記事一覧
【コラム】フレディの鎮魂歌から“すべての者の歌”へ──「ショウ・マスト・ゴー・オン」に見るクイーン+アダム・ランバートの変質
2018年、クイーン+アダム・ランバートとしてラスベガス公演を行ったときのアダムは、荷台にたくさんのお花を積んだ可愛い三輪車に乗ってキュートに「バイシクル・レース」を歌っていた。
あれから5年。可愛かった自転車はもはや公道を走れないどころか“バイクの形をした何か”としか言いようがないほどギランギランになり、「アダムくん、それ……なに……?」という感じ。その上にM字開脚で跨ってカメラに向かって腰を
【コラム】フレディ亡きあとのクイーンは歩みを止めるべきなのか?──QAL東京公演直前に考える
2023年を締めくくる紅白歌合戦に出てきたQALは、なんか、凄かった。そりゃまあYouTubeだけでも9億回再生されてる曲を、半世紀ものキャリアを第一線で走り続けるバンドが、彼らの選んだ最高のヴォーカリストと一緒に披露しているのだ。なんかもう航空ショーを見ていたら突如巨大UFOが出現してただ通り過ぎて行ったみたいな感じだった。SNSで感想を眺めていても「凄すぎてわけわからん」みたいな感じだったので
もっとみる【素人レビュー】耳で聞く空間芸術。neuheimeraltz『音楽の思い出』
強烈な雑音のもとで赤黒い煙が渦巻く工業地帯に、古めかしい機械の中で緑色の音波が撓む様。金属の擦れ合いやプレス音。工場排水の混ざった波音。その中で築き上げられる無垢な未来都市。neuheimeraltzのアルバム『音楽の思い出』を聞いて真っ先にイメージしたのは、そんな風景だった。
初めにことわっておきたいのだが、私はこのジャンル、つまりノイズがざあざあ鳴って断片的な電子音のメロディが流れ込むタイプ
【ONE PIECE】トラファルガー・ローの能力って作劇の邪魔じゃない?って話
※注:本記事に『ONE PIECE』自体を批判する意図はありません。
最近、『ONE PIECE』をアニメ/漫画の両方で鑑賞しています。自分が生まれた年に連載がスタートした漫画ということで、これまで敬遠してきたものの、終盤に差し掛かりつつある作品をみんなと一緒に楽しみたい、と思って手に取りました。
感想としては「やっぱ文句なしに面白いな」という所。さすが長期連載作品、麦わらの一味に好きなキャラ
【2022年夏最新版】SOUL’d OUT怪文章【今更語るVOODOO KINGDOM】
オタクに優しいギャルは実在しないと言われているが、オタクに優しいラップグループは存在する。それがSOUL’d OUTだ。
「ネットには年1くらいでSOUL’d OUTにまつわる怪文章がアップされる」──実しやかに囁かれている噂だが、この文章を書いている私はこれまで数年ごとに別名義を使ってSOUL’d OUTにまつわる怪文章を書き散らしてはネットの海に放流している。つまり、フタを開けてみたら5人く
やっぱり「高円寺アンダーグラウンド音楽」は難しい。「地下生活者周辺」「たま界隈」の新名称を考える
こんにちは、安藤さやかです。
先日、<地下生活者の夜>周辺の音楽シーンを「高円寺アンダーグラウンド音楽」と呼称しませんか?という記事を公開いたしました。賛否両論でした。
記事の内容を簡単にまとめますと、
1.「たまみたいな音楽をもっと聴きたい!」という時、ジャンル名が無いのは不便
2.そこで「高円寺アンダーグラウンド音楽」という名称を提案したい
3.定義は<地下生活者の夜>周辺かつ幾つかの
パスカルズとホルモン鉄道って同ジャンル?「高円寺アンダーグラウンド音楽」という提案
分類不可能な音楽性を持つアーティストをどう分類するか。それは音楽好きや評論家にとっての大きな問題です。
多くの場合、これらはたくさんのジャンル名を並べることでクリアされています。「ハードロックとテクノを往復し、アンビエントな空気を持ちつつブラックミュージックの潮流を感じさせ、かと思えばシューゲイザー風の~」というような感じです。
とはいえ、多くのミュージシャンは自らのジャンルを自称しているので
【ライブレビュー】鮮烈・壮絶・妖艶・破壊的。カトラ・トゥラーナ!
鮮烈・壮絶・妖艶・破壊的。カトラ・トゥラーナの音楽に抱く第一印象はそれだったし、2時間のライブを観たあとも変わっていない。ついでに「ヴォーカルは絶世の美女」という印象も全く変わっておらず、ステージに立つ広池敦は2022年も本当に美しかった。
7月22日、吉祥寺・Star Pine's Cafeにカトラ・トゥラーナのライブを観に行った。この日は久々リリース(なんと36年ぶり!)のアルバム『REBO
【体験談】書いた覚えのない抗議署名に自分の名前が載っていた話
音楽ライターの安藤さやかと申します。
ご存知ない方も当然、この6月にメディアから独立してフリーランスになったばかりでして、生後1ヵ月の音楽ライターとして泥臭く一生懸命生きています。まだ仕事は全然ないけど。
とはいえ大学生の頃から「安藤夏樹」「雨宮夏樹」名義でちょこちょこコラム等を発表していたので、「おまえ知ってるぞ!独立したんか!」という人もいるかもしれません。
今日はそんな自分の身に突然起こっ