というか、深めようとし始めると分からなくなっていく。その主な理由は、リーダーシップ論があまりに多様で、しかもそれらが互いに矛盾しあっているように思えるからだ。なにか一つを学んでなんとなく得心した気になってみても、別の学びを得たとき、ふと気がつく。あれ?この考え方は、こないだ学んだ教えと逆なんじゃないか? 「俺のリーダー論」「俺のリーダー論」は百出している。この類は、物語としてはなかなか面白い。個人の体験談(リーダーシップ談)が多く語ら

          リーダーシップ論のジャングルをうろつくためのガイド

          空気は読んでいると入れ替わる(または、指数関数的変化と対数関数的変化)

          もはやKYとかAKYとかは古語になってしまった。流行語の賞味期限は随分短くなったものだ。いや、、、それはただの主観で、そもそも流行の賞味期限は短いものか。で、今回は、よくある「空気は敢えて読まずに改革を断行する」的なストーリーって、現実的には難しいんじゃないかという話。 ガラッと入れ替えたら起こったこと学生の頃、学園祭の運営委員会に入っていた。が、入ったときに感じたのは、活気が足りないんじゃないかということだ。僭越なことだが、当時の私の目からは、委員の皆さんはこういう風に考

          空気は読んでいると入れ替わる(または、指数関数的変化と対数関数的変化)

          Skills as a Currencyってどういうことか

          リスキリングが日経新聞などで扱われるくらいにメジャーな概念になってきたり、または人的資本開示の流れも来ていたりするなかで、このSkills as a Currencyという言葉もちらほら聞こえてくるようになった。直訳すると「通貨としてのスキル」。これは訳として間違っていない。しかし、訳したところでなんのことなのかよく分からない。この言葉を理解するには、通貨の特徴を振り返りながら、スキルの現在地を確認しておく必要がある。 ちなみにこれは、Skills = Money、という意

          Skills as a Currencyってどういうことか

          オープンバッジを導入すると起こること

          オープンバッジ。デジタルバッジ。デジタル・クレデンシャル。いくつか呼ばれ方はあるけれど、いずれにせよ導入するとこういうこと(↓)が起こる。いくつかは予想されたことだろうし、いくつかは制度バグのように思える。そのバグへの対応についても書いておきたい。 なお、「オープンバッジ」そのものへの解説は世に多くあるとおもうし、多分この記事を読んでくださる方なら既知のことだろうから、ここでその解説はしない。あくまで導入したら起こることを実運用上の話として掘り下げることにしたい。 初期に

          オープンバッジを導入すると起こること

          ジビエが得意なプチレストランのレジリエンス

          そのレストランは代々木上原にあった。3組くらいしか入れない、とても小さなレストランだ。特に目立つ特徴があるほどでもない(※)、よくあるレストラン。なぜそこに行ったかといえば、コロナ禍のさなかでも予約を取って営業していたからだ。 ※ 失礼!あくまで第一印象の話で、訪れてからはその考えを改めた 止まらないシェフまだ結構飲食店での規制が強く、しかも先の見通しもまだわからない時期だった。多くの飲食店が大変な思いをしていたはずだ。だから、大変そうな気がする小さなレストランを応援する気

          ジビエが得意なプチレストランのレジリエンス

          フィードバックこそラーニングだ

          学び業界に関わる私達にとって、学習のROIを意識することは様々な気づきにつながる。私達は自己中心的なものだから、Invest(努力/労力)が何故かReturn(成果)に比例すると考えてしまいがちだけれど、Do More With Lessの発想で考えると、学びの世界は大きく変わる。ということで、今日はその最たるものと言える「フィードバック」のお話。 研修以外が9割。10:20:70。これって学び業界ではよく聞く話だ。一応復習しておくと、これは「人は何から学ぶものか」の割合を

          フィードバックこそラーニングだ