記事一覧

神と母と妹

龍神様が見えるという母と暮らしていた頃の私は、神様やなどは存在しないと信じていたし、実家を出て数年経った今もそう信じている。 神ばっかり見ていないで、天ばかり仰…

澪標
1年前

オーバードーズ

オーバードーズを初めてしたのは3年前だった。 フラフラと夜遊びしているときに出会った、ひとつ年下の人に教えてもらった。初めは10錠くらい飲んでいたが、ひどいときは8…

澪標
1年前

名前がない

ダイニングにある4本足の椅子、明るい茶色で、白い皮が敷いてある椅子、その椅子で母親をぶん殴って、ぶっ殺してやる妄想ばかりしていた2年前、毎日が苦しくてムカついて悔…

澪標
1年前
1

連鎖の鎖を

20代で3人の女児を産み、仕事三昧な夫の面倒もみながら死に物狂いで駆け抜けた私の母は、義母から「男の子を産めないなど江戸時代では死刑ですよ」と言われ続け、精神を病…

澪標
2年前

性について

私には自分の性を嫌悪していた時期がある。この場合の「性」とは身体の性であり、私の身体の性は「女性」である。 その時期は、中学から高校までに渡り、「自分の体 が嫌…

澪標
2年前
2

ひかりごけは私の傍に

先日図書館に行った。本屋にはよく行くけれど、図書館にはあまり行かない。図書館は、家から少し遠いからだ。 そちらの方へ向いて行く用事があったついでに寄った。この機…

澪標
2年前
4

イヤイヤ期

私には、嫌なものや事象が割と多くある。 例えば、家事が自分のペースで進まないことが嫌いである。 休みの日は、大体の時間帯を決めて、極力その通りに活動できるよう心…

澪標
2年前
3

ありえないくらい良い一日

今朝は、7時45分に起き、歯磨き着替え化粧を済ましてすぐに家を出た。朝食はとらなかった。水も飲まなかった。健康診断を受けに行くからだ。 胸部X線?か、心電図か、まあ…

澪標
2年前
2

誕生秘話

20数年前、ヤリまくりバンドマン(21歳)と爆乳歯科衛生士(20歳)が出会い、結婚し、交尾した。そののちに生まれたのが私である。 私が生まれてから、ヤリまくりバンドマ…

澪標
2年前
4

特別な他人①

私には、「特別な他人」が二人いる。「特別な他人」とは、自分ではない人間、すなわち「他人」という管轄の中でも、私がとりわけ好意や敬意を持ち合わせている「他人」のこ…

澪標
2年前
21

空洞の感動

劇中歌は、映像作品において重要な役割を持っていると思う。 例えば、今敏監督の『パプリカ』には平沢進の楽曲が使われているし、蜷川実花監督の『さくらん』には椎名林檎…

澪標
3年前
1

お子様ランチの味は

まだ私が幼かった頃、外食のとき子どもはお子様ランチを頼まなければいけないと思っていた。他のものを食べたいとも思っていなかった。当然、お子様ランチを選ぶものだと思…

澪標
3年前
1

文芸とわたし

 わたしは、小説や歌詞、食べ物の成分表やシャンプーのボトルの説明書きなどを読むことを、少なくとも嫌ってはいない。かといって、中学のときから漱石読んでました!とか…

澪標
3年前
2

シュレックがいい

今日は仕事が休みだったので、映画を観た。 『シュレック3』と『シュレックフォーエバー』を観た。これがとても良かった。 『シュレック1』と『シュレック2』は既に観…

澪標
3年前

私が詠んだうた7選

今日は私が詠んだうたをいくつか紹介する。下手の横好きで、見るに耐えないものばかりだから、共感性羞恥を感じやすい方は気をつけてください。 そして私は、自分の作品を…

澪標
3年前
5

好きな曲4選

書物の話ばかりしていたので、今日は音楽の話をしようと思う。 私は音楽が好きだ。聴くのも弾くのも作るのも好きだ。音楽をきちんと聴き始めたのは3、4年前だからそんな…

