もーたろ

あちこちに出没して下手な小説を書いています。

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マガジン

  • ほおずきさんの三題噺

    毎週水曜日に出題される「ほおずき」さんの三題噺 #H3BO3 に出品したものです。

  • POLICE in 2117

    ITが発展した近未来、ここでもやはり犯罪は絶えることはない。これはテロなのか?・・・犯罪捜査の幕が上がる。 3部構成になっています。1部は問題解決まで、2部は犯人の捜査、3部は解決編です。1話は約2000字程度です。

  • IT is my friend・・・? 連載完結

    100年後、Information Technologyで管理された世界でITと人類はうまく共存していけるのか。AIは人類に矛先を向けるのか。主人公の目を通して近未来の世界を見る。

  • 小咄「ルイ辞書」

    「小さな口から出まかせ」 本文は140字以内に収める努力をしています。

  • おもろい画像

    その辺に転がっているおもしろい画像が撮れたらUPしていきます。

最近の記事

Medical Crime in 2117  プロローグ

 2117年。世界はひとつの国家となり、ここは日本District(日本地区)となった。経済は世界統一ルールで動いている。個人にはBI(ベーシックインカム)として通常暮らしていくに十分なクレジット(マネー)と電力、水の付与がある。しかし、政府は今なお地区それぞれにあって、地区ごとの政治が行われている。とは言え社会はIT(Information Technology)がほぼすべてを担っていると言っても過言ではない。   日本地区の中心は50年前に新しく建設された都市でその中央

    • POLICE in 2117 完結

       3-25、終幕 井澤はすっかり意気消沈しているように見える。本当のところはどうなんだろう。 「井澤賢介さん、取調べを始めます」 井澤は今まで拘束されていた手首を捏ねている。 「あなたは何が間違っていたんだと思いますか?」 「人選だ。バカを使うんじゃなかった」 「それではあなたがしようとしたことは正しいと思いますか?」 「もちろんだ。私が目指す社会は不公平のない完璧な社会だ」 「今でもかなり公平な社会だと思いますけどね」 「能力もないのに優遇されてるおまえらに

      • POLICE in 2117 3-24

         3-24、逮捕 海上保安課に着いて班の全員を集めた。 「これから逮捕に向かう。心してかかろう」 海上保安課から10名の応援を頼んだ。それぞれボックスに乗り込んで一団で北北西に向かう。空はどこまでも青い。悪いことが起ころうはずがない。 井澤賢介氏の自宅は何も知らないといった風に先日と同じ体裁でそこにあった。 「いいか?いくぞ」 おれと梶原が玄関に立った。今日はドアは開かない。ベルを押すとすぐに返答があった。 「警察です。お願いします」 ドアがゆっくり開いた。6人

        • POLICE in 2117 3-23

           3-23、決戦に備えて 家に着いた。 「QP、どうだ?」 「はい。パーツの交換だけで済みそうです。ありがとうございます」 「そうか、そりゃよかった。それにレーザー銃じゃなくて良かったよ。レーザーだったら確実に電源が落ちてるところだ」 「ああ、そうでした。忘れていました」 「ははは、ときどきおまえは感情があるんじゃないかって思うことがあるよ」 「私も欲しいと思います」 レプノイドには感情がない。積み上げたデータからその時、折々の振る舞いを決めているのだ。 「君

        Medical Crime in 2117  プロローグ

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        • ほおずきさんの三題噺
          20本
        • POLICE in 2117
          85本
        • IT is my friend・・・? 連載完結
          31本
        • 小咄「ルイ辞書」
          46本
        • おもろい画像
          5本
        • ザ・メッセージ 連載完結
          37本

        記事

          POLICE in 2117 3-22

           3-22、証拠固め 警官の河本を取調べに呼び出した。 「河本俊一、取調べを始めます」 「なんだ?」 「おまえ、双子なんだな。驚いたよ」 「捕まったのか?」 「ああ、おれが。例によって例のごとくだよ」 「そうか、捕まったのか。よかった」 「武闘派兄弟なんだな。おれの家に殺しに来やがった」 「バカな」 「小宮山を殺したのはおまえじゃなかったな。しつこくしてすまなかった。おまえの弟だった」 「いや、殺したのはおれだ」 「だったら死体の場所はどこなんだ?」

          POLICE in 2117 3-22

          POLICE in 2117 3-21

           3-21、逮捕劇 ボックスに乗り込んで自宅に向かう。ボックスが遅い。進まない。20分かかった。自宅の前まで来ると玄関のドアが開いているのが見えた。拍動が喉元まで上がってくる。 「QP」 QPが玄関で倒れている。銃を抜いてゆっくりとベッドルームに向かう。異様に静かだ。冷や汗が背中を伝う。 ベッドルームのドアを開けると男が倒れていた。銃を向けて近づきつま先で蹴ると唸り声を上げた。持っていた銃をとりあげた。由莉奈がいない。 「由莉奈!」 「クロード?」 由莉奈がレーザ

          POLICE in 2117 3-21

          POLICE in 2117 3-20

           3-20、外堀を埋める 井澤氏の家を出た。最初の訪問としては上出来だ。 「クロードさんの当初の質問にしっかり答えてくれましたね」 「そうだな。驚いた。もっとのらりくらりと逃げられると思ってたんだが」 「彼は相当の自信家ですね。ボロは出さない自信があるんですよ」 「そうだな。これから本部には帰って分析だ。さあ、みんな帰るぞ」 特捜班に帰って、会議室に入った。 「これから先ほどの訪問のビデオを見るが思いついたことがあったら何でも言ってくれ。じや“R”さっきの映像を流

