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オタクパパの映画レビュー

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#書くメシ

グレタ・トゥーンベリとリイクニ・ノンデライコ〜子どもが大人に怒る理由〜

グレタ・トゥーンベリとリイクニ・ノンデライコ〜子どもが大人に怒る理由〜

16歳のグレタさんの国連での怒りを表明したスピーチ。
彼女は責任のある立場にいる大人たちに対して怒っていた。
僕が彼女のスピーチから思い出したのも、ある少女の言葉だった。

「大人たちは善悪の判断をしていません」
17歳のリイクニ・ノンデライコ。
1987年公開のアニメ映画『オネアミスの翼・王立宇宙軍』のヒロインだ。

あ、そこの非オタクのあなた、コケないで。
僕がこの映画を初めて見たのは高校一年

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少女漫画から男が学べること

少女漫画から男が学べること

『海月姫』という漫画を読んだ。日曜日に家族でDVDレンタルに行ったGEOでレンタル落ちのコミックスが1冊50円で売っていたものを購入。産まれて初めて少女漫画を全巻衝動買いし、全17巻を平日の朝と夜に3日で読み切った。

コミックスを衝動買いした理由は以前に『海月姫』の映画を観ていたから。海月姫の映画には能年玲奈が出ている。あまちゃん以降、テレビへの露出があまりない能年ロスを埋めるために部屋のパソコ

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どうして悲劇で終わることがわかっている映画を3本も観るのか

どうして悲劇で終わることがわかっている映画を3本も観るのか

オールドファンの間に衝撃のニュースが走った。『機動戦士ガンダム・閃光のハサウェイ』が3部作で映画化される!

この小説は30年前に最初のガンダムの総監督、富野由悠季によって書かれた。あまりにも悲劇的な結末に、オールドファンの間で語りぐさになっている小説だ。ガンダムは最初のテレビアニメが制作されてから10年の間に3本の映画と2本のテレビシリーズがあり、その次の映画で最初の主人公たちの物語は完結した…

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映画について書くには最低2回の鑑賞が必須です

映画について書くには最低2回の鑑賞が必須です

『人生に効くスター・ウォーズ』という本を書いている。スター・ウォーズシリーズと出会ってから34年、旧6作は全部合わせると何度観たかわからない。あんまり気に入っていない新作の7・8の2作だけでも、この3年で合計7回観ているといえば、めっちゃ好きな旧6作をどんだけ観てるか推察していただけるかもしれない。

映画のことを書くとき、どんなに面白くて感動した映画であっても、1回観ただけでその直後に面白い感想

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宇宙戦艦ヤマト2202とサザエさん2025

宇宙戦艦ヤマト2202とサザエさん2025

戦艦の一室で言い争いをしてるの男二人の周りにたくさんの大人が集まってガヤガヤしている。新作アニメ『宇宙戦艦ヤマト2022・愛の戦士たち』の一場面だ。この作品は1978年に公開された『さらば宇宙戦艦ヤマト・愛の戦士たち』のリメイク作品。このオリジナル版でも、同じ男二人は喧嘩をしていた。そしてその周りを大人が取り巻いて喧嘩を止めようとガヤガヤしていた。でもこっちの喧嘩は殴り合い。限られた戦艦のスペース

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14歳をやり直す『クリード・炎の宿敵』

14歳をやり直す『クリード・炎の宿敵』

※「水戸黄門が印籠を出します」これをネタバレと感じられる方にはこの記事はネタバレです

ガッツポーズをしている自分に気づいた。場所はシネコンの小さなシート。映画のクライマックス、主人公の反撃が始まる場面であのテーマ曲がかかった瞬間だった。

その映画は『クリード・炎の宿敵』。『ロッキー4・炎の友情』の30年ぶりの続編だ。30年前、14歳の僕はロッキー4をバカにしていた。4だけじゃない。ロッキーの続

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耳すま帝国の逆襲

耳すま帝国の逆襲

少なからずの人が先日の『耳をすませば』のOAを観て「実はジブリの中で一番好きな作品」と発信していた。僕のFBタイムラインの中でだけど。

実は僕の娘も2人ともジブリ作品の中で『耳をすませば』が一番好き。普段はiphoneとipadで違う動画を眺めている姉妹が、『耳をすませば』OAの夜は2人揃って神妙にテレビ前のソファで鑑賞していた。DVDも家にはあるんですけど、OAしてるときに観たいという気持ちは

