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息子が人を殺しました(著:阿部恭子)【今日の読書紹介は暗い。でもきっと夜明け前だからだ】

暗い。暗いですよー。ノンフィクションで暗い実話です。
創作なんかより事実の方が断然すごい。
そしてこんなこというのはあつかましくて大変に申し訳ないのですが、
創作意欲にドバドバとドーパミンが注がれていくのが分かります。

本作は加害者そのものより、
加害者の家族にスポットライトを浴びせたノンフィクションです。
広い意味では人類はみんな加害者家族なんですけど。

でも敗戦国民とかと違って、加害者家族って極度に社会的孤立していますから、その後の辛さも段違いなんですね。

細部はつらすぎるので、ここで詳しくは書かないですけど、
(こういうライトに書いてしまうにはためらいを感じた)
まあ、こういうのを読んで創作意欲が向上するという業の深い人間の書いた紹介で良ければ、どうぞご賞味ください。

*****
内容の紹介は控えたので、
なぜ加害者家族を支援しなければならないのか?
という結論的な部分を説明したいと思います。

「加害者家族なんて加害者と同罪だろ!こいつらはもっと苦しめろ!」
とか言ってしまうと、
結局は復讐の連鎖によって社会全体が荒廃するという、万人にとって好ましくない治安の悪い社会になっていってしまいます。

ゆえに社会に対して責任あるものとしては、
「罪を憎んで人を憎まず。いわんや咎人の家族においてや」
と言わざるを得ない。

これは情緒的な話ではなく、
現実のリアリズムの話なのです。

ソ連のような独裁国家でさえ、スターリンが死ぬと政治犯を大量釈放しました。
誰かとその一族を永遠に罰し続けるなんて、社会的コストが高すぎて、現実問題としてムリなんですよ。
我々の税金だって浪費されるわけだし。
だから妥協するしかない。
それに求めるところは、そういった犯罪が繰り返されないことであって、罰することじゃない。

犯罪者を強く罰したら治安が悪くなったとか本末転倒です。
強く罰するのは、治安の改善に良い影響があると信じているからですよね。

百歩譲って加害者本人を赦す気にはどうしてもなれないとしても、
加害者家族ですよ。
(まあ加害者を幼児虐待して犯罪の芽を創るようなことをしてる毒親とかならともかく)

彼らが穏健で秩序的な世界に戻れるようなサポートをすることが、
治安のよい豊かな社会のインフラを創るための、現実的な解答なんです。

*****
こういったことを書いて、少しでも理解してくれる人は、
実はかなりの少数派です。
「まあわかるけどね、でも」
と言ってくれる人も実はかなりの少数派なのです。

ほとんどの人は盲目的に憎んでしまいます。

というわけで悪が悪を呼び、犯罪が未来の犯罪の遠因になるということが、繰り返されるのです。
もちろん国家や公共にとっては許容されることではありません。
薩摩と会津も仲が悪いとは言っても、公然とお上の前で敵対することはできません。

責任ある立場の人たちが、内戦の起こりうるような原因を潰していくのは、彼らの仕事として当たり前のことです。

私は別に「人類が滅んでもいっか」くらいに思ってるところがありますが、
さりとて未来に責任を持ちたいと考えている人たちの邪魔したい、足を引っ張りたいとも思いません。そういうことなんですね。

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