          POLICE in 2117 3-20

          POLICE in 2117 3-19

           3-19、対決 ボックスで20分少々で井澤賢介宅に到着した。情報通りの4キューブで青と白のツートンカラーだった。 玄関に立つとスーッと扉が開いた。 「入りたまえ」 「失礼します」 おれと梶原が中に入ると、後ろでドアがゆっくり閉じた。玄関から奥に繋がる廊下は少々狭い。パネルが奥まで並んでいて何かを収納しているらしい。フットライトと天井にポツリポツリとある小さなダウンライトだけで室内は薄暗い。 「井澤さん。井澤賢介さん」 「ようこそ。そのまま奥へと進んでくれたまえ」

          POLICE in 2117 3-19

          POLICE in 2117 3-18

           3-18、相手を知る 23階、地域安全課の西住宅地域に井澤の家はなかった。25階、北住宅地域担当に出向く。シティの端から10分ほどのところに井澤の家はあった。4キューブで家族は3人。しかし、おそらく実際に住んでいるのは井澤1人だろう。キューブは3月の下旬に少しシティから離されている。これで確定だ。おそらく不満タラタラなんだろうと想像がつく。 特捜班のコクーンに入るのは久しぶりだ。こんなことがあっただろうか。壁紙に由莉奈の写真を大量に追加してスライド表示させた。一番新しい論

          POLICE in 2117 3-18

          POLICE in 2117 3-17

           3-17、主犯はこいつだ!「ただいま、由莉奈」 「はーい」 抱きしめてキスをした。 「会いたかったよ」 「ん?どうしたの?」 「いや、なんとなくなんだけど」 「あ!さてはかわいい女の子に会ったな!」 「え?そうか?あ、そう言えば会ったな」 「やっぱり。クロードってダメね、その辺のコントロール。かわいい女の子が極悪な犯人だったらどうするの?」 「そんなかわいい女の子は犯罪なんて犯さないよ」 「ほら、もうダメだ。かわいい女の子だって人間だよ」 「でもな、そ

          POLICE in 2117 3-17

          POLICE in 2117 3-16

           3-16、新繊維の追及②「よし、次は吉永精密機器だ」 そこはボックスに乗る必要もなかった。 「こんにちは。松尾さんはいらっしゃってないでしょうか」 「はい。今日はいらっしゃってません」 「じゃ社長はいらっしゃる?」 「はい。どちら様でしょうか」 「警察の大崎クロードと梶原です」 「あ、警察の方。少々お待ちください」 「今はお目にかかれないと申しております」 「それでは困るんですよ。社長室はどちらです?」 「あの、困ります」 「拒むともっと困ることになる

          POLICE in 2117 3-16

          POLICE in 2117 3-15

           3-15、新繊維の追及① 松尾浩一郎氏は70才。健康機器メーカーを退職した人物らしい。 「フォン、松尾浩一郎氏」 「はい。松尾だがどなた?」 「私、大崎クロードと言います。警察です」 「な、なんだ?警察が何の用だ?」 「フラッシュ機器の斡旋についてお尋ねしたいことがあります」 「フ、フラッシュ?」 「はい。医療機器のフラッシュ。ご存知ですよね」 「ああ、もちろん」 「それがどこで造られているのか、もしくは販売されているのかをお尋ねしたい」 「それは申し

          POLICE in 2117 3-15

          POLICE in 2117 3-14

           3-14、チェントリーノホスピタル理事長「“R”チェントリーノホスピタルの理事長の所在はわかるか?」 「はい。スカッシュをするためにスポーツジム・アキレスにお出かけです」 「スカッシュ?いったい理事長はいくつなんだ?」 「はい。39才です」 「異様に若いな」 「どなたと話してらっしゃるの?」 「“R”ですよ。AIの」 「お友だちなの?」 「そうです。あなたもすぐに友だちになれますよ。“R”はみんなに平等なんです」 「“R”私のこと知ってる?」 「はい。吉

          POLICE in 2117 3-14

          POLICE in 2117 3-13

           3-13、新素材の正体 ボックスに乗り込んですぐ、ラボから連絡が入った。 「フォン、梶原」 「はい。どうしました?」 「ラボから連絡が入った。おまえも付き合え」 地下2階のラボへと赴く。 「クロードさん。新素材の概要がわかりました」 「そうか。なんだったんだ?」 「これがなかなかの優れものなんですよ」 検査官が新素材を束にしたものを見せた。 「これですけど、何色に見えます?」 「黒だな」 梶原も頷いた。 「でも本当の色は透明なんです。これは光の吸収性

          POLICE in 2117 3-13

          POLICE in 2117 3-12

            3-12、ポリスのお見舞い 病院は何もないように静かだ。しかしこの中ではポリスが命の岐路に立っている。 フロントで来訪を告げると担当の女性医師が現れた。 「クロードさん、いらっしゃい。お連れさんも。手の具合はどう?」 「はい。お陰さまで」 「よかった。山階さんね。変わったところはありません。まだ不安定です。しばらくはこんな状態が続くと思いますけど、不安定ながらそれで安定してますから滅多なことはないように思います」 「そうですか。会えますか?」 「どうぞ」 透

          POLICE in 2117 3-12

          POLICE in 2117 3-11

           3-11、じいさんとの面会 特捜班に顔を出すと梶原が1人で手持ち無沙汰にしている。 「なんだ1人か」 「はい。みな海上保安課に行ったようです」 「そうか、熱心だな」 「昨日の檄が効いたんだと思います。私も行きたくなりました」 「そうか、すまんな。付き合わせて」 「いえ、こちらの方がより重要だということはわかっています」 「そうか」 シティの北の端、看板こそないが「ヤンの店」は相変わらずの佇まいでそこにある。解錠してトイレから地下に下りていく。1階の踊り場から

          POLICE in 2117 3-11