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日没から日の出までと銃夢

日没から日の出までと銃夢

映画館の椅子でひっくり返ったのは後にも先にもその時だけだ。『フロム・ダスク・ティル・ドーン』。クエンティン・タランティーノ脚本、ロバート・ロドリゲス監督のおしゃれな(はずの)犯罪映画。タイトルの通り、日没から日の出までの短い時間の出来事を描いた映画だ。当時20代だった僕はタランティーノ映画を楽しめる自分をイケてる映画ファンだと思っていた。

僕だけじゃない。そのとき隣の席で『フロム・ダスク・ティル

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美しい映画 リトル・フォレスト

美しい映画 リトル・フォレスト

魅了された。その映画の美しさにである。
簡素な美しさという点では、僕が44年の人生で観た中で一番美しい映画だった。
リトル・フォレスト 夏・秋/冬・春
橋本愛さん演じる「いち子」が「小森」という東北の田舎の村で暮らす1年を丁寧に追った映画。
1時間×四季という変わったフォーマットの映画だ。
ストーリーはほとんどない。
通常の映画なら、ドラマとドラマの間の繋ぎシーンに過ぎないささやかな出来事、ささや

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嬉しいのに泣けるとき・SFに学ぶ感情

嬉しいのに泣けるとき・SFに学ぶ感情

『スタートレック7・ジェネレーションズ』を20年ぶりに観た。
この映画は長い歴史のあるスタートレックの、ファーストシリーズとセカンドシリーズをつなぐ役割を持つ。
ファーストシリーズは23世紀が舞台。テレビドラマを3年間やったあと、6本の映画になった。
セカンドシリーズは24世紀が舞台。キャストを一新してテレビドラマを7年やった。
そしてこのジェネレーションズが、スタートレック映画の7作目であり、セ

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凛とした少女 アリータ・バトルエンジェル

凛とした少女 アリータ・バトルエンジェル

エンドロールが終わって席を立とうとした瞬間、顎が疲れているのに気がついた。
映画中、奥歯を噛み締めていたらしい。
アリータに感情移入して没頭した2時間だった。

宣伝を見る限りは「よくある」映画だ。ハリウッド大作、マンガ原作、SF、最新の映像技術、バトル少女もの……などなど。
全てはミミタコの宣伝文句。だけどアリータはその全てが上手く噛み合った奇跡的な映画だった。
まずは作りが丁寧だ。
日本の90

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とてつもないお釣りが返ってくる映画 【書くンジャーズが勧めるオススメ映画】

とてつもないお釣りが返ってくる映画 【書くンジャーズが勧めるオススメ映画】

この原稿を書いている最中に祖母の訃報が入った。
享年92歳の大往生だ。
このオススメ映画の中にも、大往生の老人を看取る場面が出てくる。
祖母の思い出を頭の中でぐるぐる回しながら、この原稿をまとめる。

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僕はかつて映像関係の仕事をしていた。そして映像系のオタクだ。それを知った人からよく「オススメの映画はありますか?」と聞かれる。
その人に映画にどんなことを求めているか聞いてみる。ほとんどの

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オールドファンが観るハリウッドゴジラ

ゴジラ・キングオブモンスターズを観た。
感想をなんて書こうか迷ってる。
興味ある人は観ればいいと思う。損はしない。
本当に凄い怪獣の「画」が連発だ。

特にラドンのスピンにはやられた!
あんな画がこれまで日本のゴジラで撮れなくて、ハリウッドで撮られたことを悔しく思う。
ラドンの魅力を最大限に引き出した演出だった。

昭和ゴジラと平成ゴジラのいいとこ取りからの正統的な発展。
悪くはない。
だけど悪く

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ゴジラ的子育て論

ゴジラ的子育て論

子どもにとって親の存在は、人類にとってのゴジラやキングギドラのように圧倒的なもの。

その両者がどちらも人類に向かって来られてはたまらない。ゴジラとキングギドラが戦うから、その間に人類は一息ついて次の作戦を寝ることができるのだ。

親子も一緒。
パパママ両方で子どもに向かい続けられてはたまらない。
時にはパパとママで意見をぶつけ合ったりしたほうがいい。

子どもはパパとママの対決を見ながら、自分で

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