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経営幹部

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経営幹部に必要な記事。 施設を越えた経営幹部間の意見交換のプラットフォームとなることが目的。一部有料。
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記事一覧

人材不足の時代に病院はどう生き抜くか

人材不足の時代に病院はどう生き抜くか

 少子高齢人口減少社会の影響により、生産年齢人口は縮小の一途を辿っている。これにより、医療従事者等のなり手も縮小し、新卒採用は売り手市場となる。新卒採用が売り手市場となると、多くの病院の人材不足は常態化する。すると、中途採用の間口はおのずと広がり、経験や専門性を高めたい職員などの流動性が加速する。その結果、働き手に選ばれない病院の人材不足はさらに深刻化し、医療サービスの質を保つことすら困難となる可

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なぜ、人材育成はOJTのみでは不十分なのか

なぜ、人材育成はOJTのみでは不十分なのか

経営資源は、人・物・金・情報に時間・知的財産を加えて6つあると言われています。これらの経営資源のうち、扱いによって価値が増減するものは「人(材)」のみです。
 人(材)の価値を高めるためには、効果的で持続的な人材育成が必要です。その手段はいくつかありますが、OJT(On the Job Training)に依存する組織も少なくないように感じます。

ところで、有名なP.F.ドラッカーは、われわれリ

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病院の見張り台に見張り番がいますか?

病院の見張り台に見張り番がいますか?

 病院運営のパターンは、以下の3つに大別されるといいます。

トップ主導運営は、トップダウンによる運営で、創業期に多いとされています。トップが収集した情報と、トップのこれまでの経験に基づく直感や感性で意思決定されます。したがって、意思決定と実行に移すスピードが早いという利点があります。
 しかし、それ故に、トップが観察できる範囲を超えた問題は認知されません。また、指示に従うことが求められることで、

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なぜ、管理監督者と医療従事者は対立するのか

なぜ、管理監督者と医療従事者は対立するのか

経営者および管理監督者と現場の医療従事者の対立の要因

 わが国の医療業界は、少子高齢人口減少社会の影響により、病院経営はとても厳しくなると考えられています。組織が生き残るためには、外部環境に適応するだけでは不十分であり、経営者や管理監督者の視座は常に外部環境の進化の先にあることが重要と考えられています。つまり、経営者や管理監督者は、ビジョナリーであることが求められていると考えることができます。

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戦略人事を学び、創業者が夢見たユートピアの具現化に役立ちたい

戦略人事を学び、創業者が夢見たユートピアの具現化に役立ちたい

私は現在、「戦略人事」に関心があります。経営資源には、人・物・金・情報・時間・知的財産・ブランドがあると言われていますが、その価値が急に10分の1になったり急に10倍になったりする経営資源は人だけです。一方、わが国の生産年齢人口は確実に減少することがわかっています。つまり、人という経営資源の価値を高めることは、組織の持続可能性という視点で極めて有用であると思うのです。
 戦略人事とは、“経営資源の

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話し合いとは何か?

話し合いとは何か?

 組織マネジメントに関心がある私は、幸いなことに内外のマネジャーと対話する機会をいただいています。そこで、おそらくうまくいっているであろうマネジャーと、うまくいっていないと自覚しているマネジャーの決定的な違いは、組織メンバーとの「話し合い」の内容ではないかと感じていました。そんな時、中原 淳 著“「対話と決断」で成果を生む話し合いの作法”(PHPビジネス新書)を拝読し強く共感しました。
 そこで本

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リハ専門職は何を目指し、どう育成すべきなのか?

リハ専門職は何を目指し、どう育成すべきなのか?

本noteは、全国病院経営管理学会主催「令和5年度リハ専門委員会報告会」で筆者が講演したイントロダクションの一部です。われわれの活動およびリハ専門委員会報告会の様子を広く知っていただくことを目的として公開しています。
 多くの方が、リハ専門職の現在と未来を考える契機となれば幸いです。

リハ専門職は何を目指し、どう育成すべきなのか。その答えは、「間接的にも成果を示すことができる専門職を目指し、見通

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部課長の仕事とは何か?

部課長の仕事とは何か?

本noteは、「超訳ドラッカーの言葉」(2022)で紹介されているドラッカーの言葉のうち、部課長の仕事に関連するものの一部を引用したものです。
 恣意的に引用している影響はありますが、部課長の仕事の大半はコミュニケーションと仕組みづくりであることがわかります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

(参考)山下淳一郎「超訳ドラッカーの言葉」(2022)同友館

なぜ、病院の監督者を育成できないのか

なぜ、病院の監督者を育成できないのか

筆者の知り得る範囲においては、多くの医療機関で監督者の育成を問題としています。この問題は、「なぜ医療機関の監督者の育成に苦慮するのか」という背景と、「どのように育成すればいいいのかわからない」という課題が混在しているものと推測します。
 本noteでは、「なぜ医療機関の監督者の育成に苦慮するのか」についての筆者の考えと、「どのように育成すればいいいのかわからない」に対する経験学習の視点からの筆者の

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病院が取り組むべき内部環境への対策

病院が取り組むべき内部環境への対策

本noteは、筆者が第73回日本病院学会(仙台)に参加して感じた個人的な備忘録である。

まず、本邦の少子高齢人口減少社会は、受療者を減らすと同時に、医療従事者の増加を抑制する。これによる影響は、病院の収入を抑制するとともに、医療従事者の高齢化による高コスト構造を招くことが推測される。
 第73回日本病院学会では、このような背景に対する外部環境のあり方についての議論があった。しかし、われわれが操作

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スタッフに機会を与えるとき、マネジャーに必要な覚悟とは何か?

スタッフに機会を与えるとき、マネジャーに必要な覚悟とは何か?

私は現在、全国病院経営管理学会リハ専門委員会の正幹事を務めています。リハ専門委員会では、リハ専門職で学会の個人会員の方を対象として今年度からオンラインサロンを始めました。オンラインサロンは、年3〜4回の頻度で、1回あたり1時間程度、さまざまな意見交換を行なっています。
 昨夜のオンラインサロンでは、スタッフへの機会の与え方についてが話題となりました。育成を目的としてスタッフに機会を与えても、結局そ

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チームの属人化にどう向き合うか?

チームの属人化にどう向き合うか?

私が組織を観察する際は、必ず「属人化している業務は何か」を評価していることに最近気づきました。そこには、「属人化は回避すべき」という無意識の感覚があり、おそらくそれは、これまでの経験の中で身についた直感的視点なのだろうと推測します。
 そこで本noteでは、属人化の定義を確認し、属人化の特徴と留意すべき点について簡単に整理します。

属人化は、組織による活動の成果を左右する要素として見聞きする機会

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3分でつかむ『心理的安全性』

3分でつかむ『心理的安全性』

1965年に登場した『心理的安全性』という言葉。最近では、あらゆる場面で見聞きするようになりました。ただし、時折、誤用されていたり誤解されているなと感じることがあります。
 本noteでは、『心理的安全性』の要諦を端的に整理します。

もともとは、組織に使われていた『心理的安全性』。ハーバード大学教授のエドモンドソン氏が、「対人関係のリスクをとっても大丈夫という、チームメンバーに共有される信念のこ

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