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オタクパパの映画レビュー

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#SF

マトリックス4を見に行ってはいけない人

マトリックス4を見に行ってはいけない人

映画の続編を見るのに前作の予習復習なんか必要ない、って記事を以前に書いた。
たった1ヶ月でそれを撤回する。
ただし、マトリックスの新作についてだけだ。

ほとんどの映画については先月書いたことが当てはまる、と今でも思っている。
でもマトリックス4は前3作の記憶がある状態で見ないと意味がない。
なぜならば、監督がそのように作っているからだ。そしてそれでこそ意味がある続編だからだ。

1999年に公開

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現代エンタメ映画につながる匠監督の素晴らしいバトン回し〜エイリアンとエイリアン2〜

現代エンタメ映画につながる匠監督の素晴らしいバトン回し〜エイリアンとエイリアン2〜

ディズニープラスが新しくなって、大量の映画が追加された。
20世紀フォックスの映画、中でも20世紀後半の名画が厚い。
早速その中から『エイリアン』と『エイリアン2』を見た。

最近、リドリー・スコットとジェームズ・キャメロンの対談本を読んだばかり。
リドリー・スコットは『エイリアン』の監督。ジェームズ・キャメロンは『エイリアン2』の監督。
この2人、SF映画に関心のない方は区別がつきにくいかもしれ

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無駄なタイムトラベルもある〜バック・トゥ・ザ・フューチャーとドラゴンボール〜

無駄なタイムトラベルもある〜バック・トゥ・ザ・フューチャーとドラゴンボール〜

ここでのタイムトラベルはメジャーな物語上の現象を題材に書きました。科学的、SF高尚的に厳密なものではありません。

物語のタイムトラベルには大きく2種類ある。一つは単一の時間軸上で行われるタイムトラベル。
主人公が過去に戻って起こした行動によって未来が変わるというもの。
もう一つは時間軸が増えるタイムトラベル。

主人公が過去に戻って行動を起こすと、そこで分岐点ができて新しい未来が生まれる。
新し

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世界の滅亡を企む悪人を倒す映画【TENET】過去と未来から時間で挟み討ち!ってどゆこと?

世界の滅亡を企む悪人を倒す映画【TENET】過去と未来から時間で挟み討ち!ってどゆこと?

TENETを観てきた。常に野心的な映画を作り続けるクリストファー・ノーランの最新作。
前回の緊急事態宣言で映画館に行くのを見送っていたのだけれど、なんとその間に4週連続動員位1を記録していた。
我慢できずに劇場へ詰めかけたSF映画マニア達からの評価も高い。

映画は映画館で体験するべきたという持論をもっているのだけれど、このTENETこそ映画館で体験するしかない映画だろう。
ちくしょー!見逃した!

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忘れていたのは僕だった 〜バックトゥザフューチャーの記事を訂正します〜

忘れていたのは僕だった 〜バックトゥザフューチャーの記事を訂正します〜

お恥ずかしい。本当に。
でも間違えた元記事は消さずに、ここに訂正の記事を書きます。
元記事を読んでから続きをどうぞ。

この記事の中でバックトゥザフューチャー3での制作陣のミスを指摘した。
3で電力なしにスピードだけでタイムトラベルをしたのはおかしい。
制作陣は1.21ジゴワットの電力のことを忘れていると。

でも、忘れていたのは僕だった。
そのすぐ上の段落に書いていたミスターフュージョンのことを

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バック・トゥ・ザ・フューチャーは感動シーンにギャグを入れてくるから気をつけろ!

バック・トゥ・ザ・フューチャーは感動シーンにギャグを入れてくるから気をつけろ!

ほとんどの観客が気づかないこと。
「再突入の時に衝撃があるよ」
このセリフはギャグなんです。

パート1の終盤、すべての事件が解決してひとり未来に向かうドク。
別れを惜しむマーティはたくさんの言葉をドクにかける。
感情的に最高に盛り上がるシーン。

このとてもしんみりしたシーンでのマーティーの最後のセリフが上だ。
ここでギャグを入れてくるか!
なんでこれがギャグなのか、説明しましょう。

マーティ

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バック・トゥ・ザ・フューチャーが真にすごいのはそこじゃない!