澪標
3年前
3

神と母と妹

龍神様が見えるという母と暮らしていた頃の私は、神様やなどは存在しないと信じていたし、実家を出て数年経った今もそう信じている。

神ばっかり見ていないで、天ばかり仰いでいないで、目の前に在る三つの肉塊に刮目せよ、精神を注視せよ、その肉塊の半分はまごう事なき貴女であるよ、と常々思っている。

私が6年生になったくらいから母はおかしくなっていったから、妹たちはきっとおかしくない母をあまり知らないかもしれ

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オーバードーズ

オーバードーズを初めてしたのは3年前だった。

フラフラと夜遊びしているときに出会った、ひとつ年下の人に教えてもらった。初めは10錠くらい飲んでいたが、ひどいときは80錠一気に飲んだりしていた。

当時と比べると頻度は減ったが、今でもたまに飲んでいる。

倒れて頬骨が削れたり、離脱症状で情緒が不安定になったりした。

薬を飲み始めて以来今まで、しばしば発語が上手く出来なくなる時がある。

急に怖く

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名前がない

ダイニングにある4本足の椅子、明るい茶色で、白い皮が敷いてある椅子、その椅子で母親をぶん殴って、ぶっ殺してやる妄想ばかりしていた2年前、毎日が苦しくてムカついて悔しかった。

こんな激情を胸に抱えていても、家庭では冷静に振る舞わなければいけないと思っていた。

感情的になってしまえば、母親と同じになってしまう。

私はクールに淡々と生きていくのだ。

そう思い込んで、耐えに耐えた。

今になって思

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連鎖の鎖を

20代で3人の女児を産み、仕事三昧な夫の面倒もみながら死に物狂いで駆け抜けた私の母は、義母から「男の子を産めないなど江戸時代では死刑ですよ」と言われ続け、精神を病んだらしい。

21歳で私を成した母は、周りの同年代の人間が楽しく遊んで過ごしている時間を、子育てと夫の相手に勤しんで過ごしたらしい。

跡継ぎが望まれる家に嫁いだ母は、女しか産むことが出来ず、義母にチクチクと嫌味を言われてきたらしい。

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性について

私には自分の性を嫌悪していた時期がある。この場合の「性」とは身体の性であり、私の身体の性は「女性」である。

その時期は、中学から高校までに渡り、「自分の体
が嫌だ!」と泣いては母に当たり散らし、自分の手首を切ったりしていた。

そんな時期を経た私は今、水商売を始めて6年になる。お客様の性的な視線を浴びる仕事である。こういう仕事をしている私であるが、かつてのように自分の身体的な性別を憂いて喚くこと

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ひかりごけは私の傍に

先日図書館に行った。本屋にはよく行くけれど、図書館にはあまり行かない。図書館は、家から少し遠いからだ。

そちらの方へ向いて行く用事があったついでに寄った。この機会になかなか本屋ではお目にかかれない本を借りるぞ!と思い、かねてより読みたかった本の名前や作家の名前を検索機に放り込みまくった。

こうして私が借りたのは三冊、椎名麟三の作品が収められている作品集と、今村夏子の『むらさきのスカートの女』と

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イヤイヤ期

私には、嫌なものや事象が割と多くある。

例えば、家事が自分のペースで進まないことが嫌いである。

休みの日は、大体の時間帯を決めて、極力その通りに活動できるよう心がけている。例えば、9時〜10時の間に起きよう、とか、ご飯済ませたら洗濯干そう、とかいう具合にざっくり予定を決めて過ごしている。

