『痛みと悼み』 三十四
めぐむが考えた、完璧にこの世から自分の形跡を消す方法。
急な消え方は完璧じゃない。その方法に従って、義務教育の延長のレールに従って、最低限のことだけをして、目立たないようにそろそろと進む高校生活。ドロップアウトすることは、めぐむの望まないことだった。完全犯罪、それは、本当に人知れず自分の身を消すこと、そのためには、このレールの終点までは辿り着かないといけない。呪文のように、その思いが何度も頭を駆け巡る。そして、その後の方法を考えて6年目の高校卒業の春、めぐむは、熟した果実が落