バック・トゥ・ザ・フューチャーが真にすごいのはそこじゃない!

バック・トゥ・ザ・フューチャーのテーマやストーリーやセリフの凄さ、面白さを語る人は多い。
じゃなくって、映像だけで描かれているバック・トゥ・ザ・フューチャーのすごい演出を今日は書く。

映像だけで描かれていること。
それは「タイムトラベルはとんでも無い!」ってことだ。
パート1のデロリアンのタイムトラベル、イメージするのはこんな映像だと思う。

炎を引いて稲光と共にすっ飛ぶ。
これはこれで格好いい

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バック・トゥ・ザ・フューチャーには1で頑張ったのに2と3で忘れていることがある

バック・トゥ・ザ・フューチャーには1で頑張ったのに2と3で忘れていることがある

それは「タイムトラベルの凄まじさ」。

昨日の記事でも書いたけれど、タイムトラベルには時速142キロ×1.21ジゴワットが必要だ。
それは0秒で数千度を氷点下にするほどのとんでもないエネルギー転移をもたらす。
だからパート1のデロリアンはプルトニウムが燃料の原発を積んでた。

映画の最初、ドクの家に着いたマーティーが床に置いて蹴ったスケボーはベッド下の箱に当たる。
その箱には原子力マークが描かれて

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想像の未来と現実の未来 〜空飛ぶ車とテレビ電話のバック・トゥー・ザ・フューチャー〜

想像の未来と現実の未来 〜空飛ぶ車とテレビ電話のバック・トゥー・ザ・フューチャー〜

昨日は3人の知人と立て続けに合計6時間しゃべった。
喋るテーマがあったからそんだけしゃべれたんだけれど、その手段が面白い。
ひとりはLINE電話、ひとりはzoom、ひとりはメッセンジャー通話。

リアル対面ではなくオンラインで。そしてオンラインの手段も全部違う。
10年、いや5年前でもこんなことは想像してなかった。
現在の状況が加速させた側面もあるけれど、いつの間にか世界は変わっていた。

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『一頭の巨象と百万匹のアリ』今、見るべき映画

『一頭の巨象と百万匹のアリ』今、見るべき映画

この記事は800字の間に3展開します。

人類の危機はSF映画で何度も描かれてきた。ウイルスや細菌が厄災をもたらす映画には『復活の日』『アウトブレイク』『感染列島』などがある。だけれどもこれらを今の状況で見るのはヘビーだ。あまりにも現実に近すぎる。
かといって宇宙人の地球侵略ものはどうか。『宇宙人東京にあわらる』『インデペンデンス・デイ』『宇宙戦争』などだ。これらは逆に今の現実と離れすぎてこんな荒

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台風直後の今だからこそ読むべき日本沈没

台風直後の今だからこそ読むべき日本沈没

前回、高校生の頃に読んだ時の感想は、
「すごいけど、あんまり面白くない」「陰気。いかにも日本っぽい」
の2言だった。

30年後、45歳のおっちゃんになって、社会的な責任があり家族もいる状態で読んだ。
未曾有の地震や台風の記憶が新しい状態で読んだ。
これから高校生の自分への反論を書く。

「すごいけど、あんまり面白くない」

日本沈没はとてつもなく凄くてとてつもなく面白い。
日本沈没はまずSFだ。

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嬉しいのに泣けるとき・SFに学ぶ感情

嬉しいのに泣けるとき・SFに学ぶ感情

『スタートレック7・ジェネレーションズ』を20年ぶりに観た。
この映画は長い歴史のあるスタートレックの、ファーストシリーズとセカンドシリーズをつなぐ役割を持つ。
ファーストシリーズは23世紀が舞台。テレビドラマを3年間やったあと、6本の映画になった。
セカンドシリーズは24世紀が舞台。キャストを一新してテレビドラマを7年やった。
そしてこのジェネレーションズが、スタートレック映画の7作目であり、セ

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