しかし、急に仕事が入ったり来客があったりすると、私のリズムは狂ってしまい、洗濯物は洗濯機の中で発酵されて

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ありえないくらい良い一日

今朝は、7時45分に起き、歯磨き着替え化粧を済ましてすぐに家を出た。朝食はとらなかった。水も飲まなかった。健康診断を受けに行くからだ。

胸部X線?か、心電図か、まあ何かの検査項目が、胃を空っぽにして受けるのが好ましいものであるらしい。

したがって私は、前日の晩から何も飲み食いせずに朝を迎え、病院に向かった。

病院までは、電車とバスと自転車で向かった。最寄駅までは自転車に乗って行った。朝の風は

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誕生秘話

20数年前、ヤリまくりバンドマン(21歳)と爆乳歯科衛生士(20歳)が出会い、結婚し、交尾した。そののちに生まれたのが私である。

私が生まれてから、ヤリまくりバンドマンは元ヤリまくりバンドマンとなり、爆乳歯科衛生士は専業主婦となったらしい。

子をもうけ、家庭を持つことになった彼らはおそらく、それまでの破天荒な人生から抜け出して、穏やかなファミリーライフを目指すはずであった。しかし、元バンドマン

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特別な他人①

私には、「特別な他人」が二人いる。「特別な他人」とは、自分ではない人間、すなわち「他人」という管轄の中でも、私がとりわけ好意や敬意を持ち合わせている「他人」のことである。今回は、「特別な他人」のうちの一人について記しておこうと思う。

その人とは出会ってから約3年になる。大学4年の夏の終わりに知り合った。その人と最後に会ったのは確か、2年前の夏。私の方から会いに行った。高速バスに乗って7時間くらい

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空洞の感動

劇中歌は、映像作品において重要な役割を持っていると思う。

例えば、今敏監督の『パプリカ』には平沢進の楽曲が使われているし、蜷川実花監督の『さくらん』には椎名林檎の楽曲が使われている。全て、私が大好きな監督とミュージシャンだ。

科学の力で他人の夢に干渉できるようになった世界線の物語である『パプリカ』には、エレクトリックで幻想的な楽器を使う平沢進の楽曲がぴったりだと思う。

遊郭が舞台の、艶やかで

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お子様ランチの味は

まだ私が幼かった頃、外食のとき子どもはお子様ランチを頼まなければいけないと思っていた。他のものを食べたいとも思っていなかった。当然、お子様ランチを選ぶものだと思っていた。他の子もみんなそうしていると思っていた。

しかし、小学校高学年の時、食事どころでたまたま居合わせた同級生がお子様ランチを頼んでいなかったのを見た。

「お子様ランチじゃなくてもいいんだ」と私は学習した。加えて、小学校高学年になっ

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文芸とわたし

 わたしは、小説や歌詞、食べ物の成分表やシャンプーのボトルの説明書きなどを読むことを、少なくとも嫌ってはいない。かといって、中学のときから漱石読んでました!とかいう渋い子供でもなかったし、わたしの文学デビューは高校2年生のあたまごろ、かなり遅いくらいではなかろうか。

 デビュー戦はたしか、魯迅の『阿Q正伝』だった。『狂人日記』も合わせて1冊の文庫になっていたことははっきり覚えている。その時の私は

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シュレックがいい

今日は仕事が休みだったので、映画を観た。

『シュレック3』と『シュレックフォーエバー』を観た。これがとても良かった。

『シュレック1』と『シュレック2』は既に観ていたので、今日は3から観た。

ざっくり紹介すると、心を閉ざした緑色の肌の怪物が、人間のように友人と交流したり、恋人と関係を持ったりしながらトラブルを解決していく話である。

焦点人物である〈シュレック〉には、ダウンタウンの浜田雅功さ

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私が詠んだうた7選

今日は私が詠んだうたをいくつか紹介する。下手の横好きで、見るに耐えないものばかりだから、共感性羞恥を感じやすい方は気をつけてください。

そして私は、自分の作品をペラペラと解説することは野暮ったいことであると考えているのであまり多くは語りません。

台風の日、仕事を終えて傘をさしながら歩いて帰っていると、大風が吹いて、傘が飛びそうになった。部屋に入れ忘れられた洗濯物が遠くに飛んでいるように見えた気

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好きな曲4選

書物の話ばかりしていたので、今日は音楽の話をしようと思う。

私は音楽が好きだ。聴くのも弾くのも作るのも好きだ。音楽をきちんと聴き始めたのは3、4年前だからそんなには詳しくない。でも、こんな私にも好きな音楽はある。今日はそれをいくつか紹介する。

きのこ帝国「怪獣の腕の中」

https://music.apple.com/jp/album/%E6%80%AA%E7%8D%A3%E3%81%AE%

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