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漫画家杉谷庄吾先生の隠れた大傑作、「夕暮れのエデン」
漫画家杉谷庄吾先生をご存知でしょうか。またの名を人間プラモ先生。2017年、pixivに投稿された「映画大好きポンポさん」がまたたく間にWEB上で話題となり、マンガ大賞2018にて10位入賞を果たしました。また、「ポンポさん」は2021年6月には映画化も控える人気作となっています。
その杉谷先生が2017年秋、ジャンプSQ.CROWNに一本の読み切りを掲載しました。その作品名は「夕暮れのエデン」
なんとなく日々が捗る限界までミクロなリモートワークのすすめ
リモートワークで本当に暇を持て余していると何かしたくなりますよね。twitterを見るのも飽きるし、アマプラも漫画もインプットばっかりしてると謎の罪悪感に駆られる。ご多分に漏れず自分もそうなってきます。明らかにtwitterの発言量が増えていて、日々のアウトプットがどれだけ日々の雑談の中で済まされていたんだろうかと思ったりする。発信欲ってどんな形でも満たされるなら残しておいたほうが有益なんじゃない
もっとみる『いつだって窓際であたしたち』『校舎ナイトクルージング』ロロ
二本立てで舞台を見てきた。好きなやつだ。多分そこまでメジャーではないんだろうけれど、それでも面白かったし始まったばかりなのでぜひ多くの人に見てほしい。そういった思いはありつつも、あらすじも特に書かずに感想だけいつものように書きます。
特に校庭ナイトクルージングはたまらない。最後のみんなで笑いあっている構図には泣かされた。あの空気感がたまらない。芝居が進むごとに演者陣がどんどんカッコよく可愛く
草間彌生展「わが永遠の魂」国立新美術館
作品を見ていたら、生と死が表裏一体なのだということを漠然と感じた。「我が永遠の魂」という作品群は一つ一つ独立したタイトルが付けられているのだけれど、生のモチーフも死のモチーフも似通っているように見えて境目がどんどん曖昧になっていった。
一方で過去の作品であるソフトスカラプチュアでは生きるための本能である性や食といったものが強迫観念として捉えられていて、有り体に言ってしまえばまぁ気持ち悪かった
『夫のちんぽが入らない』こだま
ショッキングなタイトルながら知人から勧められて手に取った一冊。奇しくも前回読んだ「舞台」と同じように、人とは違っていてしかもコンプレックスを抱えている部分といかに向き合っていくかという物語。しかもその問いに対して二つの物語から感じたのは同質のものだった。それは苦しみを苦しみのまま背負って、無理に解決せずに抱えたまま生きていこうという肯定感。苦しみは人に理解してもらって救われるようなものではなくて、
もっとみる『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』清水潔
いくつか思うところがあって。そもそもジャーナリズムにほとんどと言っていいほど興味が湧いていなかったんだけれども、その理由の一端にスクープの価値の問題があった。その問題意識に間接的に答えを出してくれたのが本書だった。放っておいても時間が経てば答えが出るものをできるだけ早く報じることをエゴスクープと呼んで、アメリカやジャーナリズム研究においては価値のないものとみなされているらしい。その一方で調査報道
もっとみる『沈黙』マーティン・スコセッシ
信仰心とは何か。誰のために宗教があり、正しさとは何なのか。カトリックのよくわからなさを海外の視点から描かれた作品で面白さや好きといった感情とは別のところで、ひとまず全く自分にはない視点が続々出てきて異様に好奇心を満たされた。
神を信じぬいている本当に苦しい人たちを救わない神になんの意味があるのかという問い。まして神を信じて信仰心に忠実であればあるほど苦しむことになるし、その苦しみが周囲にまで
『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』ティム・バートン
あの場にいる奇妙な子供たちの愛らしさはなんだ。 特殊能力を持った子どもたちが無邪気に遊んでいる姿には理屈じゃなくワクワクする。特にヒロインを演じたエマの空気を操れるというもの。もっと言えば、鉛の靴を脱げば浮いてしまうというもの。「浮く」っていうのは示唆的だなと思いながら見ていた。人と違った部分があってコミュニティから少し外れた部分にいるとき「浮いている」と表現する。まぁ日本語的な表現を合衆国の映
もっとみる『ローグワン』ギャレス・エドワーズ
今更感想を書くのも恥ずかしいのですが、ようやく見てきたので簡単に。
タフな物語だった。スターウォーズはナンバリングタイトルを一通り見た程度のラフなファンでしかないものの、こんなに使命感を帯びたような話だったかなと。自分にとってのスターウォーズはもちろん銀河を救うというスケール感はあるんだけど家族や師弟といった濃密な人間関係の中で完結しているような狭さのある物語だった。そのイメージでいたら今回
『悲しみよこんにちは』フランソワーズサガン
期待を大いに裏切られた。もちろんいい意味で。女性作家、フランス文学、戦後すぐの作品という今までから考えると刺さらない要素だらけだったはずなんだけどすらすら読めたし、かなり身につまされた。結局どれだけ思春期の悩み好きなんだって話になってくるわけだけれど。それにしてもこれを18歳で処女作として書いたということは驚くほかない。ただ若いからすごいというよりも若くなければ書くことのできない作品だとも感じた
もっとみる『この世界の片隅に』片渕須直
整理しきれていない。素直によかったと思う。けれどただの戦争映画ではないとどう言えばいいのか。「やっぱり戦争は良くないと思った。」などという陳腐すぎる感想しか抱かない自分がもどかしくてならない。主人公であるすずは普通の女の子で状況にどんどん流されていく。それでもその時代ならではの狂った状況を受け入れることはなく、普通の曇りなき眼で違和感を感じ続ける。特に晴美が亡くなってしまってからその傾向は顕著に
もっとみる『バースデイストーリーズ』村上春樹翻訳
暗い話が多い。あとがきにも書いてあるように。確かに漠然とした印象で誕生日とはほっこりするものというイメージがあったから驚かされたし、意外だった。後半に収録された作品の方が楽しく読めたのはそういうズレが矯正されたからだろうか。ティファニーに朝食をでも起こったことがらだし何かあるのかもしれない。ただ慣れただけなのか最初のイメージが小説の楽しさを阻害するのか、設けたハードルが序盤にだけ作用するのか。そ
もっとみる『大東京トイボックス』うめ
熱い。本当にゲーム業界にあんなことがあるとは思ってないし、虚像なのは重々承知した上で、モノづくりとは何かって部分をストレートに問うてくる作品。刺激は受けた。東京トイボックスから続く物語の終わりをようやく見届けることができた。ひたすらに感情移入をしているから太陽はソード作れて本当によかったなと思う。しかも大東京になってからの月山の可愛さが群を抜いてる。いつの間にか関係性が出来上がっててちょっと驚い
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